MENU
お役立ち記事
【近日公開】AIが物件資料からSUUMO・at homeの入稿文を作成「入稿メイト」|先行登録受付中(無料)

「事故物件は3年たてば言わなくていい」は実は賃貸だけ。売買の告知義務に期限はありません

「事故物件は告知義務が3年って書いてあったんですが、それがすぎたらお客様に事故物件ですか?と聞かれてもそうじゃないですと言っていいということでしょうか。」——Yahoo!知恵袋に2023年に投稿された、実在の質問です(出典は記事末尾)。答えはノーで、3年が過ぎていても、聞かれたら告げる必要があります。

そしてもうひとつ。この「3年」は部屋を借りる人に向けたルールで、家を買う人への告知には、そもそも期限がありません。「3年たてば事故物件ではなくなる」と思って売り時を待っている人は、来ない日を待っていることになります。

先に結論

  • 賃貸:自死・殺人などの事案は、発生(発覚)から概ね3年を過ぎると原則告げなくてよくなる(国土交通省ガイドライン)
  • 売買:期間の定めがない=3年たっても10年たっても告げる対象のまま
  • 老衰・病死などの自然死や、転倒・誤嚥など日常の中の事故死は、賃貸・売買とも原則告げなくてよい(特殊清掃等が行われた場合を除く)
  • 聞かれたら:期間や死因に関わらず告げる必要がある。「3年過ぎたから違います」という嘘は通らない
目次

告知義務はいつまでか——賃貸は概ね3年、売買は期限なし

根拠は、国土交通省が2021年10月に公表した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」です。それまで統一の基準がなく、判断が個々の取引や裁判に委ねられていたものを、国が初めて線引きしました。ちなみに国のルールに「事故物件」という言葉はなく、「人の死に関する事案」として扱われています。

このガイドラインで「概ね3年」が出てくるのは、賃貸借取引について書かれた節です。本文では、老衰や病死などの自然死・日常の中の不慮の死を「①」と呼んだうえで、こう書かれています。「①以外の死が発生 又は特殊清掃等が行われることとなった①の死が発覚してから概ね3年間を経過した後は、原則として、借主に対してこれを告げなくてもよい」。文末に注目してください——「借主に対して」です。

売買については、この3年に当たる期限がガイドラインのどこにもありません。買主への告知は、経過年数で打ち切る規定を置かず、事案があれば告げる前提で書かれています。表にするとこうなります。

亡くなり方 借りる人への告知 買う人への告知
老衰・病死などの自然死/転倒・誤嚥など日常の中の事故死 原則不要 原則不要
上と同じ死でも、特殊清掃等が行われた場合 発覚から概ね3年間は告げる 期限なし=告げる
自死・殺人など、上記以外の死 発生から概ね3年間は告げる 期限なし=告げる
事件性・周知性・社会に与えた影響が特に大きい事案 3年経過後も告げる 告げる
借主・買主から問われた場合 期間・死因に関わらず告げる 期間・死因に関わらず告げる

「事故物件は3年」という言い方は、この表の左の列だけを切り取って、主語を落としたまま広まったのだと私は見ています。国のルールの側には「賃貸借取引」と主語が書いてあるのに、伝わるうちに消えた。部屋を借りる人と、家を買う人・売る人とでは、同じ俗説の意味がまるで違ってきます。

その3年は、亡くなった日から数えるとは限らない

「事故から3年」という理解も、原文と少しずれています。ガイドラインの起算点は、2通りに書き分けられています。

  1. 自死・殺人など、自然死以外の死——発生から概ね3年
  2. 自然死や日常の中の事故死で、特殊清掃等が行われることになったもの——発覚してから概ね3年

違いが効くのは2のほうです。たとえば一人暮らしの人が病気で亡くなり、発見までに時間がかかって特殊清掃が入ったケース。この場合の時計は、亡くなった日ではなく発覚した日から動き出します。発見が2か月後なら、告げる期間もその2か月ぶん後ろへずれる計算です。

