伊丹市の地価公示は1坪59.5万円です。実際に成約した価格の中央値は79.3万円。40坪の土地を公示価格のつもりで見積もると2,380万円ですが、実勢は3,174万円。794万円足りません。
地価公示は毎年3月に発表されてニュースになるので、目に入りやすい数字です。ただしそれは鑑定評価に基づく目安であって、成約価格ではありません。阪神間6市で同じ比較をしたところ、ずれがいちばん大きかったのが伊丹市でした。
先に結論
- 伊丹市の土地は坪79.3万円(中央値・97件)。地価公示の59.5万円より33.3%高い値段です
- このずれは、下の表で比べた6市のなかで最大。芦屋市は0.6%しかなく、公示と実勢がほぼ一致します
- 40坪なら2,380万円と3,174万円。差は794万円です
- 町別は野間北の133.9万円から寺本の46.3万円まで2.9倍
- 総額を抑えるなら中古戸建て。坪135.4万円(延床)で97件が成約しています
公示と実勢のずれは、比べた6市のなかで伊丹がいちばん大きい
同じ期間・同じ集計方法で6市を並べました。左が地価公示(住宅地)の中央値、真ん中が実際に成約した坪単価の中央値です。
| 市 | 地価公示 | 実際の成約 | ずれ |
|---|---|---|---|
| 伊丹市 | 59.5万円 | 79.3万円 | +33.3% |
| 明石市 | 32.9万円 | 42.9万円 | +30.7% |
| 尼崎市 | 62.5万円 | 76.0万円 | +21.7% |
| 宝塚市 | 52.9万円 | 62.8万円 | +18.7% |
| 西宮市 | 95.5万円 | 112.4万円 | +17.6% |
| 芦屋市 | 118.3万円 | 119.0万円 | +0.6% |
この6市の外まで広げると、川西市が38.8%とさらに大きくなります(川西の土地は南部82.6万円、山手のニュータウン26.0万円)。表のなかでは芦屋市だけが別格で、公示価格がそのまま成約価格になっています。伊丹市は33.3%上乗せしないと実勢に届きません。同じ「公示価格」でも、予算の基準として使える街と使えない街があります。
伊丹で40坪を探すなら、3,174万円が出発点です。ここに仲介手数料と登記費用が乗り、建物代は別に要ります。公示価格の2,380万円で組んだ資金計画は、土地を見に行く前の段階で崩れます。
町別に並べると、野間北133.9万円と寺本46.3万円で2.9倍
取引が3件以上あった13の町を、坪単価の高い順に並べました。
伊丹市の宅地成約価格(坪単価の中央値・2024年4Q〜2025年4Q・取引3件以上の町)
同じ40坪でも、野間北なら5,356万円、寺本なら1,852万円。3,504万円の開きです。
上位に並ぶ千僧・御願塚・稲野町・平松は、JR伊丹駅と阪急伊丹駅を結ぶ市の中心部の周辺です。下位の荒牧南・寺本は市の北西側で、駅から離れます。伊丹市は東西5km、南北8kmほどの範囲に、坪単価で2.9倍の勾配がかかっています。
この2.9倍という差は、西宮市の25.8倍や明石市の4.3倍より小さい数字です。町名で予算が大きく動く街ではありません。
なぜ公示より33%も高いのか。私はこう見ています
先に事実を分けておきます。地価公示は毎年1月1日時点の価格を、不動産鑑定士の評価に基づいて国が公表するものです。伊丹市の住宅地の地点は39か所。一方の成約価格は、実際に売買された97件です。性質の違う数字なので、ぴったり一致するほうが珍しいとも言えます。
そのうえで私は、このずれの大きさを買い手の層の厚さだと考えています。伊丹の1区画の成約総額は3,200万円、芦屋は7,140万円です。手が届く人の数が倍以上違えば、売り出し価格から下げずに決まる確率も変わります。買い手が多い街ほど、鑑定評価より上で決まりやすい、という読みです。
これは私の解釈で、データが理由まで語ってくれるわけではありません。持ち帰ってほしいのは、伊丹では公示価格を予算の基準に使わない、という一点だけです。
総額を抑えるなら、土地から買う以外の選択肢を見る
伊丹市の他の種別も並べておきます。
| 種別 | 成約価格(中央値) | 件数 |
|---|---|---|
| 宅地(土地) | 79.3万円/坪 | 97件 |
| 中古戸建て | 135.4万円/坪(延床) | 97件 |
| 新築戸建て | 148.4万円/坪(延床) | 58件 |
| 中古マンション | 42.9万円/㎡ | 93件 |
| 賃貸 | 1,831円/㎡ | 28,160件 |
延床30坪で計算すると、中古戸建てが4,061万円、新築戸建てが4,451万円。土地だけで3,174万円かかることを思えば、中古戸建ての4,061万円は建物ぶんが900万円弱で付いてくる計算になります。
中古マンションはさらに下がります。築21〜30年なら1㎡あたり37.5万円で、70㎡なら2,625万円。築31〜40年まで下げると24.9万円で1,746万円です。土地を買って建てる案と比べると、出発点が2倍近く違います。
そのかわり中古は工事費が乗ります。伊丹市の中古戸建ては97件成約していて、土地の97件と同じ数だけ動いている市場です。物件価格と工事費を足した総額で並べないと、どちらが安いかは決まりません。
工事費が分かると、土地から建てる案と総額で比べられます
予算を決める前にやる3つのこと
1. 公示価格を予算の基準に使わない。 伊丹では33.3%足りません。40坪なら794万円のずれです。ニュースで見た数字ではなく、成約価格で組んでください。
2. 町名まで決めてから金額を出す。 市の中央値である坪79.3万円は、野間北では足りず、寺本では余ります。候補を2つか3つに絞ってから計算したほうが早いです。
3. 中古戸建てを同じ土俵に乗せる。 土地だけで3,174万円、中古戸建ては延床30坪で4,061万円。工事費を入れても総額が近いなら、更地から始める理由は薄くなります。
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隣の市の同じ数字は宝塚の土地は尼崎より坪17%安いのに1区画では340万円高くつきますと尼崎の中古マンションは築30年で1,500万円下がりますにまとめています。
この記事の数字の出どころ
- 成約価格:国土交通省「不動産情報ライブラリ」の不動産取引価格情報。集計期間は2024年第4四半期から2025年第4四半期。宅地97件、中古戸建て97件、新築戸建て58件、中古マンション93件
- 地価公示:国土交通省の地価公示。伊丹市内の住宅地39地点の中央値。他5市も同じ条件(住宅地のみ)で集計しています
- 地価公示は毎年1月1日時点の評価額で、成約価格とは性質の違う数字です。この記事では予算づくりの基準として使えるかどうかを見ています
- 町別の集計は取引3件以上の町のみ。件数が少ない町の中央値は1件の影響を受けやすいので、順位は幅を持って読んでください
- 中古戸建て・新築戸建ての坪単価は、取引総額を建物の延床坪数で割った値です。土地の坪単価とは分母が違うので、そのまま引き算はできません
- 中古マンションは1982年以降に建てられた物件に限定。築年数は2026年を基準に数えています
- 1区画の成約総額は、宅地の取引1件あたりの金額の中央値です


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