和歌山市で津波の浸水が想定されているのは、紀の川の河口から和歌山港、和歌浦にかけての低地と、川沿いの内陸です。県が2013年に公表した津波浸水想定(最大クラス)を町・字の代表点で読むと、市内661のうち216が範囲に入ります。
ただし、和歌山市の津波は遅く、広く来ます。県が2026年3月に出した新しい想定では、1mの津波が来るまで45分で、沿岸20市町でいちばん遅い時間です(串本町は1分)。浸水面積3,330haは、20市町でいちばん広い面積です。
先に結論
- ✓ 最大津波高は8m(平均6m)で2013年版と同じ。1mの津波の到達は40分から45分になった(県 2026年3月)
- ✓ 和歌山市には津波災害警戒区域(イエローゾーン)の指定が無い。市は浸水想定区域を防災マップで見るよう案内している
- ✓ 逃げる先は津波避難目標地点22・津波避難協力ビル62・津波避難場所22(2026年9月10日更新)
いま津波警報・注意報が出ているなら
この記事は平時に読む想定の地図です。いま出ている警報と予想の高さは気象庁の津波情報(予報区「和歌山県」)、避難指示は市の防災情報で確かめてください。海や川の近くにいるなら、読むより先に高い所へ。
和歌山市で津波が来る範囲

範囲に入る216のうち、3〜5mは上町・西浜・和歌浦東二丁目・和歌浦南一丁目の4つです。築港・湊御殿・舟津町など和歌山港の周り、塩屋・和歌浦の海沿い、紀の川の河口の土入・松江・野崎が0.5〜3mで続きます。
北土佐丁や材木丁など、和歌山城の西の町も0.5〜3mの想定です。市の地域防災計画は、浸水想定区域の町丁目に本町や城北の町も挙げています。

市の地域防災計画は、発生頻度の高い3連動地震(東海・東南海・南海)の想定について、「和歌山平野では河川の勾配が緩いため、津波は内陸の奥深くまで遡上し、河口から数km上流でも河川から津波があふれ出て浸水すると考えられる」と書いています。
2013年版の県の想定は、紀の川や和田川の土の堤防が揺れで75%沈むとして計算しています。県の浸水面積(3,660ha)が内閣府の2012年の想定(2,450ha)より広いのはこのためです。
| 町・字 | 2013年版の想定の深さ(代表点) |
|---|---|
| 上町 | 3〜5m |
| 西浜 | 3〜5m |
| 和歌浦東二丁目 | 3〜5m |
| 和歌浦南一丁目 | 3〜5m |
| 網屋町 | 0.5〜3m |
| 今福四丁目 | 0.5〜3m |
| 植松丁 | 0.5〜3m |
| 打越町 | 0.5〜3m |
| 内原 | 0.5〜3m |
| 雄松町四・五丁目 | 0.5〜3m |
| 加納町 | 0.5〜3m |
| 北土佐丁 | 0.5〜3m |
| 紀三井寺 | 0.5〜3m |
| 毛見 | 0.5〜3m |
| 小雑賀 | 0.5〜3m |
| 材木丁 | 0.5〜3m |
| 塩屋一〜六丁目 | 0.5〜3m |
| 島崎町六丁目 | 0.5〜3m |
| 砂山南二・四丁目 | 0.5〜3m |
| 築港一〜五丁目 | 0.5〜3m |
| 出口甲賀丁 | 0.5〜3m |
| 出口新端ノ丁 | 0.5〜3m |
| 出口中ノ丁 | 0.5〜3m |
| 出口端ノ丁 | 0.5〜3m |
| 手平五丁目 | 0.5〜3m |
| 土入 | 0.5〜3m |
| 土佐町一〜三丁目 | 0.5〜3m |
| 西河岸町 | 0.5〜3m |
| 西長町二〜四丁目 | 0.5〜3m |
| 西浜三丁目 | 0.5〜3m |
| 布引 | 0.5〜3m |
| 野崎 | 0.5〜3m |
| 舟津町一〜四丁目 | 0.5〜3m |
| 松江 | 0.5〜3m |
| 三葛 | 0.5〜3m |
| 湊御殿一〜三丁目 | 0.5〜3m |
| 湊通丁南四丁目 | 0.5〜3m |
| 南牛町 | 0.5〜3m |
| 和歌浦西一丁目 | 0.5〜3m |
| 和歌浦東三・四丁目 | 0.5〜3m |
| 和歌浦南二・三丁目 | 0.5〜3m |
| 和歌川町 | 0.5〜3m |
深さは、国土交通省「位置参照情報」の町・字の代表点(およその中心)1点で、重ねるハザードマップに載っている和歌山県の2013年3月の想定(最大クラス)を読んだ値です。代表点が範囲の外でも、町・字の中の低い所は範囲に入っていることがあります(ハザードマップで色がない場所の意味)。
表は、範囲に入る216のうち代表点の深さが1m以上の64の町・字です。地図の凡例では0.5〜3mの色に入るため、深さは0.5〜3mと書いています。
県は2026年3月25日に想定を作り直しました。断層モデルは同じで、地形データを新しくした結果、市の浸水面積は3,660haから3,330haに減りました。
市の「防災マップ 地震・津波編」(2023年3月作成)は、2013年の想定のままです。知事は、各市町村で「この想定に基づきハザードマップの見直しなどが行われる予定です」と書いています。
揺れた瞬間に、部屋の中で起きることを減らすもの
地震のけがの3〜5割は、屋内の家具類の転倒・落下・移動によるものです(東京消防庁)。壁にネジを打てない部屋でもできる手から並べます。
