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不動産用語の「あんこ」って何?あなたと売主の間に、会社が3社いることがあります

中古の家を買うとき、目の前で説明してくれている担当者が、その家を預かっている会社の人だとは限りません。売主側の会社との間に、表に出てこない会社がもう1社入っていることがあります。この会社を不動産用語であんこと呼びます。

先に、いちばん気になるところを書きます。間に会社が何社入っても、あなたが払う仲介手数料が増えることはありません。国が上限を決めているのは取引ごとではなく、依頼した人ごとだからです。増えるのは金額ではなく、返事が返ってくるまでの時間のほうです。

同じ心配を書いている投稿があります。賃貸の話ですが、疑問そのものは売買でも変わりません。

賃貸で仲介手数料は不動産を間に2社挟むとその分とられますか?それなら直接取り扱っている不動産に紹介してもらった方が安くなりますか?

Yahoo!知恵袋

先に結論

  • 不動産用語の「あんこ」は、売主側の会社と買主側の会社の間に入る会社のことです。宅地建物取引業法にこの言葉はありません
  • まんじゅうの餡にたとえた呼び方だとされていますが、由来の説明は資料によって分かれます
  • 間に何社入っても、依頼した人が払う手数料の総額に上限がかかります。あなたの支払いは増えません
  • 変わるのは、その枠を何社で分けるか。そして伝言が1往復増えることです
  • 自分の取引に何社関わっているかは、聞けば分かります。契約のときに渡される書面にも名前が出ます
目次

不動産用語の「あんこ」は、元付と客付の間に立つ会社のこと

家の売買には、売主から「売ってください」と頼まれた会社と、買主を連れてくる会社がいます。前者を元付(もとづけ)、後者を客付(きゃくづけ)と呼びます。ここまでは、このシリーズの1本目に書いたとおりです。SUUMOに同じ物件が4件も載ってるのはなぜ?を読んでいれば、そのまま続きとして読めます。

あんこは、この2社の間に立つ3社目です。たとえば、こういう並びになります。

並び 会社 やっていること
売主側 A社(元付) 売主から売却を頼まれ、物件を預かっている
B社(あんこ) A社の物件をC社に伝え、話を取り次ぐ
買主側 C社(客付) 買主に紹介し、内見や交渉を担当する

買主が会うのはC社の担当者だけです。B社の名前は、契約の書面を見るまで出てこないことがあります。読者から見えないところに1社いる、という状態がふつうに起こります。

語源は諸説あります

あんこという呼び方の由来として、資料に出てくる説明は2つあります。ひとつは、まんじゅうの餡のように売主側の会社と買主側の会社の間に挟まっているから、というもの。もうひとつは、まんじゅうは開けてみないと中身が分からないので、表に出てこない会社の様子がそれに似ているから、というものです。

どちらが正しいかを決められる資料は見つかりませんでした。業界の中で自然に使われるようになった呼び方なので、由来がはっきりしないまま残っている言葉のひとつです。使わない会社もありますし、地域によって別の言い方をすることもあります。

「間に会社が増えると手数料も増える」と思っていた人へ

増えません。ここが冒頭の投稿でいちばん気にされていた部分です。

仲介手数料の上限は、国土交通大臣の告示(昭和45年建設省告示第1552号)で決まっています。その第二には「依頼者の一方につき」と書かれていて、上限は取引ごとではなく、依頼した人ごとにかかります。

さらに、国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」には、複数の会社が1つの売買を仲介したときは、その会社たちが依頼者の一方から受け取る報酬の総額が告示の金額以内でなければならない、と書かれています。2社でも3社でも、あなたが払う上限は同じです。

告示にはもうひとつ、第十一という規定があります。ここに定められた報酬のほかにお金を受け取ってはならない、というものです(依頼して出してもらった広告の料金は別)。だから、間に会社が入ったことを理由に「取次ぎ手数料」のような名目が増えることもありません。この線引きは業者向けの記事で詳しく書いています。仲介手数料のほかにお金を受け取ると違反になるパターン

3,000万円の家だと、分ける枠は105万6,000円のまま

数字にすると分かりやすくなります。告示の計算は、売買代金を3つに区切って行います。

売買代金の区分 上限の割合
200万円以下の部分 100分の5.5
200万円を超え400万円以下の部分 100分の4.4
400万円を超える部分 100分の3.3

3,000万円なら、11万円+8万8,000円+85万8,000円で105万6,000円。買主が払う上限はこれです。C社だけが仲介していても、間にB社が入っていても、この金額は動きません。買主側の105万6,000円をC社とB社でどう分けるかが変わるだけです。

