平屋と2階建てで迷っているなら、先に土地の話をします。2024年に新築された居住専用住宅36万5,644棟を国土交通省の統計で数えると、平屋の敷地は1棟あたり342.8㎡(103.7坪)、2階建ては214.2㎡(64.8坪)でした。差は128.6㎡、坪でいえば38.9坪です。
ところが、その土地に建った家のほうは逆でした。平屋の延床は97.6㎡(29.5坪)、2階建ては123.4㎡(37.3坪)。平屋のほうが7.8坪小さいのです。広い土地に、小さい家。これが新築の平屋の平均像でした。
「平屋が高いのは、基礎と屋根が2階建ての2倍いるからです」。この説明そのものは、たぶん間違っていません。ただ、その説明を載せている記事をひととおり読んでも、敷地の広さの実数を出しているものは1本もありませんでした。家を建てるお金は、屋根より先に土地から出ていきます。
この記事でわかること
- ✓ 平屋の敷地は1棟342.8㎡(103.7坪)。2階建ての214.2㎡(64.8坪)より38.9坪広い
- ✓ なのに延床は平屋97.6㎡・2階建て123.4㎡で、平屋のほうが7.8坪小さい
- ✓ 47都道府県すべてで平屋のほうが敷地が広い。倍率の真ん中は1.36倍
- ✓ 倍率が大きいのは京都1.99・埼玉1.95・千葉1.90。地方ではなく都市部で開く
- ✓ 2階建ての平均敷地が200㎡を切る県は10。平屋が200㎡を切る県は0
- ✓ 坪単価と税額はこの記事では出しません。着工統計に工事費が入っていないからです

種別を決めたあとの話は別に書いています。買う前に読むならマンションと戸建て、買うならどっち|値段はほぼ同じなのに、広さは1.5倍ちがいました、建てるか買うかで迷っているなら戸建ては新築と中古どっちが安い?築30年で半額になる街と、9割の値段のままの街がありますのほうが、金額には早く効きます。
「平屋が高いのは、基礎と屋根が2倍だからです」——その説明に、土地の話が入っていません
Yahoo!知恵袋に、この記事の読者とまったく同じ質問があります。
「二階建てより平屋の方が建築費用が高くなると聞いたのですが、どれくらいの金額差になるんでしょうか? 平屋は二階建てに比べて、基礎と屋根が広くなる分費用が増すのはわかるのですが、二階建ても階段があって、階段も意外と高いと耳にしました。家の装備などで変わってくるとは思いますが、ざっとした坪単価の差が知りたいです。」
知りたいのは高いかどうかではなく、いくら違うのかのほうです。ところが、この問いに答えている検索上位の記事を集めてみると、様子がおかしいことに気づきます。
平屋 2階建て どっちが安い/平屋 2階建て 坪単価/平屋 2階建て 固定資産税/平屋 高い なぜ。この4つで検索して、上位に出てくる記事を全部読みました。並んでいるのは住宅会社と工務店が自社サイトに置いたコラム、比較サイト、住宅ポータルです。官公庁のページは1つも出てきません。
そして、そこに書いてある坪単価が1〜2割高いという水準や、30坪で2,400万円と2,100万円といった金額に、出どころが書かれている記事が1本もありませんでした。自社で見積もった水準を、そのまま相場として書いている形です。数字が嘘だという話ではありません。読者が検算できないという話です。
読者
じゃあ、このサイトは坪単価をいくらだと言うんですか?
言いません。国の建築着工統計には工事費が入っていないので、平屋と2階建ての坪単価を公的な数字で比べる方法が、いまのところ無いんです。持っていない数字は出しません。代わりに、誰も数えていなかったほうを数えました。
建築着工統計が毎年公表しているのは、棟数・床面積・敷地面積の3つです。工事費はありません。裏を返すと、敷地面積のほうは毎年ずっと公表され続けているのに、平屋の記事でその数字が使われたのを見たことがありませんでした。
新築36万5,644棟を数えると、平屋の敷地は2階建てより38.9坪広い
国土交通省の建築着工統計、令和6年(2024年)計の第4表-1を使います。用途の区分はA居住専用住宅、つまり住むためだけに建てられた新築だけを取り出しました。店舗併用の家は別区分なので入っていません。

