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罹災証明書は「片付ける前の写真」で決まる|撮り方のポイントと、全壊・半壊を分ける損害割合

罹災証明書は「片付ける前の写真」で決まる|撮り方のポイントと、全壊・半壊を分ける損害割合

🙋
💬 Aさん「地震で家の中がぐちゃぐちゃで、壁にもひびが入ってて…。とりあえず片付けたいんだけど、その前にやることってある?」
🏠
💬 防災士Bさん「一つだけある。写真だよ。片付けてしまうと被害の証拠が消えて、あとから取り戻せない。罹災証明書も保険も、この写真が土台になるんだ」

災害で住まいに被害が出たとき、支援制度の入口になるのが罹災証明書です。支援金の受け取り、税金の減免、応急仮設住宅への入居申請など、ほとんどの手続きでこれを求められます。

そして罹災証明書の判定は、片付けを始める前に撮った写真があるかどうかで大きく変わります。ここでは、政府広報オンラインや内閣府(防災担当)が公開している内容をもとに、写真の撮り方と、判定のしくみ、その先の支援制度を整理しました。

目次

1. 片付ける前に、まず写真を撮る

被害の写真は、罹災証明書を取得するときにも、損害保険を請求するときにも使います。片付けや修復に取りかかると、その時点の被害状況は二度と撮れません。順番を間違えないことが一番大事です。

政府広報オンラインが示している撮り方のポイントは次のとおりです。

場所 撮り方のポイント
家の外 カメラ・スマホなどでなるべく4方向から撮る。浸水した場合は浸水の深さも分かるように撮る
家の中 被災した部屋ごとの全景を撮る。そのうえで被害箇所の「寄り」も撮る
住宅設備・家電 システムキッチンや洗面台などの住宅設備、家電の被害状況も撮っておく
その他 自動車、物置、農機具などの被害状況も撮っておく

実際に撮るときのコツを補足すると、次の3つです。

  1. 「引き」と「寄り」をセットで撮る。寄りの写真だけだと、どの建物のどこなのかが伝わりません
  2. 日付が残る形で撮る。スマホなら撮影日時が自動で記録されます。写真を加工したり撮り直したりせず、そのまま残しておいてください
  3. 枚数を惜しまない。多すぎて困ることはありません。迷ったら撮っておく、が正解です

危険な場所は無理をしないでください。傾いた建物、崩れかけた壁、割れたガラスの近くに立ち入ってまで撮る必要はありません。外から撮れる範囲で十分です。

2. 罹災証明書とは何か

罹災証明書は、災害による住宅の被害の程度を市区町村が証明するものです。次のような場面で必要になります。

  1. 被災者生活再建支援金や災害義援金の受け取り
  2. 税金などの減免
  3. 応急仮設住宅への入居申請
  4. 各種の減免・猶予の手続き

発行の窓口は市区町村です。申請すると市区町村職員による被害認定調査が行われ、後日、その結果に基づいて罹災証明書が発行されます。手続きには申請書と身分証明書などが必要です。

📌 まず自分の市区町村の案内を確認してください。 申請の受付方法(窓口・郵送・オンライン)や受付期間は自治体ごとに違います。大きな災害では特設窓口が開かれることもあります。

3. 「赤い紙が貼られた=全壊」ではない

地震のあと、建物に緑・黄・赤の紙が貼られることがあります。これは応急危険度判定といって、余震による倒壊や落下物で二次災害が起きないかを見るための判定です。緑は「調査済」、黄は「要注意」、赤は「危険(立ち入り禁止)」を意味します。

ここで混同されやすいのですが、応急危険度判定と、罹災証明書のための被害認定調査は、目的も実施主体も異なる別の調査です。内閣府の資料でも、応急危険度判定で「危険(赤)」と判定された建物が、被害認定調査で必ず「全壊」や「半壊」になるとは限らないことが明記されています。

応急危険度判定 被害認定調査
目的 二次災害の防止(今この建物に入って安全か) 罹災証明書の発行(被害の程度を認定する)
結果 緑(調査済)/黄(要注意)/赤(危険) 全壊/大規模半壊/中規模半壊/半壊/準半壊/準半壊に至らない
申請 不要(自治体が実施) 必要(自分で申請する)

