鎌倉市で津波の浸水が想定されているのは、材木座・由比ガ浜から長谷・坂ノ下までの海沿いと、内陸の大町・小町、西の腰越です。神奈川県の2015年の想定(最大クラス)を町・字の代表点で読むと、材木座三・六丁目、長谷二丁目、坂ノ下が5〜10mです。
ただし、逃げる時間はほとんどありません。県の想定では、地震から1分で海面が30cm動き、七里ガ浜の海岸には最大14.5mの津波が10分で来ます。
先に結論
- ✓ 由比ガ浜の海岸は最大13.0m・14分。最も早いのは別の地震の8分(神奈川県 2015年)
- ✓ 南海トラフでは最大10m、1mの津波が来るのは34分後(内閣府 2025年・ケース①)
- ✓ 1923年の関東大震災では、津波で長谷92名・坂ノ下52名・材木座59名が亡くなった(内閣府の報告書)
いま津波警報・注意報が出ているなら
この記事は平時に読む想定の地図です。いま出ている警報と予想の高さは気象庁の津波情報(予報区「相模湾・三浦半島」)、避難指示は市の防災情報で確かめてください。海や川の近くにいるなら、読むより先に高い所へ。
鎌倉市で津波が来る範囲

5〜10mの想定は、材木座三・六丁目、長谷二丁目、坂ノ下です。材木座一丁目は3〜5m、由比ガ浜四丁目・材木座二・五丁目・大町二丁目・小町一・二丁目と、西の腰越二〜四丁目は0.5〜3mです。
七里ガ浜や稲村ガ崎は代表点が高い所にあり、表に出ません。それでも市の地域防災計画は「すりばち状の小さな谷となっている七里ガ浜一丁目は浸水被害が懸念されます」と書いています。

拡大図では、色が滑川と若宮大路に沿って鎌倉駅の周りまで、長谷では高徳院(大仏)の手前まで続いています。
市の地域防災計画は材木座について「国道134号の下に6箇所、国道の内陸側から海へ抜けるトンネルがあり、津波による陸上遡上が想定されます」と書いています。
「海岸のすぐ裏は山だから、歩いて逃げられる」とは言い切れません。市は、由比ガ浜・材木座エリアで避難の対象になる15,238人のうち、約10,420人が「避難困難区域」にいると推計しています(2016年3月)。
避難困難区域は、避難できる距離のうちに、避難対象区域の外にも、指定された避難ビル・避難空地にも着けない範囲です。
| 町・字 | 想定の深さ(代表点) |
|---|---|
| 材木座三・六丁目 | 5〜10m |
| 長谷二丁目 | 5〜10m |
| 坂ノ下 | 5〜10m |
| 材木座一丁目 | 3〜5m |
| 腰越二〜四丁目 | 0.5〜3m |
| 材木座五丁目 | 0.5〜3m |
| 大町二丁目 | 0.5〜3m |
| 由比ガ浜四丁目 | 0.5〜3m |
| 小町一・二丁目 | 0.5〜3m |
| 材木座二丁目 | 0.5〜3m |
深さは、国土交通省「位置参照情報」の町・字の代表点(およその中心)1点で、重ねるハザードマップの津波浸水想定を読んだ値です。代表点が範囲の外でも、低い所は範囲に入っていることがあります(ハザードマップで色がない場所の意味)。市の地域防災計画は、稲村ガ崎一丁目から極楽寺三丁目にかけた谷底の浸水も懸念しています。
市の津波ハザードマップは、この県の浸水深の色に、市が決めた「津波避難対象区域」(明応型地震の想定なども重ねた最大の範囲)を重ねています。
鎌倉市内に津波災害警戒区域(イエローゾーン)は指定されておらず(隣の藤沢市は2021年3月、その先の茅ヶ崎市は2025年3月に指定)、建物に当たったせり上がりを足した「基準水位」は公表されていません。
揺れた瞬間に、部屋の中で起きることを減らすもの
地震のけがの3〜5割は、屋内の家具類の転倒・落下・移動によるものです(東京消防庁)。壁にネジを打てない部屋でもできる手から並べます。
東京消防庁の実験では、L型金具で壁に直接ネジ止めするのが最も効果が高いとされています。賃貸で壁に穴を開けられない部屋での代わりがこれです。家具の両端の側板部を、できるだけ奥で突っ張ります。天井側にも強度が要ります。
突っ張り棒だけだと効きが落ちます。同じ資料が、ポール式にはストッパー式や粘着マット式の併用をすすめています。マット単独でも効果は小さいので、上の棒と2つで1組と考えてください。
お湯でも水でも作れて、袋のままおにぎりの形になります。断水すると鍋も食器も洗えません。洗い物の出ない形を先に入れておくと、水の減り方が変わります。
飲料水は1人1日3L。4人家族の1週間分で84L=2Lボトル42本なので、6本入りだと7ケースぶんです。5年保存タイプなら入れ替えの手間が減ります。
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何メートルの津波が何分で来るか
