「写真はきれいに撮れているし、掲載順位が下がったから反響が減ったんだろう」。反響の落ち込みをそう説明したくなったら、先に他社の話ではなく、契約した人の回答を見てください。実際に賃貸か売買を契約した144人が「問合せ先の不動産会社を選んだ理由」の1位は、「写真の点数が多い」74.3%でした。
同じ調査で「写真の見栄えがよい」は27.1%。きれいさを理由に挙げた人は、枚数を挙げた人の半分もいませんでした。反響は撮影の腕ではなく、入稿のときに何枚載せたかで動いていた、という数字です。
順位のロジックはポータル各社が公表していないので、こちらから触れません。触れるのは、載っている中身のほうです。
この記事でわかること
- ✓ 契約した144人が不動産会社を選んだ理由の1位は「写真の点数が多い」74.3%。3年連続で上がっている
- ✓ 「写真の見栄えがよい」は27.1%。特に重視する理由に限ると40.3%対6.3%で6倍以上の差がつく
- ✓ 「店舗がアクセスしやすい場所にある」を特に重視する人は、2023年の10.5%から4.2%へ落ちた
- ✓ 賃貸で不満の1位は「問合せをしたら『その物件はもうない』と言われた」24.7%
- ✓ 入稿で今日から変えられるのは、枚数・消す運用・返信までの時間の3つ
契約した144人が、不動産会社を選んだ理由
数字の出どころは、不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)が毎年出している「不動産情報サイト利用者意識アンケート」の第23回です。2025年10月27日公表、回答者948人のうち、実際に契約まで進んだ144人への質問がこれにあたります。

2位以下は、他にもたくさんの物件を掲載している32.6%、部屋の雰囲気が分かる動画が付いている31.9%、店舗がアクセスしやすい場所にある31.3%、物件のウィークポイントも書かれている30.6%と、30%前後にかたまっています。1位だけが2倍以上に離れているのが、この設問の形です。
しかも「写真の点数が多い」は2023年65.4%、2024年72.1%、2025年74.3%と3年続けて上がっています。年ごとの上下ではなく、向きが決まっている数字です。
読者
うちは1物件20枚くらい載せています。それでも足りないということですか?
この調査は「何枚あれば足りるか」までは聞いていません。分かるのは、読者が会社を選ぶときに枚数を見ていることと、その割合が毎年上がっていることまでです。ただ、同じポータルに並んだ他社より少ないなら、その1点で外される理由を自分から作っていることになります。
「きれいな写真」ではなく「枚数」で選ばれている
複数回答だと差が見えにくいので、同じ設問の「その中で特に重視するもの」(1つだけ選ぶ)を並べます。
| 選んだ理由 | 選ぶ理由(複数回答) | 特に重視する(1つだけ) |
|---|---|---|
| 写真の点数が多い | 74.3% | 40.3% |
| 不動産会社に対する口コミ情報 | 29.9% | 9.7% |
| 他にもたくさんの物件を掲載している | 32.6% | 7.6% |
| 写真の見栄えがよい | 27.1% | 6.3% |
| 物件のウィークポイントも書かれている | 30.6% | 5.6% |
| 店舗がアクセスしやすい場所にある | 31.3% | 4.2% |
1つだけ選ばせると、点数40.3%に対して見栄えは6.3%。6倍以上ひらきます。賃貸に限ると点数を選んだ人は79.0%(特に重視43.2%)、売買でも68.3%(同36.5%)で、種別を問わず同じ向きでした。
写真を明るく整える作業と、写真を1枚増やす作業は、かかる時間が違います。整えるのは1枚あたり数分ですが、増やすのは撮影に戻る話です。ここを取り違えると、時間をかけたのに数字が動かない、という結果になります。加工そのものの落とし穴は反響が増えても決まらない理由|AI加工写真と内見のギャップに書きました。
店舗の立地は、もう選ばれる理由になっていない
同じ表の最下段が、この記事でいちばん経営に効く行です。「店舗がアクセスしやすい場所にある」を特に重視した人は4.2%。2023年は10.5%だったので、2年で半分以下になりました。複数回答のほうも41.4%→34.8%→31.3%と下がり続けています。
RSCも同じ調査のまとめで、店舗の立地より物件情報に重点を置いて不動産会社を選ぶ傾向が出ている、と書いています。駅前の家賃を払って人を待つ設計から、掲載の中身で選ばれる設計へ、読者の側が先に移っている、ということです。
この調査はオープン型調査です。RSCのサイトと加盟サイト上で回答を募る方式なので、無作為抽出の世論調査とは性格が違います。母数も契約者144人と大きくありません。順位の向きは読めますが、小数点以下の差を根拠にしないでください。
賃貸で不満の1位は「その物件はもうない」
同じ調査の別設問、問合せた不動産会社への不満です。全体(144人)では、言葉遣いや対応が気に障った18.8%に続いて、「問合せをしたら『その物件はもうない』と言われた」が18.1%。賃貸だけ(81人)で見ると24.7%で、これが不満の1位でした。
