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「浸水想定区域の外のほうが危ない」のではありません 千葉豪雨の死者13人のうち9人は区域の中、柏の住宅街とアンダーパス

🗨️「うちは浸水想定区域の外なので、今回のような雨でもそこまで心配しなくていいですよね?」

今回の千葉豪雨では、亡くなった13人のうち少なくとも9人が、ハザードマップで色の塗られた浸水想定区域の中でした。区域の外でも冠水は広く起きていますが、人が流されるほど深く浸かった場所は、地図の色の濃い場所と重なっています。

[災害] この記事の要点

何が起きたか

2026年8月13日夜からの記録的な大雨(令和8年8月千葉豪雨)について、読売新聞オンラインが8月21日、亡くなった13人のうち少なくとも9人が自治体のハザードマップの浸水想定区域内で水に巻き込まれたとみられると報じた。内訳は千葉市5人、柏市・市川市・八千代市・佐倉市が各1人。柏市八幡町では住宅街の道路のくぼ地で70歳代女性が亡くなり、この地点の想定浸水深は3メートル以上5メートル未満だった。千葉市中央区ではアンダーパス2か所で死亡事故が起き、いずれも想定浸水深は5メートル以上10メートル未満だった。内閣府の8月20日10時現在の集計では、千葉県の死者は13人(うち災害関連死1人)、行方不明1人、重傷2人、軽傷42人、住家被害は2,825棟。

発表日・更新日

2026年8月21日 発表

影響を受ける人
  • 川から離れた住宅街に住んでいて、水害は自分に関係ないと考えていた人
  • これから家を買う・借りる予定で、その土地の水害リスクを調べている人
  • 通勤・送迎でアンダーパスや坂の下の道路を毎日使っている人
  • ハザードマップを一度も開いたことがない、または開いたが色の意味を確認していない人
目次

この記事でわかること

  • 亡くなった13人のうち少なくとも9人は、ハザードマップの浸水想定区域の中だった(読売新聞の調査)
  • 柏市八幡町の現場は河川沿いではなく住宅街の道路のくぼ地で、想定浸水深は3メートル以上5メートル未満
  • 千葉市中央区のアンダーパス2か所は、いずれも想定浸水深5メートル以上10メートル未満
  • 被害報告の55.7%が区域外という別の調査とは矛盾しない。浅い冠水は広く、深い浸水は色の濃い場所に集中した
  • 内閣府の8月20日10時現在の集計で、千葉県の住家被害は2,825棟(床上浸水1,206棟・床下浸水1,489棟)

「うちは川から離れているし、ハザードマップでも色がついていない。だから今回のような雨でも大丈夫」。そう考えていた方は少なくないと思います。ところが今回の千葉豪雨で分かったのは、その逆でした。

読売新聞オンラインが8月21日に報じた調査によると、この豪雨で亡くなった13人のうち、少なくとも9人が浸水想定区域の中で水に巻き込まれたとみられます。地図に色が塗られていた場所です。

浸水想定区域の中で亡くなった方が、多数を占めました

読売新聞は、亡くなった場所を自治体・警察・消防に取材したうえで、それぞれの自治体が作ったハザードマップと照らし合わせています。その結果が、13人のうち少なくとも9人という数字です。

内訳は千葉市5人、柏市・市川市・八千代市・佐倉市が各1人。これを、内閣府が8月20日10時現在で公表している死者13人の市町村別内訳と並べると、次のようになります。

亡くなった13人と、浸水想定区域の中の9人 市町村別。四角1つが1人にあたります 浸水想定区域の中と確認された9人 区域内とは確認されていない4人 千葉市6人佐倉市2人市川市1人柏市1人八千代市1人市原市1人いすみ市1人内閣府(8月20日10時現在)と読売新聞の調査から作成
白抜きの4人は「浸水想定区域の外だった」という意味ではありません。読売新聞の調査が区域内と確認できたのが9人まで、ということです。

13人のうち9人は、地図の上では「危ないと分かっていた場所」でした。ハザードマップが現実を外していたわけではありません。むしろ、色の濃さと命の危険が重なっていたことを示しています。

