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「勝手に動かされて壊れても泣き寝入り」ではありません。千葉の放置車両1,200台、条文には補償すると書いてあります

🗨️「冠水した道に車を置いて逃げた。行政に勝手に動かされて、傷がついたらどうなるの?」

災害対策基本法は、同意なしの移動を認めると同時に、壊した場合は損失を補償しなければならないと定めています。まず自分でエンジンをかけないことが先です。

[災害] この記事の要点

何が起きたか

2026年8月13日から14日の記録的大雨で走行不能になった車が千葉県内に多数残り、放置車両は1,200台超の見通しとなった。県と千葉市などは8月14日午前8時から、災害対策基本法に基づいて所有者の同意なしに車両の移動を始めた。

発表日・更新日

2026年8月15日 発表

影響を受ける人
  • 冠水した道に車を置いたまま避難した人
  • 自分の車がどこへ動かされたか分からない人
  • 水に浸かった車をこれから引き取りに行く人
目次

この記事でわかること

  • 放置車両は1,200台超の見通し。千葉市管理道路だけで約1,000台
  • 同意なしで動かせる根拠は災害対策基本法76条の6。やむを得ない限度で壊すことも条文に書かれている
  • 壊された場合は82条で「通常生ずべき損失を補償しなければならない」と定められている
  • 車の被害を証明するのは罹災証明書ではなく被災証明書

先に結論

  • 行政はあなたの同意なしに車を動かせる。根拠は災害対策基本法76条の6
  • 同じ条文に「やむを得ない限度において…破損することができる」と書いてある
  • ただし82条に「通常生ずべき損失を補償しなければならない」とも書いてある。壊された場合は補償の対象
  • 取りに行く前に、自分でエンジンをかけない。車の証明は罹災証明書ではなく被災証明書

千葉県内で1,200台超。千葉市の道路だけで約1,000台

8月13日から14日の大雨で、走れなくなって道に残された車が千葉県内に大量にあります。放置車両は1,200台を超える見通しです。

どこの道路か台数
千葉市が管理する道路約1,000台
県が管理する県道・国道少なくとも約200台
千葉国道事務所が管理する7路線実数の把握は困難としている

移動は8月14日午前8時から始まりました。千葉市では、交通の支障になっている269台のうち約40台が同日の夜までに動かされています。県は2〜3日での完了を目指しています。数だけ見ると数日で片づく話に見えますが、1台ずつに持ち主がいて、その持ち主のほとんどは自分の車が今どこにあるか知りません。

同意なしで動かせるのは、この条文があるからです

ニュースでは「災害対策基本法に基づいて移動」とだけ流れます。その条文を開くと、書いてあることは思ったより踏み込んでいます。

第76条の6の第1項は、道路管理者などが区間を指定して、車の持ち主に「道路外の場所へ移動すること」を命じられる、という規定です。ただし今回のように、持ち主が避難していて現場にいない場合は命令できません。そこで第3項が用意されています。

次に掲げる場合においては、道路管理者等は、自ら第一項の規定による措置をとることができる。この場合において、道路管理者等は、当該措置をとるためやむを得ない限度において、当該措置に係る車両その他の物件を破損することができる

「壊してもよい」と法律に明記されています。該当するのは、命令に従わない場合、相手が現場にいなくて命令できない場合、道路の状況などから持ち主にやらせられないと判断した場合の3つです。今回の千葉は、2つめにそのまま当てはまります。

「泣き寝入り」ではない。補償の条文は同じ法律の中にあります

ここまで読むと「壊されても文句は言えないのか」と思うかもしれません。そうではありません。同じ災害対策基本法の第82条第1項に、こう書かれています。

国又は地方公共団体…は、…第七十六条の六第三項後段若しくは第四項…の規定による処分が行われたときは、それぞれ、当該処分により通常生ずべき損失を補償しなければならない

「第76条の6第3項後段」が、さきほどの「破損することができる」の部分です。つまり壊す権限と、壊したら補償する義務が、同じ法律の中で対になっています。「補償することができる」ではなく「補償しなければならない」と書かれている点が重要です。

