🗨️「台風で停電したら、電力会社はすぐ直しに来てくれるんですよね?」
暴風域の中にいるあいだは来ません。九州電力送配電は復旧の手順として「台風通過後に設備被害状況の確認及び復旧作業に着手します」と書いています。復旧の時計が回り始めるのは、停電した瞬間ではなく、風がやんだ時刻からです。
[災害] この記事の要点
気象庁によると、台風18号「ソウデル」は2026年8月26日9時の実況で沖永良部島の西北西約160kmにあり、中心気圧960hPa、中心付近の最大風速40m/s、最大瞬間風速55m/sの強い勢力。暴風域は中心から半径130km、強風域は北東側390km・南西側280kmで、西北西へ毎時15kmで進んでいる。暴風域とは、気象庁の定義で「風速25m/s以上の風が吹いているか、吹く可能性がある範囲」を指す。
2026年8月26日 発表
- いま暴風域・強風域に入っている家で過ごしている人
- これから台風が来る地域で、在宅避難の準備をしている人
- 停電したときに何日分をそろえればいいか決めかねている人
この記事でわかること
- 暴風域の中で復旧作業が始まらない理由
- 2024年の台風10号で、九州が実際に何日待ったか
- 在宅避難の日数をどこから数えるか
必要量から逆算してそろえるもの
早見表の数字をそのまま買い物に落とすと、こうなります。全部を今そろえる必要はなく、水とトイレの2つが先です。
飲料水は1人1日3L。4人家族の1週間分で84L=2Lボトル42本なので、6本入りだと7ケースぶんです。5年保存タイプなら入れ替えの手間が減ります。
水は1L=1kgです。20Lタンクは20kgになって手では運べません。小さい袋に分けて何回かに分けるほうが、実際には水を確保できます。
ボンベ1本で約60〜90分。4人家族の1週間分でおよそ6本が目安です。多めに持ってローリングストックにすると、鍋物などで日常的に消費できます。
災害時に多いつまずきが「ケーブルが見つからない・端子が合わない」です。本体にケーブルが付いている型だとそこで止まりません。20000mAhでスマホ数回分。
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暴風域は風速25m/s以上。その中に作業車は入れません
気象庁の定義では、強風域が風速15m/s以上、暴風域が風速25m/s以上の風が吹いているか、吹く可能性がある範囲です。高所で電線を扱う作業ができる風ではありません。
だから電力会社は、暴風域の中では動きません。九州電力送配電は復旧の手順として、はっきりこう書いています。
台風通過後に設備被害状況の確認及び復旧作業に着手します
確認すら、台風が通り過ぎたあとです。停電した瞬間に電話をしても、どこが壊れているかは電力会社もまだ知りません。復旧見込みの時刻が出てこないのは、隠しているからではなく、見に行けていないからです。
じゃあ、停電したら何もできずに待つだけですか。
待つ時間があることを、先に計算に入れておくんです。多くの人は「3日分そろえた」と言うとき、停電した瞬間から3日を思い浮かべます。実際は、風がやむまでの時間がその手前に丸ごと乗ります。
2024年の台風10号で、九州は何日待ったのか
ここは推測ではなく実測があります。九州電力と九州電力送配電が、経済産業省の電力安全小委員会に出した振り返り資料です。
| 時刻 | 起きたこと |
|---|---|
| 8月29日 0時53分 | 鹿児島県枕崎で最大瞬間風速51.5m/sを観測 |
| 8月29日 朝方 | 台風10号が鹿児島県に上陸 |
| 8月29日 11時 | 九州管内の停電が最大の約263千戸に |
| 8月30日 昼頃 | 台風が九州エリアを抜ける |
| 9月1日 夕方 | 高圧配電線の送電が完了 |
資料の書き方はこうです。「暴風雨が収まり巡視可能となった南部エリアから直ちに巡視・復旧作業を開始」。エリアごとに、暴風がやんだ順に作業が始まっています。会社が手を抜いたのではなく、入れる場所から入るしかない、ということです。
停電のピークが8月29日11時で、高圧配電線の送電完了が9月1日夕方。その差はおよそ3日です。そしてそのうち丸1日以上は、台風がまだ九州にいて誰も外に出られない時間でした。