| 不満だったこと | 全体 | 賃貸 | 売買 |
|---|---|---|---|
| 問合せをしたら「その物件はもうない」と言われた | 18.1% | 24.7% | 9.5% |
| 言葉遣いや対応が気に障った | 18.8% | 22.2% | 14.3% |
| 問合せへの回答が的を射ていなかった | 17.4% | 14.8% | 20.6% |
| 問合せをしたら返答が遅かった | 16.0% | 17.3% | 14.3% |
| 情報に虚偽があり信頼性に欠けた | 9.0% | 13.6% | — |
「もうない」と言われた読者は、電話を切ったあと他社の物件に移ります。掲載を消し忘れた1件が、その会社への問合せを1件減らすだけでなく、次に別の物件で見かけたときの信用まで削ります。「情報に虚偽があり信頼性に欠けた」は2025年に新しく足された選択肢で、賃貸ではいきなり13.6%が選びました。
逆に、満足だったことの1位は「問合せに対するレスポンスが早かった」71.5%(賃貸67.9%・売買76.2%)。読者が評価しているのは、接客の巧さではなく、速さと正しさです。どちらも入稿と反響対応の運用で決まります。
読者
成約した物件を消すのは、ふつうに社内でやっていますが……
消す作業そのものより、「誰がいつ気づくか」が抜けやすいところです。成約の連絡が営業に入って、入稿の担当に届くまでに何日空くか。そこが2日空く会社は、2日ぶんの「もうない」を出し続けています。
入稿で今日から変えられる3つ
| 変えるところ | 具体的にやること | 効いてくる数字 |
|---|---|---|
| 枚数 | 玄関・水回り・収納・眺望・共用部・周辺の道など、撮り漏らしがちな場所を撮影メモに固定する | 選ばれる理由の1位(74.3%) |
| 消す運用 | 成約の連絡から掲載停止までの担当と期限を決め、金曜と月曜に在庫を突き合わせる | 賃貸で不満の1位(24.7%) |
| 返信の速さ | 問合せの受信から一次返信までの目標時間を決め、届かない時間帯を先に洗い出す | 満足の1位(71.5%) |
3つとも、掲載順位のロジックを知らなくても着手できます。撮影の枚数を増やす作業と、入稿の欄を埋める作業は別物なので、そこで詰まるなら外に出す判断もあります。相場と依頼の手順はSUUMO・アットホームの物件入稿は外注できる|相場1,500〜5,000円と事故らない依頼のコツ5つにまとめてあります。人を雇うか外に出すかで迷っているなら【パート採用VS入稿代行】安いのは採用とは限りません パート時給と最低賃金の差は213円を先に読んでください。
私の見方:反響は撮影ではなく、載せる工程で落ちている
私はこの調査を、撮影の質を上げる話ではなく、入稿の工程を数える話だと読んでいます。理由は2つあります。
1つは、上がり続けているのが「点数」で、横ばいなのが「見栄え」だからです。きれいな写真は、スマートフォンのカメラと編集アプリが全社に配られた時点で差が消えました。差が残っているのは、面倒で枚数が減るところ——収納の中、共用部、駐輪場、前面道路です。
もう1つは、不満の上位が全部「入稿と対応の運用」から出ていることです。もうない物件、遅い返信、的を外した回答。どれも営業の人柄ではなく、社内の受け渡しの設計で決まります。反響対策として先に見るべきなのは広告費ではなく、成約から掲載停止までの日数だと考えています。
ただし、枚数を増やせば必ず反響が増えるとまでは言えません。この調査が示しているのは「読者が会社を選ぶときに枚数を見ている」ことまでで、枚数と問合せ件数の因果を測ったものではないからです。
よくある質問
Q. 写真は何枚載せればいいですか。
この調査は枚数の基準を出していません。基準にするなら、同じエリア・同じ種別で並んでいる他社の掲載枚数を数えて、それを下回らないところから始めるのが現実的です。
Q. 動画を付けたほうがいいですか。
「部屋の雰囲気が分かる動画が付いている」は選ぶ理由で31.9%(3位)ですが、特に重視する人は全体で少数でした。写真の枚数が他社に届いていない段階で動画から手を付けると、順番が逆になります。
Q. 成約済みの掲載を残しておくと、どうなりますか。
読者からの不満で賃貸1位というだけでなく、不動産公正取引協議会の措置対象にもなります。責任の所在は入稿は外に出せます。ところが責任は出せません 「駅まで0m」を選んだのはシステムに書きました。
出典
- 不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)「不動産情報サイト利用者意識アンケート」第23回(2025年10月27日公表)。調査期間2025年1月28日〜5月30日、有効回答948人、うち契約者144人(賃貸81人・売買63人)。オープン型調査。https://www.rsc-web.jp/
- 集計条件:本文中の「選ぶ理由」は複数回答、「特に重視する」は単一回答。2023年・2024年の数値は同調査の同設問の経年比較として同じ資料に掲載されているもの。


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