🗨️「工事中に不発弾が出てきたら、国が全部やってくれるんですよね?」
信管を外す作業は自衛隊が国費で行います。ところが警備や防護壁、避難の周知にかかるお金は別で、国が出すのは経費の2分の1以内。残りは自治体や土地の所有者が負担した例があります。
[不動産] この記事の要点
長崎県大村市で見つかった不発弾の処理にともない、JR九州は2026年8月25日、9月6日の午前に西九州新幹線と大村線の一部で運行を見合わせると発表した。不発弾の処理は毎年各地で行われているが、その費用を国や自治体に負担させる法律は存在しないと、政府は2019年の答弁書ではっきり述べている。
2026年8月26日 発表
- 土地を買って家を建てようとしている人
- 相続した土地を売る前に解体・造成しようとしている人
- 旧軍施設や旧市街地の近くで工事を予定している人
この記事でわかること
- 不発弾処理の費用を国や自治体に負担させる法律が「存在しない」と政府が答えている事実
- 国が出す交付金が経費の2分の1以内で、沖縄県だけ10分の9以内になっている理由
- 土地を買う前・工事を頼む前に確認しておくこと
「国が全部やってくれる」——法律には、そう書かれていません
不発弾が出たら自衛隊が来て処理してくれる。だからお金の心配はいらない。多くの人がそう思っています。ところが政府自身が、2019年11月8日の答弁書でこう答えています。国又は地方公共団体による費用の負担を義務付ける法律は存在しない、と。
誰が払うのかを決めた法律が無い。これが出発点です。だから実際には、自治体が払うこともあれば、土地の所有者が払うこともあります。
自衛隊の作業はタダなんですよね?
信管を外す安全化作業は自衛隊法にもとづく仕事なので国費です。お金が問題になるのは、その前後にかかる費用のほうです。
お金がかかるのは、爆弾そのものではなく「周り」
質問主意書と答弁書に出てくる費用の区分を並べると、負担の中身が見えてきます。
| 区分 | 中身 | 誰が払うか |
|---|---|---|
| 安全化作業 | 信管の除去・搬出 | 自衛隊法にもとづき国が負担 |
| 直接費用 | 現場の警備(ガードマンの配置)、防護壁の設置などの処理前作業 | 定めがなく、自治体や土地所有者が負担した例がある |
| 間接費用 | 現地対策本部の光熱費・レンタカー代、住民への周知にかかる費用 | 同上 |
爆弾は自衛隊が持っていってくれます。残るのは、その日のために張った規制線と、住民に配った案内と、置いた防護壁の請求書です。
国が出すのは「2分の1以内」。沖縄だけ「10分の9以内」
まったく国が出さないわけではありません。答弁書によれば、総務省設置法附則第2条第1項第7号にもとづき、当該経費の2分の1以内に相当する額が不発弾等処理交付金として交付されます。さらに地方交付税法第15条第1項にもとづく省令で、特別交付税の措置も講じられています。
そして沖縄県だけは別です。沖縄振興特別措置法附則第5条の2にもとづき、交付されるのは当該経費の10分の9以内。地上戦のあった沖縄では今も不発弾が出続けているため、国の関与の度合いが最初から違います。
実際にいくら払ったのか——約570万円という数字
金額の手がかりが1つだけ、公の資料に残っています。質問主意書によれば、2018年2月の大阪地方裁判所の判決の事案で、土地所有者3人の自己負担額は約570万円でした。3人はその返還を求めて訴えています。
570万円という額を、土地の値段と並べてみてください。地方であれば土地が1区画買えます。都市部の建売なら、諸費用と外構をまとめて飲み込む額です。それが「自分の土地から古い鉄の塊が出てきた」というだけで発生します。
私はこう見ています
私は、この費用の帰属は不動産取引の説明から抜け落ちている論点だと考えています。買主が受け取る重要事項説明書には、都市計画も、道路も、上下水道も、土砂災害警戒区域も書かれます。けれども「この地域では過去に不発弾が出ている」は、そこに載る項目ではありません。
載らない理由もはっきりしています。どこに埋まっているか誰も知らないからです。だからこそ、買う側が自分で聞くしかない。旧軍の飛行場・港湾・鉄道の操車場・空襲を受けた市街地——このあたりに心当たりのある土地なら、契約の前に市区町村の担当課へ一本電話を入れる価値があります。事実だけ聞けば済みます。過去にこの地区で不発弾が出たことはありますか、と。
このエリアの相場はいくらですか?
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土地を買う前・工事を頼む前にやること
やることは3つです。第1に、購入を決める前に自治体の担当課へ過去の発見事例を確認する。第2に、解体や造成の契約書で、不発弾が出た場合の工期の延長と費用の扱いがどう書かれているかを見る。契約書に何も書かれていなければ、そこが後で揉める場所になります。第3に、万が一工事中に出てきたら、絶対に動かさず、その場で作業を止めて警察と自治体へ連絡する。
不発弾は珍しい話に見えて、9月6日には長崎で新幹線が3時間止まります。備えようがないものだからこそ、出たときに誰が払うのかだけは先に知っておいてください。
生活・仕事にどう効くか
- 工事の予定:不発弾が出れば工事は止まる。警備・防護壁の設置・住民の周知が終わるまで再開できず、引き渡しの日程がまるごとずれる。
- 手元のお金:2018年2月の大阪地方裁判所の判決の事案では、土地所有者3人の自己負担額は約570万円だった。
- 住む場所による差:国の交付金は一般の地域が経費の2分の1以内、沖縄県だけが10分の9以内。同じ不発弾でも自治体の持ち出しがまるで違う。
結局どうすればよいか
- 土地を買う前に、市区町村の担当課へ過去に不発弾が出た地域かどうかを聞く
- 解体・造成の契約前に、不発弾が出た場合の工期と費用の扱いを書面で確認する
- 工事中に見つけたら触らず、その場で工事を止めて警察と自治体へ連絡する
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公式出典
- 参議院 第200回国会 質問第42号「不発弾処理の費用負担に関する質問主意書」(提出者 熊谷裕人)(2019年10月29日発表)
- 参議院 第200回国会 答弁第42号「不発弾処理の費用負担に関する質問に対する答弁書」(2019年11月8日発表)
- JR九州 長崎支社「不発弾処理に伴う運行見合わせについて(西九州新幹線・大村線)」(2026年8月25日発表)
更新履歴
- 2026年8月26日 初版を公開
※本記事は2026年8月26日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。


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