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空き家は「放っておくと固定資産税が6倍」? 去年その勧告が出たのは全国978件、24道府県はゼロでした

🗨️「お盆に実家を見て「このまま空き家にしたら固定資産税が6倍になる」と言われました。本当に来るのですか。」

制度としては本当です。ただし令和6年度に勧告が出たのは全国978件で、兵庫・京都・広島など24道府県は1件もありませんでした。

[空き家] この記事の要点

何が起きたか

国土交通省と総務省が、空家法の施行状況(令和7年3月31日時点・調査対象1,741市区町村)の調査結果を公表しました。土地の住宅用地特例が外れる「勧告」は、令和6年度に管理不全空家等378件・特定空家等600件でした。

発表日・更新日

2026年8月13日 発表

影響を受ける人
  • お盆に帰省して、誰も住んでいない実家を見てきた人
  • 親から実家を相続する予定がある人
  • すでに空き家を持っていて、売るか残すか決めかねている人
目次

この記事でわかること

  • 「固定資産税が6倍」と書いた公式資料は無く、書いてあるのは「住宅用地特例の適用対象から除外」まで
  • 令和6年度に勧告が出たのは全国978件。管理不全空家で勧告した自治体は1,741のうち40市区町村
  • 増税された978件より、売って3,000万円控除を使った16,755件のほうが17倍多い

お盆で実家に帰り、門の前に立って気づくことがあります。塀の外まで枝が出ていて、雨戸は閉まったまま。郵便受けにチラシが折れて挟まっている。親が施設に入ってから、去年の夏と同じ景色でした。

そこで親戚に「あのままだと固定資産税が6倍になるらしいよ」と言われた人は多いはずです。制度としては本当です。ただし、その勧告が去年1年間で実際に出たのは、全国で978件でした。

先に結論

  • 「6倍」の正体は、勧告を受けた土地が住宅用地特例(課税標準6分の1・3分の1)から外れること。外れるのは土地の分だけ
  • 令和6年度に勧告が出たのは、管理不全空家等378件と特定空家等600件の合計978件
  • 管理不全空家等で勧告した自治体は、全国1,741市区町村のうち40。兵庫・京都・広島など24道府県は0件
  • ただし前段階の「指導」は、666件から2,545件へ1年で3.8倍に増えた
  • 増税された978件より、売って3,000万円控除を使った16,755件のほうが17倍多い

「固定資産税が6倍」と書いた公式資料は見当たりません

国土交通省の資料「固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置」を開くと、6倍という言葉はどこにもありません。書いてあるのは「住宅用地特例の適用対象から除外」という一行です。

住宅が建っている土地は、200㎡以下の部分で固定資産税の課税標準が6分の1に、200㎡を超える部分で3分の1に減額されています。市区町村長から勧告を受けた特定空家等・管理不全空家等の敷地は、この減額の対象から外れます。6分の1が外れるから「6倍」と呼ばれている、という順序です。

資料が書いているのは課税標準の話までで、納める税額がそのまま6倍になるとは書かれていません。外れるのは土地の分で、建物の固定資産税はこの措置では動きません。

負担がいくら増えるかは、その土地の評価額しだいで大きく変わります。当サイトが神戸市の実際の取引価格を調べたときは、同じ市内でも区によって土地の坪単価が7倍違いました。同じ勧告を受けても、増える額は同じではありません。

去年、勧告が出たのは全国で978件でした

国土交通省と総務省は、全国1,741市区町村を対象に空家法の運用実績を調べています。最新は令和7年3月31日時点の集計です。令和6年度の1年間に出た措置は次のとおりでした。

対象助言・指導勧告命令代執行(3種の合計)
管理不全空家等2,545件378件
特定空家等4,026件600件101件161件

住宅用地特例が外れるのは勧告からなので、令和6年度に土地の税が上がりうる状態になったのは378件と600件を足した978件です(合計は当サイトで算出)。代執行161件も、行政代執行71件・略式代執行81件・緊急代執行9件を当サイトで足したものです。

母数と並べると桁の差が見えます。総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査では、空き家は900万2千戸、空き家率13.8%でどちらも過去最高でした。このうち賃貸用・売却用と別荘を除いた、いわゆる放置に近い空き家は385万6千戸あります。385万6千戸に対して978件は、およそ3,900戸に1件です(当サイトで算出)。