「被害の半分以上は区域の外」という調査と矛盾しないのはなぜか

この記事を読んで、引っかかった方がいるかもしれません。ウェザーニューズが千葉県内の約2万件の現地報告を分析したところ、浸水・冠水の被害報告の55.7%は、低位地帯または浸水想定区域の「外」から寄せられていました。当サイトでも8月19日の記事で取り上げています。

被害の半分以上が区域の外なのに、亡くなった方は区域の中に集まっている。一見ぶつかって見えますが、両立します。数えているものが違うからです。

ウェザーニューズが数えたのは約2万件の被害報告で、道路が少し冠水した、庭に水が入った、というものまで含みます。読売新聞が数えたのは亡くなった13人です。母数がまるで違います。

ここから読み取れるのは、浅い冠水は区域の外まで広く起きた一方で、人が流されたり車から出られなくなったりするほど深い浸水は、地図で色の濃い場所に集中したということです。「区域の外でも起きる」と「区域の中がいちばん深くなる」は、同時に成り立ちます。

柏市の現場は、川沿いではなく住宅街のくぼ地でした

柏市八幡町では、70歳代の女性が亡くなりました。現場は河川のすぐそばではなく、住宅街の道路にできたくぼ地です。

周辺では1時間当たり100ミリ前後の雨が降ったとみられ、坂の傾斜に沿って流れた水が、いちばん低いくぼ地に集まりました。柏市のハザードマップでは、この場所の想定浸水深は3メートル以上5メートル未満とされていました。

水がたまるのは、川のそばだけではありません。周りより低い道路、坂を下りきったところ、両側を擁壁や盛土で挟まれた区間には、雨がやんだあとも水が残ります。住宅街の中であっても、地形が水を一か所に集めてしまうためです。

「あそこはいつも雨の日に水たまりができる」という場所が、通勤路に1つや2つは思い当たるはずです。今回はそれが、大人が立てない深さまで達しました。

千葉市のアンダーパスは、地図でいちばん濃い色の場所です

千葉市中央区では、アンダーパス2か所でそれぞれ死亡事故が起きています。この2か所の想定浸水深は、いずれも5メートル以上10メートル未満。今回の事例の中でもっとも深い想定です。

アンダーパスは、線路や道路の下をくぐるために周囲より低く掘り下げられています。構造上、水は必ずそこへ向かい、ポンプの能力を超えれば短時間でたまります。

危ないのは、入ってみるまで深さが分からないことです。手前から見た水面は路面の勾配で浅く見えますが、いちばん低い場所は数メートル先にあります。「このくらいなら通れそう」という判断が効きません。

車のドアは、外側から水圧がかかると人の力では開かなくなります。エンジンが止まり、電動窓も動かなくなると、車内から出る手段がなくなります。冠水した道路は、深さが分からない時点で引き返す。これが唯一の対処です。

区域内と確認されなかった方は、どこで亡くなったのか

ここは慎重に書きます。内閣府が公表している死者13人の内訳は、千葉市6人、市川市1人、佐倉市2人、柏市1人、市原市1人、八千代市1人、いすみ市1人です。読売新聞が浸水想定区域内と確認した9人の内訳を差し引くと、残るのは千葉市1人、佐倉市1人、市原市1人、いすみ市1人になります。

ただし、この4人が「浸水想定区域の外だった」と決まったわけではありません。読売新聞の記事は「少なくとも9人」という書き方です。確認が取れたのが9人まで、という意味であって、残りが区域外だと確定したわけではないからです。

もう1つ、危険の種類は水害だけではありません。消防庁の資料によると、8月13日21時55分には千葉市と市原市に土砂災害の特別警報が発表されています。浸水のハザードマップに色がなくても、土砂災害警戒区域に指定されている場所は別にあります。

浸水想定区域の地図を見ただけでは、その場所の危険をすべて確かめたことにはなりません。水害・土砂災害・地震で、見る地図がそれぞれ違います。

被害の全体像(内閣府・8月20日10時現在)

