千葉県浦安市が計画書に載せた道路冠水の記録で、いちばん多く名前が出てくるのは、舞浜の市道「幹線6号」のまわりです。市の雨水管理総合計画にある2016〜2019年の浸水12日分のうち5日に、この道か、国道357号と交わる舞浜交差点付近の名前があります。
市はこの舞浜地区を「過去10年間に10回以上の道路冠水実績」「冠水深は最大50cm」と書き、国と組んで地下に雨水をためる管を通す工事を進めてきました。
12日分の記録は、12日とも「道路冠水」です。市は計画書の冒頭で「道路冠水は発生するものの、家屋の浸水はほぼ見られなくなっています」と書いています。
この記事でわかること
- ✓ 浦安駅のある北栄が市の表に出るのは、2019年9月10日の北栄3丁目の1回だけです
- ✓ 元町は標高0〜1メートル程度でポンプで排水。埋立地は、海や川の水位が高いと雨水が流れにくくなると市は書いています
- ✓ 市の内水の区域図は「落葉や土砂による排水施設の詰まり」を計算に入れていません。2026年8月の入船中央交差点などの冠水は、県議のブログでは葉っぱのつまりが原因でした
国の冠水注意箇所に、浦安市は1か所もありません
国土交通省の関東地方整備局は、大雨で水がたまるおそれのある道を「道路冠水注意箇所」として地図にしています。千葉県の地図(令和8年6月30日更新)は95か所・26市町。隣の市川市は6か所で、浦安市は0か所です。
読者
国の地図に無いなら、浦安の道は冠水しないんですか?
いいえ。国の地図は題名に「アンダーパス部等」とあるとおり、くぐる道が中心です。浦安市は、道路が冠水した日と場所を計画書に載せています。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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市の記録で名前がいちばん多いのは、舞浜の幹線6号のまわり
計画書の表2-11には、2016年7月から2019年10月までに浸水が起きた日と場所が12日分並んでいます。場所の名前を1日1回として数えると、「幹線6号周辺」か「舞浜交差点付近」が5日。入船・富岡・猫実・東野が3日ずつで続きます(入船は「入船交差点」、高洲は「第2湾岸高洲T字路」の1日を含みます)。

2016年7月20日は、3時から6時までに52.0ミリの雨が降り、美浜・東野・富岡・猫実の道が冠水しました。表の富岡3丁目・4丁目の欄には「50cm冠水」とあります。

地図の番号と同じ順です
① 舞浜交差点(国道357号と市道幹線6号)
市の表で「幹線6号周辺」「舞浜交差点付近」が5日(2017〜2019年)
舞浜駅の北側(信号名「舞浜」) / 標高1.7メートル
※ 市は舞浜地区を「過去10年間に10回以上の道路冠水実績」「冠水深は最大50cm」としています。位置と標高は交差点の点の値です
② 富岡四丁目
道路冠水 2016年7月20日・2018年9月17日
浦安市富岡四丁目 / 標高2.1メートル
※ 2016年7月20日は表の「富岡3丁目、4丁目」の欄に「50cm冠水」とあります。2019年9月10日には富岡1丁目の記録もあります
⑤ 入船三丁目
道路冠水 2017年10月23日(台風21号)・2019年10月13日(台風19号)
浦安市入船三丁目 / 標高2.4メートル
※ 2019年8月11日には「入船交差点」の記録もあります
⑥ 入船中央交差点
2026年8月13日の豪雨で冠水
新浦安駅の東(信号名「入船中央」) / 標高2.0メートル
※ 市の公式発表ではなく、千葉県議会議員(浦安市選挙区)のブログに、市に確認した内容として書かれたものです。原因は排水溝の葉っぱのつまりで、短時間で解消したとあります
⑦ うら・らめ~る付近
2026年8月13日の豪雨で冠水
浦安市日の出七丁目(青少年交流活動センター) / 標高4.8メートル
※ 出どころは⑥と同じ県議のブログです。位置と標高は日の出七丁目の代表点の値です
⑨ 猫実三丁目
道路冠水 2019年7月4日(大雨)
浦安市猫実三丁目 / 標高-0.1メートル
※ 猫実は2016年7月20日(猫実1丁目)と2019年5月21日(猫実周辺)にも名前があります
⑪ 北栄三丁目
道路冠水 2019年9月10日(大雨)
浦安市北栄三丁目 / 標高0.9メートル
