大田区で中古マンションを探していて、予算は決まったのに広さが決まらない人へ。大田区では30㎡未満の部屋が1㎡あたり110.0万円、90㎡以上が83.7万円で、狭い部屋のほうが1㎡あたりは高く付いている。同じ総額を出すなら、どの広さ帯を見に行くかで手に入る面積が変わるということ。
この記事の数字は国土交通省「不動産情報ライブラリ」の成約価格を集計したもの。大田区の中古マンションは2024年4Q〜2025年4Qで1,189件あり、今回集計した種別のなかで最も母数が厚い。マンションの単価はすべて成約総額を専有面積で割った1㎡あたりの値で、坪単価ではない。
売り出し価格ではなく実際に売れた価格なので、広告に出ている値付けよりは現実に近い。ただし中央値なので、同じ広さ帯のなかでも上下に幅がある。ここから先は、その幅がどの帯で広がるのかも含めて見ていく。
先に結論
- 大田区の中古マンション1,189件の中央値は1㎡あたり104.0万円
- 1㎡あたりが最も高いのは30㎡未満の110.0万円、最も安いのは90㎡以上の83.7万円
- 50〜70㎡は90.0万円で、より広い70〜90㎡の93.5万円より安い。単価は広さに沿って一直線には下がらない
- 築年帯で見ると築0〜10年の120.0万円から築41年以上の71.1万円まで開き、広さより落差が大きい
まず、面積帯ごとの1㎡あたりの中央値を並べる。
いちばん高いのは30㎡未満の110.0万円で、いちばん安いのは90㎡以上の83.7万円。狭い部屋ほど1㎡は高いという並びになっている。ただし50〜70㎡の90.0万円と70〜90㎡の93.5万円だけは順番が入れ替わっていて、広くすれば単価が下がり続けるわけではない。
30㎡未満が631件、大田区でいちばん動いている広さ
面積帯ごとの件数を並べると、30㎡未満が631件で、1,189件のなかの最大勢力になる。以下、30〜50㎡が133件、50〜70㎡が273件、70〜90㎡が124件、90㎡以上が28件。大田区の中古マンション市場は、件数で見れば狭い部屋の取引で回っている。
この厚みが1㎡あたりの単価にも表れている。30㎡未満は110.0万円で5つの帯のなかで最も高い。買い手の層が単身の実需だけでなく貸す目的の層にも広がる帯なので、面積が小さいわりに値が付きやすい。
自分の探している帯の母数を知っておくと、内見で見る物件の位置づけが分かる。50〜70㎡を探しているなら比較材料は273件ぶんある。一方で90㎡以上は28件しかなく、この帯の83.7万円は少ない件数から出た中央値なので、実際の売買では上下にぶれると考えておいたほうがいい。
50〜70㎡より70〜90㎡のほうが1㎡は高い
50〜70㎡が90.0万円、70〜90㎡が93.5万円。広い帯のほうが1㎡あたりで上を行っている。単価の下がり方は70〜90㎡でいったん止まるという形になる。
私は、この帯に家族で住むための需要が集まっているせいだと見ている。根拠として挙げられるのは件数で、50〜70㎡が273件、70〜90㎡が124件と、90㎡以上の28件に比べればどちらも取引が続いている。90㎡以上に入ると件数が28件まで落ち、単価も83.7万円まで下がる。
読み方としてはこうなる。70〜90㎡を狙う人は「広くすれば1㎡あたりは安くなる」という前提を置かないほうがいい。逆に90㎡以上まで踏み込めるなら、1㎡あたりの負担は5帯のなかで最も軽い水準になる。ただし28件という母数の薄さは付いて回る。
築年数で見るとどこで単価が落ちるか
面積帯の並びが110.0万円から83.7万円までに収まっていたのに対し、築年帯は120.0万円から71.1万円まで開く。広さで悩むより、築年数をどこまで許容するかを決めるほうが、支払う金額は大きく動く。