県の想定は、相模トラフ沿いの地震など5つの地震の計算を重ねたものです。鎌倉市で最も高くなるのは「相模トラフ沿いの海溝型地震(西側モデル)」で、七里ガ浜の区間で14.5m、10分です。
この「最大津波高さ」は、海岸から沖合約30mの地点の水位を標高で示した値で、気象庁が発表する津波の高さとは基準が違います。
南海トラフは内閣府の2025年3月の想定で最大10m、ケース①で1mの津波が来るのは34分後です。鎌倉市の最大は、南海トラフではなく相模トラフ沿いの地震の14.5mです。
小動岬(こゆるぎみさき)は腰越の岬です。
| 海岸の区間 | 西側モデル | 連動地震 | 大正関東地震タイプ |
|---|---|---|---|
| 由比ガ浜 | 13.0m・14分 | 7.7m・8分 | 6.5m・8分 |
| 七里ガ浜 | 14.5m・10分 | 9.0m・10分 | 7.2m・9分 |
| 腰越漁港(小動岬の東側) | 12.2m・13分 | 9.1m・9分 | 6.5m・9分 |
| 腰越漁港(小動岬の西側) | 8.4m・10分 | 7.5m・9分 | 5.9m・10分 |
表の「連動地震」は、元禄関東地震タイプと国府津-松田断層帯の地震が続けて起きる場合です。「大正関東地震タイプ」は、県が最大クラスの5つの地震とは別に計算した地震です。時間は、いちばん高い波が来るまでの分数です。
由比ガ浜では、この連動地震と大正関東地震タイプが8分で最も早く、市のハザードマップも「最短8分」と書いています。
市は坂ノ下について「南関東地震では、第1波の到達が早く、北西の高台を目指した避難が基本的な考え方となり10分以内の避難が目標となります」と書いています。
神奈川県の注記:「最大津波高さは、第二波以降の津波によって生じる場合があり、表に示す最大津波到達時間より前の津波によって、浸水を生じることがあります。」
鎌倉市に来た過去の津波

1923年9月1日の関東大震災では、地震の直後に潮が200〜300m引き、10分ほどで津波が押し寄せました。
材木座の光明寺付近では電柱が水没するほど(5〜6m)の高さで、流失家屋30戸・死者59名、長谷は30戸・92名、坂ノ下は53戸・52名でした(内閣府の報告書)。
1703年の元禄関東地震では、鶴岡八幡宮の二ノ鳥居まで海水が押し寄せたと伝わり、『元禄宝永珍話』には男女約600人が流死したと記されています(内閣府の報告書)。
「大仏殿は明応の津波で流された」とは言い切れません。市教育委員会などの論文は、その津波が1495年か1498年かも、どこまで浸水したかも不明だとし、大仏は1486年にはすでに露座だったとする説を紹介しています。
国土地理院の自然災害伝承碑で、市内の津波の碑は0基です。2011年3月11日は相模湾・三浦半島に大津波警報が出ました。公共交通機関が止まって帰れなくなった人など約5,000人が、市内の公共施設などで一夜を過ごしています。
逃げる場所と、いま出ている情報
市が公開している一覧(2017年10月1日現在)では、津波避難ビル(津波来襲時緊急避難建築物)が30棟、避難空地が24か所です。これより新しい総数は、市の公開データでは確かめられません。
空地には高徳院(大仏)も入っています。市の計画は「津波避難ビルへの避難は最後の手段」としています。
市は津波注意報でも避難指示を出します。近くの海で地震が起きたときは、警報の前でも海面に異常があれば、市長が海岸から避難するよう指示すると地域防災計画に書いています。
- 市の津波ハザードマップ(2020年4月改定・3エリア)で、自宅と勤め先の色を見る。地図の「・7.1」のような数字はその場所の海抜
- 鎌倉市防災情報マップ(かまくらわが街マップ)の「津波」で、住所の位置を確かめる
- 防災・安全情報メールか市の公式LINE、X(エックス)の「【鎌倉市】防災・防犯・消防情報」で津波情報を受ける
- 海岸で津波フラッグを見たら、すぐ海から上がって海岸から離れる。防災無線のサイレンは、大津波警報が3秒鳴って2秒休む、津波警報が5秒鳴って6秒休むのくり返し
津波警報は気象庁が予報区「相模湾・三浦半島」に出します。市単位では出ません。
鎌倉市 津波ハザードマップの注意:「「津波浸水想定図」における浸水域以外でも浸水が発生したり、浸水深が大きくなったりする場合もあります。」色がない場所が、来ない場所ではありません。
鎌倉市のほかの災害リスク・ほかの市
- 鎌倉市の冠水|注意したい八幡ガード
- 津波 到達時間/南海トラフは最短2分
- ハザードマップ 色なし うちは安全ってこと?
