国の「道路冠水注意箇所」に載っている葛飾区のアンダーパスは3か所です。ところが、区が自分で作った内水氾濫マップを開くと、アンダーパスの赤丸が10か所あります。
お花茶屋、京成立石、青戸、東新小岩。区の地図で赤丸が付いていて国の一覧に無いアンダーパスが、少なくとも6か所あります。車で通る道の危なさを国の一覧だけで判断すると、半分以上を見落とすことになります。
そして東京都の浸水の記録を読むと、葛飾区で水が出る場所は、2つの地名にほぼ集まっていました。
この記事でわかること
- ✓ 国の「道路冠水注意箇所」に葛飾区は3か所。区の内水氾濫マップのアンダーパスは10か所です
- ✓ 都の記録にある36回の浸水のうち、23回に金町、19回に新小岩の名前があります。国の3か所もこの2つの地名です
- ✓ 区の内水のハザードマップは水防法にもとづく図ではありません。令和8年3月の都の指定図は、区が「水防法に基づき自治体が作成したハザードマップではありません」と注記して置いています
箇所の数は国土交通省 関東地方整備局「道路冠水注意箇所」東京都の一覧と説明表、区の赤丸は葛飾区水害ハザードマップ【解説編】(令和7年3月)36ページの目視、浸水の回数は東京都 水害リスク情報システム「浸水実績箇所の住所検索」の元データ(1974〜2024年・葛飾区216行)を自分で数えました。標高は国土地理院の住所検索APIと標高APIで引いています。
国の一覧に、葛飾区は3か所あります
国土交通省の関東地方整備局は、大雨のときに水がたまるおそれがある道を「道路冠水注意箇所」として挙げています。東京都の一覧は153か所で、葛飾区は3か所です。
A は都道308号(平和橋通り)の新小岩アンダーパス(新小岩一丁目)。B は区道の金町四丁目のJR常磐線ガード下、C は常磐線金町駅の東側を南北に通るアンダーパス(金町六丁目)です。住所の代表点の標高は、Aがマイナス1.1メートル、Bが0.3メートル、Cが2.2メートルでした。

地図の番号と同じ順です
A 新小岩アンダーパス
都道 308号
東京都葛飾区新小岩1丁目 / 標高-1.1メートル
管理: 東京都建設局道路管理部保全課 / 警察: 葛飾警察署 / 消防: 本田消防署
B 金町のJR常磐線ガード下
区道 葛357号(補助276号線)
東京都葛飾区金町4丁目 / 標高0.3メートル
管理: 葛飾区 / 警察: 亀有警察署 / 消防: 金町消防署
Googleマップのリンクは、説明表の住所と構造物の名前から道路地図(OpenStreetMap)で位置を合わせた緯度経度で開きます。合わせられなかった箇所は町丁目の代表点なので、数百メートルずれることがあります。標高は住所を国土地理院の住所検索にかけた代表点の値で、道路の底の高さではありません。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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区の内水氾濫マップには、アンダーパスが10か所
葛飾区水害ハザードマップの解説編36ページに「内水氾濫マップ」があります。平成12年9月の東海豪雨(総雨量589ミリ、時間最大114ミリ)と同じ雨が区内全域に降ったら、どこがどれだけ浸かるかを描いた図です。凡例には「地下道等(アンダーパス)」の赤丸があります。
拡大して数えると、赤丸は10か所ありました。金町駅の西側に2つと東側に1つ、新小岩駅、東新小岩、京成金町駅、青戸、お花茶屋駅、京成立石駅、南水元と東水元の境です。国の3か所に当たりそうなのは金町の3つのうち2つと新小岩駅の1つで、残りの6〜7か所は国の一覧にありません。
区は、区内の排水設備は「1時間あたり50mm程度の雨を処理できる」もので、50ミリ以上の雨が数時間続くと内水氾濫が起きる可能性があると書いています。そして「冠水した道路やアンダーパスには絶対に近づかないでください」と呼びかけています。
読者
赤丸の場所を正確に知るにはどうすればいいですか?
