Excelを日常的に使うだけの事務作業なら、無料のGoogleスプレッドシートに乗り換えても、今日から困ることはほとんどありません。
ただし、VBAマクロを組んだ集計シートが1枚でもあるなら、そこだけはそのまま動かず、作り直しが必要です。
Microsoft 365は2026年7月に法人向けプランの価格が改定されていて、Business Standardは月2,164円から2,423円に上がりました。5人の会社がこのプランを使っている場合、契約更新のタイミングで気づかないまま年15,540円多く払っていることになります。
先に結論
- 基本関数(IF・COUNTIF・ROW・INDEXなど)は無料のGoogleスプレッドシートでもほぼそのまま使える
- Microsoft 365は2026年7月に最大21.3%値上げ済み。5人・Business Standardなら年15,540円増
- VBAマクロだけはそのまま動かない。Google Apps Script(GAS)で作り直しが必要
- 個人のGoogleアカウントなら費用は0円、保存容量もほぼ気にしなくていい
- Excelは利用率8割超でまだ主流。無料版へ全部移すより、一部を併用から始めるのが現実的
Excelの何が無料版に移せて、何が移せないのか。ここから具体的に見ていきます。
Office、実は7月から値上がりしています
法人向けのMicrosoft 365は、2026年7月にマイクロソフト社の公表価格に基づいて改定されました(NTTドコモビジネス掲載の告知情報)。
| プラン | 改定前(月額・税込) | 改定後(月額・税込) | 値上げ率 |
|---|---|---|---|
| Business Basic | 1,038円 | 1,211円 | 約16.7% |
| Business Standard | 2,164円 | 2,423円 | 約12.0% |
| Apps for business | 1,427円 | 1,731円 | 約21.3% |
Apps for businessは約21.3%の値上げです。実額に響くのは複数人で契約している会社で、5人でBusiness Standardを使っている場合、月259円の差額でも12か月・5人分をかけると年15,540円になります。
値上げの背景はCopilotなどAI機能の拡充が理由とされています(複数の販売代理店の告知ページで共通の説明)。ここでは値上げの是非には触れず、実額だけを見ます。
個人でMicrosoft 365 Personalを契約していた人のnote記事には、月額1,284円×12か月=年間15,408円を払っていたが、「ExcelやPowerPointを正確に開くために契約していたがその機会も減り、クラウドでデータのやり取りが出来るGoogle docsが便利すぎるので、月額に対して価値を見いだせなくなった」ため解約した、という経緯が書かれています。この人はほかのサブスクも合わせて「月額8,000円の削減が出来ました」と報告していますが、Office単体の年間15,408円だけでも、法人のBusiness Standard値上げ後の年額29,076円(2,423円×12か月)に近い規模です。
Excelでできることは、無料のスプレッドシートでどこまでできるか
Yahoo!知恵袋には、こんな実在の質問があります。
「Excelとスプレッドシートはどこまで互換性がありますか?特に関数や条件付き書式に関してです。関数は、ifやcountifはもちろん、rowやindex等も機能しますか?」
この質問へのベストアンサーと、Google公式ヘルプの説明を突き合わせると、次の表になります。
| 項目 | Excel(Microsoft 365) | 無料のGoogleスプレッドシート等 |
|---|---|---|
| 基本関数(IF・COUNTIF・ROW・INDEXなど) | ○ | ○ |
| そのソフトにしかない関数 | PowerQueryなど | ARRAYFORMULA・QUERY・IMPORTRANGEなど |
| マクロ(VBA) | ○そのまま動く | ×そのままでは動かない |
| オフライン編集 | 標準で可能 | Chrome拡張「Googleドキュメント オフライン」の導入が条件 |
| 保存容量 | PC/OneDriveの容量を消費 | Google純正形式(ドキュメント・スプレッドシート・スライド)は無料15GB枠にカウントされない |
| Excelファイルとの同期 | – | スプレッドシート上の変更は元のExcelファイルに反映されない(Google公式ヘルプが明記) |
| 費用(個人アカウント) | 単体購入または月額課金 | 0円 |
