🗨️「東京のマンションは、本当に平均2億円を超える時代になったの?」
2026年7月に発売された東京23区の新築マンションの平均価格が2億6520万円だったのは事実です。ただし同じ月に首都圏で発売された2,145戸のうち、53.9%は1億円未満でした。都心6区の440戸を除くと、23区の平均は約1億3665万円になります。平均価格は「よくある値段」ではなく「全部を足して割った値段」です。
[地価・住宅市場] この記事の要点
株式会社不動産経済研究所は2026年8月20日、「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2026年7月」を発表した。7月に発売された東京23区の新築分譲マンションの平均価格は2億6520万円(前年同月比96.0%上昇)、㎡単価は363.8万円(同73.7%上昇)で、いずれも過去最高となった。首都圏全体でも平均価格1億6493万円(同63.7%上昇)、㎡単価236.9万円で最高値を更新している。一方で23区の発売戸数は1,028戸と前年同月比1.6%減、初月契約率は70.6%で3.5ポイント低下し、首都圏の販売在庫は6,597戸と2カ月連続で増加した。
2026年8月21日 発表
- 東京23区でマンションの購入を考えていて、予算の目安が分からなくなった人
- 首都圏で住み替えを検討していて、新築と中古のどちらにするか迷っている人
- 所有しているマンションの価格が上がったのか気になっている人
この記事でわかること
- 2026年7月の東京23区の新築マンション平均価格が2億6520万円になり、前年同月比96.0%上昇で過去最高を更新したこと
- 同じ月に23区の発売戸数は1.6%減り、契約率も3.5ポイント下がっていて、売れ行きが理由ではないこと
- 都心6区の440戸(平均4億3699万円)を除くと、23区の残り588戸の平均は約1億3665万円になること
先に結論
- 2026年7月に発売された東京23区の新築マンションの平均価格は2億6520万円。前年同月比96.0%上昇で、過去最高を更新しました
- ただし23区の発売戸数は1,028戸で、前年同月より1.6%減っています。よく売れたから上がったのではありません
- 都心6区(千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷)の440戸が平均4億3699万円。この440戸を除いた588戸の平均は、約1億3665万円です
- 首都圏で発売された2,145戸のうち、1億円未満は1,157戸。全体の53.9%を占めます
- 埼玉県の平均は5937万円で、前年同月より16.0%下がっています
7月の東京23区は平均2億6520万円、前年同月のほぼ2倍になりました
「東京のマンションはもう買えない」。この数字を見て最初にそう思った人は多いと思います。ただ、同じ発表資料を最後まで読むと、その受け取り方は正確ではありません。
株式会社不動産経済研究所が2026年8月20日に発表した「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2026年7月」によると、7月に発売された東京23区の新築分譲マンションの平均価格は2億6520万円でした。前年同月比で96.0%の上昇です。㎡単価は363.8万円で、こちらは73.7%上がりました。
首都圏全体(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)でも、平均価格1億6493万円、㎡単価236.9万円で、どちらも過去最高を更新しています。
| 2026年7月 | 発売戸数 | 契約率 | 平均価格 | ㎡単価 |
|---|---|---|---|---|
| 首都圏 | 2,145戸(+6.9%) | 69.5% | 1億6493万円(+63.7%) | 236.9万円(+50.8%) |
| 東京23区 | 1,028戸(△1.6%) | 70.6% | 2億6520万円(+96.0%) | 363.8万円(+73.7%) |
| 東京都下 | 77戸(△68.6%) | 46.8% | 1億0559万円(+87.9%) | 150.4万円(+47.0%) |
| 神奈川県 | 574戸(+80.5%) | 85.4% | 7234万円(+11.7%) | 113.9万円(+16.1%) |
