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実は地名にヒントがあります 富山の「島」は標高60.1m、徳島の「島」は海抜1m

実は地名にヒントがあります。ただしそのヒントは、県が変わると逆を向きます。2026年の地価公示で富山県に置かれた住宅地の標準地147地点を1点ずつ測ると、「島」の字が入る10地点の中央値は60.1mでした。徳島の「島」は吉野川河口の中州で海抜1m、高知の「島」は4地点の中央値1.0m。同じ漢字が、富山では扇状地の高いところに乗っています。逆に、字ごとに集めていちばん低くなるのが「曽根」の3地点で、射水市三日曽根1.6m、高岡市中曽根1.7mと1.9m。県全体147地点の中央値は12.2mですから、この字だけが10m以上沈んでいます。2020年5月に知恵袋へ投稿された「日本三大急流の富士川・球磨川・最上川 よりも常願寺川と言う川の方が急って ほんとですか?」という質問には、国土交通省の資料を引いた回答が付いています。富山の地名が出すヒントは3種類あって、開く地図がそれぞれ違います。

この記事でわかること

  •  「島」を含む10地点で5m未満は富山市草島の2.6mだけ。砺波市庄川町青島は98.8m、南砺市野田字村中島は127.6m。低地の目印になるのは「曽根」で、3地点とも2m以下
  •  常願寺川は延長56km、河口と源流の標高差が約3,000m、平均河床勾配1/30。富山市は洪水ハザードマップの河川別図に家屋倒壊等氾濫想定区域を載せている
  •  富山県の土砂災害警戒区域は4,886か所で全国43位。ところが地すべりだけは659か所で全国9位(2026年6月30日時点)
目次

富山の「島」は標高60.1m 低いのは「曽根」の3地点だけでした

高岡市から射水市にかけての色別標高図。射水市本町1丁目1.1m、下牧野字埋田1.7m、三日曽根1.6m、中曽根1.7mと1.9mが青い低地に並ぶ
高岡市北部から射水市にかけての色別標高図。丸印は地価公示の住宅地の標準地で、青いほど低い。地図の色は5mメッシュの標高、丸印の数値は各地点の標高で、作り方が違うため小数点以下は一致しない(国土地理院の地理院タイルと5mメッシュ標高から作成)

富山県の住宅地の標準地147地点のうち、3地点以上ある字でいちばん低いのが「曽根」です。射水市三日曽根1.6m、高岡市中曽根321番3が1.7m、同659番2が1.9m。中央値1.7mで、3地点とも5m未満に入ります。県全体の中央値は12.2mですから、この字がつく土地だけが10m以上低いところに並んでいる計算になります。

同じ範囲には、高岡市下牧野字埋田1.7m、射水市本町1丁目1.1mもあります。市ごとの中央値でも射水市の15地点は4.5m、高岡市の31地点は9.0mで、県内で低いところは高岡・射水・氷見に集まります。この3市がどれだけ平らで、実際に何回浸水してきたかは、高岡市は9年のうち7年、浸水はゼロでした射水市はなぜ水が引きにくいのかで、標高と浸水実績を並べて書いています。

読者

「曽根」は、どういう意味の字なんですか。

おかあさん

辞書の説明では、川の氾濫がつくった砂礫まじりのやせた土地や、その氾濫でできた自然堤防を指す字とされます。石だらけの土地を意味する「石根」からきたという説も並びます。富山県の市の公式ページに由来の記載は見つけられなかったので、ここは辞書の水準の話として読んでください。ただ、意味のほうに引っかかるところがあります。自然堤防は、低地の中では「まわりより少し高いところ」です。そのまわりより高いはずの字が、実測で1.6mと1.7mと1.9m。低地の中の高みという意味だとすると、その低地はもっと低い、ということになります。

地名の字面だけで由来を決められない例も、同じ場所にあります。高岡市下牧野字埋田の1.7mです。「埋」という字が入っていますが、この字名がいつ、何を埋めた土地に付いたのかを示す資料は、今回の調べでは見つけられませんでした。字面が強いほど、そう読みたくなります。読める材料が出てくるまでは、標高の1.7mという実測のほうだけを持っておくのが安全です。

