🗨️「海面より低いところに家が建っているのは、どこ?」
全国33市区町村です。地価公示の住宅地の標準地17,612地点を標高で調べたところ、190地点が0m未満でした。愛知9・大阪7・東京5・新潟4の順で、海に面していない市町も含まれます。
[災害] この記事の要点
国土数値情報「地価公示」2026年の住宅地の標準地17,612地点について、国土地理院の標高APIで1地点ずつ標高を取得した。標高0m未満は190地点・33市区町村。住宅地の標高の中央値がマイナスになる市区町村は10あり、大阪市此花区−1.60m、東京都江東区−1.40m、愛知県弥富市−1.40mが並ぶ。江東区の住宅地の値段の中央値は1m²あたり579,000円、弥富市は72,250円で、標高が同じでも約8倍の差があった。
2026年8月20日 発表
- 臨海部や大きな川の下流にある市区町村で家を探している人
- 洪水ハザードマップに色が付いていないので大丈夫だと思っている人
- 自分の家の標高を確かめたことがない人
この記事でわかること
- 全国の住宅地標準地17,612地点の標高を測ると、190地点・33市区町村が標高0m未満でした
- 住宅地の標高の中央値がマイナスの市区町村は10。最も低いのは大阪市此花区の−1.60mです
- 江東区と弥富市はどちらも中央値−1.4m。それでも1m²あたりの値段は8倍ちがいます
海面より低い住宅地は、全国33市区町村にありました
「うちは海のそばじゃないから」。私もそう思っていました。調べたら、内陸の市も入っていました。
地価公示という制度があります。国が毎年、全国の決まった地点の土地の値段を調べて公表するもので、2026年は住宅地だけで17,613地点あります。この1地点ずつの緯度経度を、国土地理院の標高データにかけて標高を取りました。17,613地点のうち17,612地点で標高が取れました(取れなかったのは1地点)。
結果、標高0m未満が190地点・33市区町村ありました。
| 都道府県 | 市区町村 |
|---|---|
| 愛知県(9) | 名古屋市中川区・港区・南区、津島市、愛西市、弥富市、あま市、蟹江町、飛島村 |
| 大阪府(7) | 大阪市福島区・此花区・港区・大正区・西淀川区・淀川区・北区 |
| 東京都(5) | 墨田区、江東区、足立区、葛飾区、江戸川区 |
| 新潟県(4) | 新潟市東区・中央区・江南区・西区 |
| 三重県(2) | 桑名市、木曽岬町 |
| 兵庫県(2) | 尼崎市、西宮市 |
| 岡山県(2) | 岡山市東区・南区 |
| 広島県(2) | 広島市南区、福山市 |
愛知県が9市区町村で最も多く、そのうち津島市・愛西市・あま市は海に面していません。木曽三川の下流という、大きな川がつくった低い土地です。ここには昔から輪中があります。
さらに、住宅地の標高の中央値そのものがマイナス、つまり半分より多くの住宅地が海面より低い市区町村が10ありました。
同じ−1.4mでも、値段は8倍ちがいます
この10市区町村を並べると、標高と値段が結びついていないことがはっきりします。
東京都江東区の住宅地は、標準地19地点の標高の中央値が−1.40m。値段の中央値は1m²あたり579,000円です。愛知県弥富市の住宅地は、標準地10地点の標高の中央値が同じ−1.40m。値段の中央値は72,250円でした。
同じ標高で、値段はちょうど8倍ちがいます。
全国17,612地点でも同じでした。標高と1m²あたりの値段の相関係数は−0.120。ほとんど関係がありません。駅や商業地が低いところにあることが多いので、わずかに「低いほうが高い」側へ傾いているだけです。
この記事の立場
私は、この数字を「江東区は割高だ」とは読みません。値段は交通や利便で決まっていて、標高はそこにほとんど入っていない、というだけのことです。ただし、そこから言えることが1つあります。安全さには値段がついていないので、値段を見ても土地の高さは分からない、ということです。高い土地を買っても、低い土地を買っても、標高は自分で確かめるしかありません。
3つに1つの市区町村で、低い土地と高い土地が同居しています
「◯◯市だから安全」という言い方があります。これも成り立ちませんでした。
住宅地の標準地が3地点以上ある1,109市区町村のうち、374市区町村(33.7%)で、標高10m未満の地点と20m以上の地点が同居していました。3つに1つです。市区町村の名前では、土地の高さは決まりません。