落ち方の形もはっきりしている。築0〜10年の120.0万円から築11〜20年の110.0万円までは緩やかで、そこから築21〜30年で96.3万円、築31〜40年で76.9万円まで下がる。段差が大きいのは築20年を過ぎたあたりから。件数は築0〜10年が233件、築11〜20年が426件、築21〜30年が294件、築31〜40年が171件、築41年以上が65件で、いちばん厚いのは築11〜20年の426件。
この築年帯はデータを作った2026年を基準にしている。築21〜30年は1996〜2005年に建った建物、築31〜40年は1986〜1995年に建った建物にあたる。さらに元のデータからは1982年の新耐震基準より前の建物が除かれているため、築41年以上の71.1万円は、新耐震以降のなかで最も古い層の数字として読む必要がある。それより古い建物はこの表に入っていない。
新築マンションは1㎡あたり148.0万円
同じ期間の大田区の新築マンションは46件で、中央値は148.0万円。中古全体の104.0万円と同じく専有面積あたりの単価なので、この2つは並べて比べてよい。
ただし46件という件数は、その期間にどんな物件が売られたかに数字が引っ張られる規模。特定の物件の売れ行きが中央値をそのまま動かす。新築の148.0万円は「大田区の新築はこの値段」ではなく「この期間に売れた46件の真ん中がここだった」と読むのが正確なところ。
中古の30㎡未満が110.0万円だったことを思い出すと、新築との差が広さの差より小さく見える帯もある。狭さと新しさのどちらに予算を振るかは、住む年数で答えが変わる。
借りた場合の1㎡あたりはいくらか
買う前に借りる金額と並べておくと判断しやすい。大田区の賃貸データ203,930件から出した家賃の中央値は、1㎡あたり3,647円。
売買の単価と家賃の単価は単位が違うので直接は引き算できないが、狭い部屋ほど1㎡あたりが高く付くという構図は売買と共通している。今の住まいの家賃を専有面積で割ってこの数字と見比べると、自分が今どのあたりの水準で住んでいるかが分かる。家賃そのものが長期でどう動いてきたかは、家賃相場の10年推移をまとめた記事にデータを置いてある。
買う前提が固まっていないなら、先に借りて広さの感覚をつかむ順番もある。30㎡未満と70〜90㎡は、数字の上でも住み心地の上でも別の商品と考えたほうがいい。
掲載中の部屋で、広さと家賃の組み合わせを見比べられます。
売る側から見ると広さ帯はどう効くか
持っている部屋を売る側から同じ表を見ると、読み方が変わる。1,189件のうち631件が30㎡未満という構成は、狭い部屋なら比較される同種の物件が多く、値付けの根拠を作りやすいことを意味する。買い手も探しやすい。
逆に90㎡以上を売る場合、同じ期間の成約は28件しかない。買い手候補の数が限られるぶん、売り出してから決まるまでの時間は読みにくくなる。この帯で「相場より高い」と言われたときは、何件の成約と比べての話なのかを聞いておくといい。
売却で数字より先に効くのは、そもそも自分の物件の情報が買い手に届いているかどうか。届いていない状態が続くと、価格を下げる話だけが進む。仕組みの側で何が起きているかは、売却情報が買い手に届いているかを確かめる記事にまとめてある。
まとめ
大田区の中古マンション1,189件の中央値は1㎡あたり104.0万円。面積帯では30㎡未満の110.0万円が最も高く、90㎡以上の83.7万円が最も安い。ただし50〜70㎡の90.0万円と70〜90㎡の93.5万円は逆転していて、広さと単価は一直線ではつながらない。
築年帯で見ると120.0万円から71.1万円まで開き、面積帯より落差が大きい。予算の使い道を決めるときは、広さを削るより築年数の許容範囲を先に決めたほうが、動かせる金額は大きい。
最後にもう一度だけ断っておくと、ここに出した数字はすべて中央値であって、実在する1件の価格ではない。90㎡以上の28件、新築の46件のように母数が薄い帯は特にぶれる。町ごとの水準は上の相場検索から住所を入れて確かめてほしい。


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