🗨️「家を建てる場所によって、住宅ローン控除が使えなくなることがあるって本当?」
本当です。2028年1月1日以後に入居する新築住宅は、土砂災害特別警戒区域など5つの区域内だと住宅ローン控除の対象外になります。認定長期優良住宅なら13年間で約343万円の差です。中古住宅の購入と、5年以上住んだ家の建替えは今までどおり使えます。
[不動産] この記事の要点
2025年12月26日に閣議決定された令和8年度税制改正の大綱で、住宅ローン控除に「立地要件」が新設された。災害危険区域等(土砂災害特別警戒区域など5区域)内に新築した住宅に2028年1月1日以後に入居した場合、控除が受けられなくなる。固定資産税と不動産取得税の軽減も同様に外れるが、こちらは2029年4月1日以後の新築・取得からで、対象区域はさらに広い。
2026年8月9日 発表
- これから土地を買って家を新築する人
- 土砂災害特別警戒区域や急傾斜地崩壊危険区域に土地を持っている人
- 建売住宅・分譲地を検討している人
- 土地の仕入れや分譲をする不動産会社・工務店
この記事でわかること
- 2028年1月1日以後の入居から、どの区域の新築が住宅ローン控除の対象外になるのか
- ハザードマップが色で塗られていても、対象になる区域とならない区域があること
- 住宅ローン控除・固定資産税・不動産取得税で、始まる時期も対象区域も違うこと
先に結論
- 2028年1月1日以後に入居する新築は、土砂災害特別警戒区域など5区域内だと住宅ローン控除が使えない
- 中古住宅の購入と、5年以上住んだ家の建替えは今までどおり使える
- 固定資産税と不動産取得税の軽減も外れる。ただし開始は2029年4月1日以後の新築・取得からで、対象区域はもっと広い
- ハザードマップが色で塗られていても、そのすべてが対象になるわけではない
- 建築確認を受けた時点で土地の全部が区域の外なら、あとから区域に指定されても控除は使える
住宅ローン控除に「立地要件」が加わった
2025年12月26日に閣議決定された令和8年度税制改正の大綱で、住宅ローン控除の適用期限が2030年12月31日まで5年延びました。ニュースで大きく扱われたのは、床面積の下限が50平方メートルから40平方メートルに下がったことのほうです。同じ改正のなかに、静かに新しい条件が1つ入りました。住宅を建てる場所を問う「立地要件」です。
大綱の文章はこうです。個人が災害危険区域等の中で住宅を新築し、その家に2028年(令和10年)1月1日以後に住み始めた場合、住宅ローン控除は使えない。判定の基準になるのは契約日でも着工日でもなく、住み始めた日です。
たとえば2027年の春に土地を契約して、秋に着工、2027年12月に引渡しを受けて年内に引っ越せば控除は使えます。工期が2か月延びて2028年1月に引っ越すと、同じ家・同じローンでも使えません。年末の完成予定は、この改正のあとは重い意味を持ちます。
対象になるのはこの5区域
大綱が「災害危険区域等」と呼んでいるのは、次の5つです。世間では「災害レッドゾーン」とまとめて呼ばれます。
| 区域の名前 | 何を想定した区域か | 根拠の法律 |
|---|---|---|
| 土砂災害特別警戒区域 | 土石流・がけ崩れ・地すべりで建物が壊れ、人命に危険が及ぶおそれ | 土砂災害防止法 |
| 急傾斜地崩壊危険区域 | がけ崩れ | 急傾斜地法 |
| 地すべり防止区域 | 地すべり | 地すべり等防止法 |
| 浸水被害防止区域 | 洪水・雨水出水による著しい被害 | 特定都市河川浸水被害対策法 |
| 災害危険区域(一部だけ) | 津波・高潮・出水など。自治体が条例で指定する | 建築基準法39条 |
いちばん数が多いのは土砂災害特別警戒区域です。国土交通省の集計では、2026年6月30日時点で全国に621,287区域あります。内訳は急傾斜地の崩壊が459,201、土石流が162,085、地すべりが1です。地すべりの特別警戒区域は、全国で富山県の1区域しかありません。
兵庫県だけを見ると、土砂災害警戒区域21,547のうち特別警戒区域は12,810です。神戸市や阪神間のように山が海に迫る地形では、宅地の背後がそのまま区域になっている場所が珍しくありません。
区域はまだ増えます。同じ資料では、基礎調査を終えて公表された区域が726,539(2026年3月末時点)あり、指定済みの721,014(同6月30日時点)を約5,500上回っています。差の分はこれから指定される見込みです。