差が大きいところでは桁が変わります。長野県長野市は330.4mから1,151.1mまで、同じ市の中で820.7mの開きがありました。兵庫県西宮市は−0.4mから379.7mまでで380.1mです。
低いことと、水が引かないことは、別の話です
ここまでは「どれだけ低いか」の話でした。もう1つ、別の物差しがあります。どれだけ抜けにくいかです。
標高が低くても、そこから海や川へ向かって土地が下がっていれば、水は出ていきます。逆に標高が5mや7mあっても、そこから先が平らなままなら、水は残ります。2026年8月の千葉の豪雨で大網白里市の水が引かなかったのは、標高が低かったからというより、平野に出てからの10.71kmで土地が10.0mしか下がらないからでした。
この2つは別々に確かめる必要があります。標高だけ見て安心もできないし、心配もしなくていい、ということです。
自分の土地を無料で確かめる3つの手順
ここからは、あなたの家の話にします。全部無料で、登録もいりません。
- 国土地理院の「地理院地図」を開き、住所で検索して自宅をクリックします。画面の下に標高が出ます。この記事で使ったのと同じデータです。
- 近所の駅、通っている小学校、いつも使う交差点も押してみます。数値そのものより、自分の家がそれらより高いのか低いのかのほうが役に立ちます。
- 同じ地図で「土地条件図」を重ねます。「谷底平野・氾濫平野」「凹地・浅い谷」と塗られていれば、そこは水が集まる側です。「明治期の低湿地」も重ねると、昔は水田だった場所が分かります。
低いと分かったときに、まずやることは引っ越しではありません。水が出たときにどこへ上がるか、車をどこへ動かすかを、家族で1回決めておくことです。
この記事の集計条件
国土数値情報「地価公示」2026年のうち、用途が住宅の標準地17,613地点を抽出し、各地点の緯度経度を国土地理院の標高API(5メートルメッシュのレーザ測量による標高データ)にかけて標高を取得しました。取得できたのは17,612地点、取得できなかったのは1地点です。集計対象は1,525市区町村。標高0m未満の判定は、この標準地の位置で得られた値によります。
市区町村ごとの中央値は、その市区町村にある住宅地標準地の値の中央値です。「同居」の集計は、比較できるように標準地が3地点以上ある1,109市区町村に限りました。標準地の位置での値であり、市区町村内のすべての土地を表すものではありません。また、ここで測ったのは土地の高さであって、浸水の想定ではありません。実際の浸水のおそれについては、お住まいの自治体が公表しているハザードマップをご確認ください。
生活・仕事にどう効くか
- 家探し・土地探し:標高0m未満は臨海部だけの話ではない。愛知県の9市区町村には津島市・愛西市・あま市のように海に面していない市も入っている。大きな川の下流はどこでも同じ形になりうる。
- 値段の見方:標高と値段はほとんど関係していなかった。全国17,612地点で相関係数は−0.120で、ほぼ無関係。安全さに値段がついていないので、値段では判断できない。
- ハザードマップの確認:洪水(川があふれる水)と内水(下水や水路からあふれる水)は別々の地図になっている。洪水ハザードマップが白くても、内水ハザードマップがあるかを自治体のサイトで確かめる。
結局どうすればよいか
- 国土地理院の「地理院地図」で自宅・職場の標高を見る(この記事と同じ無料データが誰でも見られる)
- 近所の駅や交差点も何か所か測って、自分の家が周りより高いのか低いのかを確かめる
- 洪水ハザードマップとは別に、市区町村の内水ハザードマップ(雨水出水浸水想定区域図)があるかを確認する
あわせて読む・調べる
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自分の場合を調べる(無料ツール)
- 不動産相場検索 — 市区町村ごとの土地・戸建て・マンション相場を見る
- 災害リスク診断 — 住所から浸水・土砂・地盤のリスクを確認する
- 住所まるごとチェック — 住所の表記ゆれ・実在をまとめて確認する
公式出典
更新履歴
- 2026年8月20日 初版を公開
※本記事は2026年8月20日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。


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