宇都宮市で、大雨のときに水がたまるおそれがある道は19か所です。栃木県104か所のうち、いちばん多いのが宇都宮市です。
19か所の名前を並べると、あることに気づきます。中央卸売市場アンダー、西原アンダー、大和アンダー……。19か所とも「アンダー」で終わります。「アンダーパス」でも「地下道」でもありません。
この記事でわかること
- ✓ 19か所とも「◯◯アンダー」。県内で最多です
- ✓ 19か所とも標高78メートル以上。このシリーズで調べた市の中でいちばん高い土地です
- ✓ 令和元年の台風19号のとき、市がまとめた道路冠水は161件でした
箇所の数・種別・住所は国土交通省 関東地方整備局「道路冠水注意箇所」栃木県104か所と、箇所ごとの説明表19枚から数えました。栃木県の説明表は文字データを持たない画像なので、1枚ずつ画像にして住所欄と備考欄を読んでいます。台風19号の被害は宇都宮市上下水道局 下水道管理課の資料、予算は令和8年度当初予算の事項別明細、内水の地図と止水板の補助は市の公表ページ、エアー遮断機の仕組みは静岡県 新技術データベースの登録内容です。
19か所とも「アンダー」です

道路の種類で分けると、市道が10、国道が5、県道が4。国道の5か所はすべて国道119号と121号で、119号に3つ、121号に2つ並んでいます。
同じ町に固まっているところもあります。簗瀬に3か所。中央卸売市場アンダー、簗瀬アンダー、そしてもうひとつの簗瀬アンダーです。名前が同じ2つは、片方が県道、もう片方が市道で、別の場所にあります。東岡本町にも根川アンダーと東岡本アンダーの2か所があります。
名前の町と住所の町が食い違うものも2つ。徳次郎アンダー(日光高速)の住所は宝木本町、今泉アンダーの住所は川向町です。名前だけで場所を探すと行き違います。

冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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19か所と161件のへだたり
令和元年10月の台風第19号で、宇都宮市は大きな被害を受けました。市の危機管理課がまとめた数字はこうです。床上浸水607件、床下浸水331件、河川溢水22件。避難したのは1,329世帯、3,099人。人的被害はありませんでした。
そして、道路冠水は161件。国の一覧に載っているのは19か所ですから、8倍以上のへだたりがあります。
その日の24時間雨量は325.5ミリで、宇都宮地方気象台の観測史上いちばんの記録でした。一級河川の田川は、19時から翌2時まで氾濫危険水位を超えています。市内に5か所ある下水の終末処理場のうち、3か所が被災しました。
19か所は「くぐる道で、毎回のように水がたまるところ」の一覧です。大きな雨が降れば、名前の載っていない道でも水はたまります。
19か所とも標高78メートル以上です

住所を国土地理院の標高データに通すと、いちばん低いのが茂原町の78.3メートル、いちばん高いのが徳次郎町の196.5メートルでした。差は118.2メートルあります。
このシリーズでこれまでに測ったなかで、いちばん低い箇所がいちばん高い市です。これまでの最高は愛知県豊田市の24.8メートル、次が埼玉県熊谷市の22.3メートルでした。宇都宮はその3倍以上です。
高い土地でも水はたまります。海から遠いことと、くぐる道の底が低いことは別の話だからです。掘り下げた箱の中に、まわりから水が集まってくる。標高100メートルの台地でも、そこだけは低いところになります。
備考欄は19か所とも空です