読者

「島」がつく町は、川の中州か、海の近くの低いところですよね。

おかあさん

徳島と高知ではそうでした。徳島は「徳島」そのものが吉野川河口の中州の名前で、常三島1.0m、出来島2.0m。高知の「島」は4地点の中央値1.0mでした。富山は逆です。「島」を含む10地点の中央値は60.1mで、5m未満は富山市草島の2.6m1地点だけ。射水市の小島が6.5m、富山市の高島が7.1m、砺波市の庄川町青島が98.8m、南砺市の野田字村中島が127.6m。海のそばの中州ではなく、扇状地や段丘の上に「島」が並んでいます。

砺波平野の散居村の空中写真。屋敷林に囲まれた家が水田の中に点々と散らばっている
砺波平野の散居村。家が1軒ずつ田の中に散らばって建つ。庄川がつくった扇状地の上で、標準地の標高は砺波市3地点の中央値で55.8m。写真:国土画像情報(カラー空中写真)、国土交通省(ウィキメディア・コモンズ(Wikimedia Commons)掲載分)

低い土地をさがすとき、「新」の字を数える方法があります。あとから開いた新田は、たいてい低いところにあるからです。富山では通じません。「新」を含む標準地は17地点あり、中央値は13.6m。5m未満が1地点もありません。いちばん低いのが富山市下新町の6.2mで、県全体の中央値12.2mとほとんど変わらない高さに散っています。字を数える読み方そのものが、県をまたぐと成り立たなくなるということです。

地名が水を指している例が無いわけではありません。射水市は公式サイトで、「古代の人々は、水の湧出をあらわす言葉『イ』・『ミズ』にちなみ、この地を『イミズ』と呼んだ」と説明しています。713年に朝廷が郡や郷の名を縁起の良い字に改めよと命じたときに、「伊弥頭」「伊美都」などばらばらだった表記が「射水」に統一されたとも書かれています。水が湧き出る場所、という意味の名前を持つ市が、県内で標準地の中央値がいちばん低い4.5mの市です。

県名と旧国名のほうには、災害のヒントはありません。「富山」はもともと「外山」と書かれ、のちに「富」の字が当てられたという説が地名辞典の類に載っています。ただし改称の年は資料によって食い違うので、ここでは年を書きません。「越中」は、越の国を三つに分けたときの真ん中、「越の道の中」からきたとされます。危ないかどうかのヒントは、県名ではなく町名や字のほうに残ります。

富山の字が指す先は1つではありません。開く地図は、字で入れ替わります。先に早見表にします。

地名のヒント 指しているもの 開く地図
曽根 川の氾濫がつくった砂礫の土地とされる字。県内3地点は中央値1.7mで、3地点とも5m未満 洪水浸水想定区域図/液状化危険度分布
富山では扇状地や段丘の高いところ。10地点の中央値60.1m。徳島・高知とは逆を指す 字で決めず、色別標高図でその1地点を測る
新田開発の名残と言われるが、17地点に5m未満はゼロ。中央値13.6m 字を数えず、洪水浸水想定区域図を開く
大きな川のそば 急流河川の扇状地。常願寺川は56kmで標高差約3,000m、平均河床勾配1/30 家屋倒壊等氾濫想定区域(氾濫流・河岸侵食)
山あいの町 斜面。県内の土砂災害警戒区域は4,886か所で、うち地すべりが659か所 土砂災害警戒区域(とくに地すべり)
港・海ぞい 砂の層と高い地下水位。2024年1月の地震で高岡市の3地区に宅地の傾斜や沈下 液状化危険度分布

住まいのリスクに対する備え

土地の履歴やリスクを知ったら、次は「起きたときにどうするか」です。最低限そろえておくと動けるものを挙げます。

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一から集めると抜けが出ます。まずセットで用意して、家族の人数分と常備薬だけ足すのが早いです。

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断水で最初に困るのがトイレです。備蓄で見落とされやすい一方、代用が効きません。

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停電時は懐中電灯より、部屋全体を照らせるランタンの方が使えます。電池でも充電でも点くものだと、どちらが尽きても止まりません。

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鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。

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常願寺川は56kmで3,000m下ります 富山で先に見るのは浸水の深さではありません

冒頭の知恵袋の質問には、国土交通省の情報を引いた回答が付いていて、標高差約3,000mに対して川の延長はわずか56kmだと補足されています。この数字は公式に出ています。国土交通省北陸地方整備局の立山砂防事務所は、常願寺川について「川の延長は56km(平野部18km)と一級河川としては短い流路」「河口と源流の標高差が約3,000m」「平均河床勾配1/30の急流河川」と書き、「日本はもとより、世界的に見ても有数の勾配を誇る急流河川です」と続けています。

