🗨️「経理の仕事はAIでなくなる?」
経理の求人は4年で8.4%減と全職業(10.0%減)並みです。倍率を下げたのは経理を希望する人の9.2%増。ただし直近2年は求人の減り方が全職業より速いです。
[AI] この記事の要点
2026年11月3日 発表
- 経理で働いている人
- 経理への転職を考えている人
- 経理の資格を勉強している人
経理の仕事がAIでなくなった、とは今の国の統計からは言えません。ハローワークの経理の求人は、ChatGPT公開の直前だった2022年9月から2026年9月までで8.4%減りましたが、同じ4年で全職業の求人は10.0%減っています。ただし、この2年に限ると経理の求人は14.5%減り、全職業の5.5%減より速く減っています。
先に結論
- ✓ 経理(会計事務)の有効求人倍率は2012年以降175か月ずっと1倍未満。最新の2026年9月は0.55倍
- ✓ 2022年9月から2026年9月で、求人は8.4%減、経理を希望する人は9.2%増えた
- ✓ 直近2年は経理の求人が14.5%減と、全職業(5.5%減)より速く減っている
経理の求人倍率の推移
使うのは厚生労働省の「一般職業紹介状況」です。e-Stat(イースタット)で公開されている第21表に、ハローワークの職業別の求人数・求職者数・有効求人倍率が月ごとに載っています。経理は「会計事務従事者」(2023年3月以前の様式では「会計事務の職業」)という区分に入ります。

2012年3月から2026年9月までの175か月、経理の有効求人倍率は一度も1倍に届いていません。いちばん高かったのは2019年2月の0.89倍、いちばん低かったのは2012年4月の0.29倍です。1倍未満とは、仕事を探している人の数より求人の数が少ない状態をいいます。
ただ、経理は事務の中では椅子が多いほうです。2026年9月の倍率は経理0.55倍、一般事務0.30倍。1つの求人に並ぶ人数にすると、経理は1.8人、一般事務は3.3人です。一般事務の173か月の推移は事務職 有効求人倍率/AIが来る前から1倍割れで並べました。
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ChatGPT公開の前と後
ChatGPTが公開されたのは2022年11月です。この月の経理の倍率は0.70倍で、2026年9月は0.55倍まで下がりました。季節の波を消すため、同じ9月どうしで4年前と比べます。
| 9月の値 | 2022年 | 2026年 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 経理の求人数 | 19,148件 | 17,548件 | 8.4%減 |
| 経理の求職者数 | 29,164人 | 31,845人 | 9.2%増 |
| 経理の倍率 | 0.66倍 | 0.55倍 | −0.11 |
| 一般事務の倍率 | 0.35倍 | 0.30倍 | −0.05 |
| 全職業の倍率 | 1.20倍 | 1.08倍 | −0.12 |
倍率が下がったのは経理だけではありません。全職業の倍率も同じくらい下がっています。求人の減り方で見ると、経理(8.4%減)は一般事務(14.7%減)や全職業(10.0%減)より小さいくらいです。
倍率が下がったなら、AIで経理の求人が減ったってことでしょ?
4年で見ると、求人の減り方は全職業より小さいの。倍率を押し下げたのは、むしろ経理の仕事を探す人が9.2%増えたほうよ。全職業の求職者はほとんど増えていないのにね。
求人数と求職者数の中身
経理の求職者は、2019年9月の24,311人から2026年9月の31,845人へ、7年で31.0%増えました。同じ期間に全職業の求職者は12.0%増、一般事務は1.1%増です。経理の倍率が下がったいちばん大きな理由は、席が減ったことより、経理を希望する人が増えたことです。
一方で、ここ2年の求人は別の動きをしています。2024年9月から2026年9月で、経理の求人は20,532件から17,548件へ14.5%減りました。一般事務は11.4%減、全職業は5.5%減です。期間を短く切ると、経理の求人は全職業の約2.6倍の速さで減っています。
この減り方がAIのせいなのかは、統計からは分かりません。ハローワークの数字は「何件の求人があったか」は示しますが、会社が求人を出さなかった理由までは集めていないからです。予測としての「AIで何割の仕事がなくなるか」は、推計どうしの食い違いをAI 仕事 奪われる 何割/49%と7%の差で比べました。
紙からデータへの制度変更
経理の手作業を変えたのはAIだけではありません。同じ時期に、税の制度が2つ動いています。
- インボイス制度:2023年10月1日に開始(国税庁)
- 電子帳簿保存法:2024年1月1日以後の電子取引は、データのまま保存する要件が本格的に適用。2023年12月31日までは、紙に印刷して残すことが事実上認められていた(国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」)

出典
Dupedianer / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)2022年以降で経理の求人がいちばん多かったのは、2023年10月の21,107件でした。インボイス制度が始まった月です。2024年も10月までは月2万件台を保ち、減り始めたのは2024年11月からでした。2つの制度が始まってから約1年後にあたります。重なるのは時期だけで、制度が原因かどうかを統計は示していません。
私は、経理の求人の山と谷を作っているのは、AIよりも先にこの制度対応の波だと見ています。新しい制度が始まる前は人手が要り、仕組みが回り始めると要らなくなる、という順番に見えるからです。請求書や領収書をデータで残す実務は、請求書 ファイル名/日付_取引先_金額で保存と領収書 スマホ撮影/紙を捨てる前の3条件に書きました。
求人が減っても、経理の倍率は一般事務の約1.8倍あります。会社でAIを入れても経理の仕事がすぐに減らない理由はAIを入れたのに仕事が減らないのはなぜ?が参考になります。資格で守られる仕事との違いはAI時代 資格/残るのは独占業務にまとめました。
「経理はAIでなくなる」と検索した人に、数字で返せる答えはここまでです。経理の席は4年で1割近く減り、経理を目指す人は1割近く増えました。なくなったのは仕事ではなく、席に余裕があった時期のほうです。
よくある質問
Q. 経理の仕事はAIでなくなりますか。
A. ハローワークの統計では、経理の求人は2022年9月から2026年9月で8.4%減にとどまり、全職業(10.0%減)より小さい減り方です。ただし直近2年は14.5%減と、全職業より速く減っています。
Q. 経理の有効求人倍率はどのくらいですか。
A. 2026年9月で0.55倍です(パートを含む常用)。一般事務の0.30倍より高く、全職業の1.08倍より低い水準です。
Q. 経理の求人が減ったのはAIのせいですか。
A. 統計は理由を示していません。同じ時期にインボイス制度(2023年10月)と電子帳簿保存法の電子取引のデータ保存(2024年1月)が始まっており、景気の影響で全職業の求人も減っています。
生活・仕事にどう効くか
- 倍率:経理は0.55倍で一般事務の約1.8倍。1つの求人に1.8人が並ぶ。
- 求人:直近2年は14.5%減と、全職業より速く減っている。
結局どうすればよいか
- 倍率だけでなく求人数と求職者数を分けて見る
- 電子取引のデータ保存など制度対応の実務を身につける
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公式出典
更新履歴
- 2026年11月3日 初版を公開
※本記事は2026年11月3日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
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