いすみ市で土砂災害の危険があるとして千葉県が指定している場所は1,549か所。千葉県の市町村でいちばん多い数です。町・字別では大原137か所、山田108か所の2つが飛び抜けています。
土砂の区域も載せた市の洪水ハザードマップは、2023年12月の作成です。県の一覧では、この作成より後に告示された区域が352か所あります。
2026年9月21日の台風第25号では、レベル4土砂災害危険警報が21日0時14分から22日7時34分まで、31時間あまり続きました。
先に結論
- ✓ 97%がレッドゾーン。土石流の区域94か所は、千葉県で鴨川市に次いで多い
- ✓ 1971年の台風25号(今年とは別の台風)では、市内でがけくずれ1,057件・死者11人
- ✓ 最新の指定は、市も案内している「ちば情報マップ」で見る
いすみ市で土砂崩れが危ない場所

| 町・字 | 区域の数(うちレッド) | 主な種類 |
|---|---|---|
| 大原 | 137(136) | がけ崩れ・土石流1 |
| 山田 | 108(106) | がけ崩れ・土石流1・地すべり1 |
| 岬町榎沢 | 73(72) | がけ崩れ・土石流3 |
| 岬町岩熊 | 70(68) | がけ崩れ・土石流5 |
| 荻原 | 70(70) | がけ崩れ |
| 新田 | 62(60) | がけ崩れ・土石流1 |
| 須賀谷 | 60(59) | がけ崩れ・土石流1 |
| 岬町谷上 | 56(56) | がけ崩れ |
千葉県「土砂災害警戒区域等指定箇所一覧」(令和8年8月7日現在)で、いすみ市が主たる市になっている1,549か所を1件ずつ数えました(市境をまたいで隣の市に数えられている8か所は含みません)。町・字別の数は、2つの町にまたがる区域を両方に数え、隣の市が主たる区域でも、いすみ市の町・字にかかるもの(山田の2か所など)はその町・字に入れています。県の一覧で町名なしの行(「岩熊」など)は岬町の字にまとめました。


台風第25号では、レベル4が31時間続いた
千葉県の資料によると、いすみ市には20日15時30分に高齢者等避難、21日0時14分にレベル4土砂災害危険警報、その6分後に避難指示が出ました。NHKは「いすみ市全域に避難指示」と報じています(報道)。
市内にアメダスはなく、西隣の大多喜では48時間雨量489.0ミリ、南隣の勝浦では386.0ミリで、どちらも観測史上最大でした。
22日17時30分の県の資料に、いすみ市の土砂災害は書かれていません。ただし、県内の「土砂災害警戒区域内のがけ崩れ」21か所は市町別の内訳が出ていません。住家は床上浸水2棟・床下浸水9棟です。台風とは別に、市道0136号線は津々ヶ浦トンネル入り口の土砂崩れで通行止めが続き、市は9月10日のお知らせで復旧時期を「未定」としています。
土砂崩れと土砂災害の違い:いすみ市はほぼ「がけ崩れ」
ふだん「土砂崩れ」とまとめて呼ぶものを、県の区域一覧は「急傾斜地の崩壊(がけ崩れ)」「土石流」「地滑り」の3種類に分けて指定しています。

いすみ市の1,549か所は、がけ崩れ1,453か所、土石流94か所、地すべり2か所。市の洪水ハザードマップは、がけ崩れを「崩れ始めてから崩れ落ちるまでの時間がごく短い」と説明しています。土石流の94か所は千葉県で鴨川市(102か所)に次いで多く、岬町東小高8、岬町岩熊5などに分かれます。
地すべりの区域は、山田と、苅谷から国府台にかかる2か所だけです。ただし市の地域防災計画は、地質が軟弱なため「小規模の地すべりも各所に起きて」いると書いています。

1,549か所のうち1,499か所、97%がレッドゾーンです。
危ない地形と、1971年の台風25号の記録
市の計画は、市域の丘陵を「谷地は谷頭まで水田となっており、丘陵斜面は全て林地、急こう配の直線斜面は風化層となっている」と説明し、夷隅川の流域を「県下で最大の多雨地帯」と書いています。
地質の説明は「八幡岬から新田、釈迦谷、長志を経て下布施、山田六区方面に発達する大原層や、夷隅川以北の丘陵で夷隅地域まで続く大田代層などでは南北に伸びる大きい断層がいくつも見られる」と書いています。
| 年月日 | できごと(市の計画の記録) |
|---|---|
| 1970年7月1日 | 集中豪雨。がけくずれ1,560件、全壊16棟 |
| 1971年9月6〜7日 | 台風25号。死者11人、負傷者5人、がけくずれ1,057件 |
| 2007年7月14日 | 台風4号。がけくずれ110件 |
1971年の台風25号は、2026年9月の台風第25号とは別の台風です。計画は当時の崩れ方を「根の張り方の浅いところでは風化土層の斜面が崩壊し滑落した」と書いています。
がけ崩れの前兆:小石が落ちる、湧き水が止まる

