最近の情報漏えいの発表には、「メール配信を委託している外部の会社が不正アクセスを受けた」という形がよく出てきます。自分が会員になったのはA社なのに、漏れたのは聞いたこともないB社。そんなとき、誰が知らせてくれて、誰に聞けばいいのでしょうか。個人情報保護法の条文から整理しました。
「漏れたのは委託先なのだから、登録した会社には聞いても仕方ない」と思うかもしれません。でも、法律の作りは逆です。
知らせるのは「頼んだ会社」
個人情報保護法26条は、漏えいが起きたとき、会社に2つのことを求めています。個人情報保護委員会への報告(1項)と、本人への通知(2項)です。
ただし1項には「ただし書」があり、ほかの会社から仕事を頼まれた会社(委託先)は、頼んだ会社(委託元)に起きたことを知らせれば、委員会への報告をしなくてよいとされています。そして2項は、本人への通知をする会社から、このただし書で通知をした委託先を外しています。
つまり、委託先から漏れたときに利用者へ知らせるのは、もともと情報を預かった会社です。問い合わせも、まずは自分が登録した会社の窓口にすれば足ります。

頼んだ会社には「監督」の義務がある
25条は、個人データの扱いを外の会社に頼むとき、頼んだ会社は委託先に「必要かつ適切な監督」をしなければならないと定めています。自分の会社で安全に管理する義務(23条)は、仕事を外に出しても消えないという作りです。
読者
委託先のせいなのに、頼んだ会社が謝るのはなぜ?
情報を預けたのは、その会社だからよ。法律も、外に頼んだあとまで目を配るよう求めているの。だから連絡も問い合わせも、登録した会社に向けるのが近道なのよ。
報告が要るのはどんなとき?
委員会への報告と本人への通知が要るのは、施行規則7条の4つのどれかに当たるときです。
| 号 | 当てはまるとき |
|---|---|
| 1号 | 病歴など、要配慮個人情報が含まれる |
| 2号 | 悪用されるとお金の被害が出るおそれがある(カード番号など) |
| 3号 | 不正アクセスなど、不正な目的の行為による |
| 4号 | 漏れた人数が1,000人を超える |
メールアドレスだけの漏えいでも、不正アクセスが原因なら3号、人数が多ければ4号に当たります。会社は、知ったあと速やかに分かっている範囲を報告し、30日以内(3号は60日以内)に、原因や再発防止策まで含めて報告します(施行規則8条)。
連絡を待つ間にできること
- 登録した会社のお知らせページやアプリの通知を見る
- その会社を名乗るメールのリンクは押さず、公式サイトから入り直す
- そのメールアドレスに届く、心当たりのない請求や当選の知らせは開かない(北陸電力も不審なメールへの注意を呼びかけている)
連絡が来ないときの決まりは情報漏えいの本人通知の記事に、11月2日に発表された北陸電力「ほくリンク」の件はほくリンクのメールアドレス流出の記事に、10月30日に公表されたメール配信サービスの別の例はアララの不正アクセスの記事にまとめています。
出典:個人情報の保護に関する法律23条・25条・26条、同法施行規則7条・8条(e-Gov法令検索)、北陸電力「北陸電力会員サービス『ほくリンク』会員のメールアドレス外部流出について」(2026年11月2日)。いずれも2026年11月2日に確認。
アイキャッチ写真の出典
ノートパソコン(イメージ)。撮影 ライモント・シュペッキング(Raimond Spekking)/CC BY-SA 4.0(ウィキメディア・コモンズ)。
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