2024年11月8日からの沖縄本島北部の大雨で、名護市は市全体で住家の床上浸水28件・床下浸水13件を確認しています(2024年12月の市議会の答弁)。県の資料(災害ごみの欄)は、被災した地区を源河(げんか)・真喜屋(まきや)・稲嶺(いなみね)の3つとしています。市街地では床上・床下浸水の被害の情報を確認していない、と市は答えています(同じ議会)。
道路では、旭川(あさひかわ)の県道72号で2024年6月に車の水没が2回続きました(琉球新報)。国の道路冠水注意箇所に載る名護市の場所は、国道58号の喜瀬(きせ)1か所だけです。
この記事でわかること
- ✓ 稲嶺・真喜屋の浸水の原因は3つ(市の調査)。排水路の改良工事は2027〜2028年度の予定です
- ✓ 旭川の県道72号には、県北部土木事務所が「冠水注意」の看板を設置しました(市の答弁)
- ✓ 市のハザードマップに、川の洪水と内水の地図はありません
雨の日に「名護市の冠水情報」を見るページ
市が道路の冠水を一覧で知らせるページは、見つかりませんでした。市は防災ポータルについて「名護市内の避難所、道路等の情報を掲載します」と説明しています。
- 名護市防災ポータル(防災行政無線の聞き直しダイヤル 0980-52-1190)
- 北部国道事務所「やんばるロードネット」道路規制災害情報(国道58号・329号)
- 国土交通省「道路情報提供システム」
- 沖縄県防災情報ポータル「ハイサイ!防災で~びる」
- 気象庁 キキクル(浸水害の危険度)
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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冠水・浸水の記録がある6か所の地図
国の一覧、市議会の答弁、県の資料、報道に出てくる場所を地図にしました。Aは国の説明表から、B〜Fは字の代表点で置いた目安です。

地図の記号と同じ順です
A 喜瀬(きせ) 国道58号
国の道路冠水注意箇所(沖縄総合事務局)。説明表の備考に「CCTV(シーシーティーブイ)カメラ設置(H27年度)」
点は説明表の位置図から当サイトが読み取った目安(字喜瀬)
管理: 北部国道事務所 0980-52-4350(説明表の表記は098-52-4350) / 警察: 名護警察署 0980-52-0110 / 消防: 名護市消防本部 0980-52-1142
B 旭川(あさひかわ) 県道72号
旭川鉱山の周辺の県道72号(琉球新報)。道路の管理は県北部土木事務所
点は字旭川の代表点(オープンストリートマップ)。冠水した場所そのものではありません
D 真喜屋(まきや)
2024年11月の大雨で稲嶺とともに被災(市の答弁)。真喜屋大川は護岸が50メートル破損(県の資料)
点は字真喜屋の代表点(OpenStreetMap)
F 屋部(やぶ) 市道屋部10号線の周辺
道路冠水の対策として市が側溝を清掃し、県に国道449号・県道72号の道路排水の改善を要望(2022年12月の市の答弁)
点は字屋部の代表点(OpenStreetMap)
B〜Fは字の代表点なので、実際に水が出た道とは数百メートル以上ずれることがあります。
「名護市 浸水」:2024年11月の大雨で何件だったか
県の対応状況の資料(2024年12月12日17時時点。住家の欄は同じ日の8時時点で調査継続中)では、名護市は床上浸水24・床下浸水20です。市の答弁と数が合わず、違いの理由を書いた資料は見つかりませんでした。

市の答弁では、道路の冠水は10件(県道・国道2件、市道・農道など8件)、水に浸かった車は13台でした。住家の浸水の原因は「記録的な大雨による低地への雨の流入や排水能力の限界」と、グレーチング(格子のふた)など排水溝のまわりの詰まりが重なったもの、と市は見ています。県の資料には、源河川があふれて床上1件・床下2件が浸水したこと、稲嶺の公民館を災害ごみの一時置き場にしたことも書かれています。
