囲い込みは「わざと」だけじゃない|取引状況の更新漏れも指示処分の対象になる
2025年1月の宅建業法施行規則改正で、レインズの「取引状況(ステータス)」を常に最新に保つことが義務になりました。販売状況と異なるステータスの登録は、宅建業法65条1項に基づく指示処分の対象です。
「うちは囲い込みなんてしていない」という会社ほど注意が必要です。この改正で処分リスクになるのは、意図的な囲い込みだけではありません。悪意のない更新漏れも、外から見れば囲い込みと区別がつかないからです。
ステータスは3つしかない、だから食い違いがすぐ分かる
| ステータス | 意味 |
|---|---|
| 公開中 | 他社からの紹介を受け付けている |
| 書面による購入申込みあり | 正式な購入申込書が入っている |
| 売主都合で一時紹介停止中 | 売主の事情で紹介を止めている |
区分が3つだけということは、実態との食い違いが誰にでも判定できるということです。そして2025年1月4日以降の登録証明書にはQRコードが付き、売主は自分のスマホでいつでもこの画面を見られます。
売主側の確認手順は一般向けに解説記事を公開しています。売主にどう見えているかを知る意味で、一度目を通しておくことをおすすめします:家が売れないのは「囲い込み」かも?売主がスマホで確認する方法
悪意なしで食い違いが生まれる4パターン
1. 申込みが流れたのに「申込みあり」のまま
購入申込みが入ってステータスを変えた後、ローン否決や心変わりで申込みが消滅。営業担当は次の買主探しに頭が切り替わり、ステータスを「公開中」に戻す作業だけが漏れる。この間、他社からの紹介は事実上止まり、売主の画面には「申込みあり」が表示され続けます。
2. 「ちょっと止めておいて」を口頭で受けた
売主から電話で「親族に売るかもしれないから少し止めて」と言われ、「売主都合で一時紹介停止中」に変更。ところが記録がないため、後から売主に「頼んでいない」と言われると、停止の根拠を示せるのは自社側の記憶だけになります。改正後は、行政庁に対して停止の正当性を説明できるかどうかが問われます。
3. 担当者の退職・引き継ぎ漏れ
担当が抜けた物件のステータスが放置されるパターン。物件単位で担当者に紐づけて管理していると、人の異動がそのまま更新漏れになります。
4. 登録証明書を渡していない・説明していない
改正後は、登録証明書を交付して売主が取引状況を確認できることを説明するところまでが求められています。証明書を渡し忘れている物件は、それ自体が説明義務の不履行です。
最悪の想定:売主からの通報で始まる
改正前は、囲い込みの疑いを持った売主に確認手段がほとんどありませんでした。いまは違います。
- 売主がスマホで確認し、実態と違うステータスのスクリーンショットを保存
- 免許行政庁(都道府県の宅建業担当窓口)へ相談・通報
- 行政庁から報告徴収・立入調査。「更新漏れでした」の弁明は、更新体制がないことの自認でもある
- 指示処分。処分は公表され、指示に従わなければ業務停止
- 並行して、売主から媒介契約の解除・損害賠償の主張。ネットの口コミにも残る
「わざとではない」は処分を軽くする事情にはなっても、食い違いの事実は消えません。むしろ運用体制がないまま専任媒介を受けていること自体が問題とされます。
予防チェックリスト
ステータス運用チェック
☐ 申込みの受領・消滅をステータス変更とセットの業務フローにしているか(担当者の記憶に頼らない)
☐ 売主からの紹介停止依頼はメールか書面で記録を残しているか(口頭だけで変更しない)
☐ 登録証明書の交付と確認方法の説明を媒介契約時のチェックリストに入れているか
☐ 週1回、専任・専属専任の全物件のステータスと実態を突き合わせているか
☐ 担当者の退職・異動時に、担当物件のレインズ登録を棚卸しする手順があるか
まとめ
改正の本質は「囲い込みの禁止」ではなく、取引状況が売主から見える化されたことです。見えるようになった以上、意図の有無にかかわらず、食い違いはそのまま信用問題と処分リスクになります。週1回の棚卸しをフローに入れるだけで、このリスクの大半は消せます。


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