富山市街から立山方向にかけての色別標高図。富山駅まわりの標準地は3〜6m台の青い低地で、南東の立山町横江へ向かうほど茶色く一気に高くなる
富山市街から立山方向への色別標高図。青いほど低く、茶色いほど高い。常願寺川は右下から左上へ流れ、扇のかたちに平野を押し広げてきた(国土地理院の地理院タイルと5mメッシュ標高から作成)

勾配1/30は、30m進むあいだに1m下がるという意味です。平野に出てからの18kmだけを見ても、川は坂を転げ落ちるように流れています。この傾きが何を運ぶかを、富山県は数字で残しています。安政5年(1858年)の飛越地震で立山カルデラの大鳶山・小鳶山が崩れ、県の公式ページは「カルデラ内に崩れ落ちた厖大な量の土砂(4億㎥)」と書いています。立山砂防事務所のほうは、そのうち「カルデラ内に堆積している不安定な土砂(鳶泥)約2億m3」が今も残っていて、それが崩れて流れ出すのを防ぐために工事を続けている、と説明しています。

読者

オランダの技師が「これは川ではない、滝だ」と言った川ですよね。

おかあさん

長くそう言い伝えられてきました。ただ、2020年に、発言したのは別のオランダ人技師で、対象も常願寺川ではなく早月川だったのではないか、という指摘が出ています。誰が、どの川を見て言ったのかは、はっきりしません。逸話がぐらついても数字は動かないので、そちらで見てください。56kmで3,000m下る、平均河床勾配1/30。公式サイトが自分で「世界的に見ても有数」と書く川です。

1909年(明治42年)9月に撮影された常願寺川の砂防工事。人の手で石を積んでいる
常願寺川の砂防工事(1909年=明治42年9月撮影)。県営の砂防事業が始まって3年目の様子。写真:富山県『富山県写真帖』(ウィキメディア・コモンズ(Wikimedia Commons)・パブリックドメイン)

工事は途中で終わっていません。富山県公式の「立山砂防の歴史」には「明治39年(1906年)から富山県による立山カルデラでの砂防事業が始まりました」とあり、「令和8年(2026)に直轄砂防事業100年、県営砂防事業は120年を迎える」と書かれています。120年かけて、まだ終わっていない工事です。観光で立山カルデラの名前を聞くとき、その名前が指しているのは山が2つ消えた現場そのものです。

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砂防の工事が続いていることと、いま危ないかどうかは別の話です。ここで言いたいのは、平野に出てからの18kmで一気に下る川が、上流に大量の土砂を抱えているという条件のほうです。急流河川で問題になるのは、たまった水の深さだけではありません。流れの速さと、川岸が削られることです。

だから富山では、洪水の地図を開いたときに見る順番が変わります。多くの地域では「浸水の深さが何mか」を最初に見ますが、急流河川の扇状地では、その前に見る図があります。家屋倒壊等氾濫想定区域です。これは、水があふれたときの流れの勢いや、川岸が削られることで、家そのものが倒れたり流されたりするおそれがあるとされた範囲を示した図です。深さ何mという話ではなく、そこに建っている建物が残るかどうかの話になります。

富山市の常願寺川と神通川ぞいの家屋倒壊等氾濫想定区域。両方の川に沿った帯が赤く塗られ、とくに神通川ぞいは富山駅の西まで広い。草島2.6m・高島7.1m・水橋舘町2.4m・水橋石政4.9mの標準地との位置関係がわかる
常願寺川と神通川ぞいの家屋倒壊等氾濫想定区域(氾濫流・河岸侵食)。富山駅の西を通る広い帯が神通川、市街の東を流れるのが常願寺川。浸水の深さではなく、家が倒れたり流されたりするおそれがある範囲を示す図。富山県が公表した想定を国土地理院が配信するタイルから作図

富山市は、この図を自分の洪水ハザードマップに載せています。市の公式ページには「河川ごとの洪水浸水想定区域(範囲、深さ)に家屋倒壊等氾濫想定区域、校区界及び避難場所の位置を重ねた図です。(家屋倒壊等氾濫想定区域は最大想定のみ)」と説明があり、常願寺川と神通川それぞれの河川別図が用意されています。市の地図を開くだけで、深さと、家が残るかどうかの両方が同じ紙に載っています。深さや浸水の続く時間をどう読むかは、洪水ハザードマップはどこを見る?にまとめました。

この住所は浸水しやすい場所ですか?

