浜松市で津波の浸水が想定されているのは、中央区の遠州灘沿いと、浜名湖の出口にある舞阪・弁天島です。町・字の代表点で見ると、市内549のうち29が県の津波浸水想定(最大クラス)の範囲に入り、いちばん深い田尻町は5〜10mの想定です。
ただし、この想定は2020年に完成した長さ17.5kmの防潮堤を入れずに描かれています。防潮堤ができた今も、市は「施設整備前の最悪の事態を想定した津波浸水想定を参考に避難してください」と書いています。
先に結論
- ✓ 最大津波高は旧南区15m・旧西区14m(県の第4次想定レベル2)。どちらも今は中央区で、内閣府の2025年版は中央区17m
- ✓ 1mの津波は中央区の海岸に5分で来る(内閣府2025年ケース①)。砂丘を越えて内陸に入るのは約20分後と市は見ている
- ✓ 津波避難施設は268か所(ビル256・タワー9・マウンド3、2026年1月末)。避難対象区域の人口は194,852人
いま津波警報・注意報が出ているなら
この記事は平時に読む想定の地図です。いま出ている警報と予想の高さは気象庁の津波情報(予報区「静岡県」)、避難指示は市の防災情報で確かめてください。海や川の近くにいるなら、読むより先に高い所へ。
浜松市で津波が来る範囲

範囲に入る29はすべて中央区で、浜名区・天竜区は代表点では0です。深いのは田尻町の5〜10mで、舞阪町長十新田と堤町が3〜5m。中田島町・倉松町・米津町など遠州灘沿いの町が0.5〜3mで続きます。
海から離れた神田町(0.5〜3m)や森田町(0.5m未満)にも色が付きます。市の推進計画は、浸水深1cm以上の津波が「海岸から約4㎞まで到達する」と書いています。
浜名区は代表点では0ですが、浜名湖北岸の細江町気賀や三ヶ日町の一部は、大津波警報(3m超)で市が避難指示を出す区域に入っています。

浜名湖の出口を挟む舞阪と弁天島は、市が津波警報(3mまで)の段階で避難指示を出す6町のうち5町がある場所です。舞阪町舞阪西町・砂町・吹上と弁天島一弁・二弁で、残る1町は江之島町です。
市は、遠州灘沿岸に「標高6~10mの砂丘が存在する」と書き、旧西区・旧南区は三方原台地を除いて「標高10m以下の低地が広く分布している」としています。砂丘を越えた水が奥まで広がる地形です。

| 町・字 | 区 | 想定の深さ(代表点) |
|---|---|---|
| 田尻町 | 中央区 | 5〜10m |
| 舞阪町長十新田 | 中央区 | 3〜5m |
| 堤町 | 中央区 | 3〜5m |
| 神田町 | 中央区 | 0.5〜3m |
| 坪井町 | 中央区 | 0.5〜3m |
| 舞阪町浜田 | 中央区 | 0.5〜3m |
| 馬郡町 | 中央区 | 0.5〜3m |
| 江之島町 | 中央区 | 0.5〜3m |
| 卸本町 | 中央区 | 0.5〜3m |
| 倉松町 | 中央区 | 0.5〜3m |
| 小沢渡町 | 中央区 | 0.5〜3m |
| 白羽町 | 中央区 | 0.5〜3m |
| 遠州浜一〜四丁目 | 中央区 | 0.5〜3m |
| 中田島町 | 中央区 | 0.5〜3m |
| 法枝町 | 中央区 | 0.5〜3m |
| 松島町 | 中央区 | 0.5〜3m |
| 米津町 | 中央区 | 0.5〜3m |
| 篠原町 | 中央区 | 0.5〜3m |
| 三新町 | 中央区 | 0.5〜3m |
| 寺脇町 | 中央区 | 0.5〜3m |
| 新橋町 | 中央区 | 0.5〜3m |
| 福島町 | 中央区 | 0.5〜3m |
深さは、国土交通省「位置参照情報」の町・字の代表点(およその中心)1点で、重ねるハザードマップの津波浸水想定(最大クラス)を読んだ値です。代表点が範囲の外でも、町・字の中の低い所は範囲に入っていることがあります(ハザードマップで色がない場所の意味)。
揺れた瞬間に、部屋の中で起きることを減らすもの
地震のけがの3〜5割は、屋内の家具類の転倒・落下・移動によるものです(東京消防庁)。壁にネジを打てない部屋でもできる手から並べます。
東京消防庁の実験では、L型金具で壁に直接ネジ止めするのが最も効果が高いとされています。賃貸で壁に穴を開けられない部屋での代わりがこれです。家具の両端の側板部を、できるだけ奥で突っ張ります。天井側にも強度が要ります。
突っ張り棒だけだと効きが落ちます。同じ資料が、ポール式にはストッパー式や粘着マット式の併用をすすめています。マット単独でも効果は小さいので、上の棒と2つで1組と考えてください。
お湯でも水でも作れて、袋のままおにぎりの形になります。断水すると鍋も食器も洗えません。洗い物の出ない形を先に入れておくと、水の減り方が変わります。
飲料水は1人1日3L。4人家族の1週間分で84L=2Lボトル42本なので、6本入りだと7ケースぶんです。5年保存タイプなら入れ替えの手間が減ります。
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何メートルの津波が何分で来るか
