苫小牧市で津波の浸水が想定されているのは、錦岡から勇払・弁天までの海沿いと、内陸の中心街・沼ノ端までです。北海道の2021年7月の想定(最大クラス)を町・字の代表点で読むと、314のうち194が範囲に入り、汐見町一・二丁目は5〜10mです。
ただし、市が避難指示を出す範囲は警報の種類で変わります。津波警報では海沿いの「エリアⅠ」だけ、大津波警報では中心街から沼ノ端・ウトナイまでの「エリアⅡ」が加わります。
先に結論
- ✓ 海岸線の最大津波高は標高9.7m(北海道 2021年)。市は場所を真砂町と書いている
- ✓ 海面が20cm上下し始めるまで最短8分、第1波がいちばん高くなるまで最短40分(北海道 2021年)
- ✓ 浸水想定面積は10,224ha。北海道の表で釧路市(釧路と音別で計9,239ha)より広い
いま津波警報・注意報が出ているなら
この記事は平時に読む想定の地図です。いま出ている警報と予想の高さは気象庁の津波情報(予報区「北海道太平洋沿岸西部」)、避難指示は市の防災情報で確かめてください。海や川の近くにいるなら、読むより先に高い所へ。
苫小牧市で津波が来る範囲

汐見町一・二丁目に次ぐ3〜5mは29の町・丁目で、西の青雲町・ときわ町・川沿町・永福町・有明町から、宮前町・美原町・日吉町、港の奥の入船町一丁目・元中野町一丁目、東の勇払・弁天まで続きます。
中心街の本町・錦町・表町・栄町は0.5〜3mです。海から離れた沼ノ端中央も0.5〜3mの想定に入ります。

「海から離れた住宅街なら避難の対象外」とは言い切れません。大津波警報で市が避難指示を出す「エリアⅡ」には、中心街のほか、沼ノ端・東開町・ウトナイ北・ウトナイ南・字植苗まで入っています。
津波警報で出る「エリアⅠ」は、「字樽前(国道36号より南側)」「真砂町(臨海南通より南側)」「字弁天(JR日高本線より南側)」のように、道路や線路で区切られています。
| 町・字 | 想定の深さ(代表点) |
|---|---|
| 汐見町一・二丁目 | 5〜10m |
| 弁天 | 3〜5m |
| 勇払 | 3〜5m |
| 有明町一・二丁目 | 3〜5m |
| 入船町一丁目 | 3〜5m |
| 永福町一・二丁目 | 3〜5m |
| 川沿町二・三丁目 | 3〜5m |
| 小糸井町一丁目 | 3〜5m |
| 新富町二丁目 | 3〜5m |
| 青雲町一〜三丁目 | 3〜5m |
| ときわ町一・二丁目 | 3〜5m |
| 日吉町二・三丁目 | 3〜5m |
| 美原町一〜三丁目 | 3〜5m |
| 宮前町一〜五丁目 | 3〜5m |
| 元中野町一丁目 | 3〜5m |
| 矢代町一丁目 | 3〜5m |
| 錦西町一丁目 | 3〜5m |
| 青葉町一・二丁目 | 0.5〜3m |
| 旭町一〜四丁目 | 0.5〜3m |
| 入船町二・三丁目 | 0.5〜3m |
| 大町一・二丁目 | 0.5〜3m |
| 表町一・二丁目 | 0.5〜3m |
| 柏木町二・三丁目 | 0.5〜3m |
| 川沿町一・四〜六丁目 | 0.5〜3m |
| 光洋町一〜三丁目 | 0.5〜3m |
| 寿町一・二丁目 | 0.5〜3m |
| 幸町一・二丁目 | 0.5〜3m |
| 栄町一〜三丁目 | 0.5〜3m |
| 桜木町一・二丁目 | 0.5〜3m |
| 汐見町三丁目 | 0.5〜3m |
| しらかば町一〜六丁目 | 0.5〜3m |
| 白金町二丁目 | 0.5〜3m |
| 新富町一丁目 | 0.5〜3m |
| 新中野町一〜三丁目 | 0.5〜3m |
| 末広町一・二丁目 | 0.5〜3m |
| 澄川町一〜四丁目 | 0.5〜3m |
| 大成町一・二丁目 | 0.5〜3m |
| 高砂町一・二丁目 | 0.5〜3m |
| 東開町一・二・四〜六丁目 | 0.5〜3m |
| ときわ町三〜六丁目 | 0.5〜3m |
| 錦町一・二丁目 | 0.5〜3m |
| 沼ノ端中央一・三〜五丁目 | 0.5〜3m |
| のぞみ町一・二丁目 | 0.5〜3m |
| 浜町一・二丁目 | 0.5〜3m |
| 日の出町二丁目 | 0.5〜3m |
| 日吉町一・四丁目 | 0.5〜3m |
| 船見町一・二丁目 | 0.5〜3m |
| 本幸町一・二丁目 | 0.5〜3m |
| 本町一・二丁目 | 0.5〜3m |
| 真砂町 | 0.5〜3m |
| 港町一・二丁目 | 0.5〜3m |
| 明徳町一丁目 | 0.5〜3m |
| もえぎ町一丁目 | 0.5〜3m |
| 元中野町二〜四丁目 | 0.5〜3m |
| 元町二・三丁目 | 0.5〜3m |
| 矢代町二・三丁目 | 0.5〜3m |
| 弥生町一・二丁目 | 0.5〜3m |
