🗨️「親に家の頭金を出してもらう話をしています。贈与税はかかりますか?」
2026年12月31日までに受け取れば、最大1,000万円まで贈与税ゼロにできます。この特例の期限は今年の年末までで、延長はまだ決まっていません。特例を使えないと、1,000万円の援助に177万円の贈与税がかかります。
[不動産] この記事の要点
直系尊属(父母・祖父母)から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置は、令和8年(2026年)12月31日までに受けた贈与が対象。2025年12月26日に閣議決定された令和8年度税制改正大綱には、この措置の延長・改正の記載が1か所もなく、期限は現行法のまま残っている。
2026年8月10日 発表
- 2026年中に親や祖父母から住宅資金の援助を受ける予定の人
- 2027年春に新築の引渡しを受ける予定で、資金援助を当て込んでいる人
- 子や孫の住宅取得を援助しようと考えている親・祖父母
- 売買仲介・住宅販売で顧客の資金計画を組む実務者
この記事でわかること
- 非課税枠が1,000万円になるか500万円になるかを分ける、家の性能の条件
- 特例を使えなかったときに実際にかかる贈与税の金額
- 期限までに間に合わせるために、年内・翌年3月15日までに何を終えておく必要があるか
先に結論
- 非課税になるのは、2026年12月31日までに受け取った住宅資金だけ
- 上限は省エネ等住宅で1,000万円、それ以外の住宅で500万円
- 特例を使えないと、1,000万円の援助に贈与税177万円がかかる
- 延長は決まっていない。令和8年度税制改正大綱にこの措置の記載はない
- 非課税でも、翌年2月1日〜3月15日の申告書提出が必須
1,000万円になるか500万円になるかは、家の断熱性能で決まる
非課税枠は2段階です。省エネ等住宅なら1,000万円、それ以外の住宅なら500万円。差は500万円あります。どちらになるかは、贈与を受けたあとに決められるものではなく、買う家がどれに当たるかで最初から決まっています。
新築の場合、省エネ等住宅の基準は断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上、いわゆるZEH水準です。ここを「今どき新築なら当然クリアしている」と考えると外します。2025年4月から新築住宅に義務づけられた省エネ基準は、断熱等性能等級4・一次エネルギー消費量等級4。義務化された水準と、1,000万円枠に必要な水準は一段違います。省エネ基準に適合しているだけの新築は500万円枠です。
省エネ性能以外でも、耐震等級2以上または免震建築物、高齢者等配慮対策等級3以上のいずれかに当たれば省エネ等住宅として扱われます。中古(建築後に使用されたことのある家屋)なら、断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上でも該当します。いずれも住宅性能証明書などの書類を贈与税の申告書に添付して証明する必要があり、あとから「実は等級5だった」と言っても通りません。
経過措置もあります。令和5年12月31日までに建築確認を受けた家屋、または令和6年6月30日までに建築された家屋は、断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上で省エネ等住宅とみなされます(この場合は確認済証の写しなどの添付が必要)。売れ残りの建売を検討している人は、建築確認の日付を先に聞いてください。
特例を使わなかった場合、贈与税はいくらか
18歳以上の子や孫が親・祖父母から受ける贈与には、特例税率が使えます。基礎控除110万円を引いたあとの金額に税率をかける計算です。特例を使う場合と使わない場合で、税額はこれだけ変わります。
| その年にもらう額 | 特例を使わない | 1,000万円枠を使う | 差 |
|---|---|---|---|
| 500万円 | 48万5,000円 | 0円 | ▲48万5,000円 |
| 1,000万円 | 177万円 | 0円 | ▲177万円 |
| 1,110万円 | 210万円 | 0円 | ▲210万円 |
| 1,500万円 | 366万円 | 48万5,000円 | ▲317万5,000円 |
18歳以上の子・孫が受け取る前提で、他に贈与を受けていない場合の概算です。1,110万円の行は、非課税枠1,000万円に暦年課税の基礎控除110万円を足したところまで税額が出ないことを示しています。500万円の行は、それ以外の住宅(500万円枠)でも同じく0円になります。
