相続空き家の3,000万円特別控除は使える?条件チェックリストと落ちやすい5つの理由
相続した空き家を売るときに使える「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特別控除」は、譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける制度です。売却益が出ても、控除の範囲内なら税金がかからないため、使えるかどうかで手取りが数百万円変わることがあります。
ただし条件が細かく、知らずに動いて後から使えなくなるケースが多い制度でもあります。ここでは条件をチェックリストにして、落ちやすい理由も並べます。
まず結論:この2つに当てはまると、その時点で対象外
細かい条件の前に、入口で決まる2点があります。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 建築時期 | 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること |
| 建物の種類 | 区分所有建物の登記がされていないこと(分譲マンションは対象外) |
昭和56年6月に建築基準法の耐震基準が変わっているため、この制度はそれ以前の古い建物を対象にしています。築年数が新しい実家や、分譲マンションは、この時点で対象になりません。
登記事項証明書を取れば建築時期は確認できます。売却を検討し始めた段階で、先にここだけ見ておくと無駄が減ります。
条件チェックリスト
入口を通過したら、次を順に確認します。すべて満たす必要があります。
- 被相続人が亡くなる直前まで、その家に一人で住んでいた — 相続開始の直前に、被相続人以外に住んでいた人がいないこと
- 相続してから売るまで、誰も住んでいない・貸していない・事業に使っていない — 一時的に人に貸した場合も外れます
- 相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る
- 売却代金が1億円以下
- 家屋を耐震改修して売る、または取り壊して売る — 古い建物をそのまま売ると使えません
- 市区町村から「被相続人居住用家屋等確認書」の交付を受ける
- 確定申告をする — 控除は申告して初めて適用されます
控除額は最高3,000万円ですが、令和6年1月1日以後の譲渡で、その家と敷地を相続で取得した相続人が3人以上いる場合は、1人あたり2,000万円になります。兄弟3人で相続した場合などは金額が変わるので注意してください。
この制度自体の適用期限は令和9年12月31日までの譲渡です。
落ちやすい5つの理由
ここが実務で一番つまずくところです。
1. 空き家のあいだに人に貸してしまった
「空けておくのはもったいないから」と一時的に貸すと、条件2から外れます。相続してから売るまでの期間は、使わずに置いておく必要があります。物置として自分が使うのも避けた方が安全です。
2. 被相続人が老人ホームに入っていた
亡くなる直前に施設に入っていた場合、「直前まで住んでいた」に当てはまらないと思われがちですが、要介護認定を受けて老人ホーム等に入所していた場合は、一定の要件を満たせば対象になります(従前居住用家屋の扱い)。ここは個別の判断が分かれるところなので、施設の種類と入所時期の資料を用意して確認してください。
3. 同居していた家族がいた
被相続人が亡くなる直前に、配偶者や子どもが同居していた場合は対象外です。「一人暮らしだった家」を売る場合の制度だからです。
4. 建物をそのまま売ってしまった
耐震改修も取り壊しもせずに古い家をそのまま売ると使えません。ただし令和6年1月1日以後の譲渡については、売った後に買主が取り壊す場合でも、譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに取り壊しや耐震改修が行われれば対象になります。売買契約の内容とスケジュールで結論が変わるため、契約前に確認が必要です。
5. 相続税の取得費加算と両方使おうとした
「相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例」など、他の特例と併用できません。どちらが有利かを計算して選ぶことになります。相続税を納めている場合は、この比較が必要になります。
期限は2つある
見落とされやすいのが、期限が二重にあることです。
- 個別の期限 — 相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
- 制度の期限 — 令和9年12月31日までの譲渡
たとえば2026年5月に相続が開始した場合、個別の期限は2029年12月31日ですが、制度の期限が2027年12月31日なので、先に来る方(2027年12月31日)が実質の期限になります。
売却は、買主が見つかってから引き渡しまでに数か月かかります。取り壊す場合は解体工事の期間も必要です。期限の半年から1年前には動き出しておくのが現実的です。
売る前に、実家がいくらになるか確かめる
リフォームや解体を判断する前に、まず今の状態でいくらの評価になるかを知っておくと、費用をかける意味があるかどうかを金額で比べられます。相続した不動産の査定・相談に対応しているサービスです。
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手続きの流れ
- 登記事項証明書で建築時期と登記の種類を確認する(入口の2条件)
- 売却額の見込みを把握する — 1億円以下かどうか、控除内に収まるかの判断材料になります
- 耐震改修か取り壊しかを決める — 費用と売れやすさで比較します
- 市区町村に「被相続人居住用家屋等確認書」を申請する — 空き家であったことを示す書類(電気・水道の使用中止日、固定資産税の課税明細など)が必要です
- 売買契約・引き渡し
- 翌年の確定申告で控除を適用する
確認書の申請先は、家屋が所在する市区町村です。必要書類の名称や様式は自治体ごとに違うので、早めに窓口や公式サイトで確認してください。
税額はいくら変わるのか
譲渡所得にかかる税率は、所有期間によって変わります。相続の場合は被相続人の所有期間を引き継ぐため、長期譲渡所得(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税)になることが多いです。
仮に譲渡所得が2,000万円出た場合、控除が使えれば課税対象は0円、使えなければおおよそ400万円前後の税負担になります。使えるかどうかの確認に時間をかける価値は十分にあります。
※実際の税額は取得費・譲渡費用・他の所得の状況で変わります。具体的な金額は必ず個別に計算してください。
相続税がかかりそうか、税理士に相談する
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まとめ
- 入口は昭和56年5月31日以前の建築かつ区分所有登記でないこと。マンションは対象外
- 被相続人が一人で住んでいた家であることが前提
- 相続後は貸さない・住まない・事業に使わない
- 耐震改修または取り壊しが必要。売却後の取り壊しでも認められる場合がある
- 期限は「相続から3年後の年末」と「令和9年12月31日」の早い方
- 確認書の取得と確定申告をしないと適用されない
条件が多い制度ですが、当てはまれば効果は大きいです。まずは登記事項証明書で建築時期を確認して、入口を通るかどうかだけでも先に見ておいてください。
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本ページは制度の概要を整理した参考情報です(出典:国税庁タックスアンサー No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」)。適用の可否は個別の事情で変わり、要件は税制改正で変更される場合があります。実際の判断と申告については、税理士または所轄の税務署にご確認ください。確認書の要件は市区町村により異なります。
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