説明表には、排水ポンプや監視カメラがあることを書く「備考」の欄があります。19枚すべてを開きましたが、19か所とも空欄でした。ほかの県では「排水ポンプ施設設置済」「監視カメラ(CCTV)」「冠水履歴:令和7年8月」といった書き込みが入ります。
ところが市の予算を見ると、動きがあります。令和8年度の当初予算に「アンダーパスにおけるエアー遮断機の整備 御幸町アンダー」として2,500万円が新しく計上されました。道路排水施設等の整備は全体で7,540万円。前年度の5,080万円から増えています。
エアー遮断機は、水がたまったときに空気でポールをふくらませて道をふさぐ装置です。静岡県の新技術データベースには、空気でふくらむので、気づかずに入ってしまった車があっても車を壊さない、と書かれています。19か所のうち名前を指して予算が付いたのは、市道2688号線の御幸町アンダー1か所だけです。
この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
市は川と道にセンサーを置いています
宇都宮市は令和6年度から、国土交通省などが進める「ワンコイン浸水センサ」の実証実験に参加しています。小型で安く、長もちする浸水センサです。
置かれているのは、市が管理する河川に21か所、市が管理する道路に4か所。リアルタイムで浸水の情報を集めて、初動を早くするのが目的だと市は書いています。国土交通省は集めた情報を「浸水センサ表示システム」で試験的に公開していて、宇都宮市を含む全国の状況が見られます。
もうひとつ、令和8年4月に始まった制度があります。止水板等設置費補助金です。洪水または内水のハザードエリアの中か、過去に浸水した地域で、建物に止水板や防水扉を付けたときに費用の2分の1(上限50万円)が補助されます。
内水の地図は、今年から法律に基づくものになりました

宇都宮市の内水ハザードマップは、洪水・土砂災害・ため池とまとめて「宇都宮市防災ハザードマップ」になっています。この内水の部分が、令和8年3月30日から水防法に基づくハザードマップに改訂されました。
根拠は水防法第14条の2第2項。想定しているのは1時間あたり150ミリの雨です。国が全国を降雨の特性が似ている15の地域に分けて決めた値で、愛知県豊橋市や兵庫県西宮市の147ミリとは地域が違うので数字も違います。
注意が要るのは対象の範囲です。市は「内水ハザードマップのうち、赤枠内のエリアが水防法に基づく雨水出水浸水想定区域の対象範囲です」と書いています。地図はもっと広く塗られていても、法律に基づくのは枠の中だけ。家を買うときや借りるときの重要事項説明は、この枠の中が対象です。
水に入ってしまった車から出るまで

19か所とも、何かの下をくぐる道です。手前から見ると水面は平らに見えて、いちばん深い底は見えません。進んだ先が急に深いのが怖いところです。
JAF(ジェイエーエフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。割れるのは横の窓です。フロントガラスは合わせガラスなので、脱出用ハンマーでも割れません。
車が動かなくなったら110番と119番へ。水深がひざ下でも、流れがあれば大人は歩けません。50センチより深いときは、無理に移動せず高いところで待ってください。
ほかの市はどうなっているか
同じ手順で、ほかの市も1つずつ調べています。同じ資料でも、出てくる答えは場所ごとに変わります。
- 道路冠水マップ どこで見られるの?
- 小山市 冠水 どこが危ないの?(栃木県) 5つに「おやまアンダー1」から「5」まで番号が振ってあります
- 足利市 冠水 どこが危ないの?(栃木県) 8か所のうち5か所の呼び名が「地下道」。栃木県でこう呼ぶのはここだけです
- 熊谷市 冠水 どこが危ないの?(埼玉県) 16か所とも市道。6か所が「ずい道」という呼び名です
- 久喜市 冠水 どこが危ないの?(埼玉県) 17か所とも市道で、8か所が東北自動車道の下です
- 水戸市 冠水 どこが危ないの?(茨城県) 国の一覧は8か所、市が出している地図には117か所ありました
この記事のまとめ
宇都宮市で道路が冠水しやすい場所は19か所で、栃木県内では最多です。19か所とも名前が「◯◯アンダー」で終わり、市道10・国道5・県道4に分かれます。簗瀬に3か所、東岡本町に2か所。標高は茂原町の78.3メートルから徳次郎町の196.5メートルまでで、19か所とも78メートルを超えています。
説明表の備考欄は19か所とも空ですが、令和8年度の当初予算で御幸町アンダーにエアー遮断機を整備する2,500万円が計上されました。市は浸水センサを河川21か所・道路4か所に置き、令和8年4月からは止水板の設置に費用の2分の1(上限50万円)を補助しています。内水ハザードマップは令和8年3月30日から水防法に基づくものになり、対象は赤枠の中です。
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