熊谷市で、大雨のときに水がたまるおそれがある道は16か所です。埼玉県全体では245か所あります。
この16か所を並べて、まず気づくのは呼び名です。「アンダーパス」という言葉が1つもありません。10が「地下道」で、残る6つは「ずい道」。ほかの市ではまず出てこない言い方です。
この記事でわかること
- ✓ 16か所すべてが市道。国道も県道も1つも入っていません
- ✓ 6か所は「ずい道」。1号から6号まで、1本の県道の下に並びます
- ✓ 16か所とも標高22.3メートル以上。低い場所がありません
箇所の数・種別・名称は国土交通省 関東地方整備局「道路冠水注意箇所」埼玉県245か所と、箇所ごとの説明表16枚から数えました。内水の地図は熊谷市 下水道課のページです。標高は一覧の地内名を国土地理院の住所検索APIと標高APIに通して引いています。
16か所すべてが市道です

道の種類の欄を見ていくと、16行が全部「市道」でした。国道も県道も1つもありません。管理者の欄も、16か所とも熊谷市で、電話番号まで同じです。
おもしろいのは、くぐる相手のほうです。国道17号バイパスの下に3つ、国道125号バイパスの下に2つ、県道熊谷・羽生線の下に1つ。国道の下をくぐっていても、その道自体は市の道だということです。
これは連絡先に効いてきます。国道が冠水していたら国へ、と考えたくなりますが、ここでくぐっている道は市のものです。熊谷市に言うのが早い、ということになります。

冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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「ずい道」が1号から6号まで並んでいます
| 管理番号 | 名称 | 地内 |
|---|---|---|
| 埼玉県-02-030 | 県道武蔵丘陵森林公園・広瀬線 1号ずい道 | 御正新田 |
| 埼玉県-02-031 | 同 2号ずい道 | 御正新田 |
| 埼玉県-02-032 | 同 3号ずい道 | 御正新田 |
| 埼玉県-02-033 | 同 4号ずい道 | 御正新田 |
| 埼玉県-02-034 | 同 5号ずい道 | 樋春 |
| 埼玉県-02-035 | 同 6号ずい道 | 樋春・押切 |
名称と地内は一覧に書かれたものです。6か所とも市道。
「ずい道」は漢字で書くと隧道で、トンネルのことです。道路の分野では、掘ってつくった構造物をこう呼びます。熊谷市の一覧では、この6つだけが地下道ではなくずい道と書かれています。
6つとも県道武蔵丘陵森林公園・広瀬線の下にあり、番号は1号から6号まで欠番がありません。場所は御正新田、樋春、押切。いずれも2007年に熊谷市と一緒になった旧江南町の区域です。路線名も「江南7227号線」のように江南で始まります。
そのうち4つは、路線名の欄に市道が2本書かれています。「江南2186号線、江南3081号線」という具合です。1つの穴を、2本の道が共有しているかたちになります。
16か所とも、標高が22メートルを超えています

一覧に書かれた地内名を国土地理院の標高データに通すと、いちばん低いのが上之の22.3メートルでした。ここに5か所が集まっています。いちばん高いのは御稜威ヶ原(みいずがはら)の58.8メートル。
この連載で、1つの市の最低値がいちばん高いのは愛知県豊田市の24.8メートルでした。熊谷市の22.3メートルは、それに次ぐ2番目です。逆の端には、10か所とも標高がマイナスから0.1メートルの津島市があります。
つまり熊谷市には、水がたまりやすい「低い土地」がありません。それでも16か所が数えられているのは、まわりより低い場所を人がつくったからです。土地の高さではなく、道を掘り下げたことが理由だということが、この市ではとくにはっきり出ます。
上之に5か所、御正新田に4か所が固まっています
地内でまとめると、偏りが見えます。上之が5か所、御正新田が4か所。この2つで16か所のうち9か所を占めます。
上之の5か所は、国道17号バイパスの1号・2号地下道、国道125号バイパスの1号・2号地下道、県道熊谷・羽生線の地下道。市の北側で、2本のバイパスと1本の県道が交わるあたりに集まっています。
残る7か所は、肥塚、弥生2丁目と宮前2丁目にまたがる市役所通の立体交差、石原の坪井地下道、久保島の下川原地下道、御稜威ヶ原の地下道、そして樋春と押切のずい道です。このうち坪井・下川原・御稜威ヶ原の3つは、名前だけでは何をくぐる道なのか分かりません。
この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
市の内水の地図は、予測ではなく記録です

熊谷市にも内水の地図があります。名前は「熊谷市内水浸水実績図(内水ハザードマップ)」。平成16年度から令和元年度まで、16年間に市内で起きた内水はん濫の実績を塗った図です。
市は使い方の注意もはっきり書いています。「浸水実績区域は、市に寄せられた情報や職員の報告などを基に着色しているため、実際と異なる場合があり、すべての浸水実績を正確に反映しているとは限りません」。そして「あくまで浸水実績区域を着色したもので、地形の考慮やシミュレーションはしていません。浸水を予測したマップではないことにご注意ください」。
ここが、同じ時期に調べたほかの市と分かれるところです。愛知県豊橋市は想定最大の雨で計算した区域図を水防法に基づいて指定していて、家を買うときや借りるときの説明の対象になります。三重県松阪市も同じ根拠の区域を持っていますが、指定されているのは駅の周りだけ。熊谷市の地図は計算ではなく記録なので、そこに載るかどうかの話とは別のものです。
1つ、この図で目を引くものがあります。凡例に「アンダーパス」の項目があることです。国の一覧では1つも使われていない言葉を、市の図では使っています。同じ市の中でも、資料によって呼び名が変わります。
水に入ってしまった車から出るまで


熊谷市の16か所は、16か所とも掘り下げた道です。手前から見ると水面は平らに見えて、いちばん深い底は見えません。進んだ先が急に深いのが怖いところです。
JAF(ジェイエーエフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。割れるのは横の窓です。フロントガラスは合わせガラスなので、脱出用ハンマーでも割れません。
車が動かなくなったら110番と119番へ。水深がひざ下でも、流れがあれば大人は歩けません。50センチより深いときは、無理に移動せず高いところで待ってください。
ほかの市はどうなっているか
同じ手順で、ほかの市も1つずつ調べています。同じ資料でも、出てくる答えは場所ごとに変わります。
- 道路冠水マップ どこで見られるの?
- さいたま市 冠水 どこが危ないの?(埼玉県) 国が数えた41か所は岩槻区に13、浦和区は0です
- 川越市 冠水 どこが危ないの?(埼玉県) 熊谷市と同じ16か所がある市です
- 久喜市 冠水 どこが危ないの?(埼玉県) 17か所のうち8か所が東北自動車道の下です
- 越谷市 冠水 どこが危ないの?(埼玉県) 標高の幅が3.5メートルしかない市です
- 豊橋市 冠水 どこが危ないの?(愛知県) 19か所のうち3か所が霞堤です
この記事のまとめ
熊谷市で道路が冠水しやすい場所は16か所で、16か所とも市道です。国道17号バイパスや国道125号バイパスの下をくぐる道も、管理しているのは熊谷市です。呼び名は「地下道」が10、「ずい道」が6つ。ずい道の6つは県道武蔵丘陵森林公園・広瀬線の下に1号から6号まで並び、旧江南町の区域にあります。
標高は上之の22.3メートルから御稜威ヶ原の58.8メートルまでで、16か所とも22メートルを超えています。低い土地ではなく、道を掘り下げたことが理由です。市の内水の地図は16年分の浸水実績を塗ったもので、市は「浸水を予測したマップではない」と明記しています。
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