豊見城市で、国の「道路冠水注意箇所」に名前があるのは、名嘉地(なかち)を通る県道68号の1か所だけです。一方、市議会の答弁で冠水の場所として名前が出るのは、与根(よね)・伊良波(いらは)・我那覇(がなは)などの字です。
県が2026年8月27日に指定した高潮浸水想定区域を当サイトで集計すると、市内の約3.45平方キロメートルに浸水が想定されています。そのうち約4割、約1.34平方キロメートルが字与根でした(字の分け方は概算)。
この記事でわかること
- ✓ 2022年5月31日の大雨で、市内の道路冠水は12件、車両水没は8件でした(市の答弁)
- ✓ 市の紙の防災マップ(平成31年3月)は、重要事項説明で洪水「有」、内水・高潮「無」の扱いです
- ✓ 伊良波では2024年6月14日の豪雨が満潮と重なり、隣の県道まで冠水しました(市の答弁)
雨の日に「豊見城市の冠水情報」を見るページ
「豊見城市 冠水情報」と調べても、市が道路の冠水をその場で知らせるページは見つかりませんでした。市の防災情報メールも、届くのは警報や防災無線の内容などで、冠水した道の一覧はありません。
市の総務企画部長は2024年12月の議会で、冠水センサーと監視カメラについて「河川とか海岸を確認するものは確かにございます。内陸部にはない状況」と答えています。雨の日は次の公式ページを開いてください。
- 国土交通省「道路情報提供システム」(国道・県道の通行止め)
- 気象庁 キキクル(浸水害・洪水の危険度)
- 国土交通省「川の防災情報」(国場川などの水位)
- 豊見城市防災情報メール(警報と避難の呼びかけ)
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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国の一覧は1か所、名嘉地の県道68号
沖縄総合事務局の「道路冠水注意箇所リスト」は沖縄県で17か所。県全体の内訳は那覇市の記事で数えています。豊見城市は、南部土木事務所が管理する一般県道68号の名嘉地だけです。
説明表の位置図では、標高3.4メートルの点がある交差点のあたりから北東へ、赤い線で区間が示されています。写真の1枚目には、高架の道路と、その手前の道が写っています。アンダーパス等名称の欄と備考欄は、どちらも空欄でした。

地図の記号と同じ順です
A 名嘉地(なかち)の県道68号(国の一覧)
一般県道68号 説明表の箇所名称は「(一)県道68号線」、アンダーパス等名称の欄は空欄 管理番号 沖縄県-02-008
住所:豊見城市名嘉地(番地の記載なし) / ピンの点の標高3.6メートル
管理: 南部土木事務所 098-867-2941 / 警察: 豊見城警察署 098-850-0110 / 消防: 豊見城市消防本部 098-850-3105
※ 説明表の備考欄は空欄です。ピンは説明表の位置図にある交差点のあたりで、区間の目安です
1 我那覇(がなは)・名嘉地の下原(しもばる)雨水幹線
市が「以前から大雨の際に冠水や浸水等の状況が確認された」と答弁(2024年9月)。対策工事は令和10年度の完了を目指している(予定)
ピンは字我那覇の代表点 / 標高10.8メートル
Aは説明表の位置図を地理院地図に合わせた目安の点です。1〜4は字の代表点(OpenStreetMap(オープンストリートマップ)の地名の点)で、冠水した地点そのものではありません。標高は国土地理院の標高APIによるピンの点1か所の値で、字全体の高さではありません。
市議会で「冠水」と名前が出る場所
豊見城市議会の会議録を「冠水」で検索すると、2022〜2026年だけで29の会議日が出てきます。このうち、答弁で場所がはっきり語られているのは、地図の1〜3と、県道11号の高安北(たかやすきた)交差点付近です。
1つ目は我那覇・名嘉地です。上下水道部長は2024年9月、「以前から大雨の際に冠水や浸水等の状況が確認された」ため、平成25年度から対策を検討してきたと答えました。2024年6月の大雨では、住民から「道路側で約90センチの冠水があった」と聞いたとも話しています。下原雨水幹線の改修は、令和10年度の完了を目指している段階です。
2つ目は伊良波排水路です。経済建設部長は2025年3月、2024年6月14日の豪雨は「満潮の時刻とも重なった」ため市内各所で道路が冠水し、伊良波排水路のあたりでは隣の県道まで冠水したと答えました。「降雨量や潮位によっても冠水の影響がある」というのが市の見方です。
3つ目は与根です。総務企画部長は2024年12月、冠水センサーを付けるならどこを優先するかについて「与根地域も確かに低いのではないか」と答えました。2026年6月には議員が「非常に冠水も多いところ」と質問しています。
もう1か所の高安北交差点付近は、県が対策をした後の2025年7月の大雨でも「道路冠水が発生」したと、市は答えています(位置を特定できていないため、地図には載せていません)。
読者
雨と海の潮が、どうして関係するんですか?
