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「豪雨が引けば電車は戻りますよね」小湊鐵道は里見から先が代行バス、いすみ鉄道は2027年秋まで全線運休です

🗨️「養老渓谷の駅まで、電車で行けますか?」

行けません。いま小湊鐵道の列車が走っているのは五井駅から里見駅までの25.7kmで、その先は代行バスです。房総半島を横断する65.9kmのうち、列車が動いているのは39%だけです。

[交通] この記事の要点

何が起きたか

小湊鐵道は2026年8月17日更新の運行状況で、里見駅〜上総中野駅間を豪雨被害のため「当分の間」バス・タクシーによる代行輸送にすると案内しています。反対側のいすみ鉄道は2024年10月の脱線事故から全線で運転を見合わせたままで、復旧見込みは2027年秋頃としています。

発表日・更新日

2026年8月17日 発表

影響を受ける人
  • 養老渓谷・大多喜へ電車で行こうとしている人
  • 市原市南部・大多喜町・いすみ市で通学や通院に鉄道を使っている人
  • この沿線に実家や土地があり、売る時期を考えている人
目次

この記事でわかること

  • 列車が走っているのは五井〜里見の25.7kmだけで、房総横断65.9kmの39%
  • 乗換駅の上総中野には、いま列車が1本も来ない
  • 止まっている40.2kmのうち、豪雨が原因なのは9.2kmだけ

いま列車が走っているのは、五井から里見までの25.7kmだけ

房総半島を横断する鉄道は、市原市の五井駅から大多喜町の上総中野駅までが小湊鐵道(39.1km)、そこから外房のいすみ市・大原駅までがいすみ鉄道です。小湊鐵道は自社サイトでこの通し区間を「房総横断65.9km」と呼んでいます。

その65.9kmのうち、2026年8月17日の時点で列車が走っているのは、五井駅から里見駅までの25.7kmです。里見駅が五井から25.7kmの位置にあることは、小湊鐵道の駅ページに書かれています。残りの40.2kmは、代行バスか、路線バスへの振替か、運休のままです。

区間距離8月17日時点の状態
五井〜里見(小湊鐵道)25.7km列車が平常運行
里見〜養老渓谷(小湊鐵道)9.2km終日運休。代行バス・タクシー(豪雨被害・当分の間)
養老渓谷〜上総中野(小湊鐵道)4.2km特定日運行の列車が当分運休。路線バスへ振替
上総中野〜大多喜(いすみ鉄道)約11.0km運休。復旧するかどうかを協議中
大多喜〜大原(いすみ鉄道)15.8km運休。2027年秋頃の再開をめざす

距離は小湊鐵道の各駅ページに載っている「五井駅から◯km」の差で計算しました。いすみ鉄道側の26.8kmは、65.9kmから小湊鐵道の39.1kmを引いた値です。

乗換駅の上総中野に、いま列車は1本も来ない

房総横断鉄道の真ん中にあるのが、上総中野駅です。小湊鐵道といすみ鉄道が線路をつないでいる駅で、ここで乗り換えると五井から大原まで1本の旅になります。

その上総中野に、いまはどちら側からも列車が来ません。いすみ鉄道は全線が運休中です。小湊鐵道側も、養老渓谷から上総中野までを走っていたのは特定日だけ運転する列車で、その運転日は「豪雨の影響により当分の間運休」と公式サイトで取り消し線が引かれています。

養老渓谷から先へ抜ける手段が消えたわけではありません。小湊鐵道は2026年3月21日から、養老渓谷駅〜上総中野駅間で路線バスへの振替輸送を始めています。ただし条件があります。養老渓谷駅で係員に「鉄道の振替輸送を利用」と申し出て振替票を受け取ること、対象は養老渓谷駅を9時〜17時に発車する便に限ること、粟又・筒森・大多喜方面にまたがる乗車はできないこと。申し出をしなければ、正規のバス運賃を払うことになります。

豪雨で止まったのは9.2km。残りは2年前から止まっている

この夏の千葉の雨で全部が止まった、と読める報じられ方をしています。実際に8月の豪雨で止まったのは、里見〜養老渓谷の9.2kmです。

いすみ鉄道が動かなくなった理由は雨ではありません。2024年10月4日、国吉駅〜上総中川駅間で列車が脱線しました。それから全線で運転を見合わせたままで、公式サイトの運行情報にはいまも「復旧見込みは2027年秋頃を予定しております」と書かれています。事故から数えると、丸3年に届く長さです。

つまり止まっている40.2kmのうち、雨のせいなのは9.2km(23%)で、残る31.0km(77%)は雨が降る前から動いていませんでした。豪雨が引いても、房総横断鉄道は戻りません。

真ん中の11kmは、復旧すると決まっていない

いすみ鉄道は2025年6月2日に復旧の方針を出しています。先に直すのは大原〜大多喜の15.8kmで、利用者の多い区間だからです。費用は代行輸送費を含めて約14億5,000万円、再開の目標が2027年秋頃。