もうひとつ、「概ね」という言葉にも意味があります。3年0か月で自動的に切れる時効ではなく、事件性、周知性、社会に与えた影響等が特に高い事案は、3年を過ぎても告げると、ガイドライン自身が例外を明記しています。広く報道された事案は、年数では消えません。

なお対象は部屋の中だけではなく、廊下やエレベーターなど、借主が日常生活において通常使用する共用部分で起きた事案も、部屋と同様に扱われます。

「一度誰かが住めばリセット」は、国のルールに存在しない

2020年6月の知恵袋には、こんな質問もありました。事故のあと1人でも入居者が入れば、2人目以降には説明しなくてよいという話を聞いたが、それでも自分から「事故物件ですか」と聞いたら、不動産屋に説明する責任はあるのか——という内容です。回答欄は「聞かれたら正直に答える義務がある」と「間に1人入れば説明責任は生じない」に割れていました。

この「入居者1人でリセット」は、ガイドラインに存在しません。前の章のとおり、賃貸の区切りは発生(発覚)からの経過年数で書かれていて、間に誰かが住んだかどうかは、条件のどこにも出てきません

存在しない規定の話が今も流れているのは、ガイドライン以前の名残です。2021年10月まで統一基準がなく、判断は個々の裁判や取引現場に委ねられていました。2020年のこの質問と割れた回答欄は、その時代の混乱がそのまま残った実物です。少なくとも今は、「次の方が一度住んだのでもう告知は不要です」という説明を、国のルールから導くことはできません。

親が家で亡くなったら、事故物件になるのか

相続の場面では、逆向きの心配も生まれます。持病のあった親を自宅で看取った、この家は「事故物件」として扱われてしまうのか——という不安です。

ガイドラインの答えは、原則ならない、です。原文は「老衰、持病による病死など、いわゆる自然死については、そのような死が居住用不動産について発生することは当然に予想される」として、賃貸・売買のどちらでも告げる対象から外しています。理由として挙げられている統計が、自宅における死因割合のうち、老衰や病死による死亡が9割を占めるというものです。家で人が亡くなること自体は、例外どころか、家で起きる死の大半を占めています。

自然死だけではありません。自宅の階段からの転落、入浴中の溺死や転倒事故、食事中の誤嚥——日常生活の中で生じた不慮の事故による死も、同じく原則告げなくてよい側です。

分かれ目は、特殊清掃等が行われたかどうか。発見が遅れて特殊清掃等が行われた場合は扱いが変わり、賃貸なら発覚から概ね3年、売買なら期限なしの告知対象になります。看取りや早い発見であれば、その家は告知の意味での「事故物件」ではありません。

このエリアの相場はいくらですか?

住所を入れると、国の成約データから土地・戸建て・マンションの坪単価の目安が出ます。無料です。



借りる人・買う人は、「聞く」だけで相手の義務が変わる

物件を探す側の自衛策は、実ははっきりしています。検索の世界では「事故物件 調べ方」に続けて「サイト」「アプリ」、さらには「警察」まで打ち込まれています(2026年8月・当サイトのサジェスト採取)。事故物件の公開サイトは掲載が網羅ではなく、警察は個別の照会に答える窓口ではないので、「調べる」はどこかで行き止まりになります。

行き止まりの先にあるのが、冒頭の質問への答えです。ガイドラインは「人の死に関する事案の発覚から経過した期間や死因に関わらず、買主・借主から事案の有無について問われた場合」には告げる必要がある、と定めています。つまり、あなたが問うた瞬間に、期間の区切りは外れます。3年ルールの外に出る鍵を持っているのは、業者ではなく客のほうです。

聞き方は、有無をそのまま聞く形で足ります。「この物件で、人の死に関する事案はありましたか」。ガイドラインの言葉に沿った聞き方なので、あいまいに「何かありましたか」と聞くより、答えるべき範囲がはっきりします。