東京消防庁の実験では、L型金具で壁に直接ネジ止めするのが最も効果が高いとされています。賃貸で壁に穴を開けられない部屋での代わりがこれです。家具の両端の側板部を、できるだけ奥で突っ張ります。天井側にも強度が要ります。
突っ張り棒だけだと効きが落ちます。同じ資料が、ポール式にはストッパー式や粘着マット式の併用をすすめています。マット単独でも効果は小さいので、上の棒と2つで1組と考えてください。
お湯でも水でも作れて、袋のままおにぎりの形になります。断水すると鍋も食器も洗えません。洗い物の出ない形を先に入れておくと、水の減り方が変わります。
飲料水は1人1日3L。4人家族の1週間分で84L=2Lボトル42本なので、6本入りだと7ケースぶんです。5年保存タイプなら入れ替えの手間が減ります。
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何メートルの津波が何分で来るか
県が2026年3月25日に公表した想定(最大クラス)では、和歌山市の最大津波高は8m、1mの津波が来るまで45分、3mが50分、5mが53分です。10mの津波は来ない想定です。
内閣府が2025年3月31日に公表した想定でも最大津波高は8m(2012年も8m)で、ケース①では1mが47分、3mが54分です。
| 想定 | 値 | 出どころ |
|---|---|---|
| 最大津波高 | 8m(平均6m) | 和歌山県 2026年3月 |
| 1mの津波が来る時間 | 45分 | 和歌山県 2026年3月 |
| 最大津波高(満潮時) | 8m | 内閣府 2025年3月(11ケースの最大値) |
| 1mの津波が来る時間 | 47分 | 内閣府 2025年3月 ケース① |
| 浸水面積 | 3,330ha(市域の15.9%) | 和歌山県 2026年3月 |
| 浸水面積(前回) | 3,660ha | 和歌山県 2013年3月 |
2013年版の地区別の表では、浸水が1cmに達するまで雑賀崎・田野で44分、湊・雑賀・砂山で47分、本町で60分です。市はこれを使い、揺れから5分で逃げ始めて1分に30m歩く条件で、「本市の居住地域はすべて避難可能」と検証しています。
「45分あるなら様子を見てからでいい」とは言い切れません。市の「すべて避難可能」は、揺れから5分で歩き出す条件で確かめた結果です。知事も、到達時間は「各市町における一つの地点を示す代表値であり、当該市町全域がこれらの数値になるものではありません」と書いています。
県の想定図の留意事項:「浸水域や浸水深等は、津波の第一波ではなく第二波以降に最大となる場所もあります。」2011年の東北地方太平洋沖地震でも、和歌山の観測点の最大波は第1波の約2時間半後でした。
和歌山市に来た過去の津波

国の地震調査研究推進本部によると、1854年12月の安政東海地震と安政南海地震で、和歌山領では溺死者699人、流失家屋8,496棟の被害が出ました。2つの地震の被害は区別が難しいとされています。和歌山領は紀州藩の領地で、今の和歌山市より広い範囲の数字です。
和歌山市内だけの津波の高さや被害は、市・県・気象庁の資料に見つかりませんでした。国土地理院の自然災害伝承碑は、市内の登録が1基で、津波を伝える碑は0基です。
2011年3月11日には、和歌山市湊青岸にある気象庁の観測点「和歌山」で、19時36分に最大76cmの津波を観測しました。
逃げる場所と、いま出ている情報
市の避難は二段構えです。まず高台などの「津波避難目標地点」を目指し、逃げ遅れたら「津波避難協力ビル」か「津波避難場所」へ緊急避難します。
市は「津波から避難する際は、基本的に徒歩で避難してください」と書いています。車では、道路の損壊や信号機の停止、障害物による渋滞で避難が遅れるためです。
- 市の「防災マップ 地震・津波編」(2023年3月作成・地区別23冊)で、自宅の浸水深と近くの津波避難目標地点を見る。図は2013年の想定
- 「津波からの避難場所」の一覧で、自宅から歩いて行ける目標地点・協力ビル・避難場所を確かめる
- 和歌山市防災情報メールに空メールで登録する。大津波警報・津波警報・津波注意報と避難情報が届く
- 市のLINE公式アカウントでも防災情報を受け取れる
津波警報は気象庁が予報区「和歌山県」に出します。市は、大きな揺れや長い周期の揺れを感じたら「津波警報の発表を待たずに、海岸から離れた高台等安全な場所へ避難する」と地域防災計画に書いています。
県は2016年4月19日に、沿岸19市町の浸水想定区域を津波災害警戒区域に指定しました。和歌山市は入っておらず、指定しなかった理由は県と市のページに書かれていません。
市は「津波災害警戒区域に指定された区域はありません」「津波浸水想定区域は、防災マップを参照してください」と書いています。指定が無いことは、浸水しないという意味ではありません。
県の想定図の留意事項:「浸水域や浸水深等は、地面の凹凸や構造物の影響等により、浸水域外でも浸水が発生したり、局所的に浸水深がさらに大きくなったりする場合があります。」色がない場所が、来ない場所ではありません。
和歌山市のほかの災害リスク・ほかの市
- 和歌山市 冠水 どこが危ないの?
