宜野湾市で、大雨のたびに冠水すると市議会で2021年から毎年取り上げられてきたのが、普天間(ふてんま)飛行場のフェンス沿いを走る市道宜野湾11号です。この道の雨水は基地の中の排水路へ流れますが、市が2022年度に調べると、その排水路は「全ての区間において適正断面を有していない」ことが分かりました(2023年6月の市の答弁)。
基地の中の約370メートルを直す工事は、完了予定が2回延びて2026年12月末になっています(2026年6月の答弁)。工事が終わらないうちに、2026年5月23日の夜も11号で冠水の報告がありました(市の答弁)。
この記事でわかること
- ✓ 11号の冠水の日付が分かる10日の1時間の雨は、アメダス胡屋(ごや)でどれも工事の設計の83ミリより少ない値でした(当サイトの集計・観測所1か所の値)
- ✓ 国の道路冠水注意箇所は、国道330号の志真志(しまし)の1か所です
雨の日に「宜野湾市の冠水情報」を見るページ
市が道路の冠水を一覧で知らせるページは見つかりませんでした(9月24日、当サイトの確認)。通行止めや雨の危険度は、次のページで見られます。
- 南部国道事務所「災害・緊急時重要規制情報」(国道330号・58号)
- 国土交通省「道路情報提供システム」
- 沖縄県防災情報ポータル「ハイサイ!防災で~びる」(警報・被害の速報)
- 気象庁 キキクル(浸水害の危険度)
- 宜野湾市 防災行政無線の電話確認(098-896-2401・放送後24時間)
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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冠水の記録と注意箇所がある6か所の地図
地図のAは国の説明表の位置図から当サイトが読み取った目安、B〜Fは当サイトが代表点や施設の位置に置いた目安です。

地図の記号と同じ順です
A 志真志 国道330号
国の道路冠水注意箇所(沖縄総合事務局)。説明表の備考は「注意喚起看板:設置済み」。冠水した日付の記載はありません
点は説明表の位置図から当サイトが読み取った目安
管理: 南部国道事務所 098-861-2336 / 警察: 宜野湾警察署 098-898-0110 / 消防: 宜野湾市消防本部 098-892-2299
B 市道宜野湾11号 宜野湾1丁目
2021年の開通直後から大雨のたびに冠水(市の答弁・琉球新報)。2026年5月23日夜も冠水の報告(市の答弁)
点は、道路地図(OpenStreetMap(オープンストリートマップ))の11号の線上で、宜野湾一丁目の代表点にいちばん近い点。冠水した地点そのものではありません
F 喜友名(きゆうな)2丁目 市道普天間3区喜友名線
「台風や大雨が長引けば、普天間飛行場からの雨水がフェンスを越境し冠水」(2019年12月の市の答弁)
点は喜友名二丁目の代表点(国土地理院の住所検索)。答弁の「4番5号付近」そのものではありません
B〜Fは代表点や施設の位置なので、実際に水が出た場所とは数百メートルずれることがあります。
\住所だけ・1分で公的データを確認できます/
土砂災害警戒区域・洪水の浸水想定・地盤の揺れやすさを公的データでまとめて出します(道路の冠水は出ません)
2026年5月23日の夜、市が挙げた4か所
6月の市議会で総務部長が挙げた、5月23日夜に道路冠水の報告があった4か所です。
- 国道330号 宜野湾3丁目の宜野湾記念病院付近
- 国道58号宜野湾バイパス 大山7丁目付近
- いすのき通り 普天間第二小学校の裏門付近
- 市道宜野湾11号 宜野湾1丁目
この夜、宜野湾市には19時50分に土砂災害警戒情報が出ていました(県の資料)。沖縄市のアメダス胡屋は1時間73.0ミリで、1976年からの記録で6番目の値です(観測所1か所の値で、宜野湾で降った量ではありません)。
県の被害報(5月27日9時の速報)に載る宜野湾市の被害は、保育所の床下浸水1件と、大山の「側溝が外れている」だけです。県の速報の様式には道路冠水を数える欄がなく、市の4か所は出てきません。議員は「車が完全に水没してしまった」という報告を受けたと述べていますが、市の答弁に車の被害の数はありません。
国の道路冠水注意箇所(沖縄総合事務局)の志真志(地図のA)は、位置図の区間を当サイトが読み取ると宜野湾記念病院から約80メートルの国道330号の上です。5月23日の「宜野湾記念病院付近」と近い場所ですが、同じ地点かは資料からは分かりません。
市道宜野湾11号は、なぜ何度も冠水するのか
