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板橋区はなぜ冠水しやすいの?

🗨️「川からは離れているのに、どうしてうちの前の道だけ水がたまるの?」

降った量が下水道の設計を超えたからです。そのあと水がどこへ集まるかは、町丁目ごとの標高でほぼ決まります。

[災害] この記事の要点

何が起きたか

2026年8月22日夕方、気象庁が東京都板橋区付近で1時間に120ミリ以上(17時17分発表)の記録的短時間大雨情報を発表した。同じ17時台に北区付近・板橋区付近で各約100ミリ(17時09分)、埼玉県戸田市付近で約100ミリ(17時09分)、豊島区付近で約100ミリ(17時27分)が続き、いずれも解析雨量による。16時53分には新宿区・豊島区・北区・板橋区に大雨危険警報(レベル4)が発表された。

発表日・更新日

2026年8月22日 発表

影響を受ける人
  • 板橋区・北区・豊島区・戸田市で家や土地を探している人
  • 川から離れているから水害は関係ないと思っている人
  • 通勤や送迎で低い道・地下道を通っている人
  • 1階や半地下の部屋、地下駐車場を使っている人
目次

この記事でわかること

  • 8月22日の17時台に、どこで何ミリ降ったか(気象庁の発表時刻つき)
  • 東京23区の下水道が、1時間何ミリの雨を流す設計になっているか
  • 同じ雨量でも、板橋・北・豊島・戸田で低さがまるで違うこと(標高の実測値)
  • 自分の町丁目が過去に浸水したかを、今夜のうちに確かめる方法

先に結論

  • 8月22日17時台の20分間に、板橋区・北区・豊島区・戸田市の4か所で記録的短時間大雨情報が出ました。
  • 東京23区の下水道は1時間50ミリの雨を流す設計です。板橋区付近の120ミリ以上は、その2.4倍です。
  • 同じ「約100ミリ」でも、区の低さはまるで違います。豊島区は最低でも標高8.4m、戸田市は最高でも5.0mでした。
  • 板橋区は、標高1.4mの町と35.7mの町が同じ区に同居しています。差は34.3mです。
  • 今夜できるのは、板橋区の「浸水履歴」で自分の町丁目を引くことです。

住まいのリスクに対する備え

土地の履歴やリスクを知ったら、次は「起きたときにどうするか」です。最低限そろえておくと動けるものを挙げます。

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17時台の20分間に、4か所で記録的短時間大雨が出ました

2026年8月22日の夕方、東京の北側と埼玉県南部で雨雲が急に発達しました。気象庁は16時53分に新宿区・豊島区・北区・板橋区へ大雨危険警報(レベル4)を出し、そのあと17時台に記録的短時間大雨情報が続けて発表されています。

発表時刻地域1時間の雨量
17時09分東京都 北区付近・板橋区付近各 約100ミリ
17時09分埼玉県 戸田市付近約100ミリ
17時17分東京都 板橋区付近120ミリ以上
17時27分東京都 豊島区付近約100ミリ

いずれも雨量計で測った値ではなく、レーダーによる解析雨量です。気象庁はこの情報に「猛烈な雨が降っており、災害発生の危険度が急激に高まっています」という一文を添えています。

前の日、8月21日16時33分にはさいたま市付近で約110ミリが出ていました。2日続けて、同じ関東平野の同じあたりで起きています。

東京23区の下水道は、1時間50ミリの雨を流す設計です

「川からは離れているから、うちは水害と関係ない」——そうとは言い切れません。「川からは離れているのに、どうして道が川になるの」と思われた方が多いと思いますが、答えは川ではなく、足元の管のほうにあります。

東京都下水道局が2021年12月にまとめた「今後の下水道浸水対策のあり方検討委員会」の報告には、区部の下水道はこれまで1時間50ミリ降雨への対応を基本に整備してきたと書かれています。そのうえで、豪雨が激甚化・頻発化していることを踏まえ、目標整備水準を1時間75ミリ降雨に設定すべきだと報告しています。

つまり、いま足元にある管の多くは50ミリの雨を前提に敷かれていて、目標を引き上げた先でも75ミリです。

基準1時間の雨量8月22日の板橋区付近との比
これまでの整備の基本50ミリ2.4倍
新しい目標整備水準75ミリ1.6倍
8月22日 板橋区付近120ミリ以上

管が受け切れなかった分の雨は、地面の上を流れて、いちばん低いところへ集まります。ここから先は、雨の話ではなく土地の話になります。

同じ「約100ミリ」でも、区の低さはまるで違います

ここからは、当サイトで手を動かして確かめたことです。国土交通省の国土数値情報から地価公示の住宅地の標準地を取り出し、その1地点ずつに国土地理院の標高APIで標高を当てました。8月22日に記録的短時間大雨情報が出た4つの区市を並べると、こうなります。

区市22日の雨量標準地最低中央値最高住宅地の中央値価格
板橋区120ミリ以上44地点1.4m27.8m35.7m532,500円/m²
北区約100ミリ29地点2.0m4.7m27.7m630,000円/m²
豊島区約100ミリ23地点8.4m31.6m35.3m828,000円/m²
戸田市約100ミリ14地点2.1m3.8m5.0m317,000円/m²

