国が道路冠水注意箇所として名前を出しているのは、大阪府内に181か所。そのうち大阪市が65か所で、府内の3分の1を占めます。
この65か所には、1か所ずつの説明表が付いています。開いていくと、備考の欄に同じ言葉が並んでいました。「平成16年度以降に冠水実績あり」。
65か所のうち43か所に、実際に水がたまった記録が書いてあります。ほかの県では備考が1件も無いこともあるので、これは珍しい資料です。
この記事でわかること
- ✓ 国の道路冠水注意箇所は大阪府181か所、大阪市はその3分の1の65か所
- ✓ 65か所のうち43か所に「冠水実績あり」、60か所に水位センサーが付いている
- ✓ 標高は48か所が3メートル未満、うち12か所は海面より低い
箇所数は国土交通省 近畿地方整備局「道路冠水注意箇所リスト【大阪府】」を1行ずつ数えたものです。名称・設備・冠水実績は65件の個別箇所説明表を1枚ずつ開いて拾いました。標高は住所を国土地理院の標高データで引いた参考値で、その地点そのものの高さではありません。
43か所に「冠水実績あり」と書いてあります

説明表の備考は、こういう形で書かれています。
関連設備:[排水ポンプ][警報・情報板][水位センサー] 平成16年度以降に冠水実績あり
65か所を1枚ずつ数えると、こうなりました。
- 水位センサーがある 60か所
- 警報・情報板がある 50か所
- 排水ポンプがある 41か所
- 冠水実績ありと書いてある 43か所
ほとんどは「平成16年度以降に冠水実績あり」とまとめて書かれていますが、年が1つずつ並んでいる場所が2か所あります。国道1号と国道163号が京阪電鉄をくぐる城東区関目です。片方には、平成22年から28年まで7年続けて冠水したと書いてあります。
備考が空だったのは、西淀川区佃七丁目の国道43号高架下の1か所だけでした。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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48か所は標高3メートルより低い土地です

65か所の住所を標高データに通すと、いちばん低いのは此花区西九条四丁目のマイナス1.8メートル。海面より低い場所が12か所あります。
3メートルより低い場所は48か所。65のうち74パーセントです。いちばん高いのが天王寺区生玉前町の22.1メートルでした。
大阪市はこの地形を、自分のページでこう書いています。
大阪市は、淀川、神崎川、大和川、寝屋川といった大きな河川と海に囲まれており、市街地の9割までが平坦な低地で自然排水が困難なため、大雨、津波による水害に対して非常に弱い地形となっています
「自然排水が困難」とは、放っておいても水が低いほうへ流れていかない、という意味です。だから排水ポンプが要ります。65か所のうち41か所にポンプが付いているのは、そういう土地だからです。

34か所はJRの下をくぐります
65か所の名前と説明表を読むと、何の下をくぐるのかが全部書いてあります。
| くぐる相手 | か所数 | 例 |
|---|---|---|
| JRの線路 | 34 | 京橋アンダーパス(JR環状線)/十三吹田線アンダーパス(JR東海道本線) |
| 阪急電鉄 | 10 | 十三アンダーパス(神戸線)/阪急淡路駅アンダーパス(京都線) |
| 国道 | 8 | 平野元町アンダーパス(国道25号)/国道43号高架下 |
| 京阪電鉄 | 6 | 森小路アンダーパス/榎並第2アンダーパス |
| 近鉄・南海・阪堺 | 4 | 石ヶ辻アンダーパス(近鉄大阪線)/南海本線アンダーパス |
65か所の大半は、鉄道の下でできた穴です。
65か所のうち51か所は市道です。線路が市街地を何本も横切っていて、それをくぐる道が掘り下げられている形です。
24区のうち4区には1か所もありません
区ごとに数えると、淀川区が16か所でいちばん多く、城東区9、北区7、東淀川区6と続きます。淀川ぞいの淀川区・東淀川区・北区だけで29か所です。
いっぽうで、西区・大正区・生野区・鶴見区の4区には1か所も出てきません。ただしこれは「浸からない」という意味ではありません。このリストは、くぐる道がどこにあるかの目録です。
区ごとの細かい話は、先に書いた2つの記事があります。
種別は国道が5か所、国が管理しているのは4か所です