11号は上原と宜野湾を結ぶ全長約3500メートルの市道で、事業の着手から約42年かけて2021年3月28日に全線開通しました(琉球新報 2021年6月17日・7月8日の記事)。その年の6月は大雨のたびに冠水し、市は議会でおわびしました。市の説明はこうです。
- 冠水する地点は「周辺地域においても最も低い場所」(2021年6月)
- 11号沿いには、民地側から基地の中へ排水している箇所が9か所ある(2021年9月)
- その先の基地の中の排水路は、全区間で断面が足りない(2023年6月)
市は2022年3月に「冠水箇所の下流側が改善されないことには、警報級の大雨時には冠水するものと考えております」と答えました。その年は5月20日・31日、6月3日・11日に冠水を確かめ、5月20日は縁石を超える25センチ程度でした。

市の答弁に日付が出る2022〜2026年の7日と、琉球新報が伝えた2021年6月8日・15日・30日で、胡屋の1時間の雨は16.5〜73.0ミリでした(当サイトの集計)。2023年5月18日について、市は「80ミリ以上の想定外の雨量」と答えていますが、どの観測の値かは示していません。
読者
工事が終われば、もう冠水しませんか?
市は、工事が終われば「道路冠水は改善されるものと考えております」と答えています(2026年3月)。ただ設計の雨には上限があり、胡屋では1988年に1時間105ミリ、2001年に101ミリの記録があります(観測所の値)。
基地の中の工事は、いつ終わるのか

市は2022年度に沖縄防衛局から調査を受託し、2023年度に基地の中の排水路約370メートルの改良を設計しました。溝の区間は断面を広げ、埋設管の区間は管を増やします。設計は1時間83ミリ程度の雨を支障なく流す内容で、市の標準(81ミリ程度)より「安全側」にしたと説明しています(2024年6月)。
完了予定は、2025年3月の答弁で「令和7年度末」、2026年3月19日の答弁で11号側の約70メートルが2026年9月末、6月22日の答弁で12月末と、2回延びました(いずれも上下水道局長)。
工事は防衛局からの受託事業で、市は「本来は国の事業」と答えています。2025年度の予算に2億5,091万円、2026年度の受託収入1億2,068万9,000円にこの工事が入っています。
延びた理由は、基地に入るパスの申請など米軍との調整に日数がかかったことと、物価と人件費の上昇で2025年度の予算に全区間を収められなかったことです(市の答弁)。工事が終わるまでは、2023年5月に道路の低い所から基地の中の排水路へつないだ直径200ミリの管が頼りで、市は冠水しても「すぐ引く」程度の効果はあったとしています。
普天間飛行場のフェンス沿いの冠水
11号とは逆に、基地の中から水が出てくる場所もあります。喜友名2丁目の市道普天間3区喜友名線について、市は2019年12月に「台風や大雨が長引けば、普天間飛行場からの雨水がフェンスを越境し冠水をする」と答えました。基地の中の雨水の排水処理が十分でないことが主な要因、という見方です。
2025年3月には副市長が、普天間飛行場に由来する問題の1つとして「基地フェンス沿いでの冠水被害」を挙げています。市の地域防災計画(2022年3月)には、基地の地下について「普天間基地の地下にはいくつもの鍾乳洞が形成されている。大雨時には、この鍾乳洞に水が流れ込み、浸水する危険性がある」という記述があります。
「宜野湾市 浸水」:市の総合防災マップに洪水と内水の地図はない
市の総合防災マップ(2025年度制作)の地図は津波・高潮・土砂災害の3つで、洪水と内水(街の排水が追いつかない水)は入っていません(当サイトの確認)。市の地図情報システムは規約で地図の複製を禁じているので、市のサイトで直接開いてください。
浸水の記録では、2024年6月14日に市内で道路冠水6件と土砂災害2件があり、床下浸水や車の被害も出ました(2024年10月の答弁)。市は2024年度に市内全域の浸水想定区域図のための基礎調査をし、雨水管理総合計画をつくってハザードマップにもつなげると答えています。内水の地図の公表は、9月24日時点で見つかりませんでした。
県は2026年3月31日、普天間川と牧港川・宇地泊川(うちどまりがわ)の洪水浸水想定区域を指定しました。想定しうる最大規模の雨が前提で、図は高潮や内水による氾濫を考えていません。高潮の浸水想定区域も、2026年8月27日に宜野湾市を含めて指定されました(想定しうる最大規模の高潮が前提)。区域で何が決まるのかは高潮浸水想定区域の記事に。
読者
洪水の地図で家に色がなければ、安心ですか?
