🗨️「「許可は取っていた」のに、なぜ航空法の話になるの?」
航空法は、飛ばす許可・承認と、そのたびに出す飛行計画の通報を別々の手続きにしているからです。許可を取っていても、飛行計画を通報せずに特定飛行を行えば、それだけで30万円以下の罰金の対象になります(航空法157条の10第1項第10号)。趣味で飛ばす人にもそのまま当てはまります。
[事件・事故] この記事の要点
2026年9月20日 発表
- 趣味や仕事でドローンを飛ばす人
- イベントや建物の撮影をドローンに委託する側の人
- 100グラム以上の機体を買ったばかりの人
報じられていることと、まだ発表がないこと
在名の各局が伝えているのは、9月17日の夜に名古屋市役所の西庁舎へドローンが衝突したこと、ライトアップの撮影中だったこと、その日の飛行計画が国に出ていなかった疑いがあることの3つです。名古屋市とアジア大会の組織委員会による発表は、9月20日の時点では確認できていません。警察が調べている段階なので、原因も責任も、まだ決まっていません。
ここから先は、事件の続報ではなく「自分が飛ばすとき、どこでつまずくのか」の話にします。報道が「無許可」ではなく「飛行計画」をカギカッコに入れているのは、そこが分かれ目だからです。
許可と飛行計画は、別々の手続き
航空法は、ドローンについて性格の違う手続きを並べています。混ざりやすいので、条文の単位で並べ直します。
| 手続き | 中身 | 条文 |
|---|---|---|
| 許可 | 飛行禁止空域を飛ぶときに国土交通大臣の許可を受ける | 132条の85第2項 |
| 承認 | 決められた飛ばし方によらないときに承認を受ける(夜間など) | 132条の86第3項 |
| 飛行計画の通報 | 特定飛行を行うたびに、あらかじめ日時・経路などを通報する | 132条の88第1項 |
| 飛行日誌 | 備え付ける | 157条の11第2号に罰則 |
大事なのは、上の2つを取っても、3つ目は消えないということです。許可や承認は「飛んでよいかどうか」の話で、飛行計画は「今日このコースで飛ぶと国に伝えたかどうか」の話。目的が違うので、片方では代わりになりません。
通報をしないで特定飛行を行ったときの罰則は、30万円以下の罰金です(157条の10第1項第10号)。
「特定飛行」は法律に定義がある
飛行計画の義務がかかるのは特定飛行のときだけです。では特定飛行とは何かというと、132条の87に書かれています。飛行禁止空域を飛ぶか、決められた飛ばし方によらないか、そのどちらかに当てはまる飛行のことです。
| どちらかに当たれば特定飛行 | 具体例(条文の項目) |
|---|---|
| 飛行禁止空域を飛ぶ | 航空機の安全に影響するおそれがある空域/人又は家屋の密集している地域の上空(132条の85第1項) |
| 決められた飛ばし方によらない | 日出から日没までに飛ばす/目視で常時監視する/人や物件と距離を保つ/催し場所の上空を避ける/危険物を運ばない/物を落とさない(132条の86第2項)のどれかを外す |
「人又は家屋の密集している地域の上空」は、土地の持ち主が誰かと関係ありません。自分の敷地の上でも、その地域に入っていれば禁止空域です。
夜に飛ばすのは、原則できない
飛ばし方のルールの1番目がこれです。
日出から日没までの間において飛行させること。(航空法第132条の86第2項第1号)
ライトアップも花火も夜景も、被写体が出るのは日没のあとです。つまり夜の撮影は、はじめから原則の外側にあります。承認を受ければ飛ばせますが、承認を受けた時点でその飛行は特定飛行なので、同時に飛行計画の通報も必要になります。夜間撮影は「2つとも必要になる」典型です。
ぶつけたあとにも義務が3つある
| 場面 | やること | やらなかったとき |
|---|---|---|
| 人の死傷、または物件の損壊(132条の90第1項第1号) | 直ちに飛行を中止し、危険を防止する措置を取る | 2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(157条の6) |
| 同上 | 事故の日時・場所などを国土交通大臣に報告する(132条の90第2項) | 30万円以下の罰金(157条の10第2項) |
| 衝突・接触のおそれがあったと認めたとき(132条の91) | その旨を国土交通大臣に報告する | — |
けが人が出なくても、物にぶつけた時点で法律上の「事故」です。そして、ぶつからずに済んだ「ひやり」も報告の対象になっています。趣味で飛ばしていて木や電線に当てたときに、黙って持ち帰るという選択肢は用意されていません。
100グラム未満なら対象外、ただし
ここまでの話は、航空法でいう無人航空機についてです。重量100グラム未満の機体は、航空法施行規則第5条の2で無人航空機から外れます。おもちゃに近い小型機が対象外になるのはこのためです。
ただし、外れるのは航空法の話だけです。公園の利用ルール、自治体の条例、施設の規則、私有地への立ち入りは別の話として残ります。100グラム未満だから何をしてもよい、という意味にはなりません。
結局のところ、覚えることは2つです。許可と飛行計画は別。そして、ぶつけたら報告する。この2つを外さなければ、今回のような「手続きのつまずき」にはなりません。
生活・仕事にどう効くか
- 手続きが2つあること:飛行禁止空域を飛ぶ許可(航空法132条の85第2項)、日没後などの飛ばし方の承認(132条の86第3項)とは別に、特定飛行のたびにあらかじめ飛行計画を国土交通大臣へ通報する義務がある(132条の88第1項)。
- 通報しなかったとき:通報をしないで特定飛行を行ったときは30万円以下の罰金(157条の10第1項第10号)。飛行日誌を備えなかったときは10万円以下の罰金(157条の11第2号)。
- ぶつけたとき:人の死傷だけでなく物件の損壊も「事故」に当たる(132条の90第1項第1号)。直ちに飛行を中止して危険防止の措置を取らなければ2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(157条の6)、国土交通大臣への報告を怠れば30万円以下の罰金(157条の10第2項)。
結局どうすればよいか
- 自分の飛行が「特定飛行」に当たるかを先に確かめる。当たるなら、許可・承認とは別に、飛ばすたびに飛行計画を通報する
- 夜に飛ばす予定があるなら、日出から日没までという原則の例外として承認が要る(132条の86第2項第1号・第3項)ことを前提に日程を組む
- ぶつけた・落とした・ぶつかりそうになった場合の報告義務まで、飛ばす前に手順として決めておく
公式出典
- e-Gov法令検索 航空法(第132条の85・86・87・88・90・91、第157条の6・10・11)(2026年9月20日発表)
- 国土交通省 無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール(2026年9月20日発表)
更新履歴
- 2026年9月20日 初版を公開
※本記事は2026年9月20日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
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