北中城村(きたなかぐすくそん)の議会で、冠水が繰り返される場所として何度も取り上げられてきたのが島袋(しまぶく)です。2026年5月23日の大雨でも、県の速報(5月27日9時)で島袋の床下浸水が5件ありました。村は「島袋地区浸水対策」として調整池を造ってきましたが、残る5号調整池は2025年9月の時点で用地と建物の補償の交渉がまとまっておらず、その議会で担当課長は「現在も大雨時に道路冠水が頻繁に起きている」と答えています。
この記事でわかること
- ✓ 沖縄市山里(やまざと)の県営団地の上流から国道を横切って来る水が比嘉(ひが)雨水幹線に合流し、幹線の水位は短い時間で上がる(村の答弁)
- ✓ 3号調整池(2020年度完成)とライニングで、最も低い地点の冠水を78.5センチから39センチ程度に下げる計画(村の答弁)
- ✓ 村は2026年度までに浸水想定区域図をつくる予定(2025年3月の答弁)
雨の日に「北中城村の冠水」を確かめるページ
村が道路の冠水を一覧で知らせるページは見つかりませんでした。
- 北中城村「防災カメラ」(島袋排水路の静止画。60秒ごとに更新)
- 南部国道事務所「災害・緊急時重要規制情報」(国道の通行規制)
- 国土交通省「道路情報提供システム」
- 沖縄県防災情報ポータル「ハイサイ!防災で~びる」
- 気象庁 キキクル(浸水害の危険度)
カメラについて2019年6月の議会で村は、水路の間知(けんち)ブロックを水が超えると冠水のおそれがある、ただし「ここまで」という線は示しておらず、水路の水がそこまで来なくても道路や地域で冠水が起きている可能性もある、と答えています。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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冠水・浸水の記録がある3か所の地図

地図の記号と同じ順です
A 島袋(しまぶく) 島袋排水路
村の防災カメラが写している排水路(北中城村「防災カメラ」)
点は村が示すカメラの設置場所。いちばん低い村道38号線(村の答弁)の位置は資料に地図が無く、この点とは別です
B 渡口(とぐち) 国道329号
国の道路冠水注意箇所(沖縄総合事務局)。説明表の備考は空欄
点は説明表の位置図から当サイトが読み取った目安
管理: 南部国道事務所 098-861-2336 / 警察: 沖縄警察署 098-932-0110 / 消防: 中城北中城消防本部 098-935-4748
島袋はなぜ冠水するのか(村の答弁)
2022年10月の議会で上下水道課長は、島袋に来る水を次のように説明しています。沖縄市山里の県営団地の上流の谷間から出た水が国道を横切り、久保田(くぼた)の一部の水も合わせて比嘉雨水幹線に入る。この幹線の水位は短い時間で上がる。
いちばん低いのは、村道38号線の既設の側溝を切り回した付近です(2021年9月の答弁)。浸水が起きていた範囲は、下流のボウリング場の付近から、沖縄市からの箱形水路の先のオープン水路まで(同じ議会の建設課長)。浸水地域の場所を問われて、村は「以前、農協島袋支所があった周辺一帯」と答えています(2024年3月の委員会報告)。
読者
島袋のどの道が危ないのか、地図で分かりますか?
村道38号線の位置を示した村の地図は見つかりませんでした。村の防災マップ2019年版の「島袋地区」のページを開くと、島袋公民館の西の水路沿いと中部徳洲会病院の北側に「内水氾濫発生区域」の網掛けがあります(当サイトが図を見た限り)。
調整池は3つの計画(2020年)で、完成したのは3号だけ
2020年9月の議会で村は、島袋の対策を調整池3つ(3号・4号・5号)と水路のライニング(内側を滑らかにする工事)、国道側のバイパス水路の組み合わせと説明しました。4号(ゆうな公園に埋める池)とバイパスは規模が大きく、5号の後に着手する順番でした。
3号調整池は2020年度に完成しました。10年に1度の雨(1時間85.3ミリ)を前提に、ライニングと合わせて、整備前は78.5センチほどだった最も低い地点の冠水を39センチ程度に下げる計画です。村は39センチを「床上浸水の被害の目安となる45センチ以下」と説明しています。
5号調整池は仮設の池のままです(2025年9月の時点)。住んでいる人の建物の補償をめぐって建物の一部を残す設計に変えましたが、家主の了承は得られていませんでした。工事費は、令和8年度に工事をした場合、当初の計画から「約1.3倍から1.5倍近くはなっているかと思います」と課長は答えています。2026年3月の施政方針も「引き続き」5号調整池に取り組むという書き方です。
読者
3号ができてから、家は浸からなくなったのですか?
3号ができたあとも、2025年3月の議会で村は「住宅への浸水被害は発生していない」と答えていました。2026年5月の大雨の被害は、次の見出しで見ます。
\住所だけ・1分で公的データを確認できます/
土砂災害警戒区域・洪水の浸水想定・地盤の揺れやすさを公的データでまとめて出します(島袋のような街の排水の水や道路の冠水は出ません)
島袋の浸水:2026年5月23日の大雨(県の速報)
県の5月27日9時の速報(この大雨の最新の版)で、北中城村の被害は床上浸水3件(渡口3)、床下浸水7件(島袋5・仲順2)でした。ほかに、村の放課後児童クラブ1か所で床上浸水、喜舎場(きしゃば)と島袋で土砂崩れがありました。道路の冠水の件数は速報に書かれていません。
琉球新報の5月29日の記事は、23日夜に島袋で道路が冠水し、車や住宅に取り残される人もいたと伝えています。見出しは「冠水、なぜ繰り返される?」。無料で読める部分からは、島袋のどの道かは分かりませんでした。

