🗨️「神戸の下り坂でブレーキが利かなくなる事故が続いていると聞きました。原因は分かったんですか?」
9月17日、兵庫県警は8月に神戸市灘区の県道95号で起きたレッカー車の事故について、ブレーキの部品に熱で溶けた跡が見つかったとして、フェード現象が起きていたと断定しました。フットブレーキを踏み続けて摩擦材が過熱し、効かなくなる現象です。同じ県道95号では9月16日にも、坂を下ってきたトラックが信号待ちの市バスに追突する事故が起きています。国土地理院の標高データで測ると、この坂は六甲山町から灘区の平地まで直線4.2キロのあいだに731メートル下ります。踏み続ければ熱がたまる長さです。
[交通] この記事の要点
2026年9月17日 発表
- 六甲山からの下り坂を日常的に使っている人
- 荷物を積んで山道を下ることがある人
- マニュアル車に乗ったことがなく、エンジンブレーキを使ったことがない人
同じ坂で、1か月足らずに2件起きています
まず、何が起きたのかを並べます。
| いつ | 何が起きたか | 運転手の説明 |
|---|---|---|
| 2026年8月 | トラックをけん引した大型レッカー車が、電柱や信号機に衝突。助手席の男性が軽傷 | 「フットブレーキが利かなかった」 |
| 2026年9月16日 | 坂を下ってきたトラックが、交差点で信号待ちの神戸市バスに追突 | 「ブレーキが利かなくなった」 |
場所はどちらも兵庫県道95号の下り坂です。六甲山から続く急こう配で、カーブが多い道です。
渋滞と通行止めで動けなくなったときに要るもの
迂回路を調べるにも、その場で待つにも、要るのはトイレと電源の2つです。車に積みっぱなしにできる小さいものだけ挙げます。
渋滞と通行止めで動けなくなったとき、いちばん先に困るのがトイレです。高速道路上ではパーキングまで降りられないので、車に積んでおくものの中では優先度が高い1つです。
渋滞中はナビと地図と渋滞情報でスマホを使い続けるので、電池は思ったより早く減ります。迂回路を調べる段になって充電が無いと、動けるのに動けません。
災害時に多いつまずきが「ケーブルが見つからない・端子が合わない」です。本体にケーブルが付いている型だとそこで止まりません。20000mAhでスマホ数回分。
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警察が断定したのは「フェード現象」です
9月17日、捜査の結果が出ました。車体を調べたところ、ブレーキシューに熱で溶けた跡が見つかったということです。
ブレーキシューは、回っているタイヤ側の部品に押しつけて、摩擦で止めるための部材です。そこが溶けていたということは、止まらなかったのではなく、止める力そのものが熱で失われていたことになります。
ブレーキが壊れていたということですか。
整備の不良とは限りません。フェード現象は、正常なブレーキでも起きます。摩擦材が一定の温度を超えると、こすっても止まる力が出なくなるからです。冷えれば戻ります。だから「壊れた」ではなく「効かなくなった」と表現されます。

この坂が、どれくらい下るのか測りました
「急こう配」と書かれても、数字がないと自分の通る坂と比べられません。国土地理院の標高データで、灘区の町ごとの標高を取ってみました。
| 場所(神戸市灘区) | 標高 |
|---|---|
| 六甲山町 南六甲 | 775.2メートル |
| 六甲山町 北六甲 | 765.5メートル |
| 鶴甲一丁目 | 139.2メートル |
| 篠原北町三丁目 | 101.7メートル |
| 八幡町一丁目 | 44.3メートル |
| 岩屋北町一丁目 | 17.9メートル |
六甲山町 南六甲から八幡町一丁目までは、直線でおよそ4.2キロ。そのあいだに731メートル下ります。
実際の道は九十九折りなので、走る距離はこれより長く、平均の勾配はこの数字より緩くなります。それでも、下り続ける時間が長いことは変わりません。フェード現象で効いてくるのは傾きの急さより、ブレーキを踏んでいる時間の合計だからです。
熱をためないための操作は、1つだけです
警察の呼びかけは「エンジンブレーキを活用してほしい」でした。やることはシンプルです。
| 場面 | やること |
|---|---|
| 坂に入る前 | シフトを1段下げる(ATならS・L・2、パドルがあれば1段落とす) |
| 下っている間 | 踏みっぱなしにせず、速度が出たときだけ短く踏む。踏んだら離す |
| 速度が落ちない | もう1段下げる。エンジンの回転が上がる音がしても正常 |
| 焦げたにおいがする | 安全な場所に止めて冷ます。水はかけない(急冷で部品がゆがむ) |
大事なのは坂に入る前に下げるところです。下り始めてから速度が乗ってしまうと、落としたくても回転が上がりすぎて入りません。
オートマ車に乗っていて、S や L に入れたことがありません。壊れませんか。
そのための機能です。坂の途中で慌てて操作するほうが危ないので、下る前に一度、平らな道で切り替えを試しておくと落ち着いて使えます。
荷物を積んでいる日ほど、早めに下げてください
今回の1件目は、トラックをけん引したレッカー車でした。2件目もトラックです。どちらも重いものを運んでいる車です。
重さは、下り坂ではそのまま位置エネルギーに変わります。同じ坂を同じ速度で下っても、重い車のほうがブレーキが受け持つ仕事は大きくなり、摩擦材の温度は早く上がります。
乗用車でも同じです。家族と荷物を満載して山を下る日は、いつもの感覚より1段早く、1段深く落としておく。それだけで、ブレーキに入る熱がはっきり減ります。
生活・仕事にどう効くか
- 原因は運転の粗さではなく、摩擦材の温度です。同じ操作を長い坂で続けると、誰の車でも起こります。
- 県道95号は六甲山町から灘区の平地まで、直線4.2キロで731メートル下ります。熱がたまる長さです。
- 同じ坂で1か月足らずのあいだに2件。場所に条件がそろっているということです。
結局どうすればよいか
- 長い下り坂に入る前に、シフトを1段下げてから下り始める
- ブレーキを踏み続けるのではなく、必要なときだけ短く踏む
- 焦げたにおいがしたら、安全な場所に止めて冷ます
公式出典
- MBSニュース 「フェード現象」発生と断定 神戸・灘区(報道)(2026年9月17日発表)
- 関西テレビ レッカー車ブレーキ部品に熱で溶けた跡(報道)(2026年9月17日発表)
- 国土地理院 標高API(標高タイル・1mレーザ)で当編集部が測定(2026年9月17日発表)
更新履歴
- 2026年9月17日 初版。8月の事故日は報道2社で20日/21日と食い違うため、日付を特定せず「8月」と書いた。過失の所在は捜査中のため書いていない。関係者の氏名は記載していない。標高は国土地理院の標高APIで当編集部が取得した値で、県道95号そのものの路面標高ではなく、各町の代表点の標高。
※本記事は2026年9月17日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
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