国の想定では、荒川流域の72時間632mmの雨であふれると、足立区の千住四丁目・千住五丁目などは、町・字の中心が2階も水没する5〜10mの区域に入ります。
北区の岩淵から下流の荒川は「東京の下町を水害から守る」ために掘られた人工の川ですが、この632mmは国が「想定最大規模」として置いた雨です。
先に結論
- ✓ 江東5区(墨田区・江東区・足立区・葛飾区・江戸川区)では町・字の中心290か所で、0.5m以上の浸水が2〜4週間続く想定。江戸川区が103か所で最多
- ✓ 明治以降で荒川最大の洪水は明治43年(1910年)8月。東京で水が引いて地面が見えたのは、12月を迎える頃だったと国は書いている
- ✓ 2019年の東日本台風では岩淵水門を閉め、隅田川への流入を防いだ。荒川の水位は隅田川の堤防を27cm上回っていた
荒川が氾濫したら浸水する町

色が付いていない場所でも、浸水しないとは限りません。この地図は荒川があふれた場合だけの想定で、支川の決壊、高潮、下水があふれる内水、ほかの川の氾濫は入っていません。
町・字の中心がいちばん深い10〜20mの区域に入るのは、埼玉県比企郡川島町の大字白井沼の1か所です。

町・字の数は、町・字の中心1点が区域に入るかで数えています。中心が区域の外にある町・字でも端は浸かることがあり、同じ丁目の中でも深さは場所で違います。面積や世帯数ではありません。
区域に入る町・字の中心は足立区の263か所が最多で、3〜5mが106か所、5〜10mが29か所です。
埼玉県では川口市の192か所が最多で、川島町は区域に入る56か所のうち35か所が5〜10mです。この想定の関係市区町は、東京都13区と埼玉県39市町です。

2〜4週間続く町・字の中心は、江東5区のほかにも台東区85か所、荒川区48か所などがあります。
中央区の築地一〜四丁目や銀座一丁目は、深さ0.5〜3mでも2〜4週間続きます。
台風シーズンが始まる前に、家へ置いておくもの
風で割れるのは窓、家に入ってくるのは水です。この2つは、進路が決まってから買いに走っても店の棚から消えています。
窓が割れるのを防ぐ道具ではありません。割れたあとの破片を膜で押さえるものです。飛散率を約1%まで落とせるのは防災安全合わせガラスですが、そちらは発注から施工まで日数がかかって台風の前には間に合いません。今日のうちに手を動かせるのはこちらです。貼るのは室内側です。
土のうは砂を詰める前提の道具ですが、住宅街ではその砂が手に入りません。水で膨らむ型なら平たいまま棚にしまえて、玄関の段差にも、下水が逆流してくる風呂・トイレの排水口の上にも置けます。
一から集めると抜けが出ます。まずセットで用意して、家族の人数分と常備薬だけ足すのが早いです。
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荒川の過去の水害と最近の大雨

明治43年の洪水を機に、北区の岩淵から中川の河口まで約22km、幅500mの荒川放水路が掘られ、1930年に完成しました。それまでは今の隅田川が荒川でした。
国は「荒川放水路完成以来、隅田川から水が溢れたことはありません」と書いています。
1947年のカスリーン台風で熊谷市久下から流れ出た濁流は、元荒川沿いに南下して17日に利根川の決壊による濁流と合わさり、決壊から5日目に東京湾まで達しました。

