🗨️「私道の持分なしだと通れなくなる?水道工事はできる?」
位置指定道路で生活に欠かせない通行なら、最高裁は妨害をやめさせられるとしています。配管は2023年4月施行の民法213条の2で、通知すれば設置できます。
[不動産] この記事の要点
2026年10月26日 発表
- 私道の持分が無い家に住む人
- 持分なしの土地を買おうとしている人
- 私道の所有者から通行料や承諾料を求められた人
私道の持分がなくても、その道が家から外へ出る唯一の道なら、通行を止められないことがあります。最高裁が1997年に、位置指定道路について認めた考え方です。水道やガスの管を通す工事も、2023年4月の民法改正で、決まった手順を踏めばできると条文に書かれました。
先に結論
- ✓ 位置指定道路は、生活に欠かせない通行なら持分なしでも守られる(最高裁 1997年12月18日)
- ✓ 水道・ガス・電気・ネットの管は、通知すれば他人の土地にも通せる(民法213条の2)
- ✓ いわゆる「承諾料」には応じる義務がない(法務省ガイドライン)
私道の持分なしとは
家の前の私道の土地を、自分が1つも持っていない状態です。分譲地では、道を何人かで共有したり、道を区切って各家が少しずつ持ち合ったりする形が多く、そのどれにも入っていないのが「持分なし」です。
| 持分あり | 持分なし | |
|---|---|---|
| 通行 | 共有者として道全体を使える(民法249条) | 所有者の承諾・通行地役権・判例の考え方に頼る |
| 配管工事 | 工事の種類で、他の共有者の同意の要否が変わる | 民法213条の2で、通知して設置できる |
| 買うとき | 持分も一緒に買う | 通行と工事の承諾書があるかを見る |
道路として扱われるかどうかは、持分とは別の話です。私道でも、建築基準法の位置指定道路や2項道路なら「道路」で、接道義務の判断に使えます。詳しくは接道義務 2m/満たさない土地の建て替えにまとめました。
売る・継ぐ・片付ける、を決めるときに読むもの
値段が分かったあとにやることは、売る・名義を変える・その前に中の物を片付ける、で人によって違います。相続登記は2024年4月から義務になり、相続を知った日から3年以内に申請しないと過料の対象になるので、放っておける手続きではなくなりました。
買い取る側にいた人が、売る側に向けて書いた本です。公示地価や基準地価は「いくらで出すか」の目安にしかならず、手元に残る額は業者の選び方と交渉で変わります。地方ほど売りにくくなる前提で書かれています。
葬儀・年金・保険・相続の届出を、期限つきで並べた図解のムックです。年度版なので税制改正のぶんが毎年入れ替わります。何をいつまでにやるのかが分からない段階なら、ここから入るのがいちばん早いです。
名義変更を司法書士に頼まず自分でやる人向けの手順書です。第2版で義務化・相続人申告登記・戸籍の広域交付に対応しています。登記簿と戸籍の読み方から入るので、書類集めの段階で止まっている人でも進められます。
親が元気なうちに片付ける前提で、家族会議の開き方や「捨てる」と言わない進め方をマンガで扱っています。売るにも貸すにも、中の物が残ったままでは査定も見学も先に進みません。
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通行は止められるか
「持分がないなら、所有者に『通るな』と言われたら終わり」と考えがちです。最高裁 平成9年12月18日 第一小法廷判決は、そうとは限らないと示しました。
判決は、位置指定道路を通ることに日常生活上不可欠の利益がある人は、所有者に妨害をやめるよう求められるとしました。例外は、通行を我慢させると所有者が通行者の利益を上回る著しい損害を受けるなど「特段の事情」がある場合です。
事案は川崎市の分譲地です。1958年に位置指定を受けた幅4mの道を、住民が30年以上、歩きと車で使ってきました。ほかの道は階段状で車が通れません。土地を贈与で取得した2人が簡易ゲートを置き、住民の車の通行を妨げました。最高裁は住民の請求を認めた二審を支持しています。
位置指定道路でなくても、ほかの土地に囲まれて公道に出られない土地の持ち主は、囲んでいる土地を通れます(民法210条)。分譲のときに道として造られた私道では、契約書に書いていなくても通行地役権(通るための権利)の設定が認められることがある、と法務省のガイドラインは紹介しています。
うちは持分なし。所有者が代わって「通行料を払って」と言われたら?
