建物状況調査を実施する者のあっせんを「無」にする場合、標準媒介契約約款には理由の記載欄があります。2024年4月の改正で設けられたもので、不動産会社の実務では有無のチェックだけで処理を終えない確認が必要です。
国土交通省の制度案内を2026年10月6日に確認しました。個別の契約判断は実際の契約書・業務手順と所管窓口の案内に照らしてください。
あっせんと実施を分ける
あっせんの有無は、調査を行う事業者との手配に関する項目です。建物状況調査そのものの実施結果を記入する欄と同じではありません。媒介契約、調査の手配、調査結果の説明を別の段階として扱います。
「あっせんを無にすれば、建物の状態に関する説明も不要」とは限りません。国交省は、媒介契約時の書面、重要事項説明、契約成立時の書面という各段階で、宅建業者の役割を説明しています。

| 場面 | 国交省が説明する役割 |
|---|---|
| 媒介契約時 | 調査を実施する者のあっせんに関する事項を記載した書面を交付 |
| 重要事項説明 | 建物状況調査の結果の概要等を説明 |
| 契約成立時 | 建物の状況について当事者双方が確認した事項を記載した書面を交付 |
無の理由を確かめる
2024年の改正では、標準媒介契約約款に「あっせんを無とする理由」の記載欄が加わりました。さらに、建物状況調査の限界についても明記されたと国交省は案内しています。
書式を整える担当者が、一律に同じ理由を流し込むのは避けたい作業です。ここからは当サイトの実務上の提案です。依頼者が何を希望し、担当者がどこまで説明し、なぜ無となったかを先に確認してから記載します。
読者
前の案件の理由を、そのままコピーしてよい?
実際の事情が一致するかを担当者に確認してからです。書式の文章を先に決めると、依頼者の希望と記録がずれることがあります。
理由が未確認なら、担当者への確認項目として残します。「説明済み」「希望なし」といった事実を確認していないのに、処理を進めるためだけに書き足さないようにします。
| 担当者に聞くこと | 残す記録の例 |
|---|---|
| 調査の希望を聞いたか | 確認日と回答 |
| あっせんの対応を説明したか | 説明した内容と窓口 |
| 無になる事情は何か | 実際に確認した理由 |
| 誰が記載を確認するか | 担当者と確認日 |
調査は保証書ではない
国交省は、標準媒介契約約款に、建物状況調査は瑕疵の有無を判定するものではないなどの限界が明記されたと説明しています。調査をしたことだけで、建物のすべてが保証されたと広告に置き換えることはできません。
また、調査をしている場合でも、報告書の対象範囲や実施日を確認します。国交省が定める建物状況調査は、既存住宅状況調査技術者が、既存住宅状況調査方法基準に基づいて行う調査です。名称だけ似た別の点検と、資料を照合せず同一視しないでください。
実務上は、広告の短い説明文と報告書の長い記載の間で、意味が縮み過ぎないようにするのが確認点です。「調査済み」というひと言から、問題なし・保証ありという別の意味を足していないかを読み返します。
入稿担当が引き継ぐこと
書面を作る担当と広告を入稿する担当が別なら、調査の有無、実施日、資料名、担当者の説明内容を引き継ぎます。広告に載せてよい範囲と、契約前に確認する範囲も分けておくと照合しやすくなります。
私は、空欄を埋める速さより、どの記録から埋めたかを後で確認できる形の方が、修正の手戻りを減らしやすいと考えています。未確認の事実を記入しないという原則は、調査結果にも無の理由にも同じように使えます。
あっせん「無」は、何も確認しないための欄ではありません。実際の理由を記録し、調査の限界を伝える。その二つをそろえて、書式のチェックを完了させます。
参照した公式資料
確認日:2026年10月6日。冒頭の写真はPexelsのイメージ素材です。人物・作品・商品・店舗・事故現場そのものの写真ではありません。
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