同じ雨が降っても、受ける器が違います。豊島区はいちばん低い高田1丁目でも8.4mあり、中央値は31.6mです。ほぼ全部が台地の上にあります。逆に戸田市は、いちばん高い美女木1丁目でも5.0mしかありません。丸ごと低地です。北区は中央値が4.7mで、区の半分以上が低いほうに寄っています。

戸田市については、平野の傾きも測ってあります。1km進んでも標高は37.7cmしか下がりません。降った水が横に流れて出ていくのに、これだけ平らだと時間がかかります。

板橋区は、1つの区の中に34mの高低差があります

4つの中で板橋区だけが特殊です。最低1.4m、最高35.7m。低地と台地が1つの区に同居しています。

低いほうから10地点を並べます。

標高所在(住宅地の標準地)価格
1.4m舟渡2丁目440,000円/m²
2.5m坂下3丁目438,000円/m²
2.6m蓮根3丁目494,000円/m²
3.2m坂下1丁目472,000円/m²
3.2m高島平7丁目398,000円/m²
3.8m蓮根2丁目470,000円/m²
4.4m高島平5丁目402,000円/m²
4.9m高島平1丁目436,000円/m²
5.4m相生町497,000円/m²
5.7m三園1丁目364,000円/m²

いっぽう高いほうは、常盤台2丁目が29.4m、赤塚3丁目が32.7m、小茂根1丁目が33.7mです。

ここで数字をひとつ並べておきます。標高1.4mの舟渡2丁目は440,000円/m²、標高29.4mの常盤台2丁目は740,000円/m²。標高は28.0m違うのに、価格差は1.68倍しかありません。台地か低地かという差は、駅からの距離や街並みの人気ほどには値段に出ていない、ということです。

断っておくと、これは標準地という「点」を測ったものであって、その町丁目の全部が同じ高さという意味ではありません。同じ町丁目の中でも、道1本で数メートル違います。測ったのは地形であって、浸水の想定ではありません。

この住所は浸水しやすい場所ですか?

住所を入れると、ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さをまとめて表示します。無料です。

板橋区は今月、中小河川のハザードマップを改訂しています

板橋区が公開している洪水ハザードマップは、荒川氾濫版だけではありません。石神井川・新河岸川・白子川を対象にした中小河川版が、令和8年8月に改訂されたばかりです。想定しているのは1時間雨量153ミリ・総雨量690ミリ。荒川氾濫版のほうは令和7年12月改訂で、3日間総雨量632ミリを想定しています。

そして荒川氾濫版には、こう注記されています。「想定を超える規模の降雨や、高潮および内水氾濫などを考慮していない」。

「ハザードマップで色が付いていないから大丈夫」——これも違います。私はここが、住まい探しでいちばん誤解されている場所だと考えています。荒川版の地図を見て「うちは色が付いていないから大丈夫」と受け取った方は少なくないはずですが、その地図はもともと今日のような降り方を計算に入れていません。板橋区に限らず、荒川版と中小河川版と雨水出水(内水)版は、別々に開く必要があります。

今夜のうちに確かめられること

板橋区は「浸水履歴」を公開しています。昭和43年4月30日以降の浸水被害を町丁目ごとにまとめたもので、五十音別のPDFから自分の町丁目を引けます。令和7年3月からは道路冠水箇所一覧表もここに統合されました。赤塚七丁目・大谷口一丁目・上板橋一丁目など、記録が無いと明記されている町丁目もあります。

過去に浸かった記録があるかどうかは、ハザードマップの想定とは別の情報です。実際に起きたことの記録なので、これから借りる・買う土地を見るときの材料になります。

8月22日の被害の件数や場所は、この記事を書いている時点では自治体からの発表がありません。分かり次第、更新履歴に追記します。

生活・仕事にどう効くか

  • 住まい探し:板橋区の住宅地の標準地は、標高1.4mの舟渡2丁目から35.7mまで幅がある。同じ区内でも34.3mの差があり、価格差は舟渡2丁目440,000円/m²と常盤台2丁目740,000円/m²で1.68倍にとどまる。低さは価格にほとんど織り込まれていない
  • 毎日の通勤・送迎:家が浸かるより先に道が使えなくなる。前日8月21日のさいたま市では、道路冠水35件に対して床上・床下浸水は合わせて5件で、消防への通報15件のうち10件が車等の水没だった
  • ハザードマップの読み方:板橋区の荒川氾濫版ハザードマップには「想定を超える規模の降雨や、高潮および内水氾濫などを考慮していない」と明記されている。今回のような降り方は、荒川版だけを見ても読めない

結局どうすればよいか

  • 板橋区の「浸水履歴」で自分の町丁目を引く。昭和43年4月30日以降の浸水被害が町丁目ごとの五十音別PDFで公開されており、令和7年3月からは道路冠水箇所一覧表も統合されている
  • 洪水ハザードマップは荒川氾濫版だけでなく、令和8年8月に改訂されたばかりの中小河川版(石神井川・新河岸川・白子川)と、雨水出水(内水)ハザードマップも開く
  • 低い道・地下道・地下駐車場を通る経路を、雨の日の迂回路とセットで決めておく。車で水に入らないことを家族で共有する

あわせて読む・調べる

くわしく知る(保存版の記事)

自分の場合を調べる(無料ツール)

公式出典

更新履歴

  • 2026年8月22日 初版を公開

※本記事は2026年8月22日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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