住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。



土砂災害警戒区域は全国43位 地すべりだけ全国9位です

国土交通省が2026年6月30日に公表した「全国における土砂災害警戒区域等の指定状況」によると、富山県の土砂災害警戒区域は4,886か所で、うち特別警戒区域が3,649か所。全国では43位で、下から数えたほうが早い数です。全国計721,014か所に対して0.7%しかありません。内訳を見ると土石流1,382か所(全国44位)、急傾斜地の崩壊2,845か所で、こちらも順位は低いままです。

ところが1つだけ、順位が跳ね上がる項目があります。地すべりです。富山県の地すべりの警戒区域は659か所で、全国9位。上位は長野1,520、新潟1,449、長崎1,213、愛媛862、山形757ですから、そのすぐ下に富山が入ります。総数では全国43位の県が、地すべりだけ9位。「土砂の少ない県」と一言でまとめてしまうと、いちばん指定の多い種類を見落とします。

なお、この資料には「令和8年3月末時点の値であり、今後、変更の可能性がある」「集計時期の違い等により、ここで公表している都道府県の指定数と都道府県が公表している市町村別指定数の合計が一致しない場合があります」という注記が付いています。県内のどの市町村に何か所あるかは、今回の調べでは確かな数字を取れなかったので書きません。自分の町の数は、県や市の公表資料と重ねるハザードマップで確かめてください。指定されると何が起きるかは、イエローゾーン・レッドゾーンとは?にまとめています。

同じ低地が、水にも揺れにも弱い 高岡市の伏木・吉久・横田

高岡市の雨晴海岸から富山湾ごしに見た立山連峰。手前は岩と海
高岡市の雨晴海岸から富山湾ごしに見た立山連峰。海のすぐ向こうに3,000m級の山が立つ。常願寺川はこの高さから56kmで海に下る。写真:バッジオフォーエバー(baggio4ever・投稿者名)(ウィキメディア・コモンズ(Wikimedia Commons)・クリエイティブ・コモンズ 表示(CC BY 3.0))

2026年8月の豪雨で水が出た低地は、その2年半あまり前にも別の災害にあっています。2024年1月1日の能登半島地震です。高岡市は市の公式ページで、市内で震度5強を観測したこと、被害の大きかったのが「伏木、吉久、横田の3地区」であること、この3地区で「宅地の傾斜や沈下が多く発生した」こと、「道路や上下水道等のインフラが甚大な被害を受けた」ことを説明しています。震源から100km以上離れた場所で、地面のほうが動いた形です。

市は地盤調査の結果として、3地区とも地下水位が高く、地表面近くに緩い砂の層があったという趣旨の説明もしています。地下水位が高いことと、砂が緩く積もっていること。これは、川が運んだ砂が海の近くにたまってできた土地の条件そのものです。水が出やすい土地と、揺れで沈む土地は、同じ理由で同じ場所にあります。被害を受けた住宅の棟数については、確かな一次資料を取れなかったのでここには書きません。

高岡市北部から射水市にかけての液状化危険度分布。標高1.1〜1.9mの標準地が並ぶ帯に色がついている
高岡市北部から射水市にかけての液状化危険度。色が濃いほど危険度が高い。富山県が公表した分布を国土地理院が配信するタイルから作図

県が公表している液状化危険度の分布を高岡市北部から射水市にかけて切り出すと、色が濃く出るのは、標高でも青くなる帯とほとんど同じ場所です。三日曽根1.6m、中曽根1.7mと1.9m、下牧野字埋田1.7m、射水市本町1丁目1.1m。標高の図と液状化の図で、別々に色がつく町ではありません。同じ町に、2種類の色が重なります。埋め立てた土地や砂の土地で何が起きるかは、「お台場」「豊洲」は本当に大丈夫?で扱いました。氷見市がなぜ水を受けやすい地形なのかは、氷見市はなぜ水が出やすいのかに平野の勾配を出しています。

地名のヒントを地図で確かめたシリーズ

自分の町で同じことをする手順(無料)