市の洪水ハザードマップは、がけ崩れの前兆に「がけにひび割れができる」「小石がパラパラと落ちてくる」「がけから水が湧き出る」「湧き水が止まる(濁る)」を挙げています。土石流なら「山鳴りがする」「雨が降っているのに、川の水位が下がる」です。
外へ出るのが危ないときは、マップのとおり「崖から遠い部屋、上層階」へ移ります。
避難のタイミング:レベル4は真夜中に出た

レベル3土砂災害警報は高齢者等避難、レベル4土砂災害危険警報は避難指示の目安です(図)。21日のいすみ市は、レベル4と避難指示が真夜中の0時台に重なりました。明るいうちに動けたのは、前日15時30分の高齢者等避難の段階です。
夜に雨の山が来る予報なら、高齢者等避難の時点で動くのが目安です。自分の字の危険度は気象庁「キキクル(土砂災害の危険度分布)」で見られます。
自宅が区域に入っているか調べる
- ちば情報マップの「防災情報」→「土砂災害警戒区域等」で、いまの指定を見る。市も最新の区域は「ちば情報マップ」で確かめるよう案内しています
- 市の洪水ハザードマップ(4地域版)で、避難所と道を確かめる
- 分からないことは、市の危機管理課(0470-62-2000)か千葉県夷隅土木事務所(0470-62-3311)に聞く
市は、この地図を「不動産取引での説明時の利用を前提として作成していません」と書いています。
千葉県は区域の決め方を「過去の土砂災害の実績により、土砂災害の9割以上をカバーするよう、地形の形状・形態から決められている」と説明し、あわせて「土砂災害警戒区域等ではない箇所でも土砂災害が発生する可能性もあります」と書いています。色がついていないことは、崩れないことの証明ではありません。
いすみ市のほかの災害リスク・ほかの市
- いすみ市の冠水|注意したい2か所の場所 (道路冠水・内水)
- 千葉 土砂災害/9市町に警戒レベル4 (9月21日の速報)
- いすみ市 停電/大野と山田で7割です (9月23日の停電)
- 横須賀市 土砂崩れ (神奈川県)
- 三浦市 土砂崩れ (神奈川県)
- 鎌倉市 土砂崩れ (神奈川県)
- 秦野市 土砂崩れ (神奈川県)
- 伊勢原市 土砂崩れ (神奈川県)
- 千葉市 土砂災害 (千葉県)
- 佐倉市 土砂災害 (千葉県)
- 市原市 土砂崩れ (千葉県)
- 袖ケ浦市 土砂崩れ (千葉県)
- 木更津市 土砂崩れ (千葉県)
- 君津市 土砂崩れ (千葉県)
- 富津市 土砂崩れ (千葉県)
- 鴨川市 土砂崩れ (千葉県)
- 南房総市 土砂崩れ (千葉県)
この記事のまとめ
いすみ市の土砂災害警戒区域は1,549か所で千葉県最多。大原と山田に多く、97%がレッドゾーンで、土石流の区域も94か所あります。
市の地図(2023年12月作成)の後に352か所が告示されています。大原や山田に住んでいるなら、ちば情報マップで番地まで寄せて、いまの指定を確かめてください。
出典(すべて2026年9月23日に確認)
- 千葉県「土砂災害警戒区域等指定箇所一覧」令和8年8月7日現在(指定数及び指定箇所一覧)
- 千葉県「第3回 千葉県災害対策本部会議」資料(2026年9月22日・48時間雨量)
- 千葉県「第4回 千葉県災害対策本部会議」資料(2026年9月22日17時30分・被害状況・警報・避難情報)
- 国土交通省「令和8年台風第25号による被害状況等について(第7報)」
- いすみ市「指定避難所・指定緊急避難場所、ハザードマップ」
- いすみ市「洪水・津波ハザードマップ」
- いすみ市 洪水ハザードマップ 岬地域版(前兆現象)
- いすみ市地域防災計画 第1編 総則
- いすみ市地域防災計画 第3編 風水害対策編
- いすみ市「市道の通行止めのお知らせ」(2026年9月10日更新)
- NHK「千葉 市原市の一部・いすみ市全域に避難指示」(報道)
- 政府広報オンライン「土砂災害から身を守る3つのポイント」
- 地図:国土地理院「重ねるハザードマップ」・地理院タイル/町の位置:国土交通省「位置参照情報」
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