| 埼玉県 | 248戸(+3.3%) | 29.8% | 5937万円(△16.0%) | 88.1万円(△21.4%) |
| 千葉県 | 218戸(+38.0%) | 75.2% | 7693万円(+29.7%) | 106.0万円(+31.2%) |
数字はすべて同じ資料の同じページに並んでいます。同じ月・同じ首都圏で、23区は96.0%上がり、埼玉県は16.0%下がりました。「不動産が上がっている」という一言でまとめられる状態ではありません。
発売戸数は減っています。売れたから上がったのではありません
平均価格が2倍になったと聞くと、飛ぶように売れているところを想像します。ところが同じ資料の別の行には、逆を向いた数字が並んでいます。
23区の発売戸数は1,028戸で、前年同月より1.6%減っています。初月契約率は70.6%で、前年同月より3.5ポイント下がりました。首都圏全体の販売在庫は7月末で6,597戸。前月末より208戸増え、2カ月連続の増加です。前年の同じ時期は5,940戸でしたから、1年で657戸ぶん積み上がったことになります。
即日完売した物件は、2,145戸のうちわずか2戸。即日完売率は0.1%でした。
売れ行きは前年より鈍っているのに、平均価格だけが2倍になった。ということは、上がった理由は「よく売れたから」ではなく「発売された物件の中身が変わったから」ということになります。
都心6区を除いた23区の平均は、約1億3665万円でした
中身が変わったというのは、具体的にはこういうことです。
同じ資料には、都心6区の数字が別立てで載っています。千代田区・中央区・港区・新宿区・文京区・渋谷区の6区で、7月に発売されたのは440戸。その平均価格は4億3699万円、㎡単価は556.1万円でした。前年同月は351戸・平均1億9004万円ですから、都心6区だけで平均が2.30倍になっています。
この440戸は、23区で発売された1,028戸の42.8%にあたります。7月に23区で売り出された家の4割強が、都心6区に集まっていたわけです。
ここから、都心6区以外の区がいくらだったのかを計算できます。使うのは掛け算と引き算だけです。
| 計算 | 結果 |
|---|---|
| 23区の発売総額 = 1,028戸 × 2億6520万円 | 2兆7262億5600万円 |
| 都心6区の発売総額 = 440戸 × 4億3699万円 | 1兆9227億5600万円 |
| 差額 ÷ 残りの588戸 | 約1億3665万円 |
同じ23区でも、都心6区を外すと平均は約1億3665万円。2億6520万円のおよそ半分です。平均の半分近くを、全体の4割の物件が持ち上げていた計算になります。
不動産経済研究所自身も、7月に港区で売り出された平均5億円前後の高額物件と、北区で売り出された平均1億5000万円前後の大規模物件が全体を押し上げたと説明しています。個別の物件が名指しされるくらい、少数の物件が効いた月だったということです。
首都圏で発売された半分以上は、1億円に届いていません
もうひとつ、平均という数字の性格がよく分かる表が同じ資料に載っています。首都圏2,145戸を価格帯ごとに分けたものです。
| 価格帯 | 戸数 | 割合 |
|---|---|---|
| 5,000万円以下 | 173戸 | 8.1% |
| 5,000万円超〜7,000万円以下 | 512戸 | 23.9% |
| 7,000万円超〜9,999万円以下 | 472戸 | 22.0% |
| ここまでの合計(1億円未満) | 1,157戸 | 53.9% |
| 1億円以上2億円未満 | 534戸 | 24.9% |
| 2億円以上3億円未満 | 152戸 | 7.1% |
| 3億円以上 | 302戸 | 14.1% |
安い順に並べて真ん中の1,073戸目がどこに入るかを数えると、9,000万円台の帯に着きます。平均は1億6493万円ですが、真ん中の物件は9,000万円台だということです。
平均という計算は、いちばん高い1戸といちばん安い1戸を同じ重さで扱います。3億円以上が302戸あれば、その分だけ全体は上に引っ張られます。平均価格は「よくある値段」ではなく「全部を足して割った値段」です。この2つは、飛び抜けて高い物件が混ざるほど離れていきます。
建築費だけが理由なら、埼玉県が安くなった説明がつきません
「なぜここまで上がったのか」の答えとして、まず挙がるのは建築費と人件費です。資材も職人の賃金も上がっていて、それが分譲価格に乗るのは間違いありません。土地の値段も、都心では上がり続けています。