問題はその先です。大多喜〜上総中野については、2026年3月25日に試算結果が公表されました。復旧工事の費用が最大で10億円程度、大原〜大多喜を含めて安全に走り続けるには10年間で50億円程度かかる、という数字です。いすみ鉄道はこの試算を持って、千葉県と関係市町に協議を申し入れました。直すとも、やめるとも、まだ決まっていません。

ここが決まらない限り、上総中野で線路がつながる日は来ません。房総横断という商品そのものが、この11.0kmに乗っています。

電車が走っている側と、走っていない側で、土地の値段は32倍違う

この線は、都市から山へ、そして海へ抜けます。値段も同じ方向に落ちます。国土交通省の不動産取引価格情報をもとに、当サイトが市区町村・町名ごとに集計している坪単価の中央値で見ると、こうなります(2024年第4四半期〜2025年第4四半期。カッコ内は件数)。

町名坪単価の中央値いまの状態
五井市原市 五井271,074円(8件)列車あり
高滝市原市 高滝218,181円(3件)列車あり
馬立市原市 馬立56,198円(3件)列車あり
上総牛久市原市 牛久44,794円(2件)列車あり
上総鶴舞市原市 鶴舞37,025円(2件)列車あり
大原いすみ市 大原8,430円(10件)運休中

市全体の中央値でも、市原市が188,429円(173件)に対していすみ市は15,868円(51件)で、11.9倍の開きがあります。町名まで落とすと、五井の271,074円と大原の8,430円で32倍です。件数が2〜3件の町は代表値として弱いので、幅のある数字として読んでください。大多喜町は当サイトの集計対象に入っていないため、ここには出していません。

「駅が近いから高い」という話ではありません。五井はJR内房線との接続駅で、市街地です。大原もJR外房線との接続駅で、房総の東側では中心の駅です。それでも32倍になります。

この件について、私はこう見ています

いちばん重い負担を負っているのは、鉄道が止まっている側、つまり土地がいちばん安い側だと考えます。根拠は上の集計です。列車が走る五井の坪単価中央値は271,074円で、運休が続く大原は8,430円。地価が高い区間ほど代わりの交通が厚く、安い区間ほど鉄道以外の選択肢が薄い、という並びになっています。

もう1つ。大多喜〜上総中野の11.0kmをめぐる議論は、「ローカル線を残すかどうか」の話としてまとめられがちですが、私はそうは読んでいません。いすみ鉄道自身が大原〜大多喜を「利用者の多い区間」として先に選んだ以上、残る11.0kmは通学や通勤で毎日使われている区間ではないはずです。ここで問われているのは、五井と大原を1本でつなぐ通し客の道を残すかどうかで、判断の材料も暮らしではなく観光の側にあります。

いま養老渓谷へ行くなら

五井から養老渓谷までは、里見駅で列車から代行バスに乗り換えます。里見駅前を出るバスは平日・休日とも下り11便、上り11便。里見駅前7時02分発が養老渓谷駅前7時22分着なので、所要は約20分です。

注意が2つあります。1つは、代行バス・タクシーの時刻が列車の時刻と違うこと。小湊鐵道も「満員の場合は次の便までお待ちいただくことがあります」と書いています。もう1つは、上総大久保駅の乗り場が駅ではなくなっていること。道路状況を考えて、県道交差点脇の「国本湧水前」に移されています。飯給駅も「県道東飯給バス停」が乗り場です。

トロッコ列車(房総里山トロッコ)も、当分の間は五井〜里見の運転です。里見〜養老渓谷は代行バスに変わり、指定席を予約していて乗れなかった人には後日、払い戻しの案内が出ます。

生活・仕事にどう効くか

  • 養老渓谷への日帰り:里見駅から養老渓谷駅前までは代行バスで約20分、下り11便・上り11便。列車の時刻とは別ダイヤで、満員なら次の便を待つことになります
  • 上総中野での乗り換え:小湊鐵道側は養老渓谷から先の特定日運行列車が当分運休、いすみ鉄道側は全線運休。五井から大原まで鉄道でつなぐ乗り継ぎは、いまできません
  • 沿線の土地の売り時:大原駅のある「大原」の坪単価中央値は8,430円(10件)。五井駅のある「五井」の271,074円(8件)と32倍の差があり、鉄道の有無が値段に直結する帯です

結局どうすればよいか

  • 養老渓谷へ行くなら、小湊鐵道の運行状況ページで代行バスの時刻表PDFを開いてから家を出る。列車の時刻表とは別物です
  • 上総大久保駅で降りる予定なら、乗り場が駅ではなく県道交差点脇の「国本湧水前」に変わっている点を確認する
  • 養老渓谷から上総中野へ路線バスで抜けるときは、養老渓谷駅の係員に「鉄道の振替輸送を利用」と申し出て振替票を受け取る。申し出がないと正規のバス運賃になります

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公式出典

更新履歴

  • 2026年8月17日 初版を公開

※本記事は2026年8月17日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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