| ウトナイ南三丁目 | 0.5〜3m |
| 錦西町二・三丁目 | 0.5〜3m |
| 北星町一・二丁目 | 0.5〜3m |
| 王子町一丁目 | 0.5〜3m |
| 表町三・四丁目 | 0.5〜3m |
| 柏木町一丁目 | 0.5〜3m |
| 啓北町一丁目 | 0.5〜3m |
| 桜木町三丁目 | 0.5〜3m |
| 三光町二丁目 | 0.5〜3m |
| 末広町三丁目 | 0.5〜3m |
| 東開町三丁目 | 0.5〜3m |
| 日新町三丁目 | 0.5〜3m |
| 沼ノ端中央二丁目 | 0.5〜3m |
| 花園町一・二丁目 | 0.5〜3m |
| 日の出町一丁目 | 0.5〜3m |
| 北栄町一丁目 | 0.5〜3m |
| 明徳町二・四丁目 | 0.5〜3m |
| 元町一丁目 | 0.5〜3m |
| 若草町一・三・五丁目 | 0.5〜3m |
| ウトナイ南五・六丁目 | 0.5〜3m |
深さは、国土交通省「位置参照情報」の町・字の代表点(およその中心)1点で、重ねるハザードマップの津波浸水想定(北海道 2021年7月・最大クラス)を読んだ値です。樽前・錦岡・糸井のように広い字は代表点が内陸にあり、海沿いの部分が範囲に入っていても表に出ません(ハザードマップで色がない場所の意味)。
市の津波ハザードマップは、この想定の深さを6段階にまとめ、建物に当たったせり上がりを足した「基準水位」も載せています。避難ビルは、床の高さがこの基準水位以上であることが指定の条件です。
揺れた瞬間に、部屋の中で起きることを減らすもの
地震のけがの3〜5割は、屋内の家具類の転倒・落下・移動によるものです(東京消防庁)。壁にネジを打てない部屋でもできる手から並べます。
東京消防庁の実験では、L型金具で壁に直接ネジ止めするのが最も効果が高いとされています。賃貸で壁に穴を開けられない部屋での代わりがこれです。家具の両端の側板部を、できるだけ奥で突っ張ります。天井側にも強度が要ります。
突っ張り棒だけだと効きが落ちます。同じ資料が、ポール式にはストッパー式や粘着マット式の併用をすすめています。マット単独でも効果は小さいので、上の棒と2つで1組と考えてください。
お湯でも水でも作れて、袋のままおにぎりの形になります。断水すると鍋も食器も洗えません。洗い物の出ない形を先に入れておくと、水の減り方が変わります。
飲料水は1人1日3L。4人家族の1週間分で84L=2Lボトル42本なので、6本入りだと7ケースぶんです。5年保存タイプなら入れ替えの手間が減ります。
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何メートルの津波が何分で来るか
北海道の想定は、国の日本海溝モデル(マグニチュード9.1)と千島海溝モデルの計算を重ねたものです。苫小牧市の最大値は日本海溝(三陸・日高沖)のモデルで出ています。
海岸線の最大津波高は標高9.7mで、海面が20cm上下し始めるまでが最短8分、第1波がいちばん高くなるまでが最短40分です。道は代表地点5か所の値も出していて、この5か所では第1波がそのまま最大波です。
ただし道の一覧表は「第一波と最大波は同じ波とは限りません。津波の第一波ではなく、第二波以降に最大となる場所もあります。」と書いています。
内閣府も2020年4月の想定で「苫小牧市や函館市などで10m程度の津波」と書いています。苫小牧市役所付近の最大浸水深は0.6mで、30cmの浸水が50分後、最大は52分後です。
| 代表地点 | 最大津波高 | 第1波がいちばん高くなるまで |
|---|---|---|
| 樽前 | 8.7m | 41分 |
| 錦岡 | 8.8m | 42分 |
| 元町 | 8.9m | 43分 |
| 安平川河口 | 8.3m | 45分 |
| 苫小牧西港 | 8.1m | 47分 |
市の津波避難計画は、避難を徒歩、歩く速さを秒速1.0mとし、到達時間から5分を引いた時間で歩ける距離を「避難可能距離」としています。元町の43分で同じ式を当てると2,280mです。
ただし計画は、道の代表地点(沿岸の水深10mの地点)の到達時間を49〜57分としていて、表の41〜47分と合いません。計画に理由は書かれていないので、早いほうの数字で逃げる距離を見積もってください。
北海道の注記:「地震の震源が想定より陸域に近いなど、条件が異なる場合には、ここで表した時間よりも早く津波が来襲する可能性があります。」
苫小牧市に来た過去の津波

1968年の十勝沖地震では、苫小牧市で1.6mの津波を記録し、市内で死者1人・建物半壊4棟が出ています(市の地域防災計画)。