今回の豪雨で千葉県が受けた被害の全体像です。速報値のため、数値は今後も変わります。

千葉豪雨の被害(8月20日10時現在) 内閣府の公表資料より。数値は今後も変わります 人的被害 死者 13人(うち災害関連死 1人) 行方不明 1人 重傷 2人 軽傷 42人 住家被害 2,825棟 床下浸水1,489棟床上浸水1,206棟半壊78棟一部破損49棟全壊3棟棟数は被害認定調査を受けた棟数とは一致しません

床下浸水が1,489棟、床上浸水が1,206棟。合計すると住家被害は2,825棟にのぼります。全壊3棟・半壊78棟という数字と比べると、この災害の被害が「建物が壊れる」よりも「水に浸かる」形で広がったことが分かります。

自宅と職場の周りで、今日のうちに確認できること

今回の記事でいちばん伝えたいのはここです。ハザードマップは災害が起きてから開くものではなく、平常時に一度見ておくものです。京都大学防災研究所の川池健司教授も、自宅や職場など身近な場所の危険性を普段からハザードマップで確認しておくことが命を守ることにつながる、と指摘しています。

1. 自宅と職場の色を見る

お住まいの市区町村のハザードマップで、自宅と職場に色がついているか、ついているなら何メートルの想定かを確認します。3メートル以上なら、2階に上がるだけでは足りない可能性があります。洪水だけでなく、内水(雨水出水)と土砂災害の地図も分けて用意されていることがあるので、種類ごとに見ます。

2. 毎日通る道の低い場所を思い出す

通勤・通学・買い物で必ず通る道に、アンダーパス、坂を下りきった場所、両側より低い区間がないかを書き出します。地図を見るより、実際に通っている人の記憶のほうが正確です。

3. 大雨のときに通らない道を、先に決めておく

その場で判断すると、急いでいるほど「行けそう」に見えます。大雨警報が出たらこの道は使わない、と平常時に決めておくと、判断そのものが要らなくなります。家族で共有しておくと、迎えに行く側の遠回りも決まります。

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住所を入れるだけで、浸水・土砂災害・地盤の情報をまとめて確認できます(無料)

国土交通省 ハザードマップポータルサイト(重ねるハザードマップ) 川がなくても街が冠水する「内水氾濫」と、もう1枚のハザードマップ

まとめ

今回の千葉豪雨は、ハザードマップで危険が示されていた場所で多くの命が失われた災害でした。同時に、被害報告の半分以上は区域の外から届いています。この2つは、地図の精度の問題ではなく、浸水の深さの違いです。

「ハザードマップを見る」で終わらせず、色の意味(何メートルの想定か)と、毎日通る道のいちばん低い場所まで下ろす。今日できるのはそこまでですが、そこまでやっておけば、次に大雨警報が出たときに考えることが減ります。

生活・仕事にどう効くか

  • ハザードマップで自宅に3メートル以上の想定がある場合、2階への垂直避難だけでは足りない可能性がある
  • 冠水したアンダーパスは水深が手前から判断できず、車のドアは水圧で開かなくなる。引き返す以外の対処がない
  • 浸水想定区域の地図だけでは土砂災害の危険は分からない。今回は千葉市と市原市に土砂災害の特別警報が出ていた
  • 住宅の購入・賃貸を検討している場合、洪水だけでなく内水(雨水出水)のハザードマップの有無も確認材料になる

結局どうすればよいか

  • 市区町村のハザードマップで、自宅と職場に色がついているか、何メートルの想定かを確認する
  • 洪水・内水(雨水出水)・土砂災害で地図が分かれていることがあるので、種類ごとに見る
  • 毎日通る道のアンダーパス・坂の下・周囲より低い区間を書き出し、大雨のときは通らないと先に決めておく

あわせて読む・調べる

くわしく知る(保存版の記事)

自分の場合を調べる(無料ツール)

公式出典

更新履歴

  • 2026年8月21日 初版を公開

※本記事は2026年8月21日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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