市長が2024年の施政方針で「長年にわたり大雨時の冠水被害に見舞われ」てきたと述べたのが、糸満市の潮平(しおひら)です。国の道路冠水注意箇所の「那覇糸満線・潮平」と、市が2022年の大雨で冠水を確認した「県道82号線潮平入り口」は、どちらも県道82号が県道256号から潮平の集落へ入る区間を指しています(国の説明表の位置図と、市の地図の点の名前から当サイトが読み取り。答弁は位置を言っていません)。
2022年5月31日の大雨で、市が確認した道路の冠水は27地点。この年の大雨全体では79か所でした(市の答弁)。一方、市のGoogleマップに載る冠水ポイントは73か所(当サイトが数えた数)で、数がそろっていません。
この記事でわかること
- ✓ 潮平入り口の雨水管は1時間88ミリを想定した設計です。2022年はほかの地区の雨水も流れ込んだ、と市は見ています
- ✓ 対策の白川2号雨水幹線(約590メートル)は、2025年6月の時点で一部の区間を工事中でした(市の答弁)
- ✓ 市の「重要事項説明」向けのページは令和4年7月時点の記載で、その後に県が洪水と高潮の区域を指定しています
雨の日に「糸満市の冠水情報」を見るページ
市が道路の冠水を一覧で知らせるページは、見つかりませんでした。市は、冠水の情報をコミュニティFM「たまん」やSNS、防災行政無線で届けると答えています(2022年6月)。
- 糸満市「防災行政無線の放送履歴」(応答ダイヤル 098-994-4566)
- 糸満市「災害情報メール配信サービス」(LINEでも届きます)
- 南部国道事務所「災害・緊急時重要規制情報」(国道331号などの規制)
- 国土交通省「道路情報提供システム」
- 気象庁 キキクル(浸水害の危険度)
国の一覧は2か所、潮平と摩文仁(まぶに)
沖縄総合事務局の「道路冠水注意箇所」で、糸満市は国道331号の摩文仁と、県道82号の潮平の2か所です。県内17か所の全体は那覇市の記事に。
2020年9月の議会では、議員が国道331号の「摩文仁みなみの里前」の冠水を取り上げ、建設部長は、同じ年の5月2日の集中豪雨で国道331号が冠水し、浸透池からあふれた水で市道も冠水したと答えました。南部国道事務所が排水施設を再調査中という説明でした(その後は確かめていません)。

地図の記号と同じ順です
A 潮平(しおひら) 県道82号(那覇糸満線)
国の一覧。説明表の箇所名称は「(主)那覇糸満線」、アンダーパス等名称・番地・備考は空欄 管理番号 沖縄県-02-009
点は説明表の位置図から当サイトが読み取った目安(字潮平) / 点の標高4.1メートル
管理: 南部土木事務所 098-867-2941 / 警察: 糸満警察署 098-995-0110 / 消防: 糸満市消防本部 098-992-3661
※ 位置図の赤線は、今の県道256号との交差点から東へ入ってすぐの区間です(当サイトの読み取り)
B 摩文仁(まぶに) 国道331号
国の一覧。説明表の箇所名称は「糸満市摩文仁」、管理番号の欄は空欄。備考「注意喚起看板:設置済み」
点は説明表の位置図から当サイトが読み取った目安(字摩文仁) / 点の標高51.7メートル
管理: 南部国道事務所 098-861-2336 / 警察: 糸満警察署 098-995-0110 / 消防: 糸満市消防本部 098-992-3661
※ 市のGoogleマップの「国道331号線(みなみの里前)」の点が、この区間のそばにあります
A・Bは数十メートルずれることがあります。標高は点1か所の値です。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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「糸満市 冠水マップ」は3種類あり、数が違う
- Googleマップ「糸満市冠水ポイント」:73か所(北地区47・南地区26。2026年9月24日に当サイトが数えた数)
- PDF「2022年版 糸満市冠水・浸水マップ」:番号は1〜79(北・南の2枚)
- 「観光防災避難誘導マップ」(令和5年3月更新):2022年の大雨で「新たな冠水場所が発生したことから」冠水場所を追加
市長は2023年12月の議会で、2022年の大雨では武富(たけとみ)・阿波根(あはごん)・潮平・賀数(かかず)・座波(ざは)などを含む「市内79か所において冠水被害を確認」と答えています。PDFの番号も1〜79ですが、PDFは「これまでに市内で冠水・浸水の実績のあった箇所」をまとめたもので、2022年の79か所と同じ一覧かどうかは書かれていません。Googleマップが73か所になっている理由を書いた資料は、見つかりませんでした。
名前で突き合わせると、PDFにある福地の3か所は、Googleマップでは字福地に入る点がありません。逆に、兼城(かねぐすく)の「兼城ハイツ内」などはGoogleマップにしか載っていません(当サイトの突き合わせ。同じ場所を別の名前で載せている可能性はあります)。
読者
結局、どれを見ればいいですか?