沖縄市のアメダス胡屋(ごや)の23日の1時間の雨は73.0ミリでした。村も胡屋の値で冠水を確かめていて(2022年10月の答弁)、整備の前は10分間の雨が17ミリ以上で浸水被害が出ていたとも説明しています(2021年9月)。3号調整池ができたあとの2021年6月14日は、胡屋の10分間22.5ミリで家屋の浸水は無かったと村は答えています。2026年5月23日の胡屋の10分間の最大は19.0ミリでした(どれも観測所1か所の値で、島袋で降った量ではありません)。
村が2025年3月の議会で挙げた過去の浸水被害(村全体)と並べると、次のとおりです。

渡口:国の一覧の国道329号と「内水氾濫発生区域」
沖縄総合事務局の道路冠水注意箇所(県内17か所)のうち、北中城村は渡口の国道329号だけです。説明表の備考は空欄で、冠水した日付は書かれていません。同じ局の「直轄国道冠水想定箇所」(11か所)にも渡口は入っていません。
村の防災マップ2019年版では、渡口公民館のまわり、国道329号の西側にも「内水氾濫発生区域」の書き込みがあります(当サイトが図を見た限り)。村は2016年度、渡口の遊休農地に水をためる遊水地をつくって冠水を防ぐための位置の調査を予算に載せましたが、その後の結果を書いた資料は見つかりませんでした。
高潮の浸水想定区域は2026年8月27日に指定され、北中城村も対象です(想定しうる最大規模の高潮が前提)。県の解説書では、北中城村の最大の浸水深は2.1メートル(表の備考は和仁屋(わにや))です。区域で何が決まるのかは高潮浸水想定区域の記事に。
北中城村のハザードマップに、内水の想定の図はまだない
村の防災マップのPDF版(2019年版)は7つの地区に分かれていて、凡例に載る災害は土砂災害と津波です。「内水氾濫発生区域」は凡例に無い地図の中の書き込みで、想定する雨の量も書かれていません(当サイトが図を見た限り)。ウェブ版で選べるのは津波と土砂災害だけで、利用条件で地図の複製・転記を禁じています。国土地理院の「わがまちハザードマップ」で北中城村の内水ハザードマップとして登録されているのは、この防災マップのページです。
村は2025年度から雨水管理総合計画に取り組み、2026年度までに策定して浸水想定区域図をつくると答えています(2025年3月の議会)。
川の洪水では、県が2026年3月31日に普天間川の洪水浸水想定区域(想定し得る最大規模の雨が前提)を指定し、関係市町村に北中城村が入っています。県は、この図に「高潮及び内水による氾濫等は反映していない」と書いています。
読者
島袋で家を探すとき、気をつけることは?
2025年9月の議会で議員は、島袋の冠水地区には大雨で冠水すると知らせる看板があり、半年買い手がつかない新築もあると述べました(議員の発言)。雨の日の現地の道を見て、5号調整池の進み具合も村に聞いてください。
\住所で洪水と土砂の区域を確かめる/
国土地理院のデータで、洪水の浸水想定区域と土砂災害警戒区域に入っているかを出します。県が2026年3月に指定した普天間川の区域は、9月24日の時点でこのデータにまだ入っていません(当サイトの確認。道路の冠水・内水・高潮も出ません)
ほかの市はどうなっているか
- 道路冠水マップ どこで見られるの?
- 沖縄 冠水 どこが危ないの?
- 沖縄市 冠水 どこが危ないの?
- 那覇市 冠水 どこが危ないの?
- 西原町 冠水 どこが危ないの?
- うるま市 冠水 どこが危ないの?
- 糸満市 冠水 どこが危ないの?
- 豊見城市 冠水 どこが危ないの?
- 名護市 冠水 どこが危ないの?
- 宜野湾市 冠水 どこが危ないの?(市道宜野湾11号と、普天間飛行場の中の排水路)
- 石垣市 冠水 どこが危ないの?(市の道路冠水マップ13か所と、真栄里)
公式出典
- 北中城村議会 会議録(PDF版:2019年6月18日、2020年9月9日、2021年9月9日、2022年10月17日)/会議録検索システム(2024年3月27日、2025年3月19日・27日、2025年9月10日)
- 北中城村「令和8年度 施政方針」(2026年3月6日)/北中城村「平成28年度主要事業の概要」(冠水対策事業)
- 北中城村「防災カメラ」(2025年5月29日更新)/北中城村「防災マップ」(北中城村防災マップ2019年版・Web版ハザードマップ)
- 沖縄県「災害対策本部・災害警戒本部関係情報」(令和8年5月23日~ 中南部大雨警報及び線状降水帯発生 被害状況 5月27日9時の速報)
- 内閣府 沖縄総合事務局「道路冠水注意箇所リスト【沖縄県】」(説明表 北中城村渡口)/同「直轄国道冠水想定箇所」
- 沖縄県「洪水浸水想定区域」(2026年4月22日更新)/沖縄県「琉球諸島沿岸における高潮浸水想定区域図」(令和8年8月27日指定・解説書)
- 気象庁「過去の気象データ」(胡屋の日降水量・日最大1時間降水量・日最大10分間降水量と観測史上の順位)
- 琉球新報(2026年5月29日の記事)
- 国土地理院 住所検索API(字の代表点)/地理院タイル(地図)/道路の線:OpenStreetMap(オープンストリートマップ/© OpenStreetMap contributors)
この記事の数値は公表資料と会議録を集計したものです(2026年9月24日取得)。避難や通行の判断は、必ず北中城村と沖縄県の最新の発表を確認してください。
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