返ってくる答えは3種類ありえます。ある・ない・分からない、です。業者の調査は売主・貸主・管理業者への照会が基本で、不明であると回答された場合や無回答の場合には、その旨を告げれば足りるとされています。「調べたが分からなかった」という答えは、ごまかしではなくルールどおりの対応です。逆に、事案を知りながら「そうじゃないです」と答えれば、冒頭の質問者が心配していた「売るために嘘をつく不動産屋」そのもので、業者側の責任を問われる行為になります。

事故のあった家を相続した人は、3年待っても始まらない

ここまでの構図を、売る側から見るとこうなります。売買の告知に期限はないので、3年でも10年でも、待つことで告げる義務は消えません。「ほとぼりが冷めてから売る」という作戦は、待つ間の維持費だけがかかり、告知の扱いは変わらない作戦です。

むしろ待っている間に、別の「3年」が先に切れます。相続した家を売るときの3,000万円特別控除には年数の期限があり、こちらは待つほど不利になります。同じ「3年」でも、告知の3年(賃貸のルール)と税金の3年(控除の期限)はまったくの別物です。期限の中身は実家を空き家にした日から、3,000万円の控除は3年で消えるに書きました。

売るときの順番は、事案があったことを担当者へ最初に伝えるところからです。告げたうえでいくらになるかが、この家の本当の値段で、その数字を見てから売る・貸す・持ち続けるを選べば足ります。誰に何を頼むかの分担は実家じまいは誰に相談するか——司法書士・税理士・不動産会社の役割分担にまとめてあります。事案のあった物件は、仲介のほかに買取専門の会社が受け皿になることもあるので、査定は事情を伝えたうえで複数に出すのが確実です。

訳あり物件がいくらで売れるか無料査定を試す ▶

事情を伝えたうえでの査定額が、売る・貸す・持ち続けるの判断材料になります

※ 上記リンクは広告(アフィリエイト)を含みます。

よくある質問

マンションの共用廊下やエレベーターで事案があった場合も告知されますか

ガイドラインは、借主が日常生活において通常使用する部分——廊下やエレベーターなどの共用部分——で発生した事案を、部屋そのものと同様に扱うとしています。気になる場所があるなら、部屋に限定せず「建物内で事案はありましたか」と有無を聞く形が確実です。

「3年で告知義務がなくなる」は法律の条文ですか

法律の条文ではなく、国土交通省が2021年10月に公表したガイドライン(宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン)です。宅建業者が守るべき判断基準を示したもので、不動産会社の実務はこれに沿って動いています。条文でない分「概ね3年」という幅のある書き方になっており、3年0か月で機械的に切れる時効ではありません。

何年も前の事案でも、聞けば教えてもらえますか

期間の上限はありません。ガイドラインは、経過した期間や死因に関わらず、事案の有無について問われた場合は告げる必要があるとしています。ただし業者の調査には範囲があり、売主・貸主・管理業者から不明であると回答された場合や無回答の場合は、その旨を告げれば足りるとされています。「不明」という答えが返ることはありえますが、それ自体はルールに沿った対応です。

この記事の根拠

出典:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(令和3年10月)。本文中の「概ね3年」、発生/発覚の起算点、自然死・日常の中の不慮の死の扱い、自宅における死因割合の9割、問われた場合の告知、不明と回答された場合の扱いは、いずれも本ガイドラインの記載に基づきます。ガイドライン本文(PDF)掲載元ページ

出典:Yahoo!知恵袋——2023年3月27日の質問(冒頭の引用・原文の一部)、2020年6月19日の質問(「一度誰かが住めば」の章で要約)。

この記事はガイドラインの全体像をまとめたもので、個別の物件で告知義務があるかどうかは事案ごとの判断になります。実際の取引で迷う場合は、取引の担当者に書面での回答を求めるか、都道府県の宅建業担当窓口・弁護士に確認してください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

コメント

コメントする

目次