| 地上の階数 | 棟数 | 1棟あたり延床 | 1棟あたり敷地 | 敷地利用率 |
|---|---|---|---|---|
| 平屋(1階建て) | 61,345棟 | 97.6㎡(29.5坪) | 342.8㎡(103.7坪) | 28.5% |
| 2階建て | 264,067棟 | 123.4㎡(37.3坪) | 214.2㎡(64.8坪) | 57.6% |
| 3階建て | 34,773棟 | 218.5㎡(66.1坪) | 170.5㎡(51.6坪) | 128.2% |
| 計 | 365,644棟 | 157.0㎡(47.5坪) | 240.7㎡(72.8坪) | 65.2% |
敷地利用率は、延床を敷地で割った数字です。平屋は28.5%、2階建ては57.6%、3階建てになると延床が敷地を追い越して128.2%になります。上へ伸ばすほど、同じ床を狭い土地で作れるという、当たり前のことがそのまま出ています。
ここで平屋の側だけを見ると、数字が2方向へ動いていることが分かります。土地は38.9坪増え、家は7.8坪減る。総額の話でいえば、片方は増額、片方は減額の要素です。だから「坪単価が1〜2割高い」がそのまま「総額が1〜2割高い」にはなりません。坪単価と総額が別物になる仕組みは、宝塚の土地は尼崎より坪17%安いのに、1区画では340万円高くつきますで1度書いています。
この記事の数字は、2024年に着工した新築の平均です。昔から建っている平屋は1棟も入っていません。いま建っている家をぜんぶ数えたストックの統計とは別の数字なので、この記事では新築だけで通します。

平屋が多いのは地方だから? どの都道府県でも、平屋のほうが敷地は広い
読者
平屋を建てるのは土地の安い地方でしょう。全国平均で比べたら、そりゃ敷地は広く出ますよね。
同じことを考えて、都道府県ごとに分けて出し直しました。結果は逆でした。差がいちばん大きいのは京都・埼玉・千葉です。
47都道府県すべてで、平屋のほうが2階建てより敷地が広く出ました。1つの例外もありません。倍率の真ん中は1.36倍です。地方だから広い、では説明がつかない形をしています。

| 倍率が大きい | 平屋/2階建ての敷地 | 倍率が小さい | 平屋/2階建ての敷地 |
|---|---|---|---|
| 京都 1.99倍 | 329㎡/165㎡ | 山口 1.12倍 | 309㎡/277㎡ |
| 埼玉 1.95倍 | 337㎡/173㎡ | 香川 1.14倍 | 310㎡/272㎡ |
| 千葉 1.90倍 | 352㎡/185㎡ | 岩手 1.16倍 | 354㎡/304㎡ |
| 東京都 1.82倍 | 249㎡/137㎡ | 佐賀 1.17倍 | 343㎡/294㎡ |
| 神奈川 1.74倍 | 273㎡/157㎡ | 島根 1.19倍 | 341㎡/287㎡ |
| 兵庫 1.71倍 | 309㎡/181㎡ | 山梨 1.20倍 | 409㎡/342㎡ |
左右の列を見比べると、動いているのが平屋の側ではないことが分かります。平屋の敷地は、京都329㎡・埼玉337㎡・千葉352㎡と、山口309㎡・香川310㎡・佐賀343㎡でほとんど変わりません。開いているのは2階建てのほうで、埼玉173㎡に対して岩手304㎡、東京137㎡に対して山梨342㎡です。
私は、これを都市部だから平屋に余分な土地がいるという話ではなく、土地が高い場所では2階建てだけが小さくなれるのだと読んでいます。上へ伸ばせば同じ床が半分の土地に載る。だから地価の高い場所では、2階建ての敷地から先に削られていく。平屋にはその逃げ道がないので、京都でも岩手でも300㎡台のままになる——というのが、この表から私が受け取った説明です。数字が示しているのはここまでで、地価との相関を統計で検定したわけではありません。
兵庫県で見ると、平屋309㎡に対して2階建て181㎡。差は128㎡で、全国の差128.6㎡とほぼ同じです。県の平均を見るだけでは、自分が買う区画の答えにはなりません。区画単位で値段が変わる話は不整形地が安い理由は、形だけではありません。安さの2割は「広さ」のぶんでしたにまとめています。
宮崎は新築の58.2%が平屋、東京は1.9%。30倍のひらきがあります
同じ統計で、新築のうち何%が平屋かを都道府県別に出しました。全国は16.8%。6軒に1軒です。
| 平屋率が高い | 平屋率が低い | ||
|---|---|---|---|
| 宮崎 | 58.2%(1,896/3,259棟) | 東京都 | 1.9%(667/35,451棟) |
| 鹿児島 | 55.9%(2,655/4,752棟) | 神奈川 | 3.0%(840/27,687棟) |
| 香川 | 44.4%(1,314/2,962棟) | 大阪 | 3.4%(692/20,581棟) |
| 山口 | 42.1%(1,550/3,683棟) | 京都 | 6.3%(388/6,202棟) |
| 佐賀 | 40.1%(1,051/2,623棟) | 兵庫 | 9.3%(1,264/13,549棟) |
宮崎58.2%と東京都1.9%で、約30倍のひらきがあります。兵庫は9.3%で、13,549棟のうち平屋は1,264棟でした。10軒に1軒です。
ここでもう一度、さっきの倍率の表を見てください。平屋率が低い側に並ぶ東京・神奈川・大阪・京都・兵庫は、敷地の倍率が大きい側に並んでいる県とほぼ同じ顔ぶれです。平屋にするために余分に買う土地が高くつく場所ほど、平屋が建っていない。2つの表は、同じことを裏と表から言っています。