※ 浦安駅(北栄一丁目)の点から東へ約660メートル。市の表で北栄が出るのはこの1回です
⑫ 高洲四丁目
道路冠水 2018年9月17日(集中豪雨)
浦安市高洲四丁目 / 標高3.8メートル
※ この日の表の最大積算雨量は高洲の74.5ミリ。2019年8月11日には「第2湾岸高洲T字路」の記録もあります(位置は特定できていません)
Googleマップのリンクは、町丁目を国土地理院の住所検索にかけた代表点か、道路地図(OpenStreetMap)の交差点の点の緯度経度で開きます。冠水した地点そのものではなく、数百メートルずれることがあります。標高も同じ点の値で、道路の底の高さではありません。
舞浜地区は「過去10年間に10回以上」、深さは最大50センチ
舞浜交差点は、国道357号と市道幹線6号が交わる、舞浜駅の北側の交差点です。市の事業計画は、2021年3月の集中豪雨でもこの交差点付近で「大規模な道路冠水が発生」したと書き、舞浜地区の冠水の広さを延べ2.8ヘクタールとしています。
理由として市が挙げるのは地盤です。埋立事業者がつくった下水道の施設が、埋立後の沈下と東日本大震災の影響で「1~1.5m程度沈下したと推測」されています。
対策は、道路の下に雨をためる貯留管です。4,000立方メートル、内径2.6メートル、長さ760メートル。国交省の首都国道事務所が市の分とまとめて施工し、2023年3月6日に着工しました。目標は1時間50ミリから60ミリへの引き上げで、市のページの実施期間は「令和4年度から令和7年度まで(予定)」です。
読者
工事が終われば、舞浜交差点はもう冠水しないんですか?
市が書いている効果は「道路冠水の軽減が期待できる」までです。60ミリを超える雨には、止水板や側溝の清掃などを組み合わせるとしています。
浦安駅のある元町と、埋立地の中町・新町では理由が違います
市は、埋め立てる前からあった当代島・猫実・北栄・堀江・富士見を「元町地域」、昭和39年からの埋立地を「中町地域」、昭和47年からの第2期埋立でできた日の出・明海・高洲を「新町地域」と呼んでいます。
計画書によると、元町の地盤は「標高0~1m程度」、中町・新町は「標高3~4m」。同じ計画書の6.2節では埋立地を「1m~4m」としていて、この記事の中町の点(舞浜交差点・富岡・美浜・入船・東野)も代表点で1.7〜3.3メートルでした。元町は水はけのよくない低地で、川の水位が上がると水がたまりやすいため、排水機場のポンプで雨水をくみ出しています。その排水施設は「老朽化が進んでおり」、雨水の流れ出す量の増加などに「対応できていない可能性」があるとも市は書いています。
浦安駅は北栄一丁目にあります。住所の代表点の標高は、北栄一丁目が0.7メートル、猫実三丁目がマイナス0.1メートル、堀江四丁目がマイナス0.5メートルでした。市の表で北栄が出るのは北栄3丁目の1回だけで、駅の名前の記録はありません。1981年の台風24号では1時間に64ミリの雨が降り、旧市街(元町)を中心に床上浸水262戸・床下浸水445戸が出ています。
埋立地は、雨水を川や海へ自然に流す仕組みです。市は、外の水位が高い大雨のときは管の中の水が自然に流れず、地盤が局所的に低くなった場所と重なって浸水が起きうる、と書いています。新町は中町より地盤が高く、浸水の可能性は中町より低いとしています。
東日本大震災の液状化は地震の被害で、冠水とは別のものです。市の計画書が冠水の話で震災に触れているのは、そのとき地盤が沈み、雨水管の流れが悪くなった場所がある、という点です。
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2026年8月の千葉豪雨で、県の報告に浦安市の家の被害は載っていません
千葉県の9月3日の第23報では、全壊・半壊・床上浸水・床下浸水のどの欄にも浦安市の名前はなく、避難所の開設も0か所でした。隣の市川市は半壊38棟・床上浸水54棟・床下浸水106棟です(どれも暫定値)。
道路の冠水は伝えられています。浦安市選挙区の千葉県議会議員、折本たつのり氏は豪雨の翌日、8月14日のブログに、市に確認した内容として「入船中央交差点、うら・らめ~る付近で冠水があった」と書いています。原因は「排水溝の葉っぱのつまり」で、取り除いて短時間で解消したそうです。
市の雨水出水浸水想定区域図も、「落葉や土砂による排水施設の詰まり」は計算に入れていないと断っています。地図に色が付いていない場所でも浸水することがある、というのが市の説明です。
