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高速道路はどんな基準で通行止めになる?

「アクアラインは風速20メートルで止まる」「東名は25メートル」——検索するとこうした数字がすぐ出てきますが、その大半は道路会社の公表値ではありません。数字を信じて「まだ大丈夫」と出発すると、基準より手前で止められて引き返すことになります。実際の運用は「予想の段階で、早めに止める」だからです。

この記事は、高速道路が止まる決まりを雨・風・雪・地震の4つまとめて見渡せるようにした保存版です。解除までの流れと、いま止まっているかを確かめる窓口まで、1本にまとめました。

先に結論

  • 「風速◯mで通行止め」という全国共通の数字は無い。基準は区間ごとで、数値表を公表しているのはNEXCO西日本だけ
  • アクアラインも明石海峡大橋も風速の数値は非公表。公式が明言しているのは「強風が予想される場合、早めに全車通行止め」という運用
  • 雪は「何センチで止める」の公表数値そのものが無い。降る前に止める「予防的通行止め」が今の型
  • 地震はNEXCO西日本が計測震度5.0以上(一部区間は4.5以上)と公表
  • 解除予定時刻は「確実になるまで出さない」と公式FAQが明言。解除は点検→復旧→警察と確認の段取り後
  • いま止まっているかは日本道路交通情報センター 050-3369-6666 と各社公式サイトで確認
目次

「風速◯メートルで通行止め」という全国共通の数字は無い

高速道路の通行止め基準について、NEXCO中日本の公式FAQはこう答えています。「高速道路には地震、降雨などに関する通行止め基準がございますが、過去の災害の発生状況などからおおむね災害が発生する可能性がある場合を想定し決定しています」。数字は出てきません。

隠しているのではなく、作り方の問題です。基準は「その区間で過去にどんな災害が起きたか」から、インターチェンジ間の区間ごとに決められます。隣どうしの区間でも数値が違うのだから、「高速道路は風速◯メートルで止まる」という全国共通の数字は、作り方からして存在しません

そのうえで、区間ごとの数値表を丸ごと公表しているのは、NEXCO3社のうち西日本だけです。NEXCO西日本は「異常気象等による通行規制基準」という一覧を公開していて、この記事を書いている時点の最新版は令和8年8月14日のものです。東日本・中日本に同じ表はありません。ちなみに鉄道側では、JR西日本が在来線の風規制の数値を公表しています(風速25m/s以上で運転中止、防風柵を設置した区間は30m/s)。数値を明言する公式が鉄道側にはあり、道路側はNEXCO西日本の一覧を除けばほぼ無い——この全体図を先に持っておくと、ネットに流れる「◯メートルで止まる」との距離感がつかめます。

4つの要因を並べると、公表のされ方はこうなっています。

要因 公表されている基準 実際の運用
NEXCO西日本のみ区間別の数値表(連続雨量など) 基準に達した時点で通行止め
数値はほぼ非公表(NEXCO西日本は20m/s以上を目安と記載) 予想の段階で早めに全車通行止め
数値の公表なし 降る前に止める予防的通行止め+チェーン規制
地震 NEXCO西日本は計測震度5.0以上が原則 揺れたら止めて点検、点検後に順次解除

雨の基準|数値表を公表しているのはNEXCO西日本だけ

雨は4要因のなかで唯一、区間ごとの公表数値がある要因です(NEXCO西日本管内のみ)。物差しに使われるのは「連続雨量」——降り始めからの累積で、1時間2mmを超える雨が6時間以上の中断なしに続いた場合に積算されます。その日の合計雨量ではないので、弱い雨が丸一日続くと、体感より先に数値が基準へ届きます。短時間の強い雨は、連続雨量と時間雨量を組み合わせた「組合せ雨量」という別の基準で引っかかります。

区間ごとの数値の読み方、同じ路線でも基準が数倍違う理由、基準値の横に付く「※」の意味は、次の記事で1本まるごと解説しています。

ここで読み方をひとつだけ。基準値は「そこまでは安全に通れる」という上限ではありません。その量が降ったら過去の実績から災害の可能性が高い、と判断された線です。

風・台風の基準|アクアラインも明石海峡大橋も数値は非公表

「アクアラインは風速何メートルで通行止めになりますか。土曜日に房総へ旅行予定です。。。」——Yahoo!知恵袋に2011年に投稿された、実際の質問です。ベストアンサーは「目安としては20m/sです。」で、別の回答には「風向き次第ではもっと早めに規制する場合もありえるとの広報でした」とあります。2007年には明石海峡大橋についても「明石大橋は 風速○○kmで 通行止めになるか教えてくださいませ。」という質問があり、当時のベストアンサーは「10分間の平均で25メートルを超える風が吹くと思われるときは、早めに通行止めをしております」でした。風速の単位(m/s)から曖昧なまま、みんな数字を探して検索しています。