被害の量も出ています。支持物、つまり電柱などが167本の折損・傾斜、電線は4,056条径間の断線・混線。県別の最大停電戸数は鹿児島が225千戸で、九州全体263千戸のおよそ86%が鹿児島に集中していました。
その理由も資料に書かれています。「非常に長い時間暴風圏にあった鹿児島エリアでは、倒木・道路損壊の影響等により、広い範囲で支持物折損、電線断混線等の設備被害が多数発生」。暴風域にいた時間の長さが、そのまま被害の量になっています。
在宅避難の日数は、風がやんでから数えます
ここまでをまとめると、停電の長さは2つの足し算です。
- 台風が自分の地域を抜けるまでの時間
- 抜けたあと、電線が直るまでの日数
台風10号のように上陸から通過まで1日以上かかる進み方をすると、前半だけで水も電気も丸1日使うことになります。備蓄を「3日分」で用意している人は、実質2日分しか後半に残りません。
先に減るのは水とトイレです。停電するとポンプで水を上げている建物は水が止まり、断水しなくても流せなくなります。食料より先にこの2つを見てください。
高圧が戻っても、うちだけ点かないことがあります
九州電力送配電の手順書には、もうひとつ書かれていることがあります。「高圧配電線の復旧完了後も、ご家庭の引込線の断線などにより停電している場合があります」。
電柱から家に引き込む線は、1軒ずつの工事です。近所の家の明かりが点いたのに自分の家だけ暗い、という状況は普通に起こります。そのときは待っていても順番が回ってきません。自分から連絡して初めて対象になります。
さらに「土砂災害、風倒木などで道路が寸断された箇所は、復旧に必要な車両が進入できないため、復旧に時間を要することがあります」とも書かれています。電線より先に、道を開ける工程が挟まるということです。
復旧までの日数そのものについては、過去の大規模停電の実測を別の記事にまとめてあります。
「何日分」ではなく「何時間待つか」で考える
ここからは私の見方です。防災の備蓄は「3日分」「1週間分」と量で語られますが、私はこの数え方が実際とずれていると考えています。量の前に、待ち時間の長さが人によって違うからです。
同じ台風でも、暴風域に3時間だけ入る家と、鹿児島のように長い時間入り続ける家では、復旧の始まる時刻が丸1日違います。量を同じにしても、届く先が違います。
だから家を選ぶときにも、ハザードマップの色だけでなく、そこへ入る道が何本あるかを見ておくと役に立ちます。道が1本しかない場所は、電気が戻るのも最後になりやすい。地図で数えるだけなら、内見の前に自宅で終わります。
生活・仕事にどう効くか
- 停電した直後:台風がまだ頭の上にあるあいだは、巡視そのものができない。どこが壊れたかを電力会社も把握していないので、復旧見込みの時刻も出ない。
- 備蓄の量:「3日分」を停電した瞬間から数えると足りない。台風が抜けるまでの時間を先に足す必要がある。2024年の台風10号では、鹿児島上陸から九州を抜けるまでに丸1日以上かかっている。
- 家を選ぶとき:資料には「倒木・道路損壊の影響等により」被害が広がったと書かれている。集落へ入る道が1本しかない場所は、電線が直る前に道を開ける工程が挟まる。
結局どうすればよいか
- 暴風域に入っているあいだは外に出ず、復旧見込みは風がやんでから確認する
- 在宅避難の備蓄は「台風が抜けるまでの時間+復旧の日数」で数え直す
- スマホの電池を復旧見込みの確認だけに絞り、点灯や情報収集は別の道具に回す
公式出典
- 気象庁「台風の大きさと強さ」(強風域・暴風域の定義)(2026年8月26日発表)
- 気象庁「台風情報の見方」(予報円・暴風警戒域)(2026年8月26日発表)
- 九州電力送配電「停電の復旧手順」(2026年8月26日発表)
- 九州電力・九州電力送配電「台風10号に伴う停電復旧対応の振り返り」(経済産業省 電力安全小委員会 資料1-2)(2024年12月19日発表)
- 気象庁 台風18号 台風情報(配信データ)(2026年8月26日発表)
更新履歴
- 2026年8月26日 初版を公開
※本記事は2026年8月26日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。


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