1,000万円をそのまま渡したときの177万円は、もらった側が翌年3月15日までに現金で納めるお金です。援助してもらった資金の一部が、引渡しの直後に税金として出ていきます。カーテンとエアコンと引越し代を足しても、まだ足りない額です。
1,000万円で買える土地は、同じ神戸市内でも7倍違う
非課税枠の上限は全国一律で1,000万円です。ところが土地の値段は同じ市の中でも大きく違うので、1,000万円の重みは住む場所によって変わります。当サイトの土地相場ページで使っている実取引データ(2024年第4四半期〜2025年第4四半期)から、神戸市9区の坪単価の中央値を並べ、1,000万円で買える土地の面積に直しました。
| 区 | 土地の坪単価(中央値) | 1,000万円で買える面積 | 集計件数 |
|---|---|---|---|
| 中央区 | 150万4,130円 | 6.6坪(22.0㎡) | 22件 |
| 灘区 | 138万8,428円 | 7.2坪(23.8㎡) | 35件 |
| 東灘区 | 130万5,783円 | 7.7坪(25.3㎡) | 74件 |
| 兵庫区 | 72万7,272円 | 13.8坪(45.5㎡) | 32件 |
| 垂水区 | 42万9,751円 | 23.3坪(76.9㎡) | 73件 |
| 西区 | 33万578円 | 30.3坪(100.0㎡) | 81件 |
| 長田区 | 26万7,768円 | 37.3坪(123.4㎡) | 29件 |
| 北区 | 21万4,876円 | 46.5坪(153.8㎡) | 95件 |
中央区の6.6坪に対して北区は46.5坪、その差は7倍です。同じ1,000万円でも、地価の高い区では土地代の一部を埋めるだけで終わります。「上限までもらえるなら足りるだろう」という前提は、買うエリアを決める前に外しておいたほうが安全です。逆に北区や西区なら、非課税枠だけで土地の大半をまかなえる計算になります。
坪単価は中央値で、期間内の実際の取引をもとにした集計です。同じ区の中でも駅からの距離や土地の形で大きく上下するので、目安として使ってください。
期限は2026年12月31日。今年の税制改正では延長されなかった
この特例の適用期限は、令和8年(2026年)12月31日です。もともと令和5年12月31日までだったものが3年延長されて今の期限になりました。過去に何度も延長されてきたので「今回も延びるだろう」と考えたくなります。
ところが、2025年12月26日に閣議決定された令和8年度税制改正大綱には、この措置についての記載が1か所もありません(大綱の本文を「住宅取得等資金」で検索して確認しました)。延長するかどうかの判断は、今年12月に出る令和9年度税制改正大綱まで持ち越されています。
同じ大綱の「資産課税」の項目は、別の贈与非課税措置の話から始まります。教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置について、令和8年3月31日までとされている信託等可能期間を「延長せずに終了する」と明記されました。贈与の非課税制度は、実際に終わることがあります。
一方で同じ大綱では、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の適用期限が令和7年12月31日から令和12年12月31日まで5年延長され、借入限度額も認定住宅4,500万円・ZEH水準3,500万円と示されています。
私はこう見ています
私は、この特例だけが大綱で触れられなかったことを「延長が既定路線ではない」しるしだと見ています。根拠は同じ1冊の中にあります。住宅ローン控除は5年延長と明記され、教育資金の一括贈与は終了と明記された。書かれるべき制度はきちんと書かれているのに、住宅取得等資金の非課税だけが登場しない。これは「決めていない」という状態です。
制度としては、2024年に要件がZEH水準へ引き上げられ、2025年4月には省エネ基準の適合が義務化されました。親の資金を性能の高い住宅へ向ける政策手段として作り替えられたばかりの制度なので、私自身は延長される可能性のほうが高いと考えています。ただしこれは見立てであって、大綱に書かれていない以上、延長を前提に「来年もらえばいい」と資金計画を組むのは危険です。今年もらえるなら今年もらう、が今の時点の安全側の判断になります。
特例が使えなくなる4つのパターン
要件は細かく並んでいますが、実務でつまずくのはだいたい次の4つです。
1. 配偶者の親からもらった
