🗨️「定期預金の倍以上あるなら、個人向け国債を買っておけばいいですよね?」
借りているお金がある家では答えが変わります。国債の手取りは年1.6415110%。フラット35で払っている利息は年3.290%で、税金もかかりません。
[金利] この記事の要点
財務省が2026年8月募集分の個人向け国債の発行条件を公表した。募集期間は令和8年8月6日(木)から8月31日(月)まで、発行日は9月15日。適用利率(税引前)は固定5年(第185回)が年2.06%、変動10年(第197回)が年1.87%、固定3年(第195回)が年1.71%で、5か月続けて固定5年が変動10年を上回っている。同じ8月、ゆうちょ銀行と三井住友銀行の5年もの定期は年1.000%、フラット35(21年以上35年以下・融資率9割以下)の最低金利は年3.290%。
2026年8月6日 発表 (2026年8月19日 更新)
- 定期預金の満期が来て、置き場所を探している人
- 住宅ローンを返済中で、繰り上げ返済と貯蓄のどちらに回すか迷っている人
- 住宅の頭金を数年かけて貯めている人
- 元本割れのない置き場所でお金を寝かせたい人
この記事でわかること
- なぜ5年ものより10年もののほうが低いのか、逆イールドとは関係がない理由
- 変動10年が固定5年に並ぶには、金利があとどれだけ上がる必要があるか
- 住宅ローンがある家計で、国債と繰り上げ返済のどちらが先に来るか
8月募集分の利率と、手取りに直した数字
財務省が公表した2026年8月募集分の発行条件はこうなっています。利率はどれも税引前の数字なので、実際に受け取るときには20.315%が引かれます。
| 種類 | 利率(税引前) | 利率(税引後) | 100万円の年間利子(税引後) |
|---|---|---|---|
| 固定5年(第185回) | 2.06% | 1.6415110% | 約16,415円 |
| 変動10年(第197回) | 1.87% | 1.4901095% | 約14,901円 |
| 固定3年(第195回) | 1.71% | 1.3626135% | 約13,626円 |
募集期間は2026年8月6日(木)から8月31日(月)まで、発行日は9月15日です。買った時点ではなく発行日から利子が付きます。
逆転しているのは、市場の金利ではありません
Yahoo!知恵袋には2026年2月27日に、「個人向け国債について固定5年か変動幅10年か迷っています」という質問が投稿されています。金利が上がる局面なら変動を選ぶのが筋のはずなのに、8月は5年ものの利率のほうが高い。ここで「5年より10年が低い=景気が悪いサイン(逆イールド)だ」と読みたくなりますが、市場の金利は逆転していません。
財務省が2026年8月4日に行った10年利付国債(第383回)の入札では、平均落札利回りが2.840%でした。固定5年の基準金利は2.11%です。10年もののほうが0.73ポイント高い、ごくふつうの形をしています。
逆転をつくっているのは計算式のほうです。変動10年の適用利率は「基準金利×0.66」、固定5年は「基準金利−0.05%」。片方は掛け算で削られ、もう片方は引き算で少し減るだけです。実際に計算してみると、2.840×0.66=1.8744となって、第197回の1.87%とぴったり合います。
変動が固定に並ぶのは、あと0.29ポイント上がってから
では変動10年はいつ固定5年を追い越すのか。2.06÷0.66=3.1212なので、基準金利が3.13%まで上がって、ようやく並びます。いまは2.840%なので、あと0.29ポイントです。
この0.29ポイントを5年以内に超えると見るなら変動10年、超えないと見るなら固定5年、という分かれ方になります。どちらが正しいかは誰にも言えませんが、「金利が上がりそうだから変動」だけでは足りないことは、この数字を見れば分かります。半年ごとに利率が変わっても、掛け目0.66は変わりません。
定期預金と並べると、5年もので2倍あります
Yahoo!ファイナンスの質問コーナーには2025年10月4日、回答者の一人が「金利が定期預金より高ければうちも購入するんでしょうが」と書いていました。その条件は、いま満たされています。
| 預け先 | 1年 | 3年 | 5年 |
|---|---|---|---|
| ゆうちょ銀行 定期貯金(8月17日現在) | 0.500% | 0.800% | 1.000% |
| 三井住友銀行 スーパー定期(8月19日現在) | 0.500% | 0.800% | 1.000% |
| 個人向け国債 | — | 1.71%(固定3年) | 2.06%(固定5年) |
100万円を5年間置いた場合、固定5年の税引後の利子は約82,000円、5年もの定期(1.000%)なら約39,800円です。差は約42,000円。金額を上げるとそのまま比例します。神戸市中央区の中古マンションは50〜70m²帯の成約m²単価の中央値が666,667円なので、60m²で約4,000万円。頭金1割の400万円で置きどころを比べると、5年で約169,000円の差になります。