5つのうち災害危険区域だけは、指定されている全部が対象になるわけではありません。大綱の注記では「一定の居住用家屋が建築された場合における当該災害危険区域に限る」とされ、その中身は、都市再生特別措置法にもとづいて市町村長が適正な立地を促すために行った勧告に従わないで住宅が建てられた場合、と説明されています。
ハザードマップが色つきでも、対象になるとは限らない
ここが誤解しやすいところです。市町村のハザードマップで自宅の予定地が色で塗られていても、それだけでは住宅ローン控除は消えません。
洪水ハザードマップの浸水想定(洪水浸水想定区域)は、住宅ローン控除の5区域に入っていません。土砂災害のマップでよく見る黄色い「土砂災害警戒区域」も入っていません。入るのは、その内側にある赤い「土砂災害特別警戒区域」だけです。黄色と赤は名前が2文字しか違いませんが、税制上の扱いはまったく別です。
5区域に入っている「浸水被害防止区域」も、洪水浸水想定区域とは別の制度です。これは特定都市河川浸水被害対策法にもとづく区域で、特定都市河川に指定された流域の中でしか指定できません。特定都市河川の指定は2026年4月1日時点で43水系508河川です。全国どこにでもある区域ではありません。
制度ごとに、始まる時期も対象区域も違う
立地要件が入ったのは住宅ローン控除だけではありません。ただし、揃っていません。
| 制度 | 対象になる区域 | いつの家から |
|---|---|---|
| 住宅ローン控除 | 上の5区域 | 2028年1月1日以後に入居する新築 |
| 認定住宅等を新築した場合の所得税額の特別控除(投資型減税) | 上の5区域 | 2028年1月1日以後に入居する新築 |
| 新築住宅の固定資産税を2分の1にする減額 | 5区域+市街化調整区域内の土砂災害警戒区域・洪水浸水想定区域・雨水出水浸水想定区域・高潮浸水想定区域 | 2029年4月1日以後に新築 |
| 住宅とその土地の不動産取得税の軽減 | 同上 | 2029年4月1日以後に取得 |
市街化調整区域の中に限っては、黄色い土砂災害警戒区域や洪水浸水想定区域でも固定資産税と不動産取得税の軽減が外れます。住宅ローン控除より対象が広いのに、始まるのは1年3か月あとです。1つの改正として報じられがちですが、実務では別々に確認する必要があります。
なお固定資産税の減額では、床面積の下限が40平方メートルに緩む一方で、上限が280平方メートル以下から240平方メートル以下に下がります。大きな家を建てる人は、立地とは別の理由で減額から外れることがあります。
いくら減るのか
住宅ローン控除は年末のローン残高に0.7%を掛けた額が、13年間戻ってきます。借入期間35年・年1.5%・元利均等・借入額が限度額と同じ場合の概算です。実際の控除額は、その年に納める所得税と住民税の一部が上限になるため、下の額に届かないこともあります。
| 住宅の種類 | 借入限度額 | 初年度の控除 | 13年間の合計 |
|---|---|---|---|
| 認定長期優良住宅・認定低炭素住宅 | 4,500万円 | 約30.8万円 | 約343万円 |
| 同上・子育て世帯等 | 5,000万円 | 約34.2万円 | 約381万円 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 約24.0万円 | 約267万円 |
| 同上・子育て世帯等 | 4,500万円 | 約30.8万円 | 約343万円 |
子育て世帯等というのは、40歳未満で配偶者がいる人、40歳以上で40歳未満の配偶者がいる人、または19歳未満の扶養親族がいる人のことです。
2029年4月1日以後の新築なら、ここに固定資産税と不動産取得税が乗ります。新築住宅の固定資産税は3年間(マンションは5年間)2分の1になり、国土交通省は2,500万円の住宅を新築した場合の軽減効果を3年間で約27万円と推計しています。不動産取得税は新築住宅の課税標準から1,200万円が引かれ、税率3%なので最大36万円です。
3つを足すと、認定長期優良住宅を建てる人で400万円前後の差になります。土地の値段が同じでも、区域の内か外かでこれだけ動きます。
対象から外れる3つのケース
区域内でも控除が使える場合が、大綱にはっきり書かれています。
1つめは建替えです。ただし、どんな建替えでもよいわけではありません。本人・配偶者・2親等以内の親族が5年以上居住の用に供していた家屋の建替えに限られます。相続で取得したばかりの空き家を壊して建て直す、といったケースは条件を満たしません。ここは見落とされやすいところです。
2つめは、中古住宅の購入とリフォームです。立地要件がかかるのは新築(と、建築後に使われたことのない住宅の取得)だけで、既存住宅の取得は対象のままです。