避難した人は、羽地(はねじ)支所に一時5人。消防長は、10日も羽地地区で床上・床下浸水や、道路の冠水で水に浸かった車への出動に対応したと答えています。
源河は源河川があふれた浸水(県の資料)、稲嶺・真喜屋は満川の詰まりと排水路・道路の水が重なった浸水(市の調査)で、同じ大雨でも水の来方が違います。市の28件・13件を地区ごとに分けた資料は見つかりませんでした。
稲嶺・真喜屋の原因と、工事の予定
稲嶺区と真喜屋区は2024年12月2日、排水の改善を求める陳情書を市に出しました。市は調査を委託し、2026年2月末にまとめています。2026年6月の議会で、市は原因を次の3つと答えました。
- 満川に架かるボックスカルバート(箱形の水路)に流木が詰まり、水があふれた
- もとからある排水路の能力が足りない
- 道路の表面の水が、集中して流れ込んだ
対策は、排水路の断面の改良と、上面がすべて格子の「オールグレーチング側溝」の設置です。2026年度に実施設計、2027〜2028年度に改良工事という予定です(2026年6月の答弁)。満川の下流のしゅんせつは、国道58号から上流側の区間を2026年5月に終えています。
市の流量の計算では、稲嶺の国道58号の下に埋まっている管(管渠(かんきょ))以外は排水の能力が確保されている、という結果でした。この管は国道事務所と調整するとしています(2026年3月の答弁)。
読者
大雨と満潮が重なったら、また水があふれませんか?
市もそこを心配していて、海からの逆流を止めるフラップゲートの修繕・更新(真喜屋公園のため池のものを含む)と、そのため池に併設された調整池のしゅんせつを「今年度中に」終えるよう進めている、と答えています(2026年6月)。
\住所だけ・1分で公的データを確認できます/
土砂災害警戒区域・洪水の浸水想定・地盤の揺れやすさを公的データでまとめて出します(道路の冠水は出ません。満川は洪水の区域の対象外です)
旭川の県道72号:2回の水没のあと、県がしたこと
2024年6月12日と18日の水没のようすは、沖縄県全体の記事に書きました。ここでは、その後の対応をまとめます。
2回目の水没の翌朝の琉球新報は、県北部土木事務所が冠水に注意を促す看板の設置を「検討している」と伝えていました。市は2024年9月の議会で、県北部土木事務所に確かめた内容として次のように答えています。
- 現場に「冠水注意」の看板を設置し、特に冠水に注意する箇所として、大雨のときは早めに現場を確認する
- 6月の大雨で陥没した、県道から畑へつながる道は、8月22〜23日に大型の土のうなどで仮に直した
近くの旭川鉱山(琉球新報)では、事業者が県の砂防指定地の中で許可なく土地を変えたとして、県が2023年8月25日付けで原状回復を求める文書を出しました。事業者は2024年4月に原状回復の作業に着手しています(市の答弁)。議員は、この改変で水が滞留し冠水につながったと「思われる」と述べていますが、県や市が冠水の原因を鉱山と結びつけた資料は見つかりませんでした。
名護の観測所の1時間の雨は、12日が31.5ミリ、18日が62.0ミリでした(観測所1か所の値で、旭川で降った量ではありません)。
国の一覧は喜瀬の1か所(国道58号)
沖縄総合事務局の「道路冠水注意箇所」(県内17か所)のうち、名護市の箇所は国道58号の喜瀬です。説明表の冠水履歴の日付は2014年7月9日。気象庁は、台風第8号と梅雨前線で沖縄本島地方が「記録的な大雨」になったとまとめていて、名護の観測所の1時間76.0ミリは、1967年からの記録で6番目に多い値です。

同じ局の「直轄国道冠水想定箇所」(11か所)には、喜瀬は載っていません。
名護市のハザードマップに、洪水と内水の地図はない