内水ハザードマップは、1時間153ミリの水防法の地図に変わりました
浦安市の内水ハザードマップは、2025年10月23日の「雨水出水浸水想定区域」の公表に伴って作り替えられました。前は水防法にもとづかない1時間114ミリの地図、いまは水防法にもとづく1時間153ミリの地図です。

市の宅地建物取引業者向けのページは、不動産の取引のときに水害ハザードマップで物件の所在地を説明することが2020年8月28日から義務になったと書き、そのうえで内水ハザードマップを「水防法に基づいて作成したもの」としています。
市の区域のページには「長時間にわたり浸水する(浸水深0.5メートル以上がおおむね24時間以上継続する)おそれのある区域はありません」とあります。
市の地図サービスは地理情報の無断の複製を認めていないため、この記事には写していません。浦安駅のまわりは、市の「雨水出水浸水想定区域」のページの分割図01(猫実四・五丁目、当代島一〜三丁目、北栄一〜三丁目、堀江四丁目)で見られます。
- 分割図で、自分の家と駅までの道に色が付いているかを見る
- 雨の日は「浦安市防災気象情報」で、猫実川・境川・旧江戸川など7か所の水位を見る
- 家の前の側溝や集水ますに、落ち葉やごみが詰まっていないかを見る
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洪水・津波の浸水想定区域、土砂災害警戒区域、地震の確率と地盤の揺れやすさを公的データで出します
よくある質問
旧江戸川があふれることはありますか
市の洪水ハザードマップの「江戸川」は江戸川放水路のことです。旧江戸川は県の解析で浸水域がないとされ、洪水の地図の対象になっていません。市は、旧江戸川の洪水より「内水氾濫」のほうが起こりやすいと書いています。
浸水の記録が無い道は大丈夫ですか
いいえ。市の表は2019年10月までの12日分で、2026年8月の入船中央交差点の冠水(県議のブログによる)はそのあとのできごとです。載っていないことは、冠水しないことの証明にはなりません。
ほかの市はどうなっているか
- 道路冠水マップ どこで見られるの?(全国の一覧と、市区ごとの記事のまとめ)
- 市川市 冠水 どこが危ないの?
- 船橋市 冠水 どこが危ないの?
- 習志野市 冠水 どこが危ないの?
- 千葉市 冠水 どこが危ないの?
公式出典
- 国土交通省 関東地方整備局「千葉県内におけるアンダーパス部等の道路冠水注意箇所マップ」(令和8年6月30日更新)・道路冠水注意箇所 千葉県の一覧(2026年9月23日取得)
- 浦安市「雨水管理総合計画」(令和3年3月。表2-11 浸水発生時の概要、3.3 地域ごとの浸水要因分析、6.2 段階的整備計画)
- 浦安市「大規模雨水処理施設整備事業」(令和7年3月17日更新。舞浜第4排水区 大規模雨水処理施設整備事業計画と第2回変更)
- 国土交通省 関東地方整備局 首都国道事務所「舞浜雨水貯留管整備事業について」
- 浦安市「浦安市内水ハザードマップとは」・「雨水出水浸水想定区域」(令和7年10月23日指定)
- 浦安市「不動産取引時の説明事項(宅地建物取引業者向け)」(令和7年12月4日更新)・「浦安市水害ハザードマップ」
- 浦安市「浦安を襲った水害の記録」
- 浦安市「おいでよ浦安」元町地域・中町地域・新町地域の紹介
- 浦安市「排水体制および排水体制判断基準について」・「市内河川の水位」(浦安市防災気象情報。ウェザーニュースの浦安市観測情報ページに転送されます)
- 千葉県「第8回千葉県災害対策本部会議資料」(令和8年8月千葉豪雨について 第23報・令和8年9月3日17時30分発表を収録)
- 折本たつのり(千葉県議会議員)のブログ(選挙ドットコム・2026年8月14日。市の公式発表ではありません)
- 国土地理院 住所検索API・標高API(標高)/地理院タイル(地図)/OpenStreetMap(交差点と駅の位置)
この記事の数値は公表資料を集計したものです。被害の棟数は県の暫定値で、今後変わることがあります。避難や通行の判断は、必ず浦安市と千葉県の最新の発表を確認してください。
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