  • 国土地理院の「地理院地図」に住所を入れ、「自分で作る色別標高図」で0〜5mを塗り分ける。富山県の住宅地の標準地147地点の中央値は12.2mで、5m未満は22地点。自分の地点がその22地点の側かどうかが、最初の分かれ目になる
  • ハザードマップポータルサイトの「重ねるハザードマップ」で「洪水浸水想定区域(想定最大規模)」を開き、続けて「家屋倒壊等氾濫想定区域(氾濫流)」と「同(河岸侵食)」を重ねる。急流河川の扇状地では、深さより先にこの2枚を見る
  • 同じ画面で「液状化」の分布を重ねる。港や海ぞい、砂の上の町は、水が来なくても揺れで沈むことがある。2024年1月に高岡市の3地区で起きたのがこれ
  • 山あいの町なら「土砂災害警戒区域」を重ね、地すべりの区域があるかを確かめる。県内の地すべりの警戒区域は659か所。冬に備えるなら、同じ画面で「雪崩危険箇所」も開ける

そのうえで、家から避難場所まで実際に歩いて時間を測ります。急流河川で家屋倒壊等氾濫想定区域に入っている場所は、2階に上がってやり過ごす選択肢が取りにくい場所です。どこへ、何分で出るかを先に決めておくほうが効きます。

このシリーズでは、6つの県で同じことをしてきました。徳島の「島」は河口の中州で海抜1m、高知の「島」は中央値1.0m、横浜の「谷」は高台、木曽の「蛇抜」は土石流の跡。そして富山の「島」は60.1mで、低いのは「曽根」の3地点だけでした。同じ漢字が、県が変われば逆を指します。地名は入口です。どの地図を開くかを決めるところまでは役に立ちますが、危ないかどうかを決めるのは字ではなく、自分の家が立っている1地点のほうです。地図は無料で、5分で開けます。

\色のついていない場所から55.7%

ハザードマップの色の外で起きたことを見てみる ›

「気にしすぎでしょうか」という質問に、被害報告の数字で答えた記事

同じ日に出した地名シリーズ

この記事の集計条件

標高の図は、国土地理院の地理院タイル「数値標高モデル(5mメッシュ)」を緯度経度で切り出して色別標高図と陰影を作り、淡色地図を重ねました。丸印の数値は各地点の地表の標高(東京湾平均海面からの高さ)で、建物は含みません。地図の色は5mメッシュ、丸印の数値は国土地理院の標高APIで取得した値なので、作り方が違い、小数点以下は一致しません。字別の集計は、国土数値情報「地価公示」2026年のうち用途が住宅の富山県の標準地147地点の住所と、その標高によります(全国17,612地点の取得は2026年8月20日)。字の集計は市区町村名を除いた町名・字名で行いました。

常願寺川の延長・標高差・河床勾配は国土交通省北陸地方整備局立山砂防事務所「常願寺川の特徴」、鳶泥の量と事業の経緯は同「立山の砂防事業」、崩壊した土砂の量と事業の年数は富山県「立山砂防の歴史」によります。土砂の量は資料により表記に幅があるため、県公式の「約4億㎥」を採りました。家屋倒壊等氾濫想定区域を河川別図に載せている件は富山市「洪水ハザードマップ(河川別図)」の記載によります。液状化の記述は高岡市「令和6年能登半島地震 液状化対策について」によります。土砂災害警戒区域の数は国土交通省「全国における土砂災害警戒区域等の指定状況」(2026年6月30日公表)で、注記は本文に書いたとおりです。射水の地名は射水市「『射水』の地名について」、「曽根」の語義は辞書の水準の説明で、富山県内の一次資料は確認できていません。冒頭の質問は2020年5月29日の知恵袋の投稿です。

書かなかった数字も残しておきます。能登半島地震による県内の住宅被害の棟数、高岡市下牧野字埋田の字名の由来、富山市の「外山」から「富山」への改称年、市町村ごとの地すべり警戒区域の数、富山県内の雪崩危険箇所の指定数。いずれも今回、確かな一次資料に当たれなかったので本文には出していません。数字が取れ次第、追記します。

写真はウィキメディア・コモンズ(Wikimedia Commons)の素材を、それぞれのライセンスに従って使用しています。アイキャッチの立山連峰と常願寺川の写真はパブリックドメインの素材です。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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