ただ、建築費だけで説明しようとすると、同じ月の数字とぶつかります。建築費の上昇は首都圏のどこでも同じように効くはずなのに、埼玉県の㎡単価は88.1万円で、前年同月より21.4%下がっているからです。契約率も29.8%まで落ちています。
つまり7月に起きたことは、「首都圏の建物が一律に高くなった」ではありません。都心で、高い物件が、まとまって売り出された。この一点が数字の大部分を作っています。
ここからは私の見方です。今回の96.0%という上昇率は、相場そのものの変化というより、その月に何が売り出されたかの記録に近いと考えています。根拠は3つあります。発売戸数が前年より減っていること、契約率が下がっていること、在庫が2カ月連続で増えていること。買い手が奪い合っている状態なら、この3つは逆を向くはずです。ただしこれは7月の1か月分の数字なので、これで流れが変わったとまでは言えません。
人が減っているのに、東京圏はいまも人が集まり続けています
「日本は人口が減っているのに、なぜ不動産が上がるのか」。この疑問はもっともですが、全国の人口と、東京圏に住みたい人の数は別々に動きます。
総務省統計局が2026年2月に公表した「住民基本台帳人口移動報告 2025年結果」によると、2025年に転入超過となったのは7都府県。東京都は6万5219人で、都道府県のなかで最多でした。東京圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)は12万3534人の転入超過です。
そして日本人の移動でみると、東京圏の転入超過は1996年以降30年続いています。4年連続で、東京圏以外のすべての道府県との間で転入超過です。全国で人が減っている間も、東京圏に入ってくる人のほうが多い状態が30年止まっていません。
ただし2025年の東京都の転入超過は前年より縮小しています。人が集まり続けていることと、その勢いが強まっていることは別の話です。
実際に取引されている中古マンションの中央値は7347万円でした
ここまでは新築の、しかも1か月分の発売価格の話です。実際に人が売り買いしている値段を見ると、風景が変わります。
当サイトが持っている実取引データ(2024年10〜12月期から2025年10〜12月期)で、東京23区の中古マンションの㎡単価を区ごとに集計しました。ワンルームに引っ張られないよう、専有面積50〜70㎡の取引だけを取り出しています。対象は3,159件です。
| 区 | ㎡単価の中央値 | 60㎡に換算すると |
|---|---|---|
| 千代田区(最高) | 240.0万円 | 1億4400万円 |
| 港区 | 233.3万円 | 1億4000万円 |
| 渋谷区 | 200.0万円 | 1億2000万円 |
| 世田谷区 | 123.1万円 | 7385万円 |
| 中野区(21区の真ん中) | 122.4万円 | 7347万円 |
| 板橋区 | 78.2万円 | 4691万円 |
| 葛飾区 | 60.0万円 | 3600万円 |
| 足立区(最安) | 54.5万円 | 3273万円 |
集計できた21区を㎡単価の順に並べると、真ん中に来るのは中野区の122.4万円でした。60㎡に換算して7347万円です。いちばん高い千代田区といちばん安い足立区では、㎡単価に4.4倍の開きがあります。
新築の平均2億6520万円に対して、中古の真ん中は7347万円。どちらも同じ23区の話です。「東京のマンションはもう買えない」という言い方は、少なくとも23区全体を指す言葉としては当たっていません。
なお、東京都の中央区と北区は、集計データが同じ区名を持つ他都市と分けられなかったため、21区の集計から外しています。この2区の数字は表に入っていません。
これから家を買う人に起きる可能性があること
ここから先は決まった話ではなく、7月の数字から読み取れる方向です。断定はしません。
新築から中古へ。新築の平均が2億円台に乗る一方で、中古の中央値は7000万円台です。同じ予算で選べる部屋の数は、中古のほうが多くなります。ただし中古は個別差が大きく、管理状態と修繕積立金の積み上がり方で後の負担が変わります。値段だけで比べると損をします。
都心から周辺へ。7月の神奈川県は574戸が発売され、契約率85.4%と首都圏でいちばん高い数字でした。前年より29.7ポイント上がっています。一方の埼玉県は契約率29.8%まで落ちました。周辺へ広がるといっても、一律ではありません。