つまり、赤い紙が貼られていても、罹災証明書は自分で申請しないと出ません。逆に緑の紙が貼られていても、被害があるなら申請してかまいません。

4. 全壊・半壊を分けるのは「損害割合」

被害認定は、内閣府(防災担当)の「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」に沿って行われます。判定は損害割合(住家の主要な構成要素の経済的被害の割合)で6つに区分されます。

区分 損害割合
全壊 50%以上
大規模半壊 40%以上50%未満
中規模半壊 30%以上40%未満
半壊 20%以上30%未満
準半壊 10%以上20%未満
準半壊に至らない(一部損壊) 10%未満

見落とされやすいのが準半壊です。「一部損壊だから何も使えない」と思われがちですが、準半壊(10%以上20%未満)に該当すれば、後述する住宅の応急修理の対象になります。申請しなければ、この区分に当たるかどうかも分かりません。

5. 判定に納得できないときは、もう一度調べてもらえる

最初に行われる第1次調査は、原則として外観からの調査です。外から見ただけでは分からない被害――内壁の亀裂、床の傾き、設備の損傷などは、この段階では反映されないことがあります。

結果に納得できない場合、申し出れば建物の内部に立ち入る第2次調査を受けられます。第2次調査の結果にもなお納得できない場合は、さらに再調査を求めることができます。内閣府の手引きでも、この流れが正式な手続きとして定められています。

  1. 第1次調査:外観からの調査
  2. 第2次調査:申し出により、内部に立ち入って行う調査
  3. 再調査:さらに申し出があった場合に、市区町村が内容を検討して行う調査

ここで効いてくるのが、片付ける前に撮った写真です。すでに片付けたあとの部屋を見せても被害は伝わりませんが、当時の写真があれば「調査時点では分からなかった被害」を具体的に示せます。

📌 第2次調査・再調査には申し出の期限が設けられているのが一般的です。罹災証明書を受け取ったら、判定を確認し、疑問があれば早めに市区町村へ相談してください。

6. 罹災証明書の先にある支援

罹災証明書は、それ自体がお金になるわけではなく、各種支援の入口です。代表的なものを整理します。

被災者生活再建支援金(最大300万円)

被災者生活再建支援法が適用された市町村では、住宅に著しい被害を受けた世帯に支援金が支給されます。住宅の被害程度に応じた基礎支援金と、再建方法に応じた加算支援金の合計です。

被害程度 基礎支援金 加算支援金(建設・購入/補修/賃借)
全壊・解体・長期避難 100万円 200万円/100万円/50万円
大規模半壊 50万円 200万円/100万円/50万円
中規模半壊 なし 100万円/50万円/25万円
  1. 単身世帯は、上の額の4分の3になります
  2. 支給は現金(振込)で、使いみちに制限はありません
  3. 申請期限は、基礎支援金が災害発生日から13か月以内、加算支援金が37か月以内です

住宅の応急修理(73万9千円以内/準半壊は35万8千円以内)

災害救助法が適用された市区町村では、大規模半壊・中規模半壊・半壊した住宅について、居室・台所・トイレなど日常生活に不可欠な部分の応急的な修理を支援する制度があります。限度額は一世帯あたり73万9千円以内です。資力のない方が対象ですが、大規模半壊では資力を問いません

さらに、令和元年(2019年)以降に発生した災害では、準半壊(損害割合10%以上20%未満)でも一世帯あたり35万8千円以内を限度に支援が受けられます。

⚠️ ここが最大の落とし穴です。 応急修理は、都道府県または市区町村が修理業者に作業を委託し、その費用を支払う制度です。被災者本人にお金が支給される制度ではありません。制度を使うつもりなら、先に自分で修理を発注してしまう前に、必ず市区町村に相談してください。

障害物の除去(14万3千9百円以内)

災害救助法が適用され、住家に土石や竹木などが運び込まれて日常生活に支障が出ている場合、その除去について一世帯あたり14万3千9百円以内の支援が受けられます。自力で除去できない方が対象です。これも自治体が業者に委託して費用を支払う形です。

応急仮設住宅

災害救助法が適用されると、民間賃貸住宅を借り上げた賃貸型応急住宅や、新たに建設する建設型応急住宅への入居があっせんされます。公営住宅、UR賃貸住宅、国家公務員宿舎などがあっせんされることもあります。