区の水害ハザードマップのページから解説編のPDFを開いて、36ページを拡大してください。赤丸の多くは駅の近くです。
浸水の記録は、金町と新小岩に集まっています
東京都の「浸水実績箇所の住所検索」は、建物が床下・床上まで浸かった記録を町丁目ごとに公開しています。葛飾区の記録は216行、36回の雨です。

地名で数えると、金町・東金町が23回、新小岩(西新小岩・東新小岩を含む)が19回。国の冠水注意箇所3か所は、まさにこの2つの地名にあります。昭和56年10月22日には、金町と新宿(にいじゅく)の町丁目をまとめた記録だけで5,937棟が浸かりました。
区の内水氾濫マップでも、いちばん深い1.5〜2.0メートルの色が付いているのは金町から新宿のあたりです。区の史料によれば、区の地盤は北東部の水元で+3.8メートル、南西にかけて低くなり、荒川放水路に沿ってゼロメートル地帯があります。
| No. | 町丁目 | 1995年以降 | 最後の年 | 標高 | 地図 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 東新小岩二丁目 | 3回 | 2014 | -0.6m | 地図で開く |
| 2 | 新小岩四丁目 | 2回 | 2004 | -1.2m | 地図で開く |
| 3 | 新小岩一丁目 | 1回 | 2014 | -1.1m | 地図で開く |
| 4 | 新小岩二丁目 | 1回 | 2014 | -1.1m | 地図で開く |
| 5 | 新小岩三丁目 | 1回 | 2014 | -1.2m | 地図で開く |
| 6 | 西新小岩一丁目 | 1回 | 2014 | 1.2m | 地図で開く |
| 7 | 奥戸七丁目 | 1回 | 2014 | 2.7m | 地図で開く |
| 8 | 奥戸四丁目 | 1回 | 2004 | -0.3m | 地図で開く |
| 9 | 東新小岩四丁目 | 1回 | 2004 | -0.7m | 地図で開く |
| 10 | 金町四丁目 | 1回 | 2004 | 0.3m | 地図で開く |
| 11 | 高砂一丁目 | 1回 | 2004 | 0.5m | 地図で開く |
| 12 | 新宿二丁目 | 1回 | 2004 | 1.3m | 地図で開く |
| 13 | 新宿五丁目 | 1回 | 2004 | 0.6m | 地図で開く |
| 14 | 西水元六丁目 | 1回 | 2001 | 1.7m | 地図で開く |
| 15 | 金町五丁目 | 1回 | 2001 | 1.5m | 地図で開く |
| 16 | 宝町二丁目 | 1回 | 1996 | -0.2m | 地図で開く |
| 17 | 東金町七丁目 | 1回 | 1996 | 3.1m | 地図で開く |
| 18 | 金町六丁目 | 1回 | 1996 | 2.2m | 地図で開く |
| 19 | 柴又一丁目 | 1回 | 1996 | 2m | 地図で開く |
| 20 | 高砂五丁目 | 1回 | 1996 | 0.6m | 地図で開く |
| 21 | 鎌倉二丁目 | 1回 | 1996 | 1m | 地図で開く |
| 22 | 細田四丁目 | 1回 | 1996 | 1.3m | 地図で開く |
都の記録は、古い年ほど複数の町丁目をまとめた数字が各行に重ねて入っています。葛飾区の行は2015年以降ありませんが、浸水が無かったという意味ではありません。標高は町丁目の代表点1点の値です。
「平成7年以降、大きな内水氾濫はない」の中身
葛飾区は、区内の下水道がおおむね整った「平成7年以降、大きな内水氾濫は発生しておりません」と書いています。都の記録でも、1995年以降の葛飾区の浸水は6回・40棟で、昭和の数千棟とは桁が違います。
ただし、最後の記録は2014年9月10日です。新小岩一丁目・二丁目・三丁目、西新小岩一丁目、東新小岩二丁目、奥戸七丁目で合わせて7棟。7棟すべてが床上浸水でした。新小岩一丁目は、国の冠水注意箇所 A の新小岩アンダーパスがある町です。