住宅ローンがある家では、答えが変わります
ここまでは「貯めているお金をどこに置くか」の話でした。借りているお金がある家では、比べる相手が変わります。
2026年8月のフラット35は、21年以上35年以下・融資率9割以下で年3.290%です。繰り上げ返済で消える利息には、税金がかかりません。受け取る利子からは20.315%が引かれるのに、払わずに済んだ利息はまるごと手元に残ります。同じ土俵に並べるとこうなります。
| 100万円の使い道 | 手取りベースの年利回り |
|---|---|
| フラット35(3.290%)を繰り上げ返済する | 3.290%(課税されない) |
| 個人向け国債 固定5年を買う | 1.6415110% |
| 5年もの定期預金(1.000%)に預ける | 0.79685% |
フラット35で借りている家では、国債を買うより返すほうが手取りベースで2倍近い計算になります。ただしそのまま繰り上げ返済していい、とは限りません。住宅ローン控除の期間中は残高が減るぶん控除額も減りますし、返してしまったお金には団体信用生命保険が効かなくなります。控除の残り年数と保障をセットで見てから決める話です。金利の低い変動で借りている人は、逆に国債の利率のほうが上に来ることもあります。控除との関係は住宅ローン控除の逆ざやを扱った記事に、フラット35の3.290%の背景は8月のフラット35の記事にまとめています。
1年間は動かせないお金です
最後にひとつ。個人向け国債は発行後1年間は換金できません。1年を過ぎても、直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれます。100万円の固定5年をちょうど1年で解約すると、差し引かれる額は約16,415円。1年で受け取った利子と、ほぼ同じ額が消えます。
住宅の頭金のように、1〜2年のうちに使う予定があるお金の置き場所には向きません。逆に、5年は動かさないと決めているお金なら、いまの定期預金との差ははっきりしています。使う時期を先に決めてから、種類を選ぶ順番です。
生活・仕事にどう効くか
- 100万円を5年置いたとき:固定5年なら税引後で約82,000円の利子。5年もの定期(1.000%)なら約39,800円で、差は約42,000円。
- 住宅ローンがある家計:フラット35の8月の金利は年3.290%。国債の手取り年1.6415110%より1.64ポイント高く、繰り上げ返済で消える利息には税金がかからない。
- 頭金として貯めているお金:発行後1年間は換金できない。1年ちょうどで解約すると、直前2回分の利子相当額が差し引かれて受け取った利子がほぼ消える。
結局どうすればよいか
- 定期預金と国債は「税引後」の数字に直してから並べる(20.315%が引かれる)
- 住宅ローンがあるなら、借りている金利と国債の税引後利率のどちらが高いかを先に見る
- 繰り上げ返済に回す前に、住宅ローン控除の残り年数と団体信用生命保険の扱いを確認する
- 1年間は動かせないお金かどうかを決めてから、8月31日(月)の募集締切までに手続きする
あわせて読む・調べる
くわしく知る(保存版の記事)
- フラット35、8月の金利が3.290%に上昇。全期間固定を選ぶ意味を金利上昇局面で考える
- 「住宅ローン控除があるから、借りたほうが得」は終わりました。戻るのは年0.7%、フラット35で払う利息は年3.29%です
自分の場合を調べる(無料ツール)
- 住宅ローン借入可能額シミュレーター — 年収から借入可能額と返済額の目安を出す
- 売却手取り計算 — 税金・手数料を引いた手残り額を概算する
- 不動産相場検索 — 市区町村ごとの土地・戸建て・マンション相場を見る
公式出典
- 財務省 個人向け国債「発行条件」(変動10年 第197回/固定5年 第185回/固定3年 第195回)(2026年8月6日発表)
- 財務省 10年利付国債(第383回)入札結果(平均落札利回り2.840%)(2026年8月4日発表)
- 住宅金融支援機構 フラット35 借入金利の推移(2026年8月)(2026年8月3日発表)
- ゆうちょ銀行 金利一覧(定期貯金・2026年8月17日現在)(2026年8月17日発表)
- 三井住友銀行 円預金金利(スーパー定期・2026年8月19日現在)(2026年8月19日発表)
- ゆうちょ銀行 個人向け国債「変動10年」商品説明(基準金利の定義)(2026年8月19日発表)
更新履歴
- 2026年8月19日 初版を公開
※本記事は2026年8月19日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。


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