3つめは建築確認を受けた時点で、家を建てる土地の全部が区域に含まれていなかった場合です。建築確認のあとに区域指定を受けても、控除は使えます。区域の指定は毎年進んでいるので、この救済がないと着工後に指定されただけで数百万円を失うことになります。
私はこの改正をこう見ています
これは危ない土地に住むことを禁じる規制ではなく、危ない土地の値段を下げる仕組みだと考えています。根拠は3つあります。
1つめ。建築そのものは止められていません。土砂災害特別警戒区域でも、外力に耐える構造にすれば住宅は建てられます。この改正で消えるのは税の優遇だけです。
2つめ。建替えと中古が対象から外れています。すでにその区域に住んでいる人の資産価値には手を付けず、これから新しく入る人だけを止めにいく設計です。
3つめ。買い手が使える減税が400万円前後減れば、買い手が土地に出せる金額はその分下がります。売主が同じ値段で売り続けることはできません。つまり、区域内の土地は市場の値段のほうから調整されていきます。
2028年と2029年という日付は、まだ先のように見えます。ただし土地を探し始めてから引っ越すまでは、注文住宅なら1年から2年かかります。2026年の後半に土地を探している人は、もう境目の上にいます。
土地を契約する前に確認する3つのこと
重要事項説明で区域の話は出ますが、それは契約の直前です。土地を決める前に自分で確認しておくと、選択肢が残ります。
まず、都道府県が公開している土砂災害警戒区域のマップで、赤(特別警戒区域)にかかっていないかを見ます。黄色だけなら住宅ローン控除には影響しません。次に、市町村のハザードマップで市街化調整区域かどうかを確認します。市街化調整区域なら、黄色や浸水想定でも固定資産税と不動産取得税の軽減が外れます。最後に、引渡しと入居の予定日を工務店と共有し、2027年内に入居できるかを文書で確認します。
この記事は2025年12月26日に閣議決定された大綱と、国土交通省が公表した税制改正概要にもとづいています。実際の適用は個別の事情で変わるため、判断の前に税務署か税理士に確認してください。
生活・仕事にどう効くか
- 13年間の税金:認定長期優良住宅を4,500万円借りて建てた場合、住宅ローン控除の13年間の合計は約343万円(35年・年1.5%・元利均等での概算)。区域内だとこれが丸ごと使えない。
- 引渡しの時期:判定は入居した日。2027年内に引き渡しを受けて年内に入居できれば控除は使えるが、工期が延びて2028年1月にずれ込むと使えなくなる。
- 土地の値段:同じ広さ・同じ形の土地でも、区域の内か外かで買い手が払える総額が数百万円変わる。区域内の土地は値付けの見直しが避けられない。
- 仕事:分譲地の仕入れでは、5区域に1画地でもかかっていないかの確認が2028年入居分から必須になる。重要事項説明の前段階のチェック項目が増える。
結局どうすればよいか
- 土地の売買契約を結ぶ前に、その土地が5つの区域に入っていないかを都道府県の土砂災害警戒区域マップと市町村のハザードマップで自分で確認する
- 入居予定が2027年12月31日までに収まるか、建築確認の申請予定日と工期をあわせて工務店に確認する
- 建替えの場合は、自分・配偶者・2親等以内の親族がその家に5年以上住んでいたかを確認する(この条件を満たす建替えは対象外にならない)
- すでに建築確認を受けている土地なら、確認を受けた時点で区域外だったかを設計事務所に確認する
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公式出典
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱」(閣議決定)(2025年12月26日発表)
- 国土交通省「令和8年度税制改正概要」(2025年12月26日発表)
- 国土交通省「全国における土砂災害警戒区域等の指定状況」(2026年6月30日時点)(2026年6月30日発表)
- 国土交通省「特定都市河川ポータルサイト」(指定状況は2026年4月1日時点)(2026年4月1日発表)
- 国土交通省「住宅:不動産取得税に係る特例措置」(2026年8月9日発表)
更新履歴
- 2026年8月9日 初版を公開
※本記事は2026年8月9日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。


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