市原市で、大雨のときに水がたまるおそれがある道は6か所です。
「市原市 冠水」と検索すると、いちばん先に出てくるのが「市原市 冠水 五井」でした。これまで20を超える市を同じ手順で調べてきましたが、検索の先頭に地名が来た市は初めてです。理由は国の一覧を開くとすぐ分かりました。
この記事でわかること
- ✓ 6か所のうち3か所の名前に「五井」が入っています
- ✓ 6か所とも標高10メートル未満。いちばん低い五井アンダーパスは2.0メートルです
- ✓ 市の内水ハザードマップは令和8年6月1日に水防法に基づくものへ変わり、想定が1時間153ミリになりました
箇所の数・種別・住所は国土交通省 関東地方整備局「道路冠水注意箇所マップ【千葉県】」95か所と箇所ごとの説明表から、内水ハザードマップの中身は市原市「市原市内水ハザードマップ」(令和8年6月1日更新)から取りました。標高は国土地理院の住所検索APIと標高APIです。
6か所のうち3か所の名前に「五井」が入っています

国土交通省の一覧で千葉県内を数えると95か所。千葉市16、松戸市10、船橋市9と続き、市原市・市川市・流山市・我孫子市が6か所で並びます。
市原市の6か所を並べると、名前の偏りが目につきます。五井アンダーパス、五井本仲ガード下、そして茂原五井線の廿五里アンダーパス。6か所のうち3か所に「五井」が入っています。
| 管理番号 | 種別 | 路線 | 名称 | 住所 | 標高 | 消防署 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 千葉県-02-004 | 国道(県管理) | 297号 | 五井アンダーパス | 五井 | 2.0m | 五井 |
| 千葉県-02-005 | 県道 | 茂原五井線 | 廿五里アンダーパス | 廿五里 | 3.9m | 市原市消防局 |
| 千葉県-02-006 | 市道 | 10号線 | 五井本仲ガード下 | 五井中央西3丁目 | 3.5m | 五井 |
| 千葉県-02-007 | 市道 | 2084号線 | 市原ICアンダーパス | 村上 | 6.0m | 中央 |
| 千葉県-02-008 | 市道 | 2110号線 | 西広アンダーパス | 西広 | 8.7m | 中央 |
| 千葉県-02-009 | 市道 | 3529号線 | 古町橋下 | 古市場 | 5.4m | 八幡 |
ICはインターチェンジの略です。呼び名はアンダーパスが4つ、ガード下と橋の下が1つずつ。
管理は004と005が千葉県市原土木事務所、残る4か所が市原市道路維持課。警察署は6か所とも市原警察署です。分かれるのは消防署だけで、五井消防署が2か所、中央消防署が2か所、八幡消防署と市原市消防局が1か所ずつと、4つに割れました。市が広いことの裏返しです。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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6か所とも、標高10メートル未満です

6か所の住所を標高の資料に当てると、いちばん高い西広で8.7メートル、いちばん低い五井で2.0メートルでした。6か所とも10メートルに届きません。
これは市原市全体が低いという意味ではありません。参考に内陸の辰巳台東1丁目を引くと28.9メートル、八幡が3.3メートル。同じ市の中で27メートル近い差があります。国の一覧に挙がった6か所は、そろって東京湾に近い低いほうに並んでいる、ということです。
市原市は南北に長く、北の臨海部と南の丘陵地でまったく地形が違います。「市原市は」でひとくくりにできない市で、だから検索するときも「五井」のような地区名が先に出てきます。

内水の地図が「法律に基づくもの」に変わりました
ここからが、市原市でいちばん大きい話です。
市原市は令和8年6月1日、内水ハザードマップを更新しました。ページにはこう書かれています。「注記:水防法に基づき作成した内水ハザードマップに更新しました。」
不動産を買ったり借りたりするとき、水害ハザードマップでその物件がどこにあるかを説明することが義務づけられています。ただし対象は水防法に基づいて作られた地図だけです。同じ千葉県でも、流山市の内水ハザードマップは市自身が「水防法に基づくものではありません」と書いています。市原市はそちら側から、説明の対象になる側へ移りました。
根拠の条文も書かれています。水防法第14条の2第2項で内水浸水想定区域を指定し、同じ条の第4項で公表した、という形です。地図は4枚に分かれていて、①姉崎・椎津方面、②五井・国分寺方面、③八幡・市津方面、④光風台・南総方面。避難場所のほかに「注意を要する場所(アンダーパス等)」も載っています。
想定する雨が、1時間153ミリになりました