拡大して見るならGoogleマップ、名前で探すならPDFです。片方にしか名前がない場所もあるので、両方開いてください。
Googleマップの点を字で数えると
市のGoogleマップの点を、国土地理院の住所の判定で字に分けました(当サイトの集計)。多いのは兼城7、糸満6、阿波根5で、武富・国吉(くによし)・真栄里(まえさと)も4か所ずつあります。

\住所だけ・1分で公的データを確認できます/
土砂災害警戒区域・洪水の浸水想定・地盤の揺れやすさを公的データでまとめて出します(道路の冠水は出ません)
「潮平 冠水」:同じ潮平でも場所は1つではない
資料ごとに「潮平」の位置は違います。国の一覧の潮平はAで、県道256号との交差点から東へ約60メートルです(位置は当サイトの読み取り)。市のGoogleマップで字潮平に入る点は、1〜3と、その交差点にある「那覇糸満線(とくとくハウス付近)」の4つ。答弁の「県道82号線潮平入り口」は、この交差点から1までの区間を指すと当サイトは読んでいます(答弁は位置を言っていません)。「潮平北波平線」は市道の名前で、古賀防水前の点(5)は字阿波根に入ります(字は当サイトの判定)。

地図の記号と同じ順です
1 那覇糸満線(潮平部落入り口付近)
市のGoogleマップ「那覇糸満線(潮平部落入り口付近)」
点は市のGoogleマップの位置(当サイトの判定で字潮平) / 点の標高5メートル
4 マックスバリュー糸満北店前
市のGoogleマップ「マックスバリュー糸満北店前」。市のPDF「過去の冠水状況」に2022年5月31日の冠水の写真
点は市のGoogleマップの位置(当サイトの判定で字兼城) / 点の標高2.6メートル
5 潮平北波平線(古賀防水前)
市のGoogleマップ「潮平北波平線(沖縄古賀防水工業(株)前)」。市のPDF「過去の冠水状況」に2022年5月31日の冠水の写真
点は市のGoogleマップの位置(当サイトの判定で字阿波根) / 点の標高40.6メートル
字は国土地理院の住所の判定、標高は点1か所の値で、字全体の高さではありません。
市は、2022年5月31日の27地点にも、6月3日の19地点にも「県道82号線潮平入り口」が入っていたと答えています。潮平入り口の雨水管について、水道部長は同じ年の9月、潮平の上流から来る雨を「1時間当たり88ミリ」と想定した設計だと説明しました。
原因としては、阿波根地区や北波平地区の一部、豊見城市保栄茂(びん)地区の一部から「多くの雨水が白川幹線を越流」して流れ込んだこと、放流先の西崎(にしざき)東側の水面にマングローブや土砂がたまっていたこと(「1つの要因として推測」)を挙げました。市の浄化センターの雨量計では、5月31日は2時間で約120ミリでした(雨量計1か所の値で、潮平で降った量ではありません)。
2022年6月の議会で、議員が「市民が冠水のため車の中であわや大惨事になるような状況になった原因」を問うと、建設部長は「当該箇所は、市道潮平北波平線で側溝が整備されている場所」で「今回の大雨で初めて冠水を確認」と答えました。答弁は日付と字の名前を言っていません。2024年6月14日も、潮平小学校周辺と古賀防水前の市道、県道82号の潮平交差点付近などが冠水しています(市の答弁)。
対策工事はどこまで進んだか
市は潮平・阿波根の冠水を減らすため、2つの対策を進めています。
1つ目は白川2号雨水幹線です。上流の農林排水路から約3分の2の雨水を分け、西崎東川へ流す計画です。総延長は約590メートル、事業期間は5年の予定。2025年6月の答弁では、阿波根交差点からの約61メートルの区間が5月末時点で進捗約32%で、完成は2025年12月末頃の見込みでした。この区間のあとも工事は続く予定で、2026年3月の議会でも、この工事に伴う迂回路の看板について答弁がありました。
2つ目は西崎東川です。冠水被害を減らすしゅんせつのため、市は2023年12月に準用河川に指定しました。河道を掘る工事は2024年9月26日に契約しています。
読者
白川2号雨水幹線ができれば、阿波根交差点は冠水しなくなりますか?