まず道の種類と、ほかに出る道があるかを確かめて。通行料の額に決まった相場は無いから、すぐに払うと決めずに相談窓口で聞いてみてね。
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水道・ガス管の工事
持分なしの家でいちばん困るのが、水道管やガス管の引き込みです。以前は条文が無く、私道の所有者が承諾しないと工事が止まりがちでした。2023年4月1日に施行された改正民法の213条の2が、ここを変えました。

条文の中身は次のとおりです。電気・ガス・水道(ガイドラインでは電話やインターネットも含む)を引くのに他人の土地を使うしかないときは、必要な範囲で、その土地に管を通したり、他人の管につないだりできます。場所と方法は、相手の損害がいちばん少ないものを選びます。私道があれば、通常はその部分です。
| 手順 | 中身 |
|---|---|
| 事前の通知 | 目的・場所・方法を所有者と使っている人に伝える。期間の目安は2週間〜1か月程度 |
| 償金 | 工事で一時的に使う土地の実損害は一括。管で土地が使えなくなる部分は1年ごとに払える |
| 拒まれたら | 自分で工事を強行せず、妨害禁止の判決を求める |
ガイドラインは、管を地下に埋めて地上の利用を妨げない場合は損害が認められないことがあるとし、いわゆる承諾料を求められても応じる義務はないと書いています。
承諾書をすでに持っている人は、所有者が代わったときに効力が続くかも気になるところです。それは別の記事で扱いました。
買う前・売る前の確認
- 前の道が位置指定道路か2項道路か(市区町村の指定道路図)
- 道の土地の登記と所有者(法務局で登記事項証明書と公図)
- 通行と掘削の承諾書があるか、誰が誰に出したものか
- その道のほかに、車で公道へ出られる道があるか
- 水道・ガスの管が、すでにどこを通っているか
私は、「持分なし」というだけで候補から外すより、道の種類と承諾書を見てから判断するほうがよいと見ています。持分があっても承諾書が無い土地もあれば、持分なしでも位置指定道路で管が引き込み済みの土地もあるからです。
よくある質問
Q. 私道の持分なしの家は通れなくなりますか。
A. 位置指定道路で、ほかに出る手段が無いなど生活に欠かせない通行なら、最高裁は所有者の妨害をやめさせられるとしています(1997年12月18日判決)。
Q. 持分なしでも水道管の工事はできますか。
A. 民法213条の2で、必要な範囲で他人の土地に管を通せます。事前に目的・場所・方法を通知します。拒まれたら判決を求めることになります。
Q. 承諾料を払わないといけませんか。
A. 法務省のガイドラインは、いわゆる承諾料に応じる義務はないとしています。損害に対する償金は別で、実損害や使用料相当額が基準です。
Q. 民法改正はいつからですか。
A. 2023年(令和5年)4月1日の施行です。
生活・仕事にどう効くか
- 通行:生活に欠かせない通行なら、持分なしでも守られることがある。
- 配管:通知すれば他人の土地にも管を通せる。承諾料に応じる義務はない。
結局どうすればよいか
- 前の道が位置指定道路かを指定道路図で確かめる
- 道の登記と承諾書の有無を確かめる
- 工事のときは目的・場所・方法を事前に通知する
あわせて読む・調べる
くわしく知る(保存版の記事)
公式出典
更新履歴
- 2026年10月26日 初版を公開
※本記事は2026年10月26日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
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