面積の縮小。7月に発売された物件の1戸あたり平均専有面積は69.62㎡でした。価格が上がる局面では、価格を抑える手段として面積が削られることがあります。価格と㎡単価の両方を見ないと、安くなったのか狭くなっただけなのかが分かりません。
ローンの負担。借入額が増えるほど、金利が少し動いたときの返済額の振れも大きくなります。物件価格が上がった局面ほど、金利の前提を厳しめに置いて試算しておくほうが安心です。
まとめ:平均価格は「相場」ではありません
7月の東京23区の新築マンションが平均2億6520万円だったのは事実です。前年同月比96.0%の上昇も、過去最高の更新も事実です。
同時に、23区の発売戸数は前年より1.6%減り、契約率は3.5ポイント下がり、在庫は2カ月連続で増えました。都心6区の440戸を除くと平均は約1億3665万円。首都圏で発売された2,145戸のうち53.9%は1億円未満で、実際に取引されている中古の中央値は21区で7347万円です。これも全部、同じ月の事実です。
この数字を見て住まい探しをやめる必要はありません。見るべきなのは平均ではなく、自分が買おうとしている区の、自分が買おうとしている広さの取引価格です。
情報は2026年8月21日時点のものです。市場動向は毎月発表されるので、購入の判断をする前に最新の数字を確認してください。
生活・仕事にどう効くか
- 23区の新築マンションの予算を考えるとき:23区の平均は2億6520万円だが、都心6区(千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷)の440戸が平均4億3699万円で全体を押し上げている。この440戸を除いた588戸の平均は約1億3665万円(発表資料の発売戸数と平均価格から算出)。
- 「首都圏のマンションは1億円超え」と聞いたとき:7月に首都圏で発売された2,145戸のうち、1億円未満は1,157戸で53.9%を占める。3億円以上は302戸(14.1%)。安い順に並べたとき真ん中に来る物件は9,000万円台の帯に入る。
- 「不動産は全部上がっている」と思っているとき:同じ7月に、埼玉県の平均価格は5937万円で前年同月比16.0%の下落、㎡単価は88.1万円で21.4%の下落、契約率は29.8%まで低下している。上がっているのは首都圏の全域ではない。
結局どうすればよいか
- 平均価格ではなく、自分が買おうとしている区・広さの実際の取引価格を調べる。23区の中古マンション(50〜70㎡)の㎡単価は、集計できた21区で千代田区240.0万円から足立区54.5万円まで4.4倍の開きがある
- 新築の平均が上がったからといって、手持ちの物件が同じだけ上がったとは考えない。新築の発売価格と中古の成約価格は別の数字
- 価格と㎡単価の両方を見る。1戸あたり平均専有面積は69.62㎡で、価格を抑えるために面積が削られている場合、価格だけでは判断できない
- 1か月の数字で流れを判断しない。7月は23区の発売戸数が前年より減り、契約率も下がり、在庫が2カ月連続で増えた月でもある
あわせて読む・調べる
くわしく知る(保存版の記事)
自分の場合を調べる(無料ツール)
公式出典
- 株式会社不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2026年7月」(発売戸数・契約率・平均価格・㎡単価・都心6区・価格帯別戸数・販売在庫・平均専有面積)(2026年8月20日発表)
- 時事通信「東京23区の新築マンション、過去最高の2.6億円 港区の高額物件、全体押し上げる―7月」(押し上げ要因についての不動産経済研究所の説明、前回の最高値)(2026年8月20日発表)
- 総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2025年結果」(東京都・東京圏の転入超過数、東京圏の30年連続の転入超過)(2026-02発表)
- 当サイトの実取引データ(東京23区のうち21区・中古マンション専有面積50〜70㎡・3,159件・2024年10〜12月期〜2025年10〜12月期)(2026年8月21日発表)
更新履歴
- 2026年8月21日 初版を公開。情報は2026年8月21日時点
※本記事は2026年8月21日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。


コメント