今の水位を見る場所

荒川の洪水予報の基準地点は、埼玉県の熊谷と治水橋、東京都北区の岩淵水門(上)の3つです。東京都内にあるのは岩淵水門(上)だけです。
川の防災情報の10分ごとの記録(速報値)では、2026年9月の台風第25号で、3地点とも水防団待機水位に届いていません。
観測所ごとの水位は国土交通省の川の防災情報、雨による川の危険度は気象庁の洪水キキクルで見られます。
荒川が氾濫する可能性と対策
「放水路ができたから東京の荒川はあふれない」とは言い切れません。2019年10月の東日本台風で、岩淵水門(上)の水位は戦後3番目の高さになりました。
国は「岩淵水門を閉鎖していなければ、荒川の洪水が隅田川へ流入し、隅田川の堤防を越水し、氾濫した恐れがあります」と書いています。
埼玉県側では、荒川第一調節池(彩湖を含む)がこのとき過去最大の約3,500万m³をためました。
2026年6月12日からは建設中の荒川第二調節池の一部が使えるようになり、洪水をためる量が約1,200万m³増えました。
荒川第二・第三調節池は令和12年度(2030年度)までの事業で、容量は約5,100万m³です。
国は、2019年に完成していれば「荒川水位基準地点」で水位が約30〜40cm下がったと推定しています。
江東5区の広域避難計画は、浸水の深さは最大約10m、浸水が続く時間は2週間以上とし、「現段階では、公的な広域避難場所は確保できていません」と書いています。

流域の町のページ
道路の冠水(下水があふれる内水)は、この記事の地図に入っていません。流域の市区町村ごとの冠水・河川氾濫のページは次のとおりです。
あわせて読む足立区 冠水 どこが危ないの? ›
あわせて読む川口市 冠水 どこが危ないの? ›
- 板橋区 冠水 どこが危ないの?
- 墨田区 冠水 どこが危ないの?
- 葛飾区 冠水 どこが危ないの?
- 江戸川区 冠水 どこが危ないの?
- 江東区 冠水 どこが危ないの?
- 戸田市 冠水 どこが危ないの?
- さいたま市 冠水 どこが危ないの? 国が数えた41か所は岩槻区13、浦和区は0
- 熊谷市 冠水 どこが危ないの?
- 川越市 冠水 どこが危ないの?
- 鴻巣市の冠水|注意したい鴻巣宿わっぷ地下道
- 上尾市の冠水|注意したい4か所の場所
- 和光市の冠水|注意したい新倉地下道
- 志木市冠水 どこが危ないの?
- 埼玉県富士見市の冠水|注意したい水子の国道254号
- 道路冠水マップ どこで見られるの?
ここで扱った浸水想定は、国が荒川について作った想定最大規模の想定です。今の状況は、市区町村の避難情報と川の防災情報を優先してください。
出典
2026年9月23日に確認
- 荒川上流河川事務所「明治43年」
- 関東地方整備局「荒川放水路 ~東京の下町を水害から守る抜本策~」
- 荒川上流河川事務所「昭和22年」
- 荒川上流河川事務所「昭和49年」
- 荒川上流河川事務所「平成19年」
- 荒川上流河川事務所「荒川水系荒川洪水浸水想定区域図(想定最大規模)」
- 荒川下流河川事務所「令和元年10月台風第19号による荒川下流管内の出水状況等について【第3報】」
- 関東地方整備局「荒川の出水状況」(タイムライン専門部会、令和元年12月19日)
- 荒川上流河川事務所「令和元年10月11日からの台風第19号による出水状況等について(第4報)」
- 関東地方整備局「荒川第二・三調節池の概要」
- 関東地方整備局 記者発表「一部完成区間を活用して洪水時の運用を開始します」(2026年6月12日)
- 荒川下流河川事務所「洪水予報」
- 江東区「江東5区大規模水害ハザードマップ・江東5区大規模水害広域避難計画について」
- 江東5区「江東5区大規模水害広域避難計画 概要」
- 江東5区「江東5区大規模水害広域避難計画 本編」
- 国土交通省「川の防災情報」の10分ごとの記録(速報値)をart-piで集計
- 国土交通省「国土数値情報 洪水浸水想定区域データ(河川単位)」令和7年度
- 国土交通省「位置参照情報」(町・字の代表点)
- 国土地理院「地理院タイル」(淡色地図・全国最新写真)
- 国土交通省「川の防災情報」
- アイキャッチ:国土地理院「地理院タイル(全国最新写真)」を加工して作成
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