豊橋市で、大雨のときに水がたまるおそれがある道は19か所です。愛知県では名古屋市の40か所に次いで2番目に多い市です。
19のうち3つに、ほかの市では出てこない言葉が使われています。霞堤(かすみてい)です。くぐる道ではありません。堤防が途中で切ってある場所のことです。
この記事でわかること
- ✓ 19か所のうち3か所は「霞堤」。堤防がわざと切ってあるところです
- ✓ 17か所が市道。国道23号の下も新幹線の下も、くぐる道は市のものです
- ✓ 市の内水ハザードマップは重要事項説明の対象だと市が明記しています
箇所の数・種別・住所は国土交通省 中部地方整備局「道路冠水注意箇所」愛知県262か所と、箇所ごとの説明表19枚から数えました。内水の地図と重要事項説明の扱いは豊橋市上下水道局 下水道整備課、ポンプの設置は建設部 河川課、霞堤の成り立ちは国土交通省 豊橋河川事務所の資料です。標高は国土地理院の住所検索APIと標高APIで引いています。
3か所は、堤防が切ってあるところです

賀茂地区霞堤、下条地区霞堤、牛川地区霞堤。この3つは、一覧の路線名の欄が空になっています。道路としての名前がありません。愛知県の262か所を全部見ても、「霞堤」と書かれているのはこの3行だけです。
霞堤は、堤防の途中に開口部をつくり、その下流側の堤防を内側へ折り返して、上流の堤防と二重になるようにした不連続な堤防のことです。堤防が折れ重なって霞がたなびくように見えるので、この名前が付いています。川の水が増えたとき、切れているところから意図的に水を入れて、下流の浸水を軽くする仕組みです。水が入ってくることを前提にした場所だということです。
国土交通省の豊橋河川事務所の資料によると、豊川にはもともと右岸に5つ、左岸に4つの霞堤がありました。放水路と河川改修で右岸の5つは締め切られ、いま残っているのは左岸の牛川・下条・賀茂・金沢の4つです。そのうち3つが、道路の冠水注意箇所として数えられています。
だからここは、アンダーパスとは危険の出かたが違います。掘り下げた道は雨がやめば水が引きますが、霞堤の切れ目は、川の水位が下がるまで水が残ります。

冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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19か所のうち17か所が市道です
| 分け方 | 箇所数 | おもな名称 |
|---|---|---|
| ガードと名の付く箇所 | 5 | 絹田・山田・野黒町新幹線ガード北と南・下五井町JRガード |
| 霞堤 | 3 | 賀茂地区・下条地区・牛川地区 |
| 学校のそば | 3 | 南陽中学校南・章南中学校南西角・芦原小学校南 |
| 川の岸ぞいの道 | 2 | 上富田橋右岸・梅田川右岸並行道路 |
| アンダーパス | 2 | とよばし北交差点・境橋 |
| そのほか | 4 | 駒形町の2か所・船植線23号バイパス下・総合動植物公園アクセス道路 |
名称は一覧の地先名のとおりです。合計19か所。
道の種類でいうと、市道が17、国道が1、県道が1です。国道23号の絹田ガードと県道豊橋環状線の山田ガードだけが県の東三河建設事務所の担当で、残る17か所は豊橋市が持っています。
ただ、市の中でも窓口が2つに分かれます。148番から159番までの12か所は道路維持課、244番から248番までの5か所は別の電話番号です。
学校のそばが3か所あります
地先名を読んでいて目に留まるのが、学校の名前です。南陽中学校南(駒形町)、章南中学校南西角(老津町)、芦原小学校南(芦原町)。3か所とも、学校のすぐそばが冠水注意箇所になっています。
大人の運転の話だけではなくなります。歩いて通る道であり、自転車で通る道でもあります。とくに芦原町は標高1.8メートルで、19か所のうちいちばん低い場所です。
新幹線のガードが2か所あるのも豊橋らしいところです。野黒町新幹線ガードの北と南で、どちらも花田町字野黒。1つの線路の下に、2本の道が別々にくぐっています。ほかにJRのガードが1つ、名前だけの「ガード」が2つあります。
標高は1.8メートルから22.1メートルまでです