水道部長は2023年12月の議会で、阿波根交差点の冠水は道路の表面の水の影響もあり「全ての解消はできない」と答えています。
糸満市の洪水・高潮の浸水想定区域
市の重要事項説明向けのページは、洪水・内水・高潮の浸水想定区域が「本市において、指定はないため(令和4年7月時点)」、水防法の水害ハザードマップは作っていないと書いています。
その後、県は報得川の洪水浸水想定区域を2025年3月31日に指定しました。流域全体に24時間で1,105ミリの雨が降る前提で、「高潮及び内水による氾濫等を考慮していません」。高潮の浸水想定区域も2026年8月27日に糸満市を含めて指定されました。どちらも想定しうる最大規模の水が前提で、区域の外なら冠水しないという意味ではありません。高潮の区域で何が決まるのかは高潮浸水想定区域の記事に。
住む前・借りる前には、次の2つも確かめてください。
- 市のGoogleマップとPDFの両方で、家と通る道の近くに冠水ポイントがないか
- 重要事項説明の水害の説明が、県の指定より前の情報のままでないか
\市の冠水の地図とは別に、川の洪水の区域も住所で確かめる/
洪水の浸水想定区域と土砂災害警戒区域に入っているかを出します(道路の冠水・内水・高潮は出ません)
ほかの市はどうなっているか
2022年5月31日に糸満市阿波根で、冠水した道路で車が浮き、運転手が助け出されたできごと(琉球新報)は、沖縄県全体の記事に書きました。
公式出典
- 糸満市「大雨時の冠水・浸水箇所について(注意)」(2026年8月6日更新。Googleマップ「糸満市冠水ポイント」、PDF「過去の冠水状況」「糸満市冠水・浸水マップ2022」)
- 糸満市「糸満市観光防災避難誘導マップ(令和5年3月更新 ※冠水場所追加)」/同「「重要事項説明書」に係るハザードマップ調査をされる方へ」(2022年7月14日更新)/同「防災行政無線の放送履歴について」/同「災害情報メール配信サービスについて」
- 糸満市議会 会議録(2020年9月18日、2022年6月17日・9月15日、2023年12月19日、2024年3月4日・3月21日・7月1日、2025年3月14日・6月17日・9月8日、2026年3月16日)
- 内閣府 沖縄総合事務局「道路冠水注意箇所リスト【沖縄県】」(説明表 沖縄県-02-009・糸満市摩文仁)
- 沖縄県「洪水浸水想定区域」(報得川水系・令和7年3月31日指定)/沖縄県「琉球諸島沿岸における高潮浸水想定区域図」(令和8年8月27日指定)
- 琉球新報「「死ぬと思った」車内の水が胸まで…ガラスたたき割り運転手を救出 大雨の冠水道路に立ち往生 沖縄」(2022年5月31日)
- 国土地理院 逆ジオコーダ・標高API(字の判定と標高)/地理院タイル(地図)/道路の位置:OpenStreetMap(オープンストリートマップ/© OpenStreetMap contributors)
この記事の数値は公表資料と会議録を集計したものです(2026年9月24日取得)。避難や通行の判断は、必ず糸満市と沖縄県の最新の発表を確認してください。
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