私は、この対の関係が報じられないことのほうが問題だと考えています。移動を伝えるニュースは数字を伝えますが、持ち主が知りたいのは「自分の車がどうなるのか」です。条文まで読まないと、勝手に動かされて壊されても言うだけ無駄だと思い込んでしまう。実際にはそうではありません。

ただし、補償の対象として82条が名指ししているのは破損(第3項後段)と、土地の一時使用・障害物の処分(第4項)です。移動されたこと自体は、この列挙に入っていません。いくら補償されるか、どう請求するかも条文には書かれていないので、実際の窓口は自治体に確認することになります。

取りに行く前に。エンジンをかけてはいけません

車が見つかったら、まず動かして帰りたくなります。国土交通省はそれを止めています。

同省のページには、水に浸かった車は「外観上問題がなさそうな状態でも、感電事故や、電気系統のショート等による車両火災が発生するおそれがあります」とあります。そのうえで「自分でエンジンをかけない。」「バッテリーのマイナス側のターミナルを外して下さい。」「外したターミナルがバッテリーと接触しないような措置(テープなどで覆う)をして下さい。」と続きます。ハイブリッド車と電気自動車については、高電圧のバッテリーを積んでいるので「むやみに触らないで下さい」とはっきり書かれています。

使いたい場合は販売店か整備工場に相談する、というのが同省の案内です。車が見つかった日にできるのは、写真を撮ることと、端子を外すことまでだと考えておいたほうが安全です。

車の証明は罹災証明書ではありません

ここで多くの人がつまずきます。家の被害と車の被害では、申請する証明書が違います。

罹災証明書被災証明書
対象住家住家以外・動産(自動車を含む
証明する内容被害の程度(全壊・半壊など)被害があったという事実
車の場合に必要なもの車検証、カラー写真(車両全体・損傷箇所・ナンバープレート)、修理済みなら見積書

千葉市の案内による。自動車は登録の住所が千葉市内であることが条件。申請先は被害を受けた場所を所管する区役所の地域づくり支援課で、オンライン申請もできる。

写真は、車が動かされたあとでは撮り直せません。引き取りに行ったその場で、全体・損傷箇所・ナンバープレートの3種類を撮っておくのが確実です。撮る順番を決めておけば迷いません。

次の大雨までにやっておくこと

今回の千葉では、車を置いて逃げた判断そのものは間違っていません。国土交通省は、水深が床面を超えると電気装置が壊れてエンジンが止まるおそれがあり、水深がドア高さの半分を超えると内側からドアがほぼ開けられなくなると説明しています。水が来てから車で動くのは、その時点で選択肢が減っています。

だとすると、決めておくべきなのは「どこまで水が来たら車を諦めるか」ではなく、「その前に車をどこへ置くか」です。自宅の周りで、標高が高くて冠水しにくい駐車場所を1か所だけ決めておく。住所と浸水想定を1回調べれば分かります。1,200台の中に自分の車を入れないための準備は、雨が降る前にしかできません。

生活・仕事にどう効くか

  • 車の扱い:国土交通省は、水に浸かった車は外観に問題が無くても感電や車両火災のおそれがあるとして、自分でエンジンをかけないよう求めている。取りに行っても、その場で動かして帰れるとは限らない。
  • 移動と補償:災害対策基本法76条の6第3項は、やむを得ない限度で車両を破損できると定める。同82条1項は、その破損について通常生ずべき損失を補償しなければならないと定めている。
  • 手続き:自動車の被害は罹災証明書ではなく被災証明書の対象。千葉市では車検証と、車両全体・損傷箇所・ナンバープレートを写したカラー写真が要る。

結局どうすればよいか

  • 水に浸かった車は自分でエンジンをかけず、バッテリーのマイナス端子を外してテープで覆う(HV・EVは高電圧なので触らない)
  • 引き取りの前に、車両全体・損傷箇所・ナンバープレートの写真をカラーで撮っておく
  • 車の被害は罹災証明書ではなく被災証明書で申請する。窓口は被害を受けた場所の区役所

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公式出典

更新履歴

  • 2026年8月15日 初版を公開

※本記事は2026年8月15日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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