🗨️「お盆に高速で帰省するけど、雨で通行止めになるかどうかって、走り出す前に分からないの?」
NEXCO西日本の管内なら分かります。どの区間が何ミリの雨で止まるかは、区間ごとの数値表がそのまま公表されています。ただし東日本・中日本は数値を出していません。
[交通] この記事の要点
NEXCO西日本が「異常気象等による事前通行規制基準」の最新版(令和8年8月2日現在)を公表している。管内306区間のうち280区間について、通行止めになる連続雨量・組合せ雨量・地震の計測震度が区間ごとに数値で示されている。
2026年8月10日 発表
- お盆に高速道路で帰省・旅行する人
- 九州自動車道の通行止めで東九州自動車道へ迂回する予定の人
- 台風15号の進路にあたる東北・関東から車で出かける人
- 災害時に自宅から外へ出る道を確認しておきたい人
この記事でわかること
- 高速道路が雨で通行止めになる基準は、区間ごとに数値で決まっていて公表されていること
- 同じ高速道路でも、隣の区間で基準が2倍近く違うことがある理由
- 基準値の横についた「※」が、その区間の何を意味しているか
止まる基準は、勘ではなく数字で決まっている
大雨のときの高速道路の通行止めは、現場の判断で「危なそうだから閉める」と決めているわけではありません。NEXCO西日本は「異常気象等による事前通行規制基準」という一覧表を公開していて、そこにはインターチェンジ間ごとに、何ミリ降ったら通行止めにするかの数値が並んでいます。最新版は令和8年8月2日現在のものです。
数えてみると、この表には306の区間が載っていて、そのうち280区間に雨量の基準値が設定されていました。残る26区間は「-」で、雨量による事前規制の対象になっていません。都市部の高架区間などが該当します。
渋滞と通行止めで動けなくなったときに要るもの
迂回路を調べるにも、その場で待つにも、要るのはトイレと電源の2つです。車に積みっぱなしにできる小さいものだけ挙げます。
渋滞と通行止めで動けなくなったとき、いちばん先に困るのがトイレです。高速道路上ではパーキングまで降りられないので、車に積んでおくものの中では優先度が高い1つです。
渋滞中はナビと地図と渋滞情報でスマホを使い続けるので、電池は思ったより早く減ります。迂回路を調べる段になって充電が無いと、動けるのに動けません。
災害時に多いつまずきが「ケーブルが見つからない・端子が合わない」です。本体にケーブルが付いている型だとそこで止まりません。20000mAhでスマホ数回分。
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「連続雨量」は、その日に降った合計ではない
ここが最初の落とし穴です。基準に使われる連続雨量は、資料の注記でこう定義されています。降り始めから降り終わりまで、1時間2mmを超える雨が6時間以上の中断を伴わずに続いた場合の累積雨量です。
つまり、弱い雨が降ったりやんだりしながら丸一日続けば、体感では大したことがなくても数値はどんどん積み上がります。逆に6時間以上しっかり止めば、そこでカウントは切れます。「今そんなに降っていないのに通行止めになった」という感覚のずれは、たいていここから来ています。
もうひとつ「組合せ雨量」という基準もあります。これは連続雨量とその時点の時間雨量の組み合わせで、両方の条件を同時に満たすと通行止めになるものです。連続雨量の基準に届いていなくても、短時間に強く降ればこちらで引っかかります。
130mmで止まる道と、650mmまで持つ道
280区間の連続雨量基準を並べると、中央値は270mmでした。ただし幅がとても広く、最も低い区間と最も高い区間では5倍の開きがあります。
| 区間 | 連続雨量 | 組合せ雨量 |
|---|---|---|
| 京都縦貫道 丹波IC〜京丹波わちIC | 130mm | 連続90mm+時間30mm |
| 中国道 勝央JCT〜津山IC | 140mm | 連続90mm+時間40mm |
| 中国道 北房IC〜新見IC | 150mm | 連続90mm+時間55mm |
| 松山道 伊予IC〜内子五十崎IC | 160mm | 連続140mm+時間40mm |
| (中央値) | 270mm | - |
| 九州道 広川IC〜八女IC | 580mm | 連続390mm+時間60mm |
| 高知道 高知IC〜伊野IC | 600mm | 連続460mm+時間70mm |
| 高知道 新宮IC〜大豊IC・大豊IC〜南国IC | 650mm | 連続480mm+時間70mm |
もともと雨の多い地域は基準が高く、地形が急な区間は低い、という傾向が読み取れます。高知道が650mmなのは、そこが安全だからではなく、その量が降ることを前提に道路がつくられているからです。
「※」がついた28区間は、弱点が残っているという意味
表をよく見ると、基準値の横に「※」がついた区間があります。数えると28区間です。注記にはこう書かれています。過去ののり面災害等で応急復旧により通行止めを解除している区間で、斜面等の万全な対策が完了していないことから、通常の通行止め基準値より低い暫定基準値を設定している、と。
言い換えると、「※」は「ここは一度崩れて、応急処置のまま走ってもらっている。だから他より早く閉めます」という宣言です。基準値が低いことは、その区間が弱いことの裏返しになります。
いま九州へ向かう人には、これが実害になる
九州自動車道は令和8年熊本地震で松橋IC〜えびのICが7月28日から通行止めのままで、一般車の再開は8月後半の見込みです(8月9日の第13報)。そのためNEXCO西日本は東九州自動車道への広域迂回を案内しています。