2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震では、気象庁の2011年4月の資料で苫小牧東港に244cmが16時17分、西港に228cmが17時31分に来ました。
市の地域防災計画は、西港の最大波を210cm(17時30分)と書いています。
2025年7月30日のカムチャツカ半島付近の地震では津波警報が出て、市の避難所に最大10,086人が避難しました。国土地理院の自然災害伝承碑で、市内の津波の碑は0基です。
逃げる場所と、いま出ている情報
市が一覧に載せている津波避難ビルは、西部・中心部・東部の3地区で計211か所、浸水域の外の緊急避難場所は22か所です(一覧の行を数えた値)。
避難ビルは、新しい耐震基準の鉄骨・鉄筋コンクリート造で、24時間使えることが条件です。
市は、震度4程度以上の強い揺れか、長い時間ゆっくりした揺れを感じたら、警報や避難指示を待たずに逃げるよう求めています。避難指示は「高齢者等避難」を出さず、最初から「避難指示」だけを出す運用です。
- 市の地区別津波ハザードマップ(2023年3月作成・17地区)で、自宅の色と基準水位を見る
- 自宅がエリアⅠかⅡかを、市の津波避難エリアマップか「津波避難ポケットガイド」(2026年7月30日掲載)で確かめる
- 苫小牧市防災メールか、市の公式LINE(受信設定で「苫小牧市防災メール」)で津波情報を受ける。電話のテレフォンサービス(050-5865-1569)でも聞ける
- 冬は避難先の階が変わる建物がある。東部の苫小牧埠頭は「冬期間(12月〜3月)及び強風時、雷鳴時は4階以上の階段部分」
津波警報は気象庁が予報区「北海道太平洋沿岸西部」に出します。市単位では出ません。苫小牧市内の津波災害警戒区域(イエローゾーン)は、北海道が2022年2月18日に指定しています。
苫小牧市 防災ハンドブックの注意:「「危険エリア外」が必ず安全だとは限りません。状況に応じて、避難することを心がけてください。」色がない場所が、来ない場所ではありません。
苫小牧市のほかの災害リスク・ほかの市
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苫小牧市の津波は、汐見町一・二丁目で5〜10m、青雲町から勇払・弁天までの29の町・丁目で3〜5m、中心街と沼ノ端で0.5〜3mの想定です。第1波は最短40分でいちばん高くなります。
自宅の町が表にあるなら、ハザードマップで基準水位を見て、エリアⅠかⅡかを確かめてください。
そのうえで、最短40分から5分を引いた35分、秒速1.0mなら2,100mの中で、避難ビルか浸水域の外の場所を1つ決めておくところまでが準備です。秒速1.0mは市の計画の値で、冬の条件ではありません(釧路市は凍った道を秒速0.5mで計算しています)。
出典(すべて2026年10月5日に確認)
- 北海道「北海道太平洋沿岸における津波浸水想定の公表について」(令和3年7月19日)・解説書(第二版 令和5年2月)・市町村別図「苫小牧市」・参考資料4「北海道沿岸市町村別津波浸水想定データ一覧」
- 北海道「津波災害警戒区域の指定について」(苫小牧市 北海道公報第283号 令和4年2月18日)
- 内閣府「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデル検討会」概要報告 北海道(三陸・日高沖モデル)(令和2年4月21日)PDF
- 苫小牧市「地区別津波ハザードマップ」(令和5年3月作成)・全市版津波ハザードマップ
- 苫小牧市「防災ハンドブック」地震・津波編(令和6年3月)
- 苫小牧市「津波避難計画」(令和6年3月)
- 苫小牧市「避難指示の発令判断・伝達マニュアル(津波災害編)」第5版(令和8年5月)
- 苫小牧市「津波警報等と避難先」「津波避難ポケットガイド」
- 苫小牧市「避難場所・避難所等」(津波緊急避難場所及び津波避難ビル一覧 西部・中心部・東部)
- 苫小牧市地域防災計画 本編(2026年3月)・「地震の災害履歴」
- 苫小牧市「防災情報の配信」(防災メール・公式LINE・テレフォンサービス)
- 苫小牧市 公式サイト
- 気象庁「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」(2011年4月)PDF
- 気象庁「津波予報区について」
- 国土地理院「自然災害伝承碑」
- 地図:国土地理院「重ねるハザードマップ」(津波浸水想定)・地理院タイル/町・字の代表点:国土交通省「位置参照情報」(2025年版)
- 気象庁「津波警報・注意報、津波情報、津波予報について」
- アイキャッチ:地理院タイル(全国最新写真)を加工して作成
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