住所を国土地理院の標高データに通すと、いちばん低いのが芦原町の1.8メートル、いちばん高いのが大岩町の22.1メートルでした。差は20.3メートル。同じ町に2か所ある地点をまとめると16になります。
10メートル以下が12か所。低いほうに並ぶのは芦原町、絹田町、船渡町、駒形町、花田町、下五井町、羽根井西町で、市の南から西にかけての一帯です。
霞堤の3か所は、5.7メートル(下条西町)、11.2メートル(賀茂町)、15.6メートル(牛川町)。低い土地に置かれているわけではありません。堤防をどこで切るかは、土地の低さではなく川の形で決まる、ということが数字にも出ています。
この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
市が非常用ポンプを置いた地区が4つあります

豊橋市の河川課は、たびたび浸水の被害を受けている地区について、水路を改良したり、緊急的にポンプを設置したりしていると書いています。挙がっている地区は下地、三郷、小浜、船渡の4つです。
このうち2つは、国の一覧にも名前があります。下地町一丁目のとよばし北交差点アンダーパスと、船渡町の船植線23号バイパス下。国が「注意」と書いた場所に、市がポンプを置いているという重なり方です。
逆に言えば、三郷と小浜は国の一覧に入っていません。市が困っている場所と、国が数えた場所は、同じではないということです。
内水の地図は、重要事項説明の対象です

豊橋市の上下水道局は、雨水出水浸水想定区域を水防法第14条の2第2項に基づいて指定し、公表しています。想定しているのは1時間降雨量147ミリ。国が全国を降雨の特性が似ている15の地域に分けて決めた値で、同じ愛知県の岡崎市、三重県の四日市市や焼津市と同じ数字です。
そして市は、こう書いています。「雨水出水浸水想定区域の指定により、内水ハザードマップが水防法に基づきました。宅地建物取引業者は宅地建物取引の際に重要事項説明として、内水ハザードマップの説明義務が生じます」。
家を買うとき、借りるときに、この地図が出てくるということです。同じ時期に調べた三重県松阪市も同じ根拠の区域を持っていますが、指定されているのは駅の周りだけでした。埼玉県熊谷市の内水の地図は計算ではなく過去の記録で、市が「予測したマップではない」と書いています。同じ「内水ハザードマップ」という名前でも、中身と重みが違います。
区域図は、浸水の深さと、浸水が続く時間の2枚。市は「着色のない区域でも降雨状況により、浸水が発生する場合があります」とも添えています。
水に入ってしまった車から出るまで

豊橋市の19か所のうち、ガードやアンダーパスと名の付く場所が7つあります。手前から見ると水面は平らに見えて、いちばん深い底は見えません。進んだ先が急に深いのが怖いところです。
JAF(ジェイエーエフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。割れるのは横の窓です。フロントガラスは合わせガラスなので、脱出用ハンマーでも割れません。
車が動かなくなったら110番と119番へ。水深がひざ下でも、流れがあれば大人は歩けません。50センチより深いときは、無理に移動せず高いところで待ってください。
ほかの市はどうなっているか
同じ手順で、ほかの市も1つずつ調べています。同じ資料でも、出てくる答えは場所ごとに変わります。
- 道路冠水マップ どこで見られるの?
- 名古屋市 冠水 どこが危ないの? 104.5ミリが降った千種区は、40か所に1つもありません(愛知県)
- 岡崎市 冠水 どこが危ないの?(愛知県) 想定147ミリと観測史上最大146ミリの差が1ミリです
- 豊田市 冠水 どこが危ないの?(愛知県) 13か所とも標高24.8メートル以上です
- 一宮市 冠水 どこが危ないの?(愛知県) 9か所とも「地下道」か「アンダー」です
- 松阪市 冠水 どこが危ないの?(三重県) 国道42号バイパスの下に地下道が8つ並びます
この記事のまとめ
豊橋市で道路が冠水しやすい場所は19か所で、愛知県内では名古屋市に次いで2番目です。うち3か所は「霞堤」で、堤防が途中で切ってあるところ。くぐる道ではないので、この3つだけは一覧の路線名の欄が空になっています。ガードと名の付く箇所が5つ、学校のそばが3つ、川の岸ぞいの道が2つ。19か所のうち17か所が市道です。
標高は芦原町の1.8メートルから大岩町の22.1メートルまでで、10メートル以下が12か所。市が非常用ポンプを置いた4地区のうち、下地と船渡は国の一覧にも名前があります。市の内水ハザードマップは水防法第14条の2第2項に基づいて指定されていて、市は「重要事項説明として説明義務が生じます」と書いています。想定は1時間147ミリです。
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