7. 片付け・修理を始める前に知っておく3つのこと

① 通電火災を防ぐ

停電していた家で急に電源を入れると、通電火災などの二次災害が起きる危険があります。避難などで家を離れるときはブレーカーを切り、停電中はコンセントからプラグを抜いておきます。復旧させるときは、すべてのブレーカーが「切」になっていることを確認してから、アンペアブレーカー → 漏電遮断器 → 安全ブレーカーを一つずつ、の順に入れます。

安全ブレーカーを入れると漏電遮断器がまた落ちる場合は、漏電のおそれがあります。ブレーカーを切って、電力会社や電気工事店に相談してください。

停電が続く間の作業や夜間の見回りには、手がふさがらないLepro LEDランタン(電池・充電の2way給電)のような面で照らせる明かりが使いやすいです。写真を撮る場面でも、暗い室内では明かりがないと被害箇所が写りません。

② ガスは確認してから復帰させる

ガスのにおいがしないかを確認し、においがあれば窓を開けます。換気扇や火は使わないでください。プロパンガスはボンベを点検し、元の位置から動いていた場合は復帰させる前にガス業者に点検してもらいます。異常がなければマイコンメーターで復帰させます。

③ 「修理してあげます」に気をつける

災害後は、住宅の修理を口実にした消費者トラブルが増える傾向があります。政府広報オンラインも、修復作業の請負いを装う詐欺への注意を呼びかけています。不審な勧誘を受けたときは、消費者ホットライン「188」(局番なし)に電話すると、最寄りの消費生活センターを案内してもらえます。

片付けの手助けが必要なときは、市町村の社会福祉協議会などが設ける災害ボランティアセンターを通じて依頼してください。個別に訪ねてくる身元の不確かな相手に、家の状況や家族構成、保険の加入状況を話す必要はありません。

なお、断水が続くと水洗トイレが使えなくなります。片付け作業は水分を多く失うため、トイレの見通しが立たないと水分を控えてしまいがちです。トイレの女神PREMIUM 簡易トイレ 100回分のように回数のまとまったものが一箱あると、この連鎖を断ち切れます。

自分の家がどのリスクを持っているか、先に知っておく

罹災証明書の手続きは、被害が出てからのものです。その前段として、住んでいる場所がどの災害リスクを持っているかを知っておくと、備えの優先順位が決まります。

災害リスク診断では、住所を入力するだけで地震・土砂災害・洪水などのリスクをまとめて確認できます。

避難生活そのものの注意点は別記事にまとめています。

👉 真夏の避難生活で気をつけること7つ|熊本地震の犠牲者の約8割は「地震のあと」に亡くなった

👉 災害時のスマホ対策|00000JAPANの使い方と3つの注意点、電池を長持ちさせる設定7つ

👉 なぜ熊本でまた震度7?10年前から「次はここ」と名指しされていた日奈久断層帯の南側

まとめ

  1. 片付ける前に写真を撮る。家の外はなるべく4方向、家の中は部屋ごとの全景と被害箇所の寄り。設備・家電・自動車・物置も撮る
  2. 罹災証明書は自分で申請しないと出ない。応急危険度判定の赤い紙が貼られていても、それは別の調査
  3. 判定は損害割合で6区分。全壊50%以上、大規模半壊40%以上、中規模半壊30%以上、半壊20%以上、準半壊10%以上
  4. 第1次調査は外観のみ。納得できなければ内部に立ち入る第2次調査、さらに再調査を求められる。ここで片付け前の写真が効く
  5. 支援金は最大300万円(単身世帯は4分の3、使途制限なし)。申請期限は基礎13か月・加算37か月
  6. 住宅の応急修理は現金支給ではない。自治体が業者に委託する制度なので、自分で先に発注する前に相談する
  7. 修理を装う勧誘には消費者ホットライン188。片付けの手助けは災害ボランティアセンター

制度の細かい運用や受付期間は市区町村ごとに異なります。この記事は全体像をつかむためのものとして使い、最終的な判断は必ずお住まいの市区町村の案内で確認してください

参考:政府広報オンライン「住まいが被害を受けたとき 最初にすること」(2025年9月8日)/内閣府(防災担当)「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」/内閣府(防災担当)「災害に係る住家被害認定業務 実施体制の手引き」/公益財団法人都道府県センター「被災者生活再建支援制度」
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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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