市の答弁は、潮位で冠水の影響が変わる、というところまでです。仕組みを書いた市の資料は見つかりませんでした。
2022年5月31日と2024年6月の大雨で起きたこと
市の総務企画部長の答弁によると、2022年5月31日の市内の被害は、道路冠水12件、大雨による住宅の床上浸水3件、汚水の逆流による床上浸水2件、土砂災害5件、車両の水没8件でした。この日、市道6か所が通行止めになっています。
琉球新報の同日の記事には、午前11時30分に翁長で冠水した道路を車が走る写真が載っています。同じ記事によると、市は午後0時40分に「警戒レベル4避難指示」を出しています。
2024年6月11〜19日の大雨では、床上浸水7件、土砂災害9件、市道7号線や13号線など4か所の通行止め(市の答弁)。琉球新報の6月13日の記事によると、豊見城署の話として、12日夜に与根の国道331号付近が約30分規制され、消防のポンプ車が水を抜いてから通行が再開されました。
雨の量は、アメダス安次嶺(あしみね・那覇市)で2022年5月31日が1日139.0ミリ、最大1時間60.5ミリ、2024年6月14日が1日163.0ミリ、最大1時間72.5ミリです。豊見城市の中で降った量ではありません。市は2024年6月14日を「1時間に約110ミリ」と答弁していますが、どこの値かは示していません。
高潮で浸水が想定されるのは市の面積の約18%
沖縄県は2026年8月27日、水防法にもとづいて琉球諸島沿岸の高潮浸水想定区域を指定しました。想定は、室戸台風をもとにした中心気圧890ヘクトパスカルの台風です。県が公開した地図のデータを当サイトで集計すると、豊見城市で浸水が想定されるのは約3.45平方キロメートル。市の面積19.33平方キロメートルの約18%にあたります。

深さ0.5メートル以上の区域は約1.81平方キロメートルで、そのうち約0.96平方キロメートルが与根です(字の判定は概算)。県は0.5メートルを「避難が困難となり孤立する可能性のある水深」としています。この深さが24時間以上続くと想定される10メートル四方のマスは市内に480あり、7割の342が与根と判定されたブロックにありました。

読者
青い区域の外なら、水は来ないと考えていいですか?
県の解説書は「内水氾濫…は考慮していません」とし、想定していない内水などで区域の外でも浸水することがある、と断っています。
高潮の区域に入ると何が決まるのかは、高潮浸水想定区域の記事にまとめています。
\住所だけ・1分で公的データを確認できます/
土砂災害警戒区域・洪水の浸水想定・地盤の揺れやすさを公的データでまとめて出します(高潮の区域は県の地図で確かめてください)
「豊見城市 冠水マップ」はどこにある?