ところが迂回先の東九州道にも「※」があります。臼杵IC〜津久見ICが連続210mm、組合せは連続150mm+時間30mm。この区間の両隣、大分米良IC〜臼杵ICと津久見IC〜佐伯ICはどちらも360mm(組合せ270mm+55mm)ですから、真ん中の一区間だけが前後の6割弱の雨で止まる設定になっています。
大分自動車道も同様で、朝倉IC〜杷木IC、杷木IC〜日田IC、日田IC〜天瀬高塚IC、玖珠IC〜九重IC、湯布院IC〜日出JCTの5区間が「※」です。九州道が使えない状態で、迂回に使う道の側に暫定基準の区間が並んでいる、という構図になっています。
雨のほかに、風と地震でも止まる
同じ資料には、雨以外の基準も書かれています。強風は10分間の平均風速20m/s以上を目安とし、それが続くか続くと予想され必要と認められる場合に通行止めを実施する、とされています。地震は計測震度で決まり、5.0以上(震度5強)が原則です。ただし19区間は4.5以上(震度5弱)で止まる設定になっていて、そのうち7区間は「※」がついた区間でもあります。雨でも地震でも他より早く閉まる区間、ということです。
風の話は今週そのまま効きます。気象庁の8月10日12時45分発表によると、台風15号(チャンホン)は10日12時時点で日本の東にあって中心気圧990hPa・中心付近の最大風速20m/s、11日12時には980hPaまで発達して最大風速25m/s・最大瞬間風速35m/sの予想です。強風域は北東側500km・南西側330kmまで広がっています。12日9時には日本海に抜け、13日9時には熱帯低気圧に変わる見込みです。
ただし台風の「最大風速」は中心付近の値で、高速道路の基準はその道路の観測点で測った10分間平均風速です。25m/sの台風が来るから即通行止め、という単純な対応関係ではありません。それでも、20m/sという目安が台風の中心付近の風速と同じ桁であることは覚えておく価値があります。
数字を出しているのは、実は西日本だけ
ここまで区間ごとの数値を挙げてこられたのは、NEXCO西日本が一覧表をそのまま公開しているからです。NEXCO中日本の同じ趣旨のよくあるご質問では、「高速道路には地震、降雨などに関する通行止め基準がございますが、過去の災害の発生状況などからおおむね災害が発生する可能性がある場合を想定し決定しています」と説明されるにとどまり、区間ごとの数値は載っていません。
台風15号が向かっているのは東北から関東で、つまりNEXCO東日本の管内です。今回いちばん風の影響を受ける地域の人が、自分の通る区間の基準を数字で確かめられない、というねじれがあります。
この情報の使い方を、ひとつだけ間違えないでほしい
基準値を知ると、つい「180mmまでは大丈夫なんだな」と読みたくなります。そこは逆です。基準値は安全に通れる上限ではなく、そこまで降ったら災害が起きる可能性が高いと判断した線です。過去にその区間で実際に起きた災害と、そのときの雨量から決められています。
実用的に効くのは、上限を知ることではなく、自分のルートのどこが「※」なのかを知ることです。理由は3つあります。1つ目は、暫定基準の区間は前後より早く閉まるので、通行止めが始まる場所が予測できること。2つ目は、その区間が閉まると迂回できる道が限られる場所が多いこと。3つ目は、「※」がついている区間は過去に一度崩れているので、雨が続く年ほど当たりやすいことです。
住まい選びの話に引き寄せるなら、見るべきは最寄りICまでの距離ではなく、そのICから外へ抜ける方向が何本あるかです。片方向しかない土地は、その1本が閉まった時点で車での移動手段がなくなります。ハザードマップで浸水や土砂の色を見るのと同じ手間で、道路の側も確認できます。
生活・仕事にどう効くか
- 帰省の出発判断:自分が通る区間の基準値を先に見ておけば、雨雲レーダーを眺めて「たぶん大丈夫」と決めずに済む。中国道の勝央JCT〜津山ICのように連続140mmで止まる区間もあれば、高知道のように650mmまで規制しない区間もある。
- 迂回ルートの設計:九州道の通行止めで案内されている東九州道にも、前後の区間より低い基準の区間がある。臼杵IC〜津久見ICは210mmで、両隣の360mmの約6割。迂回先が止まると戻る道がない。
- 住まい選び:自宅から高速に乗るまでの道と、その先の区間が両方とも雨で止まる条件を持っているかどうかは、災害時に外へ出られるかに直結する。土地を見るときの確認項目になる。
結局どうすればよいか
- 自分が通る区間の基準値を、NEXCO西日本の一覧(令和8年8月2日現在)で先に確認しておく
- 走行中は「今どれだけ降ったか」ではなく、降り始めからの累積である連続雨量を交通情報で見る
- 迂回路として使う予定の区間にも基準値があることを前提に、予備日か代替ルートを決めておく
あわせて読む・調べる
くわしく知る(保存版の記事)
自分の場合を調べる(無料ツール)
公式出典
- NEXCO西日本「異常気象等による通行規制基準」(令和8年8月2日現在)(2026年8月2日発表)
- NEXCO西日本 よくあるご質問「降雨・地震・強風による通行止め基準値は?」(2026年8月2日発表)
- NEXCO中日本 よくあるご質問「通行止めの判断の基準は?」(2026年8月10日発表)
- 気象庁 台風第15号(チャンホン)の実況と予報(8月10日12時45分発表)(2026年8月10日発表)
- NEXCO西日本「令和8年熊本地震による通行止め・緊急車両の通行可能区間等について(第13報)」(2026年8月9日発表)
更新履歴
- 2026年8月10日 初版を公開
※本記事は2026年8月10日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。


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