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相続した土地を国が断ったのは3年で176件|少なく見えるのは、審査が甘いからではありません

🗨️「相続した土地を国に引き取ってもらう制度、実際どれくらい通っているの?」

3年2か月で2,885件が国のものになりました。断られたのは176件だけですが、その前に自分から取り下げた人が1,063件います。

[空き家] この記事の要点

何が起きたか

法務省が令和8年7月16日、相続土地国庫帰属制度の統計を更新した。令和8年6月30日現在で申請5,698件、国庫に帰属したもの2,885件、却下83件、不承認93件、取下げ1,063件(いずれも速報値)。

発表日・更新日

2026年8月14日 発表

影響を受ける人
  • 相続した土地や畑を使わないまま持ち続けている人
  • これから実家や田畑を相続する予定の人
  • 手入れされていない空き地の隣に住んでいる人
目次

この記事でわかること

  • 国が正面から断った件数と、申請者が自分で取り下げた件数の差
  • 不承認になる理由で最も多いのは崖でも山奥でもないこと
  • 取り下げの半分が「土地の使い道が見つかった」であること

3年2か月で5,698件の申請、国のものになったのは2,885件

法務省が7月16日、相続土地国庫帰属制度の統計を更新しました。令和8年6月30日現在の数字です。制度が始まったのは令和5年4月27日なので、3年2か月ぶんの積み上げになります。

申請は5,698件。地目の内訳は、田・畑が2,226件、宅地が1,973件、山林が868件、その他が631件でした。田畑と宅地だけで全体の約7割を占めます。使わない山を持て余している人より、実家の敷地と、耕さなくなった畑を抱えている人のほうが多いということです。

そして実際に国のものになった(帰属した)土地は2,885件。制度の中身や負担金の額は相続土地国庫帰属制度の解説記事にまとめてあるので、ここでは「実際にどう処理されているか」だけを見ていきます。

国が断ったのは176件、自分から引っ込めたのは1,063件

結論が出たものの内訳はこうなっています。

結果件数
国庫に帰属した2,885件
却下された83件
不承認になった93件
申請を取り下げた1,063件

「断られたのが176件しかないなら、出せばだいたい通るのでは」と読めます。そうとは限りません。取り下げた1,063件の内訳に、「却下・不承認であることが判明した」375件が入っているからです。

審査の途中で無理だと分かって自分で引っ込めた人が、正面から断られた176件の約2.1倍いる計算になります(176件・375件はどちらも法務省の公表値、倍率は当サイトの計算)。落ちる土地は、不承認という形ではなく取下げという形で記録に残っているわけです。

結論が出た件数を足すと2,885+83+93+1,063で4,124件。そのうち国のものになったのは約70.0%です。

落ちる理由でいちばん多いのは、崖ではなく置いてある物

不承認93件の理由は、1件で複数の理由が付くことがあるため延べ121件ぶん公表されています。多い順に並べるとこうです。

不承認の理由(延べ)件数
工作物・車両・樹木などの有体物が地上にある45件
国による追加の整備が必要な森林36件
災害の危険を防ぐ措置が必要な土地11件
国が金銭債務を負担することになる土地10件
勾配30度以上・高さ5m以上の崖で管理に過分の費用がかかる7件
所有権に基づく使用・収益が妨害されている5件
民法上の通行権利が妨げられている4件
除去しないと管理できない有体物が地下にある3件

「崖のような土地や、山奥の土地でなければ大丈夫」ではありません。いちばん多い45件は、地上に物が残っているという理由です。崖の7件の約6倍あります。

物置、使わなくなった農機具、放置された車、伸びた庭木、朽ちたブロック塀。相続した土地に残っているのは、たいていこの種類のものです。土地そのものは平らでも、上に物が乗っていれば通りません。

却下の4割は、土地ではなく書類の話

却下83件の理由(延べ95件)で最も多いのは、添付書類の提出がなかった37件でした。次いで、現に通路として使われている土地22件、境界が明らかでない土地21件、申請の権限がない人からの申請10件、建物が建っている土地4件と続きます。

通路として使われている土地というのは、いわゆる私道です。境界が明らかでないというのは、隣の土地の持ち主と線の引き方が食い違っている状態を指します。どちらも、申請を出す前に現地を見れば分かることです。

逆に言えば、却下の約4割は土地の良し悪しではなく、書類が揃っていないという理由で止まっています。手間はかかりますが、ここは事前に潰せます。

取り下げた人の半分は「土地の使い道が見つかった」

取下げ1,063件の内訳で最も多いのは、却下・不承認と分かったからではありません。「有効活用の見込みが生じた」562件で、取下げ全体の約53%を占めます。

法務省はその例として、自治体や国の機関による土地の有効活用が決まった、隣接地の持ち主から引き受けの申し出があった、農業委員会の調整などで農地として活用される見込みになった、の3つを挙げています。

国に引き取ってもらおうと動き出したら、その途中で別の引き取り手が現れた。そういうケースが、断られた件数の3倍以上あるということです。

申請する前に、隣の家に声をかける価値はある(当サイトの見方)

この統計を見て思うのは、国庫帰属の申請は「最後の手段」であると同時に、土地が動き出すきっかけにもなっているということです。根拠は3つあります。

1つめは、取下げ理由の最多が有効活用の見込み(562件)だったこと。2つめは、法務省が挙げた例の1つが隣接地所有者からの申し出だったこと。3つめは、そもそも申請には審査手数料と、承認されたあとの負担金がかかる点です。隣が引き受けてくれるなら、そのほうが安く済みます。

ただし、隣が引き受けてくれるかどうかは土地の値段と場所で決まります。同じ市内でも、坪単価が数倍違うことは珍しくありません(神戸市の土地の坪単価は区で7倍違う)。まず自分の土地がいくらの土地なのかを知ってから、国に出すか、隣に聞くか、売るかを決める順番になります。

なお、今回の数字はすべて法務省が速報値として公表しているものです。今後の集計で動く可能性があります。

生活・仕事にどう効くか

  • 実家の土地を手放したいとき:結論が出た4,124件のうち国のものになったのは約70%。残りは断られたか、自分で取り下げている。「出せば通る」制度ではない。
  • 申請の準備:却下の理由で最も多いのは添付書類の不足(延べ37件)。土地の性質ではなく、書類の作り方で門前払いになっている。
  • 土地の片づけ:不承認の理由で最も多いのは、地上に工作物・車両・樹木などが残っていること(延べ45件)。崖(7件)の約6倍。

結局どうすればよいか

  • 申請前に、土地の上に残っている物置・車両・伐採木・古い塀を片づけられるか見積もる
  • 境界標が現地にあるか、隣の土地の持ち主と境界の認識が一致しているかを確認する
  • 国に渡す前に、隣接地の持ち主・自治体・農業委員会に引き受けの意向がないか聞いてみる

あわせて読む・調べる

くわしく知る(保存版の記事)

自分の場合を調べる(無料ツール)

公式出典

更新履歴

  • 2026年8月14日 初版を公開

※本記事は2026年8月14日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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