対象は直系尊属からの贈与だけです。夫の親から妻へ、妻の親から夫へ渡すと使えません。ただし養子縁組をしている場合は直系尊属に当たります。義父母が「嫁に渡すほうが角が立たない」と気を回した結果、非課税が消えるという事故が起こります。
2. もらった人が家の名義に入っていない
資金を受け取った人が、その住宅用の家屋を所有する(共有持分を持つ場合を含む)ことにならなければ、この特例は使えません。妻が自分の親からもらった資金を、夫の単独名義の家に入れる形にすると対象外です。持分をどう分けるかは、資金を出す前に決めておく話です。
3. 引渡しが翌年3月15日に間に合わない
原則は、贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて新築等をし、その家に住むことです。同日後に遅滞なく居住する見込みでも認められますが、翌年12月31日までに住んでいないと修正申告が必要になります。2026年12月に受け取るなら、2027年3月15日が一つ目の関門です。注文住宅で工程が押しやすい人は、資金を受け取る時期のほうを調整したほうが確実です。
4. 申告しなかった
税額が0円でも、翌年2月1日から3月15日までに贈与税の申告書を出さなければ特例は受けられません。戸籍の謄本、契約書の写し、住宅性能証明書などの添付も必要です。「非課税なら何もしなくていい」と思って年を越すと、177万円が確定します。
相続とセットで考えると、この特例はもう一段お得になる
この特例で非課税になった金額は、相続が起きたときの生前贈与加算(相続財産への持ち戻し)の対象になりません。
暦年課税の贈与は、令和6年1月1日以後のぶんから加算対象期間が最長7年へ延びました。相続開始の時期による区分は、令和8年12月31日までなら相続開始前3年以内、令和9年1月1日〜令和12年12月31日なら令和6年1月1日から死亡の日まで、令和13年1月1日以後なら相続開始前7年以内です(相続開始前3年以内より前の分は合計100万円まで加算されません)。
つまり、親が毎年110万円ずつ渡していく方法だと、亡くなる直前の数年分は相続財産に戻されます。住宅取得等資金の非課税で渡した分は、この計算に入りません。同じ額を子に移すなら、住宅を買うタイミングに合わせるほうが有利になる、というのがこの制度の設計です。
生活・仕事にどう効くか
- 贈与税:1,000万円を18歳以上の子に贈与する場合、特例が使えれば0円、使えなければ177万円。500万円なら48万5,000円かかる。
- 引渡しの時期:原則として贈与を受けた年の翌年3月15日までに家を取得して住む必要がある。2026年12月に受け取るなら、2027年3月15日が期限になる。
- 相続:この特例で非課税になった金額は、相続時の生前贈与加算(令和6年以後の贈与は最長7年)の対象にならない。同じ額を暦年贈与で渡す場合と扱いが違う。
- 仕事:資金計画に親の援助を含む案件では、年内の資金移動と翌年3月15日の引渡し期限が同時に効く。工程が押すと非課税枠がまるごと消える。
結局どうすればよいか
- 買う家が「省エネ等住宅」に当たるか、住宅性能証明書などの書類で先に確認する(1,000万円と500万円の分かれ目)
- 資金を受け取る人が、その家の名義(共有持分でも可)に入る形にする。配偶者の親からの贈与は対象外
- 引渡し予定日が翌年3月15日を過ぎないか、工程表で確認する
- 非課税でも、翌年2月1日から3月15日までに贈与税の申告書を提出する(申告しないと特例は受けられない)
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公式出典
- 国税庁 タックスアンサー No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
- 国税庁 タックスアンサー No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
- 国税庁 タックスアンサー No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
- 財務省 令和8年度税制改正の大綱(2025年12月26日発表)
- 国土交通省 住宅:住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置
更新履歴
- 2026年8月10日 初版を公開
※本記事は2026年8月10日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。


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