2階建ての平均敷地が200㎡を切る県は10。平屋は0でした
敷地面積には、税金の計算のしかたが切り替わる線が1本あります。住宅用地の課税標準の特例(地方税法第349条の3の2)で、住宅1戸につき200㎡、坪でいえば60.5坪のところに引かれています。
- 200㎡以下の部分(小規模住宅用地)……固定資産税の課税標準を、価格の6分の1にする
- 200㎡を超えた部分(一般住宅用地)……同じく、3分の1にする
読者
200㎡を1㎡でも超えたら、土地ぜんぶが3分の1あつかいになるということですか?
いいえ、超えた部分だけです。300㎡の土地なら、200㎡ぶんは6分の1のまま、残りの100㎡ぶんが3分の1になります。全部が切り替わるわけではありません。
この線に、さっきの平均値を置いてみます。2階建ての全国平均は214.2㎡で、線の上に14.2㎡だけ乗っています。平屋の全国平均は342.8㎡で、線から142.8㎡はみ出します。はみ出す量が、ちょうど10倍ちがう位置関係です。
都道府県別に見ると、もっとはっきりします。2階建ての平均敷地が200㎡を切っている県は、東京137㎡・大阪146㎡・神奈川157㎡・京都165㎡・埼玉173㎡・兵庫181㎡・千葉185㎡・愛知193㎡・広島197㎡・沖縄199㎡の10県。同じ条件で平屋の平均敷地が200㎡を切る県は、0でした。いちばん狭い大阪でも246㎡あります。
この記事では、固定資産税の金額を1円も出していません。税額は土地と家屋の評価額で決まり、評価額は市町村が個別に付けるものだからです。ネットで見かける「平屋だと年に◯万円高くなります」という試算は、書き手が置いた仮の評価額の上に乗っています。自分の家の数字が知りたいときは、毎年4〜6月に届く課税明細書か、市町村の資産税課で確認してください。
このエリアの相場はいくらですか?
住所を入れると、国の成約データから土地・戸建て・マンションの坪単価の目安が出ます。無料です。

平屋は、買った土地の大半を建てずに残します
敷地利用率28.5%という数字に、もう一度戻ります。平屋は延べ床がそのまま1階の面積なので、342.8㎡のうち建物が乗っているのは97.6㎡。残る245.2㎡(74.2坪)は、建物以外の土地です。2階建てで同じ引き算はできません。延べ床123.4㎡は1階と2階の合計なので、地面を覆っている面積はこれよりずっと小さくなります。
この残りは、庭にも駐車場にも家庭菜園にもなります。平屋を選ぶ理由がそこにある人にとっては、38.9坪は無駄ではなく目的です。問題は、その使い道を決めないまま契約に進む場合です。
私は、平屋の相談で最初に詰めるべきなのは間取りではなく、残る7割を何にするかだと考えています。理由は単純で、この7割には毎年固定資産税がかかり、草が生え、雪国なら雪が積もり、売るときには広すぎて買い手が限られる土地になるからです。建物の坪単価が1割高いかどうかより、こちらのほうが長く効きます。
もう1つ、契約の前に見ておくものがあります。土地を広く買うということは、その土地の条件も広く引き受けるということです。前面道路の幅で値段が変わる話はお盆に実家へ帰ったら、前の道の幅を測ってください|道幅4m未満の土地は、駅から遠い地域ほど3割安いに書きました。地形のほうは、住所を入れれば洪水・土砂・地震・津波の4つをまとめて見られます。