静岡県の第4次地震被害想定(2013年6月)では、レベル2の最大津波高は旧南区15m・旧西区14m(東京湾平均海面からの高さ)です。2024年1月の区の再編で、どちらも今は中央区です。
内閣府が2025年3月31日に公表した南海トラフ巨大地震の想定では、中央区の最大津波高は17mで、2012年の前回は16mでした。
時間は、内閣府のケース①で中央区の海岸に1mの津波が5分、3mが6分、5mが18分です。市は「遠州灘沿岸に約5分で到達するものの、標高6~10mの砂丘があるため、内陸への流入は約20分後」と書いています。
| 想定 | 値 | 出どころ |
|---|---|---|
| 最大津波高(満潮時) | 17m(中央区) | 内閣府 2025年3月(11ケースの最大値) |
| 最大津波高(レベル2) | 旧南区15m・旧西区14m | 静岡県 第4次想定 2013年6月 |
| 1mの津波が来る時間 | 5分(中央区) | 内閣府 2025年3月 ケース① |
| 最大の波が来る時間 | 旧南区22分・旧西区23分 | 静岡県 第4次想定 ケース① |
| 浸水面積 | 約41.9km² | 市の推進計画(県の第4次想定から) |
| 津波による死者の想定 | 約16,610人 | 市の推進計画(ケース①・冬の深夜・早期避難率低) |
防潮堤は天竜川の西岸から今切口の東岸まで約17.5km、高さは県の資料で東京湾平均海面から13〜15m(T.P.+13〜15m)です。一条工務店グループの寄附300億円をもとに県が整備し、2020年3月31日に本体が完成しました。
市の避難計画は効果を「宅地の浸水面積の約8割の低減」と見込みます。
市が「避難困難のおそれのある地域」に数える人は、防潮堤の前の16,552人が、整備後は県のシミュレーションをもとにした市の試算で0人です。ただし県の第4次想定の浸水区域のままで数えると、舞阪・篠原に1,688人残ります。
「防潮堤ができたから津波は来ない」とは言い切れません。切れ目になる馬込川の河口では水門の整備が続いていて、市は「防潮堤を整備しても依然として津波浸水域は存在する」と書いています。
市の津波浸水深マップの注記:「防潮堤整備により浸水しなくなると想定した地域においても津波による浸水の危険が無くなるということではありません。」この記事の地図と表は、防潮堤の効果を入れていない県の想定(2013年)です。
浜松市に来た過去の津波

浜名湖の出口「今切(いまぎれ)」について、県の災害誌は1498年の明応地震で「浜名湖が津波で切れ海に通ずるようになった。今切という。」と書き、市の推進計画も「浜名湖が津波で切れ海に通じるようになったと言われている」としています。
同じ災害誌は舞阪について「大地震と津波で一瞬のうちに舞沢は押し流され湖底に没した」と記しています。
1944年の東南海地震の舞阪の津波は、県の災害誌が「0.6~1m」、市の推進計画が「3m」としていて、資料で数字が違うため、年表には入れていません。
国土地理院の自然災害伝承碑は浜松市内に1基で、浜名区都田町の洪水の碑です。津波の碑は0基で、記録は碑ではなく町の災害誌に残っています。
この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
逃げる場所と、いま出ている情報
浜松市の津波避難施設は2026年1月末で268か所です。津波避難ビル256、津波避難タワー9、津波避難マウンド3で、ビルは鉄筋コンクリート造の3階建て以上が基準です。
市の目安は、揺れている約5分のあと、砂丘を越える約20分までに歩いて500m以内の避難先に着くことです。ビルには「食料等の備蓄はありません」と市は書いています。
- 「浜松市防災マップ」(電子版)で自宅の浸水深と最寄りの津波避難ビルを見る。紙の「津波浸水域図」は2014年4月発行で、施設は当時のまま
- 市の「津波避難ビル」一覧(2026年5月1日時点)で、公表されている227棟の名前と住所を確かめる。ほかに非公開が41棟
- 浜松市防災ホッとメールと、市のLINE公式アカウント(しゃんべぇ情報局)で避難指示を受ける
- 津波警報では舞阪・弁天島・江之島町の6町、大津波警報(3〜5m)では遠州灘沿いと浜名湖沿岸、5m超では内陸の浸水域まで避難指示が広がる
津波警報は気象庁が予報区「静岡県」に出します。市単位では出ません。市は、揺れが弱くても長い時間ゆっくり揺れたら「サイレンやテレビ情報を待たずに」逃げるよう書いています。
静岡県の津波災害警戒区域(イエローゾーン)は14市町で指定済みですが、浜松市は未指定の7市町に入っています。地図の色は県の想定(2013年)で見ることになります。
市の津波浸水域図の留意事項:「本資料で浸水しないとされた地域においても津波の危険性が全く無いということではありません。」色がない場所が、来ない場所ではありません。
浜松市のほかの災害リスク・ほかの市
- 浜松市 冠水 どこが危ないの?