道路の冠水だけを載せた市の地図は、見つかりませんでした。いちばん近いのは、平成31年3月の「豊見城市防災マップ」です。津波、土砂災害、洪水の浸水想定区域と並んで、「高潮浸水予想区域」が水色で塗られています。地図に無断複製禁止の表示があるので、線は写さず見方だけ案内します。
市のページは、このマップが重要事項説明で扱う水害ハザードマップとしては「洪水は「有」、内水・高潮は「無」」だと書いています。紙の地図は、県の高潮の指定(2026年8月)や、饒波川(のはがわ)・長堂川(ながどうがわ)を加えた国場川水系の洪水の想定の更新(2026年3月)より前に作られたものです。
市のWEB版防災マップは、国や県の調査結果が出たときに「最新の情報をいち早く確認することができます」とうたっています。ただ、2026年の高潮の区域が載っているかは確かめられていません。高潮は、沖縄県地図情報システムの「防災」でも見られます。
国場川水系の洪水の想定は、流域全体に24時間で1,100ミリの雨が降る前提です。県は、この図に「高潮及び内水による氾濫等は反映していない」と書いています。洪水の地図で色が付いていない場所でも、冠水しないとは言えません。
住む前・借りる前に確かめる3つ
- 県の高潮浸水想定区域図(豊見城市は深さと浸水継続時間が各1枚)で、家と駐車場の深さと、0.5メートル以上が続く時間を見る
- 市の防災マップで、洪水の浸水想定区域と避難場所を確かめる
- 雨の日に、家の前の水路や側溝があふれていないか、道がどちらへ下っているかを見る
水路の対策工事が終わっていない場所もあります。今の地図と、今の水路で判断してください。
\道路の冠水とは別に、川の洪水と土砂の区域も確かめる/
その住所が洪水の浸水想定区域や土砂災害警戒区域に入っているかを出します(内水と道路の冠水は出ません)
ほかの市はどうなっているか
- 道路冠水マップ どこで見られるの?(全国の一覧と、市区ごとの記事のまとめ)
- 那覇市 冠水 どこが危ないの?(沖縄県の国の一覧17か所と、うみそらトンネル)
- 沖縄 冠水 どこが危ないの?(県全体の記録と、水の種類ごとの想定区域)
- 沖縄市 冠水 どこが危ないの?(松本・美里・泡瀬と、市の内水ハザードマップ)
- 西原町 冠水 どこが危ないの?(西原シティ前の国道329号と小波津川)
公式出典
- 内閣府 沖縄総合事務局「道路冠水注意箇所リスト【沖縄県】」(一覧と説明表 沖縄県-02-008)
- 沖縄県「琉球諸島沿岸における高潮浸水想定区域図」(令和8年8月27日指定・豊見城市の図と解説書)/同 GISデータ(沖縄県オープンデータ・CC BY 4.0)
- 沖縄県「洪水浸水想定区域図の公表」(国場川水系・令和8年3月27日更新)
- 豊見城市「豊見城市防災マップ(平成31年3月)」(2026年4月1日更新)/同「WEB版防災マップ」/同「防災情報メールシステム」
- 豊見城市議会 会議録(2022年6月16日・9月15日・12月14日、2024年9月18日・12月13日、2025年3月13日・9月17日、2026年6月18日)
- 琉球新報「【大雨】豊見城市が避難指示 7市町に土砂災害警戒情報」(2022年5月31日)/「那覇空港つなぐ「うみそらトンネル」で冠水、事故も 大雨で各地の交通規制続く 沖縄」(2024年6月13日)
- 気象庁「過去の気象データ」安次嶺(2022年5月・2024年6月の日別値)
- 国土地理院「全国都道府県市区町村別面積調」(令和8年4月1日時点)/住所の逆ジオコーダ・標高API/地理院タイル(地図)
- 地名の位置:OpenStreetMap(© OpenStreetMap contributors)
この記事の数値は公表資料を集計したものです(2026年9月24日取得)。避難や通行の判断は、必ず豊見城市と沖縄県の最新の発表を確認してください。
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