兵庫県は指導193件で勧告ゼロ、沖縄県は32件のうち31件が勧告

都道府県別の内訳を開くと、同じ法律とは思えない差が出ています。管理不全空家等について、令和6年度の指導と勧告を並べたものです。

都道府県指導勧告勧告まで進んだ割合
山形県194件110件56.7%
東京都108件34件31.5%
沖縄県32件31件96.9%
茨城県249件26件10.4%
愛媛県33件23件69.7%
三重県130件21件16.2%
兵庫県193件0件0%
青森県102件0件0%
鳥取県87件0件0%
和歌山県64件0件0%
全国2,545件378件14.9%

割合は当サイトで算出しました。勧告が0件だったのは24道府県で、北海道・青森・福島・新潟・富山・石川・山梨・岐阜・滋賀・京都・兵庫・和歌山・鳥取・島根・岡山・広島・山口・徳島・香川・高知・長崎・大分・宮崎・鹿児島が並びます。

山形県の110件だけで、全国378件の29.1%を占めます。一方の兵庫県は、指導を193件も出しているのに勧告は0件でした。

増税された978件より、控除を使って売った16,755件のほうが多い

同じ調査には、空き家を手放した側の数字も載っています。相続した空き家を売って譲渡所得の3,000万円特別控除を使うときに必要な、市区町村の確認書の交付件数です。

令和6年度は16,755件で過去最多、平成28年度からの累計は93,897件でした。勧告978件の17.1倍です(当サイトで算出)。

除却や修繕の実績も同じ方向を向いています。空家法ができてからの累計220,030件のうち、空家法の措置によるものは31,001件で14.1%。残りの85.9%にあたる189,029件は、補助金や相談など市区町村の別の取組による除却や修繕でした(構成比は当サイトで算出)。

行政から通知が来て動いた家より、来る前に自分で片づけたり売ったりした家のほうが、6倍以上あるということです。

勧告が0件の県は安全なのではなく、順番待ちだと見ています

ここからは私の見方です。「うちの県はまだ勧告を出していないから大丈夫」とは限りません。私が0件を安全のしるしだと思わない理由は、3つあります。

1つ目は、制度の年齢です。管理不全空家等というしくみは、改正空家法が施行された令和5年12月13日にできたばかりで、令和5年度の勧告は全国で0件、令和6年度が378件でした。0から378になった途中の数字を見ているだけ、という可能性があります。

2つ目は、その前段階の伸び方です。指導は令和5年度666件から令和6年度2,545件へ、1年で3.8倍になりました(倍率は当サイトで算出)。指導は勧告の入口です。

3つ目は、兵庫県の193件です。勧告は0件でも、193軒の家はすでに市区町村に把握され、書面で指導を受けています。把握されていない状態とは違います。

実際に届くのは、差し押さえの赤紙のようなものではありません。役所の封筒が1通、登記上の所有者あてに届くだけです。中を開くと、どこが問題で、いつまでに直してほしいかが書かれています。遠方に住んでいると、その封筒が実家の郵便受けで止まったままになることもあります。

お盆で家族がそろっている今なら、実家の前まで全員で歩いて行けます。写真を撮って、誰が窓口になるかを決めるところまでは、今週のうちにできます。

生活・仕事にどう効くか

  • 土地の固定資産税:勧告を受けた敷地は、200㎡以下の部分で課税標準が6分の1、200㎡を超える部分で3分の1に減額される住宅用地特例から外れます。外れるのは土地の分で、建物の固定資産税はこの措置では変わりません。
  • いきなり増税はされない:勧告の前に必ず指導があります。令和6年度は管理不全空家等の指導2,545件に対して勧告378件で、指導のうち勧告まで進んだのは14.9%でした(当サイトで算出)。
  • 住んでいる自治体で運用がまったく違う:沖縄県は指導32件のうち31件が勧告に進んだ一方、兵庫県は指導193件で勧告0件。同じ法律でも、実家がどの市区町村にあるかで進み方が変わります。
  • 売る側の期限:相続した空き家の3,000万円特別控除は、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却が条件です。令和6年度の確認書交付は16,755件で過去最多でした。

結局どうすればよいか

  • 実家の外回りを、帰省しているうちにスマホで撮っておく。塀や枝が道路へ出ていないか、屋根・雨どい・ブロック塀・擁壁が傾いていないかの4点を、離れた位置から1枚ずつ
  • 実家のある市区町村の空き家担当課に、管理不全空家等の指導を出しているかを電話で聞く。都道府県別の件数は公表されているが、市区町村ごとの運用は聞かないと分からない
  • 売る可能性があるなら、相続がいつ開始したかを先に確認する。3,000万円控除は相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日が期限で、そこから逆算して動く

あわせて読む・調べる

くわしく知る(保存版の記事)

自分の場合を調べる(無料ツール)

公式出典

更新履歴

  • 2026年8月13日 初版を公開

※本記事は2026年8月13日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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