- 実は地名にヒントがあります 静岡の「浜」は海抜3.7m、津波までに歩けるのは200m
- 津波 到達時間/南海トラフは最短2分
- 糸魚川静岡構造線 30年14〜30%で全国最大
- ハザードマップ 色なし うちは安全ってこと?
- 静岡市 津波 どこまで来るの? (静岡県)
- 仙台市 津波 どこまで来るの? (宮城県)
- 高知市 津波 どこまで来るの? (高知県)
- 千葉市 津波 どこまで来るの? (千葉県)
- 横浜市 津波 どこまで来るの? (神奈川県)
- 大阪市 津波 どこまで来るの? (大阪府)
- 徳島市 津波 どこまで来るの? (徳島県)
- 大分市 津波 どこまで来るの? (大分県)
- 那覇市 津波 どこまで来るの? (沖縄県)
- 小田原市 津波 どこまで来るの? (神奈川県)
- 館山市 津波 どこまで来るの? (千葉県)
- 八戸市 津波 どこまで来るの? (青森県)
- 宇和島市 津波 どこまで来るの? (愛媛県)
- 宮崎市 津波 どこまで来るの? (宮崎県)
- 釧路市 津波 どこまで来るの? (北海道)
- 和歌山市 津波 どこまで来るの? (和歌山県)
- 苫小牧市 津波 どこまで来るの? (北海道)
- 鎌倉市 津波 どこまで来るの? (神奈川県)
- 新潟市 津波 どこまで来るの? (新潟県)
- 鹿児島市 津波 どこまで来るの? (鹿児島県)
浜松市の津波は中央区の遠州灘沿いと舞阪・弁天島に集まり、1mの波が5分で来る想定です。防潮堤があっても、避難は県の想定(防潮堤なし)で考えるのが市の方針です。自宅の町が表か、市の津波避難計画の避難対象区域にあるなら、500m以内の津波避難ビルを1つ決めておくところまでが準備です。
出典(すべて2026年10月4日に確認)
- 静岡県「静岡県第4次地震被害想定」
- 静岡県 第4次地震被害想定(第一次報告)第2編 自然現象の想定(平成25年6月)PDF
- 静岡県「静岡県津波浸水想定」(平成25年11月公表)
- 静岡県「津波災害警戒区域及び津波災害特別警戒区域の指定状況」
- 静岡県「浜松市沿岸域 津波対策事業」
- 浜松市「行政区の再編について」
- 浜松市「ハザードマップ(浜松市防災マップ)」
- 浜松市地震防災マップ「津波浸水域図(レベル2重ね合わせ図)」(平成26年4月)PDF
- 浜松市「津波浸水深マップ(防潮堤整備前後の沿岸部浸水域)」
- 浜松市「津波避難ビルの指定について」(一覧 令和8年5月1日時点)
- 浜松市津波避難計画(令和8年2月改訂版)PDF
- 浜松市津波防災地域づくり推進計画(令和8年3月一部改訂)PDF
- 浜松市「防潮堤整備事業」
- 浜松市「浜松市防災ホッとメール」
- 静岡県「静岡県市町村災害誌」(旧浜松市・舞阪町・雄踏町・細江町)
- 内閣府「南海トラフ巨大地震モデル・被害想定手法検討会」報告書・市町村別一覧表(令和7年3月31日)
- 気象庁「津波予報区について」
- 国土地理院「自然災害伝承碑」
- 地図:国土地理院「重ねるハザードマップ」(津波浸水想定)・地理院タイル/町・字の代表点:国土交通省「位置参照情報」(2025年版)
- 気象庁「津波警報・注意報、津波情報、津波予報について」
- アイキャッチ:地理院タイル(全国最新写真)を加工して作成
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