市のWEB版ハザードマップ(2021年3月作成)で選べるのは、土砂災害・津波・高潮・ため池・ダム下流河川の5つです。行政区版(2022年3月作成)は「津波・高潮の浸水予想、土砂災害危険箇所や避難予定場所など」を載せたもので、旭川の図の凡例には、ため池があふれたときの浸水想定区域もあります。どちらにも川の洪水と内水(街の排水が追いつかない水)の地図は見当たりませんでした(2026年9月24日、当サイトの確認)。WEB版は利用条件で地図の複製・転記を禁じているので、住所のまわりは市のサイトで直接開いて確かめてください。
県は、名護市にかかる9水系10河川の洪水浸水想定区域を、2024年9月から2026年3月にかけて指定しました。市のハザードマップより後です。想定しうる最大規模の雨が前提で、県は「高潮及び内水による氾濫等は反映していない」と書いています。稲嶺・真喜屋の原因に挙がった満川は、この河川の一覧に入っていません。
高潮の浸水想定区域も、2026年8月27日に名護市を含めて指定されました(想定しうる最大規模の高潮が前提)。2023年の台風6号では、屋部の海沿いで高潮・波浪の海水があふれて道路が通行止めになった、と議員が述べています(2023年9月の議会)。区域で何が決まるのかは高潮浸水想定区域の記事に。
読者
洪水の地図で家に色がなければ、大丈夫ですか?
色が無いのは「区域に入っていない」か「まだ地図になっていない」かのどちらかです。真喜屋大川・源河川の区域は2026年3月の指定で、9月24日の時点では国土地理院の地図にまだ入っていません(当サイトの確認)。雨の日に家の前の道がどうなるかも見てください。
\住所で洪水と土砂の区域を確かめる/
国土地理院のデータで、洪水の浸水想定区域と土砂災害警戒区域に入っているかを出します。真喜屋大川・源河川など、県が2026年3月に指定した区域は、9月24日の時点でこのデータにまだ入っていません(当サイトの確認。道路の冠水・内水・高潮も出ません)
ほかの市はどうなっているか
- 道路冠水マップ どこで見られるの?
- 沖縄 冠水 どこが危ないの?
- 那覇市 冠水 どこが危ないの?
- 糸満市 冠水 どこが危ないの?
- 豊見城市 冠水 どこが危ないの?
- 西原町 冠水 どこが危ないの?
- 沖縄市 冠水 どこが危ないの?
- うるま市 冠水 どこが危ないの?(江洲のなかばる公園付近と、内水ハザードマップ)
公式出典
- 名護市議会 会議録(2022年12月9日、2023年9月19日、2024年9月11日、2024年12月10日・12日・16日、2026年3月12日・16日、2026年6月24日)
- 沖縄県「沖縄県災害対策本部の対応状況」(「令和6年11月8日からの大雨に係る被害及び対応状況」2024年12月12日17時時点)
- 内閣府 沖縄総合事務局「道路冠水注意箇所リスト【沖縄県】」(説明表 名護市喜瀬)/同「直轄国道冠水想定箇所」/北部国道事務所「やんばるロードネット」
- 名護市「名護市ハザードマップ」(WEB版 令和3年3月作成・行政区版 令和4年3月作成)/名護市防災ポータル
- 沖縄県「洪水浸水想定区域」(2026年4月22日更新)/沖縄県「琉球諸島沿岸における高潮浸水想定区域図」(令和8年8月27日指定)
- 気象庁「過去の気象データ」(名護の日降水量・日最大1時間降水量と観測史上の順位)/気象庁「台風第8号および梅雨前線による大雨と暴風」(2014年7月6日〜11日)
- 琉球新報(2024年6月13日・19日の朝刊記事)
- 国土地理院 地理院タイル(地図)/字の代表点:OpenStreetMap(オープンストリートマップ/© OpenStreetMap contributors)
この記事の数値は公表資料と会議録を集計したものです(2026年9月24日取得)。避難や通行の判断は、必ず名護市と沖縄県の最新の発表を確認してください。
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