「大きな」浸水が無いことと、家の床の上まで水が来ないことは同じではありません。とくに新小岩の町丁目の代表点は標高マイナス1メートル前後です。
内水のハザードマップは、水防法の図ではありません
不動産の重要事項説明では、水防法にもとづくハザードマップで物件の位置を示すことになっています。葛飾区の表では、洪水と高潮は水防法にもとづく図が「有」。内水は、東海豪雨を想定した区独自の図が「有」、水防法第14条第2項の図が「無」です。
東京都下水道局は令和8年3月25日に「中川・綾瀬川圏域」の雨水出水浸水想定区域を指定しました(1時間最大153ミリ、24時間690ミリ)。区はこの図を葛飾区の範囲に絞って着色したファイルを置いていますが、「水防法に基づき自治体が作成したハザードマップではありません」と注意書きしています。
同じ指定を受けた隣の江戸川区は、内水のページを都の図に差し替えて「水防法に基づいています」と答えています。区によって扱いが違うので、葛飾区の物件では都の図と区の内水氾濫マップの両方を見てください。
自分の家の前が危ないかを調べる3つ
- 区の解説編36ページで、家の近くのアンダーパスに赤丸があるかと、浸水の深さの色を見る
- 東京都の「浸水実績箇所の住所検索」で、自分の町丁目の記録を見る。区の浸水履歴は区役所3階の建築関連総合窓口でも案内しています
- 雨の日に、家の前の道のいちばん低いところと、線路をくぐる道がどこにあるかを確かめる
区は内水氾濫では「原則在宅避難」、3メートルを超える浸水が想定される宅地は無いとしています。家の中の高い階に上がれるかどうかも、住まい選びの材料になります。
\住所だけ・1分で公的データを確認できます/
土砂災害警戒区域・洪水の浸水想定・地盤の揺れやすさを公的データでまとめて出します
よくある質問
国の一覧に載っていないアンダーパスは安全ですか
いいえ。区の内水氾濫マップでは、国の一覧に無いアンダーパスにも赤丸が付いています。お花茶屋・京成立石・青戸などのアンダーパスは、大雨の日には避けてください。
新小岩や金町は住まないほうがいいですか
そこまでは言えません。浸水の記録が多いのは事実ですが、1995年以降は件数が大きく減っています。判断の材料になるのは物件の1階の床の高さと、敷地が道路よりどれだけ上がっているかです。
令和元年の台風19号のときはどうでしたか
区は初めて警戒レベル4の避難勧告を出し、2万人近くが避難所に避難しました。区は「区内では大きな被害は発生しませんでした」と書いています。
ほかの区はどうなっているか
- 道路冠水マップ どこで見られるの?(全国の一覧と、市区ごとの記事のまとめ)
- 江戸川区 冠水 どこが危ないの?
- 足立区 冠水 どこが危ないの?
- 墨田区 冠水 どこが危ないの?
- 荒川区 冠水 どこが危ないの?
公式出典
- 国土交通省 関東地方整備局「道路冠水注意箇所」東京都(一覧と1か所ごとの説明表。2026年9月23日取得)
- 葛飾区「葛飾区水害ハザードマップ(令和7年3月発行)」(解説編36ページ「内水氾濫マップ」)
- 葛飾区「線状降水帯による内水氾濫発生時の対応」(令和8年8月28日更新)
- 東京都 水害リスク情報システム「浸水実績箇所の住所検索」(元データ・1974〜2024年)
- 東京都下水道局「中川・綾瀬川圏域 雨水出水浸水想定区域図」(令和8年3月25日指定)
- 葛飾区史「葛飾の風土と自然」
- 葛飾区「浸水被害を受けやすい地域を知りたい。」
- 国土地理院 住所検索API・標高API(標高)/地理院タイル(地図)
この記事の数値は公表資料を集計したものです。避難や通行の判断は、必ず区と東京都の最新の発表を確認してください。
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