では、どちらを選ぶか
この記事の材料で言えることと、言えないことを分けます。
言えるのは3つです。平屋は2階建てより敷地が38.9坪広い。家は7.8坪小さい。そして、その関係は47都道府県すべてで同じ向きに出ていて、差がいちばん大きいのは京都・埼玉・千葉、いちばん小さいのは山口・香川でした。
言えないのは、坪単価と総額と税額です。建築着工統計に工事費が入っていないので、公的な数字では出せません。耐震性の優劣も、この統計からは何も言えません。
知恵袋には「平屋を建ててやっぱり二階建てにした方がよかったなって後悔された方いますか?」という質問も立っています。検索上位の記事がその問いに返しているのは、費用と老後の暮らしやすさの話がほとんどでした。土地の話は、そこにも出てきません。
決め方としては、こうなります。
- 平屋が向く——残る7割の使い道が先に決まっている/土地の値段が坪あたりで低い地域にいる/敷地が200㎡を超えても土地の維持を引き受けられる
- 2階建てが向く——同じ床を狭い土地で作りたい/候補地が東京・神奈川・大阪・京都・兵庫のように2階建ての敷地が200㎡を切る地域にある/土地代を削って建物に回したい
- どちらでも、先に調べること——候補地の坪単価。38.9坪ぶんの土地代は、坪20万円なら778万円、坪40万円なら1,556万円です。建物の見積りを取る前に、この額から確かめてください
そして、坪単価が分かったら次は総額です。同じ予算で何が買えるかは、種別より街で決まります。マンションと戸建て、買うならどっち|値段はほぼ同じなのに、広さは1.5倍ちがいましたと「家賃を払い続けるのはもったいない」が正しい市と、そうでない区。持ち家と賃貸どっちが得かは街で反転しますを並べて読むと、予算の置き場所が変わります。
よくある質問
平屋の坪単価は、2階建てより何%高いのですか
この記事では出しません。国の建築着工統計に工事費が入っていないためです。検索上位に並ぶ1〜2割高いという数字は、住宅会社が自社の見積り水準から書いたもので、出どころが示されていません。工事費は、同じ延べ床・同じ仕様で2社以上から見積りを取って比べてください。
平屋のほうが固定資産税は高くなりますか
税額はこの記事では出しません。確かなのは、土地の課税標準に200㎡(60.5坪)の線があり、超えた部分の扱いが変わることだけです。平屋の全国平均342.8㎡はこの線を142.8㎡はみ出し、2階建ての214.2㎡は14.2㎡です。金額は評価額しだいなので、課税明細書か市町村の窓口で確認してください。
平屋は地震に強いと聞きましたが、本当ですか
この記事のデータからは判断できません。建築着工統計は棟数・床面積・敷地面積の統計で、耐震性能の項目がありません。強い・弱いのどちらにも、ここでは踏み込みません。
平屋を建てるには、何坪の土地が必要ですか
必要な広さではありませんが、2024年に実際に建った平屋の敷地は平均103.7坪でした。2階建ては64.8坪です。ただしこれは全国の平均で、大阪は74.4坪、長野は149.7坪と幅があります。建蔽率と容積率は市町村の用途地域で決まるので、候補地が決まったら都市計画課で確認してください。
平屋率が高い県で建てれば、平屋は安く建てられますか
建物の値段については何も言えません。分かっているのは、平屋率が高い県では2階建ての敷地も広い(山口277㎡・佐賀294㎡)ので、平屋にしたときの土地の増え方が小さいことです。山口で1.12倍、京都で1.99倍という差はそこから出ています。
この記事の数字の出どころと、読むときの注意
- 棟数・床面積・敷地面積:国土交通省「建築着工統計調査 建築物着工統計」令和6年(2024年)計 第4表-1「用途別(大分類)、地上の階数別、構造別(新築工事)/建築物の数、床面積の合計、敷地面積」。e-Stat(イースタット) 統計表ID(アイディー) 000040247004(政府統計コード 00600120)
- 抽出条件:用途「A居住専用住宅」の新築工事のみ。店舗や事務所を兼ねた建物(区分C 居住産業併用建築物)は含みません
- 1棟あたりの数値:床面積の合計÷建築物の数、敷地面積÷建築物の数。坪換算は1坪=3.305785㎡
- 敷地利用率:床面積の合計÷敷地面積。3階建てが100%を超えるのは、延床が階数ぶん積み上がるためです
- 都道府県別の倍率:同じ表の都道府県別の敷地面積から算出しました。元表の値が整数㎡に丸められているため、倍率は小数第2位までの概数です
- 集計日:2026年8月26日
- この記事の数字は、2024年に着工した新築だけのものです。いま建っている家をぜんぶ数えたストックの平屋率とは別の数字なので、混ぜて読まないでください
- 住宅用地の課税標準の特例:地方税法第349条の3の2。200㎡以下の部分と超える部分で扱いが分かれる枠組みだけを書き、税率・評価額・税額は書いていません
- 読者の質問:Yahoo!知恵袋「二階建てより平屋の方が建築費用が高くなると聞いたのですが」/同「平屋を建ててやっぱり二階建てにした方がよかったなって後悔された方いますか?」。引用したのは質問文だけで、回答は引いていません
- 競合記事の傾向:平屋 2階建て どっちが安い/平屋 2階建て 坪単価/平屋 2階建て 固定資産税/平屋 高い なぜ の4クエリで上位に出た記事を、2026年8月26日に採取して確認しました


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