65か所を道の種類で分けると、市道51・府道7・国道5・区分なし2。ただし種別と管理者は別です。国道479号の管理者は、大阪市の平野工営所でした。国が直接管理しているのは、国道1号・26号・43号・163号の4か所だけです。
この区分は、8月に行われた点検の対象とそのまま重なります。令和8年8月13日、国道16号の千葉市中央区村田町のアンダーパスが冠水し、車に乗っていた人が亡くなりました。国土交通省によると、原因は「非常用電源設備の不作動」。停電したときに非常用電源が立ち上がらず、排水ポンプが動いていませんでした。
これを受けて8月14日から、全国の直轄国道にあるアンダーパスなど102か所が緊急点検されました。8月21日に公表された結果は、3か所で異常あり。近畿地方整備局の対象は10か所で、そのうち1か所に異常が見つかり、補修は完了したと書かれています。
大阪市の65か所のうち、この102か所に入るのは4か所だけです。ポンプもセンサーも、動かなければ無いのと同じ。それが千葉で起きたことでした。
この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
内水の地図は、市のサイトに区ごとにあります
川があふれる洪水の地図と、下水道が追いつかなくなる内水の地図は別ものです。全国のハザードマップをまとめて見られる国の地図サイトに内水の区域が載っているのは63市町村だけで、大阪府からは堺市の1つ。大阪市は入っていません。
ただし大阪市は、自分のサイトに区ごとの「水害ハザードマップ」を置いています。河川氾濫・高潮・内水氾濫・津波の4種類を1冊にまとめたものです。
下水道がどこまで受けられるのかも、市が数字で書いています。
大阪市の下水道は、計画降雨量60mm/時を対象に整備を進めています
1時間60ミリを超えた雨は、下水道から出ていけずにその場に残ります。それが内水です。市の説明では「ポンプによる排水がなければ、降雨を河川へ排水できない地域の雨水」と書かれています。
この住所は浸水しやすい場所ですか
大阪市では、洪水と内水と高潮と津波で見る資料が分かれています。1枚ずつ確かめるのは手間なので、住所を入れるだけで洪水・内水・土砂・地震の指定をまとめて確認できるページを用意しています。
もし車で水に入ってしまったら

アンダーパスに共通しているのは「まわりより低い」ことです。たまった水は上から見ると平らなので、入るまで深さが分かりません。
JAF(ジェイエーエフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。割れるのは横の窓です。フロントガラスは合わせガラスなので、脱出用ハンマーでも割れません。
水深がひざ下でも、流れがあれば大人でも歩けなくなります。50センチより深いときは、無理に移動せず、高いところで助けを待つほうが安全です。

ほかの市はどうなっているか
同じ手順で、ほかの政令指定都市も1つずつ調べています。同じ資料でも、出てくる答えは市ごとに変わります。
- 横浜市 冠水 どこが危ないの? 30か所のうち6か所は、標高60メートルより高い場所です
- 川崎市 冠水 どこが危ないの? 12か所のうち10か所は鉄道の下、北の3区にはありません
- 名古屋市 冠水 どこが危ないの? 104.5ミリが降った千種区は、40か所に1つもありません
- 京都市 冠水 どこが危ないの?
- 神戸市 冠水 どこが危ないの?
- さいたま市 冠水 どこが危ないの? 国が数えた41か所は岩槻区13、浦和区は0
- 道路冠水マップ どこで見られるの? 国の一覧に名前がある全国52市を1つずつ調べました
この記事のまとめ
大阪市で道路が冠水しやすい場所として国が名前を出しているのは65か所。大阪府181か所の3分の1で、いま調べたなかでいちばん多い市です。そのうち43か所には「冠水実績あり」と書かれ、60か所に水位センサーが付いています。
標高は48か所が3メートル未満、12か所は海面より低い場所でした。34か所はJRの下をくぐります。実績が書いてあるということは、そこで実際に起きたということです。
公式出典
- 国土交通省 近畿地方整備局「道路冠水注意箇所リスト【大阪府】」181か所と、個別箇所説明表のうち大阪市分65件
- 国土交通省「国道16号村田町アンダーパス冠水事案を踏まえた緊急点検結果及び今後の取組について」別紙1(令和8年8月21日)
- 大阪市「想定されている水害」「水害ハザードマップ」(危機管理室)
- ハザードマップポータルサイト「内水浸水想定区域 掲載状況一覧」63件
- 国土地理院 住所検索API・標高API
- JAF ユーザーテスト「水深何cmまでドアは開くのか」「何を使えば窓が割れるのか」
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