- 実は地名にヒントがあります 紀の川は洪水、那智川は土石流、串本は津波が1分で来る
- 津波 到達時間/南海トラフは最短2分
- 関西の活断層マップ/地震のリスクと備え
- ハザードマップ 色なし うちは安全ってこと?
- 静岡市 津波 どこまで来るの? (静岡県)
- 仙台市 津波 どこまで来るの? (宮城県)
- 浜松市 津波 どこまで来るの? (静岡県)
- 高知市 津波 どこまで来るの? (高知県)
- 千葉市 津波 どこまで来るの? (千葉県)
- 横浜市 津波 どこまで来るの? (神奈川県)
- 大阪市 津波 どこまで来るの? (大阪府)
- 徳島市 津波 どこまで来るの? (徳島県)
- 大分市 津波 どこまで来るの? (大分県)
- 那覇市 津波 どこまで来るの? (沖縄県)
- 小田原市 津波 どこまで来るの? (神奈川県)
- 館山市 津波 どこまで来るの? (千葉県)
- 八戸市 津波 どこまで来るの? (青森県)
- 宇和島市 津波 どこまで来るの? (愛媛県)
- 宮崎市 津波 どこまで来るの? (宮崎県)
- 釧路市 津波 どこまで来るの? (北海道)
和歌山市の津波は紀の川の河口から和歌浦までの低地に広がり、1mの波が45分で来る想定です。浸水が想定される面積は県内でいちばん広く、市が「すべて避難可能」と確かめたのは、揺れから5分で歩き出す条件でした。
表に無い町でも、216の範囲に入っていることがあります。市の防災マップで自宅の色と近くの津波避難目標地点を見て、揺れたら車を使わずに歩いて向かうところまでが準備です。
出典(すべて2026年10月4日に確認)
- 和歌山県「令和8年公表 地震動予測及び津波浸水想定」(令和8年3月25日)・計算条件と市町別の比較・和歌山市の津波浸水想定図(R8)
- 和歌山県「平成25年公表 津波浸水想定」・解説「津波浸水想定について」
- 和歌山県「津波災害警戒区域の指定について」(平成28年4月19日指定)
- 和歌山市「防災マップ 地震・津波編」(令和5年3月作成)(和歌山市ホームページへのリンク)
- 和歌山市「宅地建物取引業者の方へ(ハザードマップ作成状況)」(和歌山市ホームページへのリンク)
- 和歌山市「津波からの避難場所」(令和8年9月10日更新)(和歌山市ホームページへのリンク)
- 和歌山市「地区津波避難計画(共通版)」(平成28年3月)PDF(和歌山市ホームページへのリンク)
- 和歌山市「公式SNS(防災情報)」(和歌山市ホームページへのリンク)
- 和歌山市「地区津波避難計画」(和歌山市ホームページへのリンク)
- 和歌山市地域防災計画 総則・予防計画(令和8年3月)PDF(和歌山市ホームページへのリンク)
- 和歌山市地域防災計画 災害対策計画(令和8年3月)PDF(和歌山市ホームページへのリンク)
- 和歌山市「和歌山市防災情報メール」(和歌山市ホームページへのリンク)
- 地震調査研究推進本部「和歌山県の地震活動の特徴」
- 気象庁「災害時地震・津波速報 平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」PDF
- 内閣府「南海トラフ巨大地震モデル・被害想定手法検討会」報告書・市町村別一覧表(令和7年3月31日)
- 気象庁「津波予報区について」
- 国土地理院「自然災害伝承碑」
- 地図:国土地理院「重ねるハザードマップ」(津波浸水想定)・地理院タイル/町・字の代表点:国土交通省「位置参照情報」(2025年版)
- 気象庁「津波警報・注意報、津波情報、津波予報について」
- アイキャッチ:地理院タイル(全国最新写真)を加工して作成
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