- 静岡市 津波 どこまで来るの? (静岡県)
- 仙台市 津波 どこまで来るの? (宮城県)
- 浜松市 津波 どこまで来るの? (静岡県)
- 高知市 津波 どこまで来るの? (高知県)
- 千葉市 津波 どこまで来るの? (千葉県)
- 横浜市 津波 どこまで来るの? (神奈川県)
- 大阪市 津波 どこまで来るの? (大阪府)
- 徳島市 津波 どこまで来るの? (徳島県)
- 大分市 津波 どこまで来るの? (大分県)
- 那覇市 津波 どこまで来るの? (沖縄県)
- 小田原市 津波 どこまで来るの? (神奈川県)
- 館山市 津波 どこまで来るの? (千葉県)
- 八戸市 津波 どこまで来るの? (青森県)
- 宇和島市 津波 どこまで来るの? (愛媛県)
- 宮崎市 津波 どこまで来るの? (宮崎県)
- 釧路市 津波 どこまで来るの? (北海道)
- 和歌山市 津波 どこまで来るの? (和歌山県)
- 苫小牧市 津波 どこまで来るの? (北海道)
- 新潟市 津波 どこまで来るの? (新潟県)
町・字の代表点で見ると、鎌倉市は材木座・長谷・坂ノ下が5〜10mの想定です。県の計算では海面が1分で動き始め、由比ガ浜には最短8分で津波が来ます。
自宅や行き先が海沿いなら、ハザードマップで色と海抜を見て、揺れたらすぐ歩いて向かう高台と、間に合わないときの避難ビルを決めておくところまでが準備です。海にいるときは、揺れか津波フラッグを合図にすぐ上がってください。
出典(すべて2026年10月5日に確認)
- 神奈川県「「津波浸水想定」について(平成27年3月)」
- 神奈川県「津波浸水想定について(解説)」PDF
- 神奈川県「津波浸水予測図(相模トラフ沿いの海溝型地震(西側モデル))」
- 神奈川県「津波浸水予測図(元禄関東地震タイプと国府津-松田断層帯地震の連動地震)」
- 神奈川県「津波浸水予測図(大正関東地震タイプ)」
- 神奈川県「津波災害警戒区域の指定について」
- 内閣府「南海トラフ巨大地震モデル・被害想定手法検討会」報告書・市町村別一覧表(令和7年3月31日)
- 内閣府「1923 関東大震災報告書 第1編」第3章 PDF
- 内閣府「1703 元禄地震報告書」(平成25年3月)PDF
- 鎌倉市「鎌倉市津波ハザードマップ」(令和2年4月改定)
- 鎌倉市地域防災計画(令和6年3月改正)総則編・地震津波災害予防計画・地震津波災害応急対策計画
- 鎌倉市「津波避難計画 地域別実施計画(由比ガ浜・材木座エリア)」(平成28年3月)
- 鎌倉市「避難所等の位置情報」(津波来襲時の緊急避難建築物・空地等一覧表 平成29年10月1日現在)
- 鎌倉市「観光客等地震・津波対策ガイドライン」(令和5年6月 第3版)
- 鎌倉市「防災・安全情報メール」「防災行政用無線からのサイレン音について」
- 鎌倉市教育委員会ほか「鎌倉における過去の津波について」
- 鎌倉市 公式サイト
- 気象庁「津波予報区について」
- 国土地理院「自然災害伝承碑」
- 地図:国土地理院「重ねるハザードマップ」(津波浸水想定)・地理院タイル/町・字の代表点:国土交通省「位置参照情報」(2025年版)
- 気象庁「津波警報・注意報、津波情報、津波予報について」
- アイキャッチ:地理院タイル(全国最新写真)を加工して作成
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