だから、間に会社がいると分かったときに「安くしてもらえないか」と考える必要はありません。もともと増えていないからです。逆に、この枠を分け合っている会社が増えるほど、1社あたりの取り分は小さくなります。

増えるのは金額ではなく、返事が返ってくるまでの時間

では何が変わるのか。伝言の往復です。

買主が「2,850万円まで下がりませんか」と聞いたとします。C社はB社に伝え、B社がA社に伝え、A社が売主に確認します。答えは同じ道を逆にたどって戻ってきます。片道3回、往復で6回。同じことをC社とA社の2社だけでやれば、往復4回で済みます。

この差が、実際には「今日中に返事をもらえるはずが、翌日になる」という形で出ます。売り出し直後の物件で申込みが重なっているとき、この半日が効いてくることがあります。

また、伝言が長くなるほど、途中で情報が削れます。売主が「金額は下げられないが、引き渡しの時期は相談できる」と言っていたとして、その後半部分が買主まで届かないことがあります。

あんこが入るのは悪いことなのか

ネットでは、あんこ業者を「何もしていないのに手数料だけ取る会社」と説明しているものを見かけます。ただ、その言い方はすべての取引に当てはめられません。物件を最初に見つけて持ち込んだのがB社だった、A社と長く付き合いがあってB社を通さないと話が進まなかった、という形もあります。関与の中身は取引ごとに違います。

ここは私の見方です

私は、あんこが入っているかどうかを買主が心配する意味はほとんどないと考えています。支払額が変わらない以上、買主にとっての実害は返事の遅さだけで、それは間に会社がいなくても起きるからです。気にすべきなのは会社の数ではなく、目の前の担当者が売主の返事をどれくらいの速さで持ってこられるか、そして売主の事情をどこまで話せるかです。この見方を裏づける法令や公的な統計はありません。担当者を測る具体的な聞き方は、このシリーズの2本目に書いています。

売る側の立場では、話が変わります。売主にとっては、自分の物件の情報が何社を経由して買主に届いているかが、そのまま反響の伝わり方に影響します。情報の流れが止まっていないかを自分で確認する方法があります。

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2025年1月から義務になった取引状況の登録を、売主本人が2次元コードで見る手順です

自分の取引に何社関わっているかを知る方法

1. 「この物件、御社が直接お預かりですか」と聞く

聞いて構いません。売主から直接頼まれている会社なら、そう答えます。そうでない場合も、レインズで見つけて紹介していると答えるのが普通です。答えを渋る会社もありますが、その反応自体が情報になります。

もうひとつ、遠回りに聞く方法があります。「売主さんは、いつまでに引き渡したいと言っていますか」と質問して、その場で答えが返ってくるかどうかを見ることです。持ち帰りになるなら、その担当者と売主の間に誰かがいます。

2. 契約のときに渡される書面で確かめる

売買契約が成立すると、仲介した会社は書面を交付する義務を負います(宅地建物取引業法第37条)。仲介に関わった会社は、この段階では表に出ます。書面のまとめ方は取引によって違うので、名前が並ぶ形もあれば別々に渡される形もありますが、そこで初めて知る会社があれば、それが間に立っていた会社です。

なお、他社が預かっている物件をポータルサイトに載せるには、預かっている会社の許可が要ります。その確認を業者側がどう取っているかは先物物件をポータル掲載してよい?広告転載許可の確認方法と記録の残し方に書きました。SUUMOに載っている会社の並びが何を意味するかは、こちらを読むとつながります。

まとめ

不動産用語の「あんこ」は、売主側の会社と買主側の会社の間に入る3社目のことです。まんじゅうの餡にたとえた呼び方だとされていますが、由来には説が2つあり、どちらとも決まっていません。

買う側にとって覚えておく値打ちがあるのは、会社が何社入っても支払額は増えないという1点です。上限は依頼した人ごとにかかり、複数の会社が関わってもその総額を超えられません。増えるのは伝言の往復で、そこは担当者に直接聞けば測れます。

価格そのものが妥当かどうかは、実際の取引価格から確かめられます。

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全国1,525市区町村・5種別の実データから調べられます

出典

  • 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(昭和45年10月23日建設省告示第1552号/令和6年6月21日国土交通省告示第949号改正)/国土交通省
  • 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(第46条第1項関係)/国土交通省
  • 宅地建物取引業法/第37条(書面の交付)
  • レインズの機能強化について(令和6年12月24日 不動産・建設経済局不動産業課)/国土交通省
  • 読者の声の引用元:Yahoo!知恵袋(質問ID q12262501627)、Yahoo!不動産 教えて!住まいの先生(質問ID 1346328368)

このシリーズは、家を買う人・売る人に向けて不動産用語をひとつずつ説明していきます。1本目は元付・客付、2本目は片手・両手です。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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