色が無いのは「区域に入っていない」か「まだ地図になっていない」かのどちらかです。11号や喜友名は、答弁では川ではなく排水路の話です。雨の日に家の前の道がどうなるかも見てください。
\住所で洪水と土砂の区域を確かめる/
国土地理院のデータで、洪水の浸水想定区域と土砂災害警戒区域に入っているかを出します。普天間川・牧港川・宇地泊川の区域(県が2026年3月に指定)は、9月24日の時点でこのデータにまだ入っていません(道路の冠水・内水・高潮も出ません)
ほかの市はどうなっているか
- 道路冠水マップ どこで見られるの?
- 沖縄 冠水 どこが危ないの?
- 那覇市 冠水 どこが危ないの?
- 沖縄市 冠水 どこが危ないの?
- うるま市 冠水 どこが危ないの?
- 西原町 冠水 どこが危ないの?
- 豊見城市 冠水 どこが危ないの?
- 糸満市 冠水 どこが危ないの?
- 名護市 冠水 どこが危ないの?
- 北中城村 冠水 どこが危ないの?(島袋と、村の調整池)
- 石垣市 冠水 どこが危ないの?(市の道路冠水マップ13か所と、真栄里)
公式出典
- 宜野湾市議会 会議録(2019年12月18日、2021年6月21日・22日・24日、2021年9月24日、2022年3月18日、2022年6月22日、2023年6月19日、2024年6月26日、2024年10月16日、2025年3月14日・25日・27日、2026年2月26日・3月13日・3月19日、2026年6月22日)
- 沖縄県「災害対策本部関係情報」(「令和8年5月23日~ 中南部大雨警報及び線状降水帯発生 被害状況」5月27日9時速報、被害状況図 5月24日7時時点)
- 内閣府 沖縄総合事務局「道路冠水注意箇所リスト【沖縄県】」(説明表 宜野湾市志真志)/同「直轄国道冠水想定箇所」
- 宜野湾市「宜野湾市総合防災マップ」(令和7年度制作)/宜野湾市地域防災計画(令和4年3月)/宜野湾市「宜野湾11号線について」(開通予定日)
- 沖縄県「洪水浸水想定区域」(2026年4月22日更新)/沖縄県「琉球諸島沿岸における高潮浸水想定区域図」(令和8年8月27日指定)
- 気象庁「過去の気象データ」(アメダス胡屋の日降水量・日最大1時間降水量と観測史上の順位)
- 琉球新報(2021年6月17日・7月8日の記事)
- 国土地理院 住所検索API・地理院タイル(地図)/道路と施設の位置:OpenStreetMap(© OpenStreetMap contributors)
この記事の数値は公表資料と会議録を集計したものです(2026年9月24日取得)。避難や通行の判断は、必ず宜野湾市と沖縄県の最新の発表を確認してください。
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