こうした目安の数字はネット上に積み上がっていますが、公式の公表値ではありません。明石海峡大橋・大鳴門橋・瀬戸大橋を運営するJB本四高速の公式ページを2026年8月に確認しましたが、風速の数値はどこにもありません。書かれているのは2つだけです。「強風が予想される場合、早めに全車通行止めを実施しています」という運用方針と、3つの橋で自動二輪のみを対象とする「二輪車通行止め」を実施することがある、という車種で分けた規制です。

つまり公式が公表しているのは「数値」ではなく「順番」です。知恵袋の2007年の回答も、数字の部分は現在の公式ページには載っていませんが、「早めに」の部分は公式がいまも明言している運用そのものでした。出発判断に効くのは、当たっているか確かめようのない数字より、予想の段階で基準に届く前に止まりうる、という運用のほうです。

数値を出している例外はここでもNEXCO西日本で、規制基準の一覧に「10分間平均風速20m/s以上を目安に、それが続くか続くと予想される場合に通行止め」という趣旨の記載があります。間違えやすいのは、台風情報の「最大風速25m」は台風の中心付近の値で、道路の規制はその道路の観測点で測る10分間平均だということ。同じ「風速」でも別の物差しなので、台風の数字をそのまま規制の数字に当てはめることはできません。

雪の基準|数字ではなく「予測」で止める予防的通行止め

「雪も積もっていないのに止めるのは大げさだ」——雪の通行止めには毎年この声が出ます。実は、雪には「何センチ積もったら止める」という公表数値がそもそもありません。雪の運用は「積もってから止める」ではなく「積もる前に止める」に変わっています

転機は2018年2月の福井豪雪です。国道8号で約1,500台が立ち往生しました。このあと国と高速道路会社が広げたのが「予防的通行止め」——大雪の予測が出た段階で、立ち往生が起きやすい区間をあらかじめ空にして、除雪を先に済ませる運用です。国土交通省は「大雪時に急な上り坂で大型車等が立ち往生しやすい場所等」をあらかじめ選んでいて、その予防的な規制区間は令和7年度で全国243区間・約3,500kmにのぼります。

実例をひとつ。2026年1月の大雪では、NEXCO東日本が1月9日19時30分に「大雪の影響により予防的通行止めを実施する可能性があります」「ルート・日程の見直しをご検討ください!」と発表しました。まだ雪のピークが来る前の予告です。通行止めは実施をはさんで、1月11日22時にすべて解除されました。「可能性」の予告から全解除まで丸2日。大雪の通行止めは急に来るのではなく、気象情報に応じて事前に予告されます。何日前という決まった型は公表されていないので、寒波の予報が出たら各社の公式サイトと公式X(旧Twitter)で最新の予告を見るのが確実です。

雪にはもうひとつ「チェーン規制」があります。2018年12月に導入された規制で、対象になるとタイヤチェーンを付けていない車は、冬用タイヤでも通れません。ただし発動されるのは「大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が行われるような異例の降雪」のときで、対象も国が指定した全国16区間(うち高速道路10区間・2026年8月時点)に限られます。

地震の基準|NEXCO西日本は計測震度で線を引いている

地震は「揺れたら止めて、点検してから開ける」型です。数値を公表しているのはやはりNEXCO西日本で、規制基準の一覧では計測震度5.0以上(震度5強相当)での通行止めが原則、一部の区間はそれより低い4.5以上(震度5弱相当)で止まる設定になっています。

2026年7月の熊本の地震では、九州道の松橋IC〜えびのICが地震当日から通行止めになり、NEXCO西日本は通行止め区間と緊急車両の通行可否を続報で出し続けました(8月9日の第13報で、一般車の再開見込みは「8月後半」)。地震は雨や雪と違って予測して先に止めることができないぶん、解除は点検と復旧の進み方しだいで、被害があれば週単位になります。災害時の高速がどう使われるか——緊急車両の優先や、災害ボランティア車両の無料措置——は熊本の実例が参考になります。

通行止めはいつ解除される?|「雨がやんだら」ではない

NEXCO中日本の公式FAQには「通行止めの解除予定時間についても知らせるべきではないのですか?」という項目が立っています。FAQに載るのは、同じ質問がそれだけ利用者から届いているからです。答えは、誤った解除予定を知らせると交通に混乱をきたすため、確実になるまで出さない。「状況に応じて、当社及び警察機関で協議のうえ、通行止め解除予定時間をお知らせする場合もございます」という書き方です。

では通行止めの間、中で何をしているのか。大雨の場合について、NEXCO中日本のFAQは解除までの作業をこう説明しています。

  1. 無降雨が一定時間続く気象予測を確認する
  2. 道路を点検し、路面の付着物を取り除き、災害が起きていれば復旧する
  3. 警察機関と路面などの安全を確認する
  4. もう一度、無降雨が続くことを確認して解除する

起点は「雨がやんだ瞬間」ではなく「やみ続ける見込み」です。やんだ直後の地盤には水が残っていて、のり面の崩落や土砂の流入は雨のあとにも起きるからです。「やんだのに開かない」のは手抜きではなく、この段取りを踏んでいる時間です。