基本関数は「ほぼそのまま」使えます。一方でPowerQueryのようにExcel側にしかない機能もあれば、ARRAYFORMULAやQUERYのようにGoogle側にしかない関数もあります。どちらかが一方的に劣化版というわけではありません。
オフラインについても、「無料版は通信が切れたら使えない」は正確ではありません。Chrome拡張機能「Googleドキュメント オフライン」を先に入れておけば、通信が切れてもドキュメント・スプレッドシート・スライドを編集できます。ただしこの拡張機能は事前に入れておく必要があり、切れてから慌てて入れることはできません。
「VBAマクロが動かない」と聞いて詰まった人へ
Yahoo!知恵袋には「マクロがそのまま持っていけない」「マクロの場所が分からない」という質問が複数投稿されています。ここは思い込みではなく、実害として起きていることです。
Googleスプレッドシートには、Excelで組んだVBAマクロをそのまま持ち込む仕組みがありません。ボタンを押すと動いていた集計マクロ、月末に自動で並べ替えていたマクロは、乗り換えた瞬間に止まります。
代わりに使えるのがGoogle Apps Script(GAS)です。同じ処理をGAS側で作り直せば、ボタン一つで動く自動化を再現できます。ただし「作り直す」という一手間が必ず入り、VBAのコードをそのまま貼って動く話ではありません。
すでに動かしていたExcelマクロが具体的にどこで止まるかは、「ChatGPTに書かせたExcelマクロが動かない4つの壁」にまとめています。GAS側で作り直した後にエラーで止まった場合の切り分け手順は、「ChatGPTに書かせたGASが動かない原因は5つ」で扱っています。
私の見方:全部乗り換えるのではなく、入口を無料にする
私は、Office代を浮かせる現実的な方法は「全社一斉に無料版へ切り替える」ではなく、「新しく増える分だけ無料版にする」だと見ています。
表計算ソフトの利用実態を調べた調査(Utilly/GO TO MARKET、2022年5月、n=300)では、Excelがインストール版75.5%とブラウザ版9%を合わせて8割を超えていました。裏を返すと、残り15%前後はExcel以外の選択肢ですでに業務が回っています。
マクロ入りの基幹シートを今すぐ全部作り直す必要はありません。そこは動いているものを壊さずに残し、新しく作る帳票や、社外とやり取りするだけの一覧表から無料版に切り替えるほうが、作り直しの手間と値上げの負担を両方抑えられます。
実際に何から移すか、迷わない手順
移行を考えるときに迷うのは「どこから手を付けるか」です。次の順で見ると判断が早くなります。
- マクロが入っているファイルを洗い出す。マクロが無いファイルは、そのままGoogleスプレッドシートにコピーしても大きな支障はありません
- 社外とやり取りするだけのファイル(見積書・議事録・提案スライド)から先に無料版へ。Word/PowerPointとの完全互換を気にしなくていい用途です
- マクロ入りのファイルは、業務を止めずにGASでの作り直しを別枠で進める。動いているものを壊してから直すのではなく、動かしたまま並走で作る
- 組織として共有ドライブや監査ログまで求めるなら、Google Workspaceの有料プラン(Starter月800円〜)も選択肢に入ります。個人アカウントの0円と有料プランの境目は「個人の作業」か「組織としての管理」かです
- 契約更新のタイミングでBusiness Standard等の新価格になっているか、まず今の請求書を確認する
この5つのうち、1と5は今日中に確認だけで終わります。3のマクロの作り直しだけは、社内で完結させようとすると往復が長引きがちな作業です。エラーの切り分けに時間を使いすぎている場合は、外に出す判断も含めて上記の内部リンク先で扱っています。
まとめ
- Excelの基本関数は無料のGoogleスプレッドシートでもほぼそのまま使える。ただしPowerQuery等Excel専用の機能もある
- Microsoft 365は2026年7月に最大21.3%値上げ済み。まず自社の請求書で新価格になっているか確認する
- VBAマクロだけはそのまま動かない。GASでの作り直しが必要で、ここが唯一の大きな手間
- 全部を一度に移すのではなく、マクロの無いファイルから無料版へ、マクロ入りは動かしたまま並走で作り直す
Excel業務、無料のスプレッドシートに移す相談
Excel業務を無料のスプレッドシートに移行してもらう(5,000円〜)▶
マクロ入りのシートもGASでの作り直しつき。今の状態のファイルをそのまま渡してOK
物件データ整理・反響集計・帳票づくり向けの不動産特化版
本記事の価格・仕様はマイクロソフト社・グーグル社の公表情報に基づく2026年8月時点の参考情報です。Office・Google Workspaceの価格・機能・無料枠の扱いは今後変更されることがあります。


コメント