変わったのは扱いだけではありません。地図が想定する雨も変わりました。
市はこう説明しています。「市内で観測された過去最大の降雨量を踏まえ、国土交通省の基準に基づき、『想定し得る最大規模の雨』(1時間に153.0mm)が、市原市の下水道計画区域全域に降った場合を想定しています。」そして括弧書きで、「市内で観測された過去最大の降雨量は、令和6年7月の1時間に108.5mmです。」
実際に降った最大が108.5ミリ、地図が想定するのが153ミリ。1.4倍の雨を前提に線が引かれています。
この153ミリという数字には、実は元があります。同じ日に調べた埼玉県川越市の資料によると、平成11年10月27日の佐原豪雨。千葉県香取市(当時は佐原市)で、19時から20時までの1時間に153ミリが降りました。関東地方で記録された最大の1時間雨量です。その記録を出した県の中の市が、いま同じ数字で地図を引き直しています。
この住所は浸水しやすい場所ですか
ここまでは市全体の話です。知りたいのは自分の住所がどうかだと思います。
この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
前の版は、令和元年に浸かった道を足したものでした

今回の更新の前、市原市の内水ハザードマップは平成28年に作られたものでした。その版は、過去に浸水した実績をもとに線を引いたものです。
そこに追加が入ったことがあります。令和元年9月の台風15号と、10月25日の大雨。下水道計画区域の中で冠水した道路のうち、市が把握しているものを足しました。台風15号は房総半島に上陸して長期の停電を起こした台風で、市原市はその真ん中にありました。
つまり市原市の地図は、「実際に浸かった場所を足していく作り」から「計算で全域を塗る作り」へ変わったということです。実績の地図は起きたことしか出ませんが、計算の地図はまだ起きていない場所も塗ります。読む側から見ると、前の版で白かった場所が今回色づくことがあります。
「内水」と「洪水」は、別の地図です
市原市のページには、2つの氾濫の違いも書かれています。ここを取り違えると、地図の読み方ごと間違えます。
川の堤防を境に、私たちが住んでいる側を堤内地(ていないち)、堤防と堤防の間の川そのものを堤外地(ていがいち)と呼びます。「外水氾濫」は川の側から水があふれること、「内水氾濫」は排水が追いつかなくなって水路や下水道から水があふれることです。
外水氾濫が起きると家が流されたり壊れたりして、被害の範囲も規模も大きくなります。いっぽう内水氾濫は、川があふれていなくても、雨が強ければ起きます。市原市には養老川・村田川・椎津川の洪水ハザードマップが別にあって、そちらが外水の担当です。
今回更新された内水の地図が対象にしているのは、下水道計画区域だけです。下水道の計画区域から外れている場所は、そもそも色が塗られません。白いから安全という読み方はできない、ということになります。
4枚のうち、どれを見ればいいか
市原市の内水ハザードマップは、市が広いので4枚に分かれています。①姉崎・椎津方面、②五井・国分寺方面、③八幡・市津方面、④光風台・南総方面。
目を引くのは、②の名前に「五井」が入っていることです。国の一覧でも6か所のうち3か所に「五井」が付いていました。道の名前でも地図の名前でも、市原市を分けるときの単位として「五井」が出てきます。検索の先頭に「五井」が来るのは、そういう土地の呼ばれ方の反映でもあります。
自分の住所がどの1枚に入るかは、市のページで4つを開いて確かめてください。方面の名前が付いているので、近い地名が見つかればそれが自分の紙です。
地図には避難場所のほかに「注意を要する場所(アンダーパス等)」も描かれています。国の一覧とは別に、市の側からもアンダーパスが示されている、ということです。
もし車で水に入ってしまったら

6か所は、4つがアンダーパス、1つがガード下、1つが橋の下です。どれも掘り下げられていて、手前から見ると水面は平らに見え、いちばん深い底は見えません。標高2.0メートルの五井アンダーパスは、その典型です。
JAF(ジェイエーエフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。割れるのは横の窓です。フロントガラスは合わせガラスなので、脱出用ハンマーでも割れません。
水深がひざ下でも、流れがあれば大人でも歩けなくなります。50センチより深いときは、無理に移動せず、高いところで助けを待つほうが安全です。
ほかの市はどうなっているか
同じ手順で、ほかの市も1つずつ調べています。同じ資料でも、出てくる答えは場所ごとに変わります。
- 道路冠水マップ どこで見られるの?
- 千葉市 冠水 どこが危ないの? 16か所のうち11か所が中央区で、進入を止められるのは4か所だけです(千葉県)
- 松戸市 冠水 どこが危ないの? 市の想定が1時間71ミリから153ミリに変わりました(千葉県) 同じ153ミリです
- 川越市 冠水 どこが危ないの?(埼玉県) 153ミリの正体を書いています
- 船橋市 冠水 どこが危ないの? 市の記録には、総雨量11ミリで浸かった日があります(千葉県)
- 市川市 冠水 どこが危ないの?(千葉県)
この記事のまとめ
市原市で道路が冠水しやすい場所は6か所。そのうち3か所の名前に「五井」が入っています。検索で「市原市 冠水 五井」が先に出てくるのは、そのためです。6か所とも標高10メートル未満で、いちばん低い五井アンダーパスは2.0メートル。内陸の辰巳台は28.9メートルなので、同じ市でも場所によってまったく違います。
市の内水ハザードマップは令和8年6月1日に水防法に基づくものへ変わり、不動産取引の重要事項説明の対象になりました。想定する雨は1時間153ミリ。市内で実際に観測された最大は、令和6年7月の108.5ミリです。
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