規模が大きいときは、解除は一斉ではなく区間ごとの段階解除になります。2026年8月の千葉の大雨では、県内の高速の通行止めが国の最初の集計(8月14日4時現在)で29区間ありましたが、3日半後の17日未明にゼロになりました。その間、現地のXにはこんな投稿が出ています(Yahoo!リアルタイム検索で確認)。「東金道路ガチ目な土砂崩れしてんのか…… 日曜キャンセル出たら釣り予定だけど下で行くしか無いな」。解除見込みが出ない間、予定のある人はこうやって自力で代替ルートを組むしかありません。土砂が入った高速がどう開いていったかは、崩れた高速はいつ開くのかを追った記事全解除の朝に何が起きたかの記事に記録してあります。

数字を探すより、前日の予告を拾うほうが早い

ここからは私の意見です。私は、通行止めの基準値は出発判断の道具にならないと考えています。根拠は3つあります。1つ、区間別の数値が公表されているのはNEXCO西日本管内だけで、自分が通る道の数字は公表されていないことのほうが多い。2つ、公表されている基準値も「そこまでは安全」の線ではない。3つ、運用は「予想の段階で早めに止める」なので、数字を覚えていても当日の判断には先回りされる。

代わりに効くのが予告です。大雪の予防的通行止めは、上の実例のとおり雪が本格化する前に「可能性」が発表されます。台風なら、鉄道の計画運休が約48時間前・約24時間前という型で先に出るので、道路より早い予告として使えます(計画運休はいつ発表されるかの記事にまとめています)。道路単体の「何メートル」を探すより、交通全体がいつから止まり始めるかの予告を拾うほうが、予定の組み直しが1日早くなります。

いま止まっているかを確認する窓口

最後にいちばん実用的な話を。この記事は基準の解説で、現在の通行止め情報ではありません。出発前・出発後の確認先はここです。

  • 電話:日本道路交通情報センター 050-3369-6666(全国共通・24時間)。携帯からは短縮ダイヤル #8011
  • Web:日本道路交通情報センター(JARTIC)の道路交通情報。NEXCO中日本・西日本エリアは「iHighway」、NEXCO東日本エリアは「ドラとら」
  • 発表そのもの:各高速道路会社の公式サイトと公式X。予防的通行止めの予告もここに出ます

通行止めで迂回したときの料金がどう扱われるかは、迂回の料金調整の記事にまとめています。また、台風や大雨のたびに自宅周辺の道路が心配になる人は、住所を入れるだけで浸水・土砂・地盤のリスクを確認できる災害リスク診断で、家の側の備えも確かめられます。

公式出典

  • NEXCO中日本 よくあるご質問「通行止めの判断の基準は?」 https://highwaypost.c-nexco.co.jp/faq/traffic/rule/336.html
  • NEXCO中日本 よくあるご質問「大雨による通行止めが発生した場合、通行止めを解除するまでに必要な作業内容を教えてください。」 https://highwaypost.c-nexco.co.jp/faq/traffic/road_info/470.html
  • NEXCO中日本 よくあるご質問「通行止めの解除予定時間についても知らせるべきではないのですか?」 https://highwaypost.c-nexco.co.jp/faq/traffic/road_info/469.html
  • NEXCO西日本 よくあるご質問「降雨・地震・強風による通行止め基準値は?」(「異常気象等による通行規制基準」令和8年8月14日現在) https://www.w-nexco.co.jp/faq/09/
  • JB本四高速「安全のお願い」 https://www.jb-honshi.co.jp/customer_index/safety/onegai/safety_onegai.html
  • NEXCO東日本 大雪による予防的通行止めを実施する可能性の発表(2026年1月9日19時30分) https://www.e-nexco.co.jp/news/important_info/2026/0109/00015666.html
  • NEXCO東日本 予防的通行止めの全解除の発表(2026年1月11日22時00分) https://www.e-nexco.co.jp/news/important_info/2026/0110/00015670.html
  • 国土交通省 冬期道路交通確保対策「大雪時の予防的な通行規制区間」(令和7年度) https://www.mlit.go.jp/road/bosai/fuyumichi/yukimichi3.html
  • 国土交通省 チェーン規制の対象区間 https://www.mlit.go.jp/road/bosai/fuyumichi/tirechains.html
  • NEXCO西日本「令和8年熊本地震による通行止め・緊急車両の通行可能区間等について(第13報)」 https://www.w-nexco.co.jp/emc/20260809075508.html
  • 日本道路交通情報センター 電話サービスのご案内 https://www.jartic.or.jp/s/service/tel/
  • JR西日本「安全・安定輸送への取り組み(暴風対策)」(運転中止の気象値25m/s・防風柵設置区間は30m/s) https://www.westjr.co.jp/company/action/service/safety_transport/storm/
  • Yahoo!知恵袋 アクアラインの風速に関する質問(2011年) https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1270215372
  • Yahoo!知恵袋 明石海峡大橋の風速に関する質問(2007年) https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1312131878
  • 日本経済新聞 2018年2月の福井豪雪・国道8号の立ち往生 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26721690Z00C18A2000000/

更新履歴

  • 2026年8月 初版を公開
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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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